<あらすじ>
高架道路下から白骨遺体が発見された。現場に到着した関東監察医務院の監察医・篠宮葉月(高島礼子)に、府中中央署の刑事・春日太一(山崎樹範)が状況を説明する。
一方、警視庁捜査一課の刑事・風間亮介(細川茂樹)は、コンビを組むことになった春日とともに遺留品の捜索にあたり、遺体発見現場から小さな針金とガラス片を発見する。
葉月の調べで遺体は20〜40代の男性で、肋骨に刃物傷があったことから殺害された可能性が高いことがわかる。
また左手親指の骨に小さな穴があり、それは骨折治療のキルシュナー鋼線の痕だとわかる。風間たちが見つけた小さな針金は、葉月の言うキルシュナー鋼線で遺体は骨折の治療中に殺害されたらしい。
やがて、遺体は池下明(寺中寿之)と判明。池下は2年前に工場社長の鈴木康一(赤間康一)を扼殺し、現金を強奪した指名手配犯であった。
2年前の事件は、第一発見者である工場長の野島孝雄(河野洋一郎)が池下を目撃していたこと、また現場から池下の毛髪が採取されたことから池下の犯行と断定されていた。
風間と春日は、池下の妹・美由紀(星野真里)と会い、白骨遺体は池下明で何者かに殺害された可能性が高いと告げる。2年前の事件を担当していた春日は風間に、美由紀が池下の息子・大地(後藤奏佑人)を育てていることを話す。春日は2年前から美由紀たちを見守っていたようであった。
それまでも指名手配犯の家族として陰口を言われたりしていた美由紀と大地だったが、「白骨遺体は指名手配犯」という報道によりますます窮地に。美由紀は看護師として働いていたが、何者かが美由紀を中傷するビラを病院関係者にまいたのだ。美由紀は病院の院長・三沢達也(寺泉憲)から別の病院への転職を勧められる。
一方、風間らが見つけたガラス片は外国製の懐中時計であることが判明。殺された鈴木は趣味でアンティーク時計を収集しており、池下が現金と一緒に奪ったものと思われた。
だが春日は、当時奪われたのは現金だけだったと言い、2年前の事件を洗い直すため殺された鈴木康一の解剖記録の再調査を葉月に願い出る。
早速、当時の事件担当者である監察医長・畑(金田明夫)に話を聞き、解剖写真を見た葉月は「池下にこの殺人は不可能です」と断言する…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
篠宮葉月は関東監察医務院の監察医である。
警視庁捜査一課の刑事・風間亮介に協力し、さまざまな事件解決に寄与して来た。
そんな葉月が今回担当した事件は高架道路下から発見された白骨遺体。
府中中央署の刑事・春日太一から状況を説明される葉月。
葉月は誠実な人柄の春日に好感を抱く。
春日によれば、遺体はどうやら何者かに殺害され2年間ほど放置されていたようだ。
遺体からはガラス片らしきものも検出されていた。
春日は風間とコンビを組むことになった。
当初は春日を軽んじる風間だが、彼もまた葉月同様に真面目な春日を相棒として認めて行く。
遺体が池下明のものと判明。
池下は2年前に工場社長の鈴木康一を扼殺し、現金を強奪したとされる指名手配犯であった。
この事件、第一発見者である工場長の野島孝雄が池下を目撃していたこと、また現場から池下の毛髪が採取されたことから池下の犯行と断定されていたが……。
葉月は、当時の池下が手の指を骨折していたことから犯行は池下によるものではないと結論付ける。
風間と春日は、池下の妹・美由紀と会う。
実は春日は鈴木殺害事件の担当でもあり、美由紀をずっと見守っていた。
春日によれば、兄が強盗殺人犯ということで美由紀は苦しんでいるらしい。
美由紀は看護師なのだが、今も院長の三沢達也から別の病院への転職を勧められていた。
ガラス片が外国製の懐中時計であることが判明。
どうやら、2年前に殺害された鈴木の所持品だったらしい。
池下が現金と一緒に奪ったものと思われたが……。
これに対し、春日は当時奪われたのは現金だけだったと主張。
2年前の事件に疑問を呈する。
春日は風間にも秘密で独自の捜査を開始する。
矢先、春日が不審死を遂げる。
当初は病死と思われていたが、葉月の解剖により何者かによる他殺と判明する。
春日の腕には手錠による擦過傷が残されていた。
どうやら、誰かを逮捕したが揉み合いになり死に至ったらしい。
風間は春日の敵討ちを誓う。
春日の手帳には医薬品の名前と「N」という記号がメモされていた。
何かの意味があるのか!?
