<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺?)の犯人?猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本:美容整形外科医。カラと乃花を担当した。実は高級売春クラブ「フルムーン」のオーナー。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属。
レナ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
アイ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
盛元:テレビ局有名アナウンサー。
・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第28話「捜査本部」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
月本が運営する高級売春クラブ「フルムーン」の内偵は順調に進み、いよいよ摘発を目前に控えたその時。
上層部から「待った」の声がかかってしまう。
なんと、上層部の中にも「フルムーン」の顧客が存在していたのだ。
里見は月本を取り調べることでカラの出自に迫ることが出来ると期待していただけに肩を落とすことに。
その頃、月本は自身へと迫る捜査について例の顧客から情報を得てほくそ笑んでいた。
彼らがどう足掻こうとも月本の身は安泰なのだ。
だが、月本は念には念を押す為に「フルムーン」運営に差し障りの無い範囲での証拠の隠滅を目論む。
医院に隠された秘密の部屋へ赴いた月本。
早速、証拠隠滅を行おうとするが……何時の間にやらその背後にはカラが。
気配を感じさせず無表情で立ち尽くすカラに驚く月本。
だが、カラはそんな月本の感情に構うことなく、結束バンドで彼の両手の親指を拘束する。
思わぬ早業に、月本は動けない。
そのままバランスを崩し、前のめりにこけた。
カラを仰ぎ見る月本の表情に不安が混じる……。
そんな月本にカラは宣告した。
「猪熊の正義を執行する」と―――。
その頃、タクシー運転手殺害現場(カラの犯行である。詳しくは8、9話「許されざる者」参照)を通り過ぎた里見に嫌な予感が過る―――30話に続く。
<感想>
「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。
そんな「サイレーン」、内容は刑事もの……しかも男女バディもので、「警視庁機動捜査隊(キソウ)」を取り上げた作品となりました。
設定に「キソウ」を採用している点が珍しいですね。
ドラマでも「キソウ」がメインになった作品は「警視庁機動捜査隊216」くらいか。
・月曜ゴールデン「警視庁機動捜査隊216V 命の値段 知らされなかった誘拐事件が生んだ最悪の偶然!?命か金か?選択を迫られた家族の運命と犯人を繋ぐ社会の暗闇!」(12月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
その第29話。
ちなみにコミックス1巻が2013年9月20日に発売。
2巻も発売予定です、こちらも注目!!
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サブタイトルは「正義の真似事」。
予想通り、月本はカラにより処刑されるのでしょう。
まさにカラによる猪熊の正義の真似事。
ですが、この真似事がオリジナルに先立ってしまった。
この意味は大きい。
オリジナルである猪熊たちでは裁けない悪。
これを裁けたのが、模倣であり、裁かれる側と同じく“悪”のカラでしかなかったとは……痛烈な皮肉です。
「世の中の役に立たない正義」と「世の中の役に立つ悪」。
いずれが世の為になるのか……またも猪熊を悩ませることになりそうです。
もっとも、カラの正義は猪熊の真似事でしかなく、自身の中に正義の基準があるワケではない様子。
これは非常に危い。
拠って立つ法がカラの気分次第では、煙草のポイ捨てから立小便まで死刑になりかねない。
この危うさに猪熊が気付けるかがキーになりそうです。
さて、この月本の一件によりカラがどう暴走するのか。
猪熊の正義を学習しえたと満足し、猪熊を狙うのか。
あるいは未だに不足していると正義執行を繰り返すことになるのか。
おそらく、先の問題点に猪熊をぶつける為に後者の展開が採用されると思われますが……。
さて、此処でまとめ。
目標である捜査一課へひた走る猪熊。
そんな猪熊をターゲットとしてロックオンしたカラ。
そんなカラをターゲットとしてロックオンした里見。
追う者と追われる者の構図が明らかになりつつあるようです。
そして、今のカラが整形により手に入れた顔であることが判明。
過去を捨てようとしていたらしいことと併せても、事件の匂い。
やはり、薬局店息子殺人事件に関連ありか。
カラはその名の通り、中身の無い虚ろな「空」。
それゆえに、自身に欠ける物を補おうと求めている。
以前から予測している通り「カラは自身に無い物を持っている対象を特定すると、これに近付き相手を殺害することで、自身に欠けた物を相手から奪う」で正しいようです。
キャバクラの女性マネージャーを殺害し「その垢抜けた佇まい」を奪い、綺麗になった。
タクシー運転手は「自身は選ばれた」と語っていたが「その選ばれた存在であること」を彼を殺害することで奪ったものと思われます。
だとすると、これまでにも同様の犯行を重ねているのが当然。
里見が過去に遭遇した「薬局店息子殺人事件」を皮切りに変貌したものと思われますね。
カラの闇は想像以上に深そうだ。
止められるのは里見と猪熊のカップルのみかも。
これに渡が意外な活躍を示しそうな予感。
果たして、如何なる結末を迎えるのか……29話に期待!!
ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。
・「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
・「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)第1話から20話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「サイレーン」第21話「正義感の源」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第22話「人質志願」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第23話「人質志願A」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第24話「後悔」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第25話「潜入」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第26話「悶々」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第27話「僕は選ばれた男」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第28話「捜査本部」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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