<あらすじ>
紅蓮次郎(船越英一郎)は、神奈川県美津原市消防署の火災調査官。妻を火災で失った悲しい過去を持っている。同居していた姪がアメリカに帰りホッとしていた矢先、北海道の牧場で働いていたはずのひとり息子・俊介(遠藤雄弥)がミュージシャンになる夢を抱いて突然、帰宅。ロックバンドのメンバーと居候をはじめ、紅家は大混乱だ…。
そんなとき、市内の民家で火災発生の知らせが入った。現場は、紅の部下・白井勇一(河相我聞)の同期だった元消防士・今泉司(袴田裕幸)の自宅で、今泉は火元の1階から2階へ向かう階段の途中で息絶えていた。わずか数時間前、副市長・佐伯耕作(佐戸井けん太)の息子でバイオリニストである康平(水上剣星)のリサイタル会場で偶然再会し、今泉から婚約者の中園知美(遠藤久美子)を紹介されたばかりの白井は、大きなショックを受ける。実は、今泉は1年前に路上で高齢女性が何者かに突き飛ばされて死亡した事件の第一発見者だった。その際、犯人に後頭部を殴られたことが原因で、知っている人間の顔が思い出せないという“相貌失認”という記憶障害を患い、消防士の職を辞したばかりだった。
だが、元消防官ならば煙が上へのぼるのは常識であり、2階に逃げるのは危険だという鉄則を忘れはしないはず…。紅たちはなぜ今泉が階段を上がろうとしたのか、不思議に思う。
さっそく火災現場の調査をはじめた紅たちは、火元が1階キッチンの天ぷら鍋であることを突き止める。しかし、その周囲に、共に空になった消火器と灯油のポリタンクが転がっているのを発見し、不審を抱く。
そこへ、ひとりの女性が乗り込んできた。犯罪心理学者の原田千秋(白石美帆)で、自分は放火犯に特化したプロファイリングの研究者だと説明、このほど美津原市長・野々村洋平(寺田農)直属の火災調査特別補佐官、つまり放火Gメンに選ばれたと告げる。千秋はいきなり「この火災の調査に加わらせてもらう」と宣言する。
そんな中、今泉の死因は一酸化炭素中毒ではなく、何者かに鈍器で後頭部を殴られたことによる脳挫傷と判明。しかも、現場の2階からカーテンを伝わって飛び降り、逃げ出した若い女性の姿も目撃されていた。灰田修警部(マギー)らは、その女性が今泉の婚約者・知美だと突き止める。
その直後、知美が、佐伯の妻で心療内科医の鶴子(黒田福美)に伴われて警察に出頭してきた。知美は子どもの頃、デパートで火災に遭い、炎を恐れる心的外傷後ストレス障害“PTSD”になったという。それを聞いた千秋はなぜか警察に駆け込み、知美は犯人ではないと強く抗議するが、灰田らは知美が入籍前に今泉ともめて殺害したとにらんでおり…!? 千秋と知美は昔からの知り合いのようだったが、2人にはいったいどんな繋がりがあるのか…!? やがて、紅は放火を激しく憎む千秋の辛い過去を知るが…!?
(あらすじ・写真共に公式HPより)
では、続きから……(あらすじと重複あり)
1年前の出来事である。
その夜、通りには大粒の雨が降っていた。
そして、行き交う人もまばらな裏道を足早に抜ける1人の男が居た。
男の名は今泉司、消防士である。
今泉が表通りに繋がる階段に差し掛かったそのとき、上から老婆が降って来た。
咄嗟の事に驚く今泉は、慌てて老婆を助け起こす。
老婆は息も絶え絶えに「犯人は懐中時計を持っていた……」と言い残し事切れた。
その手には確かに金色の懐中時計らしきものが握られている。
どうやら、老婆は何者かに突き飛ばされたようだ。
手にしている物は犯人の所持品なのだろう。
今泉はそれを手に取り、確認しようと目を落とした。
其処で後頭部に激しい衝撃を感じた。
何者かに殴られたのだ。