これを眺めていた葉月は「N」の意味に気付く。
春日が独自の捜査をしていた理由が判明。
美由紀からある事実を教えられた為であった。
なんと、三沢と殺された鈴木に接点があったのだ。
実は鈴木の母が三沢の病院の入院患者だったのである。
しかも、入院中に急死していた。
美由紀によれば、担当医である三沢の息子・直也の医療ミスが原因らしい。
それこそ「N」の正体であった。
「N」はアルファベットではなく「IV(intravenous)」だったのだ。
つまり、「静脈注射」である。
本来は「1V」で対処すべきところを直也が書いたカルテを担当看護師が「IV」と読み間違えて「静脈注射」で対処した為に鈴木の母が死亡してしまったのだ。
完全な連係ミスであった。
これにより、鈴木が激怒。
三沢とは懐中時計をプレゼントするほど親しかったそうだが、激しく争っていたのだそうだ。
葉月と風間は直也の犯行を疑うが、直也は犯行を否定する。
葉月たちはもう1人容疑者が存在することに気付く。
そう、三沢本人だ。
三沢を呼び出した葉月たち。
風間は春日の死について三沢に詰め寄るが、三沢はこれを否定する。
だが、動かぬ証拠が残されていた。
春日の腕に残された擦過傷は手錠の跡であった。
つまり、春日が手錠をかけた相手にも同様の傷が残っているのだ。
そして、三沢の腕には擦過傷が残っていた。
あくまで足掻く三沢だが、手錠の皮膚片からDNA鑑定を行うことも出来ると知らされ罪を認める。
2年前、息子・直也の医療ミスを追及された三沢。
直也を告発すると譲らない鈴木に苛立ち、殺害してしまう。
怖くなった三沢はその場から逃げ出したのだが……。
偶然にも、池下が鈴木宅に盗みに入り目撃されたことで池下に容疑が向いたのだ。
三沢はこれを利用することを思いついた。
病院で働いていた美由紀に池下を助けたいと持ち掛け、連絡を寄越すよう手筈を整えた三沢。
池下と密会するとこれを殺害したのであった。
懐中時計はこの際に壊れた物であった。
そして現在。
安堵していたところに、春日が現れた。
春日は三沢の犯行を確信しており、これを問い詰めた。
遂に春日は手錠をかけるとの強硬手段に出た。
三沢は春日を押しのけようとして、これを転倒させる。
動かなくなった春日。
ところが、三沢はこれを見捨てて逃げた。
結果、春日は死亡してしまったのである。
葉月は「そのとき、三沢が治療を行っていれば春日は助かったかもしれない」と批判する。
これに返す言葉の無い三沢であった。
こうして真犯人・三沢が逮捕され事件は解決。
美由紀は力強く生きて行くことに―――エンド。
<感想>
上野正彦先生原作の「監察医篠宮葉月」シリーズ第14弾です。
前作は2013年6月19日の放送なので、ほぼ7ヶ月ぶりの新作となりました。
さて、そんなドラマ版の感想を!!
なかなかに綺麗な展開の作品でしたね。
「N」と「IV」と「1V」の誤認のくだりは印象的でした。
「医療とは」や「医療従事者の責任とは」にまで踏み込んだシナリオも良かったですね。
やっぱり、医療においてのミスは命に関わる重大なことだけに気を付けて欲しい……。
いや、気を付けるのは当たり前で、むしろ「無くて当然」くらいの気構えであって欲しいと思いました。
ただ、これ医療だけに限ったことではないですよね。
健康に影響を与えかねないと言えば、飲食業もそうだし。
そもそも、他にも人に影響を与える分野は多い。
情報も人に影響を与えるし、その点、風評被害や誤報も恐ろしい。
運輸業もミスがすなわち多くの人の生活リズムに影響を与える。
運送業もその人にとって影響を与える大切な物を運んでるかもしれない。
小売業も誤った物を販売すると、思わぬ大事件に発展するかもしれない。
士業もそう。誤った処理を行えば、クライアントに多大な被害を及ぼしかねない。
やっぱり、どの分野でもミスを許さない気構えが必要なのでしょう。
人にミスはつきものとは言え、組織によるミスを起こさないシステム作り、あるいはミスをフォローするシステム作り……重要ですね。
◆関連過去記事
・水曜ミステリー9「監察医篠宮葉月 新・死体は語る13 転落事故か殺人か?解剖が暴いた0.5ミリ極小傷の謎!28年前父の死の真相…娘の涙と影の告発者(0.5ミリの傷痕!事故か殺人か?法廷で争う損傷の写真 法医学者の痛い過去)」(6月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「監察医篠宮葉月 新・死体は語る12 謎の致命傷父娘の復讐連続殺人!?消えた2億と完全犯罪暴く死亡時刻トリック 娘が隠した涙の真実(自殺?嘱託殺人?防御創のない死体の謎…解剖学者が落ちた罠!父と娘が涙した5年前の真実)」(11月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「監察医篠宮葉月 新・死体は語る11 白衣の疑惑謎の2ミリ刺し傷と偽装自殺トリック!教授選に渦巻く嫉妬と脅迫!女が隠した遠い秘密!(死体は語る〜転落死不思議な首の傷!?医大に渦巻く策謀と嫉妬の連鎖!解剖暴く犯人)」(5月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「監察医篠宮葉月 新・死体は語る〜不思議な傷痕!幸せを刻む時計が秘めた死のトリック!!妻娘に届いた父の最後の贈り物…(偽装自殺見破った3つの刺創痕!借金抱えた男が妻に遺した手紙)」(12月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
篠宮葉月:高島礼子
風間亮介:細川茂樹
畑 総一郎:金田明夫
