2013年12月24日

『鏡の国の殺人 中篇』(貴志祐介著、角川書店刊『小説野性時代 2014年1月号 vol.122』掲載)

『鏡の国の殺人 中篇』(貴志祐介著、角川書店刊『小説野性時代 2014年1月号 vol.122』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<感想>

ドラマ化もされた「防犯探偵シリーズ」。
その2013年12月時点での最新作です。
当初は前後篇と思われていましたが、前中後篇の3作と判明しました。

今回はその中篇。
ちなみに、ドラマ化も予定されています。

貴志祐介先生新作短編『鏡の国の殺人』が11月発売の『小説野生時代』(角川書店刊)に掲載予定とのこと!!

そんな『鏡の国の殺人』、その内容は「美術館長・平松殺害の容疑をかけられた榎本が如何に謎を解き、自身の無実を証明するか」といったもの。

でもって、犯人は稲庭透。
中篇にて榎本自身が認めているし、そもそも稲庭の名前自体に透明人間の「透」の字が含まれてるし。
見えない犯人をもじっての物でしょう。

となると、館長室に移動できなかったとの稲庭のトリックを見破る必要がある。
そこで、本作のポイントとなるのは「如何に防犯カメラを騙すか」ということで「視覚トリック」。

これを踏まえた上で気になるのは次の2点。
それが「2度に渡る停電」と「鏡の迷図の性質」。

まず、「2度に渡る停電」。
つまり、1度目で仕掛けを施し、2度目に仕掛けを回収したと思われる。

続いて「鏡の迷図の性質」。
稲庭はトリックアートの名手であり、鏡の角度なども自由自在であることから、遠くの物を近くにあるように鏡を用いて誤魔化すことは可能。

なので、1度目の停電の際に、鏡の角度を変えつつハンプティ・ダンプティの扉を開く。
あるいは、ハンプティ・ダンプティの前に別の鏡を用意しリレーする。
これにより、停電から復旧するもカメラのレンズにはハンプティ・ダンプティが動いていないように見える状況を作り出したと思われる。
つまり、カメラが撮影していた図は鏡像だったとの結論ではないか。

これで稲庭にも犯行が可能となった。
QED―――たぶん。

さ〜〜〜て、管理人の推理は当たっているのか!?
まずは、2014年1月3日放送のドラマ版、次いで2014年1月12日発売予定の『小説野性時代』次号にて確認せよ!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
榎本:言わずと知れた防犯探偵その人。
青砥:弁護士。榎本の相棒と言えばこの人。
平松館長:美術館館長。何者かに殺害される。
鈴木繁子:平松の秘書。
稲庭透:美術館に展示されていた「鏡の迷図」の作者。
玲子:稲庭のアシスタント。
山本:稲庭のアシスタント。
ハゲコウ:刑事。

・前篇のあらすじはこちら。
『鏡の国の殺人 前篇』(貴志祐介著、角川書店刊『小説野性時代 2013年12月号 vol.121』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

美術館館長・平松が殺害された。
その当日、平松の依頼で防犯テストを行うべく美術館へ侵入していた(本当の理由は別に存在しそうだが……)榎本に容疑が向かうことに。
どうやら、榎本は真犯人に罠にかけられたようだ。

自身の容疑を晴らしたいが表に出られない榎本は青砥に協力を依頼。
こうして、青砥が殺人現場を訪れ、その様子を榎本に伝えることで事件解決を図ることとなった。

美術館にて、被害者である平松館長の秘書・鈴木から事情を聞き込む青砥。
榎本が犯人ではないとすれば、別に真犯人が存在していたことを証明しなければならない。
だが、その目的の前に防犯カメラが大きな壁となって立ち塞がる。
犯行現場である館長室には、稲庭透作「鏡の迷図」を通り抜けなければ辿り着けない。
だが、「鏡の迷図」は防犯カメラにより撮影され続けていた。
不審な人物が存在すれば、すぐに分かってしまう。
真犯人は如何にしてカメラに映らずに犯行を果たし得たのか?
これが分からない限り、美術館自体が大きな密室となってしまうのだ―――。
どうやら、攻略の鍵は稲庭透作「鏡の迷図」それ自体に隠されているようだが……。

「鏡の迷図」について尋ねる青砥。
鈴木によれば、展示物として公開を急いでいる作品だそうで、作者である稲庭とそのアシスタントの玲子と山本、計3人で犯行当日も設営作業を行っていたらしい。

青砥はまず、本当に「鏡の迷図」を通過せねば館長室に辿り着けないかを確認。
榎本が使用したルートを用いない限り、これは事実と判明した。

続いて「鏡の迷図」内を通過した者が居ないとの判断に疑惑を抱く。
抜け道の可能性を疑ったのだ。

これを聞きつけたアシスタントの玲子と共に「鏡の迷図」にチャレンジした青砥は見事に迷ってしまう。
玲子によれば、稲庭はトリックアートの名手。
左右を鏡張りにしつつ、傾斜角度などに変化を加えることで方向感覚を狂わせて迷路としているらしい。
当然、抜け道は存在しない。

また、映像上で通過した者がいないと判断された理由だが、「鏡の迷図」の入り口には「ハンプティ・ダンプティの扉」があり、これを動かさなければ中へは入れない。
だが、防犯カメラの映像上はこれを行った形跡が無かったのである。

さらに、「鏡の迷図」の出口が館長室側に繋がっているのだが、其処を通過する際には窓ガラスに人影が写り込む筈であった。
だが、防犯カメラの映像上はこれも無かった。

以上、出入り口を撮影した2点により「鏡の迷図」に出入りが無かったと判断されたのだそうである。

間違いないか撮影された映像を確認する青砥。

すると、面白いことが分かった。
2度ほど停電が起こっていたのである。
また、設営を行っていた稲庭たちだが、稲庭だけは防犯カメラから死角になる時間があったことも判明する。
とはいえ、確かに出入り口付近を通過した形跡はない。

そして、最終的に稲庭が平松館長室へ内線を入れたが返事がないことを発端として、山本による館長室での死体発見へと繋がるのである。

これを聞いた青砥は「犯人が分かった!!」と叫ぶ。
「まさか……」と頭を抱える榎本。
その予測通り、青砥が指摘した犯人は山本であった。
死体発見にかこつけ殺害したとの説である。

だが、これは榎本に一蹴される。
何故なら、その前に榎本自身が平松の死体を目撃しているのだから。
でなければ、榎本が容疑者にされる筈がそもそも無いのだ。
さらに、稲庭からの内線電話に平松が応答しなかった理由が無くなってしまう。
つまり、青砥の説は不可能なのだ。

一方、ハゲコウにより稲庭が取り調べを受けていた。
ハゲコウもまた榎本の犯行に疑惑を抱いているらしい。
彼によれば、稲庭作品の評価には平松館長の支援が大きく影響していたのだそうだ。
つまり、平松の裏工作があったのである。
もし、これにより稲庭が平松に脅迫されていたのだとすれば大いに動機となるだろう。

これを聞いていた榎本は「稲庭が犯人である」と断言するのであった―――『鏡の国の殺人 後篇』へ続く。

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