振り返ろうとする今泉だが、意識が途切れてしまった……。
そして、現在。
此処は美津原市庁舎のホール。
其処ではバイオリニスト・佐伯康平のリサイタルが行われていた。
康平の演奏を楽しむ聴衆の中には、美津原市長の野々村洋平や副市長の佐伯耕作とその妻である鶴子が居た。
苗字からもお分かりの通り、康平は佐伯夫妻の息子である。
そして、このリサイタルを遠巻きに眺める人影があった。
それこそ、あの今泉。
彼を見かけた消防士・白井は声をかける。
実は白井と今泉は同期であった。
だが、1年前の事件で受けた衝撃により今泉は“相貌失認”という記憶障害を患い、消防士の職を辞したのである。
今泉は特別な人以外、人の顔が認識出来ないのだそうだ。
そんな今泉によれば、この日は婚約者の中園知美と婚姻届を貰いに来ていたらしい。
幸せそうな今泉の姿に白井はほっとする。
ちなみに、1年前の犯人は未だに捕まっていない。
そんな白井と今泉の遣り取りを他所にリサイタルは無事終了。
報道陣からフラッシュを浴びる康平。
リサイタル会場の隅では、野々村が金色の懐中時計を忙しげに眺めていたが……。
一方、白井の上司で火災調査官である紅蓮次郎は、過去に妻を火災で失って以来、火災を防ぐべく日夜奮闘していた。
ちなみに、同居していた姪・キャロライン泉は帰国。
今は1人で生活している。
とはいえ、紅ラブな鴇田早苗との関係は相変わらずで寂しさを感じる余裕は無いようだ。
そんなある日、紅はとあるロックバンドのイベント内容に注意喚起していた。
曲の最中に火気を用いるのだ、観客もステージも危険である。
とはいえ、興業内容にも関わるだけに、簡単には納得させられないだろうと考えていた紅。
ところが、派手なメイクを施したボーカルはあっさりと内容変更を受け入れた。
それもその筈、ボーカルの正体は北海道へ旅立った筈の俊介であった。
こっそり戻って来たのである。
こうして、紅家は俊介とバンドメンバーが生活を始めることになり、てんやわんやの大騒ぎに。
早苗はと言えば、賑わいが増したことで大喜びだ。
数時間後、火災が発生し1人の死者が出た。
なんと、死亡したのは今泉。
どうやら、放火事件のようだ。
ただ、今泉は火元である1階のキッチンから2階へ向かう階段上で事切れていた。
煙が上へのぼるのは常識。
通常ならば、2階に逃げる筈はないのだが……。
野々村の指示により、この放火事件の調査に1人の女性が加わった。
その名は原田千秋、犯罪心理学者である。
千秋は幼い頃にデパートで放火被害にあっていた。
とある消防士に救われて以来、放火を憎んでいたのだ。
矢先、今泉が火に巻かれる前に既に殺害されていたことが判明。
しかも、現場の2階から逃げ出す女性も目撃されていた。
そう、逃げ出したのは知美であった。
直後、知美が鶴子に伴われ出頭してきた。
鶴子は心療内科医。
今泉や知美の主治医だったのだ。
知美は幼い頃にデパートで火災に遭い、炎に対し強いトラウマを抱いていたのである。
火気を目にすれば、パニックに陥るほどで一切使用できないのである。
千秋と知美は同じデパート火災の被害者だったのである。
2人は共にある消防士に命を救われたのだ。
以来、片や火と戦い、片や火を怖れるようになっていたのである。
知美に今泉殺害容疑が向けられてしまう。
知美を信じる千秋は無実を証明しようと動く。
これに紅も真実を突きとめるべく協力する。
知美はバルーンアートの専門店で働いていた。
その社長である谷重とトラブルがあったことも分かる。
谷重に言い寄られていたが、断っていたそうである。
もしかして、谷重が今泉を殺害したのか!?