永瀬哲雄:六平直政
池下美由紀:星野真里
春日太一:山崎樹範
坂巻仁美:北川弘美
三沢達也:寺泉憲
三上良一:西田健
三沢直也:蟹江一平
岡 耕介:中村靖日
下田絵津子:小野真弓
野島孝雄:河野洋一郎
鈴木佐和子:舟木幸
池下明:寺中寿之 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)
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遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。さて、水曜ミステリー9、篠宮先生でのスタートとなりました。いつものように感想を。
(感想)
1、ここ数作ですが、「医長の過去」や「篠宮先生の過去の知り合い」といった素材が多かったですが、今作は、純粋に「医療」を前面に出した良い回だったと思います。それに加えて、風間のハートボイルド(大げさかもしれませんが)な一面も見る事が出来た気がします。
2、今作は、春日の役割が非常に良かった気がします。美由紀宛の手紙・大地と春日のサッカーボールを追いかけるシーン等々、インパクト大でした。
3、ラストシーンでの美由紀の「春日さんを殺してしまったのは私です(春日に医療ミスの情報を教えなければ、彼は殺されなかった)」というセリフ、せつなく・やるせないものがありました。それと、このセリフが、「春日さんの事を忘れずにこれからもいます」だったら、インパクトは薄かった気がします。セリフの良さも光りました。
4、セリフの良さだけではなく、「IV」の件も、このシリーズらしさが出ていた気がしました。設定を十二分に生かし切ってるなという印象ですね。
今年も、色々な2ドラが見られる事を期待したいと思います。
こちらこそ、今年も宜しくお願い致します!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
1.今回はテーマが王道でしたね。
キャラも重要ですが、キャラだけではなくメインテーマも重要だと教えられました。
風間も春日との対比から、ハードボイルド調で良かった!!
2.春日、良いキャラしていましたね。
ゲストだからこそ光ったキャラだとは分かっているのですが、レギュラーでも良かったくらいでした。
3.確かに台詞関連も洗練されていましたね!!三沢の台詞も印象的でした。
4.「N」から「1V」と「IV」の読み間違えに繋げる展開は意外性もあり、綺麗でした。
同じく、今年も良い2時間ドラマが豊富に輩出されればと思います。
楽しみです(^O^)/!!
当方見落とした可能性がありまして、よろしければ教えていただけませんでしょうか?
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
当日は「相棒」と並行しての視聴となっているので、管理人が視聴した中で分かる範囲となりますが、お答えさせて頂きます。
たぶん、絵津子については直也を脅した後は特に触れられていなかったように思います。
その点、管理人も気にかかっていたりするのですが……。
これについて、確信が持てないので調べてみたのですが特に情報は無いようです。
あまりお役に立てず申し訳ないです。
この度偶然HPを発見しまして、不躾な質問ですのに、返信ありがとうございました^^
当方、このドラマは録画しておりまして、見終わった後消去してしまい、下田絵津子を確認しようと思った時は消去後でした。
俺さんも下田絵津子について気になっていらっしゃった様子ですので、不思議に思っていたのは当方だけではなかったんだな〜と、何となくホッとしました。
当方の妄想ですが、彼女は、三沢息子に頼まれた三沢父に監禁されて口封じに殺された、ということになりました。
HPを色々拝見しましたところ、俺さんの要約したあらすじが分かりやすくて良かったので、これからちょこちょこ寄せて頂くことにしました。
今回は助かりました、ありがとうございます。
作品のあらすじで葉月が、「池下にこの犯行は不可能です」と断言したのは、「池下が左手の親指を骨折し治療を受けていたこと」が理由です。
鈴木殺害以前に親指を骨折していた池下は、左手親指を曲げることも、力をこめることもできない状態であり、左手親指の痕を首の筋肉にくっきりと残すことはできなかったのです。
池下は、工場の手提げ金庫から金を奪っただけでした。
一方美由紀への中傷ビラの件ですが、これは下田恵津子が犯人でした。
この件が発覚し、彼女は病院を解雇されました。
美由紀は院長から勧められた病院へ転職することになったようです。
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:ちゃんさん
お尋ねの絵津子の件、コメントにてその後の詳細を教えて頂くことが出来ました。
劇中描写では、絵津子は美由紀について中傷ビラをばら撒いたことで三沢に解雇されたシーンまでが描かれたようです。
実は管理人も此の点が凄く気にかかっていたので、胸のつかえが取れた気持ちです。
遅くなってしまいましたが、お役に立てれば嬉しいです(^O^)/!!
Re:Meさん
教えて頂きありがとうございます(^O^)/!!
当時の池下は親指を骨折しており、実際の犯行状況にそぐわなかった。
そして、絵津子は美由紀についての中傷ビラをばら撒いた為に三沢に解雇されたんですね。
教えて頂いた点は、管理人も長く気にかかっていたものでした。
早速、一部に追記したく思います。
これで胸のつかえが取れました、ありがとうございます(^O^)/!!