ネタバレあります、注意!!
<感想>
ドラマ化もされた「防犯探偵シリーズ」。
その2014年1月時点での最新作です。
当初は前後篇(上下)、後に前中後篇(上中下)と思われていましたが、三回以上続く集中連載と判明しました。
後篇と思いきや三。
これまで、「前」「中」と続いての「三」に、本誌を手に思わず「なんでやね〜〜〜ん」とツッコミを入れてしまいました。
おそらく、あと1、2話と思われますが……。
ちなみに、本作に先立ち2014年1月3日に既にドラマ版が放送されています。
・「鍵のかかった部屋SP〜2つの密室事件と、鏡の国の殺人〜久しぶりだなぁ、榎本っちゃん!元気だった?」(1月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
そんな『鏡の国の殺人』、その内容は「美術館長・平松殺害の容疑をかけられた榎本が如何に謎を解き、自身の無実を証明するか」といったもの。
ドラマ版とトリックが同じようなので、次はあのトリック解明か……興味津々。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
榎本:言わずと知れた防犯探偵その人。
青砥:弁護士。榎本の相棒と言えばこの人。
平松館長:美術館館長。何者かに殺害される。
鈴木繁子:平松の秘書。
稲庭透:美術館に展示されていた「鏡の迷図」の作者。
玲子:稲庭のアシスタント。
山本:稲庭のアシスタント。
ハゲコウ:刑事。
・中篇のあらすじはこちら。
『鏡の国の殺人 中篇』(貴志祐介著、角川書店刊『小説野性時代 2014年1月号 vol.122』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
平松殺害事件の容疑が榎本に向かうこととなった。
容疑を晴らすべく榎本は青砥に依頼し、調査を開始する。
調査の結果、榎本は稲庭を犯人と考える。
しかし、稲庭には平松殺害は不可能とされていた。
平松が殺害された館長室に至るルートにはどのルートにも監視カメラがあったのだ。
稲庭の作品「鏡の迷図」こそがトリックの要であると考える榎本。
一方、青砥は「鏡の迷図」以外のルートに執着する。
遠近法を利用した書割など、さまざまなトリックを思案する青砥だが、そのすべてを榎本に否定されることに。
しかし、これが榎本にトリック看破の術を与えた。
榎本は寸分違わぬ「鏡の迷図」のミニチュアを用意。
稲庭が館長室へ向かえなかったとされる根拠は1つ。
「鏡の迷図」の入口と出口に設置されたカメラに、その姿が録画されていなかったこと。
榎本はまず入口のトリックを暴く。
ハンプティダンプティにより塞がれていたかに思われた入口。
だが、ハンプティダンプティは裏返すことで入口に人が通行可能なスペースを作ることが出来たのだ。
しかし、普通に考えれば裏返せば映像からすぐに分かる筈。
これを回避すべく稲庭が用いたのが「ホロウマスク錯視」であった。
これにより、カメラの映像上は表裏が判別出来ないよう工作されていたのだ。
こうして入口は条件をクリアした。
次は出口である―――『鏡の国の殺人 四(?)』へ続く。
◆関連過去記事
【ネタバレ書評(レビュー)】
・『硝子のハンマー』(貴志祐介著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『狐火の家』(貴志祐介著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『鍵のかかった部屋』(貴志祐介著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『鏡の国の殺人 前篇』(貴志祐介著、角川書店刊『小説野性時代 2013年12月号 vol.121』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『鏡の国の殺人 中篇』(貴志祐介著、角川書店刊『小説野性時代 2014年1月号 vol.122』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『悪の教典』(貴志祐介著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『罪人の選択』(貴志祐介著、文藝春秋社刊『別冊 文芸春秋 2012年7月号』)ネタバレ書評(レビュー)
・「鍵のかかった部屋SP〜2つの密室事件と、鏡の国の殺人〜久しぶりだなぁ、榎本っちゃん!元気だった?」(1月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・貴志祐介先生『新世界より』(講談社刊)アニメ化決定!!
・貴志祐介先生『悪の教典』(文藝春秋社刊)が映画化!!
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