紅は現場検証を実施。
知美の記憶を辿ることに。
あの日、火の恐怖と戦いつつ知美は天ぷらを揚げていた。
すると、今泉が誰かを玄関に連れて来た。
どうやら、知り合いらしい。
だが、今泉はそれが誰か分からない。
其処で知美に見て欲しいようだ。
玄関へと注意を向けたそのとき、天ぷらなべが火を噴いた。
パニックになった知美は2階へ駆け上がる。
残った今泉が消化し、知美を呼ぼうと階段を上がった最中に何者かに殺害されたようだ。
つまり、犯人は今泉が知美に引き合わせようとした人物となるが……。
そんな中、知美を支え続けた鶴子が謎の服毒死を遂げてしまう。
どうやら、力不足を痛感してのこととされたが。
母の死に狼狽する康平は「お前の所為だ!!」と知美を詰る。
知美は強いショックを受ける。
数日後の夜、鶴子の告別式が行われた。
会場は丘の上の教会。
紅や千秋、佐伯たちが参加する中、知美は丘の下にある鶴子のクリニックでバルーンアートを作り続ける。
それが彼女なりの鶴子へのお別れらしい。
告別式の最中、耐え切れなくなったのか佐伯が席を離れる。
これを追う紅。
佐伯は丘の下の病院を眺めながら、涙する。
と、突然、クリニックが爆発した。
もちろん、中には知美が居る。
慌てて丘を降りた紅たちは消火活動を開始。
知美は一命を取り留めるが、意識を失い危険な状態に。
その所持品から遺書らしき便箋が発見され、覚悟の自殺と思われた。
ところが、遺書を目にした千秋の表情が変わる。
どうやら、遺書に疑惑があるらしい。
直後、千秋が消えてしまう……。
何が起こっているのか……焦る紅。
ふと、クリニックのトリックに気付く。
こうして関係者が一同に集められた。
野々村、佐伯、康平、谷重たちだ。
紅は佐伯クリニックの爆発が知美によるものではないと断言。
クリニックが爆発した理由は風船の中身が可燃性のガスにすり替えられた為に起こったものであった。
この風船にレーザーポインタのレーザーを当てて発火させたのである。
「佐伯さん、火元はあなただ!!」
紅は佐伯が犯人だと指摘する、
丘の上の告別式を途中で抜け出した佐伯。
隙を見て丘の下にあるクリニックに浮かぶ風船をレーザーポインタで射抜いたのだ。
動機が無いと叫ぶ佐伯。
紅は動機は康平にあると指摘する。
1年前の老婆殺害は康平の犯行だったのである。
殺された老婆は「犯人は懐中時計を持っていた」と言い残した。
だが、老婆は見間違えていたのだ。
彼女が見たのは、懐中時計ではなく湿度計であった。
バイオリンは湿度に弱い。
康平は常に湿度を気にかけていた。
1年前、康平は雨の中で老婆にぶつかった。
その際、老婆はバイオリンに触れてしまった。
康平は怒り狂い老婆を殺害してしまった。
其処に今泉が通りかかり、康平はこれも襲撃した。
佐伯はこれを知りつつ、保身の為に黙認した。
鶴子は自首を勧めたが康平はこれを拒否した。
鶴子は佐伯と康平に押し切られ、沈黙を強いられることとなった。
そして、現在。
康平は市役所のコンサートで見かけた今泉が気になって仕方が無かった。
其処で今泉宅を訪問した。
すると、今泉は親しげに話しかけて来るではないか。
恐怖に駆られた康平の前で、知美が失火を起こす。
チャンスだ……と康平は確信した。
隙を突き、康平は今泉を殺害したのである。
これを聞かされた佐伯は知美に罪を着せることとした。
最終的に青酸カリで口封じする予定であった。
鶴子は夫と息子の為に協力した。
だが……良心の呵責に苛まれ、かと言って佐伯を止めることも出来ず自殺してしまったのだ。
千秋は保護された。
遺書の不審な点に気付いた為に、佐伯父子に捕まっていたらしい。
知美の遺書は、鶴子の治療を受けていた知美が激情に駆られ書いたものであった。
使用された便箋が子供時代に交換した物だった為に気付いたのだそうだ。
知美は意識を取り戻した。
谷重は知美へのストーカー行為が問題視され、接近禁止に。
野々村も佐伯の任命責任を問われることになりそうである。
翌日、知美の病室を訪れた紅。
其処には千秋も待っていた。
2人は幼い日に助けてくれた消防士は紅ではないかと尋ねるが……。
実は、千秋と知美を助けた消防士は水島武雄。
水島は千秋と知美を助けた後に発生した火災で殉職していた。
千秋と知美は水島に助けられた命を活かし、力強く生きて行こうと誓う。
こうして、事件は解決した。
紅は紅の、千秋は千秋の方法で防災に挑むことに―――エンド。
<感想>
火災調査官・紅蓮次郎シリーズ14作目。
シリーズ前作の放送は2012年11月11日なので、実に1年2ヶ月ぶりの放送となりました。
前作はネタバレ批評(レビュー)ありますね。
興味のある方は過去記事リンクをどうぞ!!
では、ドラマの感想を。
なかなか面白かったですね。
康平が知美に対し「お前の所為で母さんが!!」と怒鳴ったのは、「お前(を殺せなかった所為で)母さんが(悩んで自殺してしまった)!!」に繋がるワケですね。
うむ、康平は物凄いエゴイストです。
そして、管理人は途中まで「鶴子の死も自殺ではなく佐伯による他殺」だと思っていただけに「本当に自殺だった」との結論には驚きました。
鶴子は「自身の仕事への誇り」と「夫と息子への愛情」の板挟みになり、死を選んでしまったことになるのでしょうか。
それならば、正義の為に告発して欲しかった。
ただ、妻として母としてそれは出来なかったのでしょう。
知美の立場としてはとんでもないことですが、家族の立場からならば理解出来なくもない。
歴史あるドラマだけに俊介の帰還など、作中人物の成長は頼もしくもあります。
もちろん、ツッコミどころも多々ありました。
トラウマなのに天ぷらに挑む知美(しかも、急に失火)。
湿度を気にしていた筈なのに、1度たりとも湿度計を使わない康平。
昔の約束の便箋だからって遺書に疑惑を抱く根拠となるだろうか。
とはいえ、これもこのシリーズの1つの要素でしょう。
シリーズらしさはきちんと守られていましたね。
シリーズ次作にも十分期待です。
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎 炎の動きが読める!?放火魔からの挑戦状! “たこ焼き”が解き明かす遺産3億円をめぐる連続放火事件!」(1月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎 二度焼かれた死体と燃えないガソリンの謎消防vs鑑識が全面対決プロフェッショナルな真犯人か!?」(11月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「火災調査官・紅蓮次郎スペシャル 乳母車が突然炎上!キャベツと黒焦げの中の白い足跡秘密の関係…真犯人と超科学トリック対決」(2月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
紅 蓮次郎:船越英一郎
白井勇一:河相我聞
原田千秋:白石美帆
黒崎 一:平泉 成
灰田 修:マギー
鴇田早苗:山下容莉枝
中園知美:遠藤久美子
佐伯耕作:佐戸井けん太
佐伯鶴子:黒田福美
佐伯康平:水上剣星
野々村洋介:寺田 農 ほか
(敬称略、順不同)
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トリックの仕掛け方や、どうやって火を扱うことが苦手な人一人しかいないクリニックの爆発を生じさせたか、なぜ元消防官が火災発生時の鉄則に反する行動を取ったのか、なぜ知美が火災の起きた家の2階から逃げたのか、こういった疑問を一つ一つ丁寧に解決する展開はさすがです。
犯人の佐伯親子ですが、動機や犯行に至ったいきさつが第11作の中園親子と似ています。
1、息子が衝動的な行動で、過去に人を死なせた
2、生きていたら脅威になるであろう人間の抹殺を息子が行った
3、さらにダメ押しとばかりに、親が新たな犯行を重ねる
細かな違いはありますが、よくよく考えると、ここが似ていると気付きました。
新レギュラーの千秋ですが、紅たちとことあるごとに衝突しますが、同じ志を持つ仲間として認められました。
今後の展開も楽しみです。
バンドマンになった俊介のほうも、注目して見ていきます。
あとは、千秋と早苗さんのバトルが勃発する可能性もです。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
シリーズ第14弾、ご指摘通りそれぞれの謎に対し1つ1つ明確な解を与えていたことが印象的でした。
また、俊介も帰還するなど、シリーズ物ならではの魅力もあり、なかなか良かったですよね。
佐伯父子と中園母子。
言われてみて気付きましたが、確かに父と母こそ違えど同じ犯行動機と行動ですね。
これは、これまでのシリーズ視聴者にのみ分かるサプライズ!!
これもまたシリーズ物の魅力でしょうか。
千秋と俊介、次回の活躍も期待ですね。
さらに、千秋VS早苗、次回からのお約束になりそう(^O^)/!!
千秋は今回も引き続き登場し、俊介も登場します。
あらすじを読むと、今回は宇梶剛士さんがかつて演じた小紫中隊長以来となる、「物語本編で、現役消防士が消火活動中に殉職する」という悲劇が描かれるようです。(小紫中隊長は第7作目で殉職しました。13作目では過去の回想シーンで現役消防士の殉職シーンがありました。)
ゲストは若村麻由美さん、布施博さん、原田龍二さん、新井康弘さんといった方々です。このほか、新井さんの娘役に松浦雅さん、何の役かは不明ですが、梶原善さんが出演されます。
原田さんは弟・本宮奏風さんに続く出演となります。(本宮さんは、14作目に谷重守役で出演されていました)
今から楽しみです。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
教えて頂きありがとうございます。
来週の「土曜ワイド劇場」は「紅蓮次郎」なんですね。
何と言っても、千秋がレギュラー化とは!!
俊介も前作に引き続き登場とのことで心強い。
しかも、ゲストも豪華!!
これはかなり期待ですね(^O^)/!!