2014年02月24日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第83話「ライオンランド(後篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第83話「ライオンランド(後篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年3月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

ハガ:マサイの少年。心に傷を負ってしまった。
ガンビット:伝説とされる呪医。
族長:森羅とも面識のある人物。かなり開明的。
オディンガ:勇者とされた人物、ライオンに食い殺されたとされていたが……。
クック:動物学の研究者。
エリック:クックの助手。

<ネタバレあらすじ>

・前回までのあらすじはこちら。
「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第82話「ライオンランド(前篇)」(加藤元浩作、講談社刊「月刊少年マガジン 2014年2月号」連載)ネタバレ批評(レビュー)

部族の勇者・オディンガの死を目撃し、心を閉ざしてしまった少年・ハガ。
ハガは過去にも父をライオンに殺されており、オディンガの死が再度のトラウマとなってしまっていた。
森羅、クックたちはハガを救う為に彼を連れて、嫌な記憶を消す薬を持つと言う伝説の呪医・ガンビットを求める旅に出た。

だが、サバンナには危険なライオンが多く生息している。
これに遭遇すれば命の保証はない。
其処でクックの研究を活かし、GPSで群れを確認しつつ回避して進む方策が採られた。

族長、立樹、クックの助手・エリックがベースキャンプから最適と思われるコースの指示を出し、それに森羅たちが従うこととしたのだ。
これにより、かなり安全に移動出来る筈だったのだが……。

ベースキャンプからガンビットの居住地域に向けて歩を進め始めた森羅たち。
ところが、その一夜目にしてライオンの襲撃を受ける。
これはクックがライフルで凌ぐことで事無きを得た。

一方、族長と立樹は森羅に依頼されオディンガを食べたとみられるライオンを調べていた。
すると、ライオンの糞から銃弾らしき物が発見される。

これを聞いた森羅はオディンガの死因は何者かによる射殺であると判断する。

族長と立樹はオディンガ殺害現場周辺を捜索し、近くの森の茂みの中から箱に詰められた大量のライオンの牙を発見する。
どうやら、オディンガもこれを見つけ後ろから射殺されたようだ。
オディンガ殺害犯は密猟者だったのだ。

その昼、早くも次なる襲撃が。
ガンビットへの手土産として用意した牛を囮になんとか脱出する一行。

ところが、さらにライオンの追撃が。
クックが囮となりその場に残ることで、森羅たちを逃すこととなった。

しかし、なお追撃は続く。
遂に森羅たちは倒れ込んでしまうのだが……。

危機一髪のところを尋ね人であるガンビットにより救われることに。
ガンビット宅に招かれた森羅たち。

だが、その前に森羅はオディンガ殺害犯について告発すると主張する。
そんな森羅にハガが殺意を以て襲い掛かる。
何故なら、ハガにとって暴かれると不都合な事実が其処に潜んでいたからである。

ハガを退けた森羅はオディンガ殺害犯の名を明かす。
それはエリックであった。

GPSで管理されている筈のライオンの群れに幾度となく遭遇し追われた理由。
それはナビゲーター役のエリックに悪意があったからであった。
エリックはハガを口封じすべく、ライオンの群れへと森羅一行を誘導したのだ。

では、エリックはどうしてハガを口封じする必要があったのか。
実はエリックこそが密猟者であった。
そして、ハガはそれに協力していたのだ。

父親をライオンに殺されたハガ。
ハガにとってライオンは父の仇であった。
そんなライオンを保護しようとする族長やオディンガたちに反発を抱いていたハガはエリックの誘いに乗って、密猟の手引きを行った。

そんなある日、茂みで牙を箱に収めていたところをオディンガに目撃されてしまう。
オディンガにすればハガは同朋。
衝撃的なシーンを目にしつつすっかり油断してしまっていたのだが、その無防備な背中をエリックに撃たれたのだ。
その後、エリックはオディンガの遺体をライオンの群れに放り込み、襲われたかのように偽装した。
さらに、ハガに同様の証言をさせたのである。

その頃、森羅から無線で報せを受けた族長により、エリックは逮捕されていた。

父の恨みを晴らしたかったと述べるハガ。
しかし、今では自分の為に死亡してしまったオディンガに申し訳ないと項垂れる。

そんなハガにガンビットは辛い記憶を消す薬を取り出す。
だが、これを口にすればオディンガの死など辛い記憶と共にオディンガとの楽しかった記憶も喪われるのだそうだ。

ハガはオディンガを忘れることを嫌い、薬を拒否。
自身の罪と前向きに取り組むこととなった。

実は生きていたクックと合流し、森羅たちはガンビットのもとを去った。

残されたガンビットは考える。

化学の進出により、呪医であるガンビットは部族を追われた。
そんなガンビットが必要とされるとは……。

もちろん、辛い記憶を消す薬などは存在しない。
すべて真っ赤な嘘である。
しかし、それが必要とされるような外界とは一体、何なのだろうか……と―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2014年3月号掲載「83話 ライオンランド(後篇)」です。

「GPS管理済みにも関わらずライオンに襲われていた理由」が「GPS管理を逃れたライオンが居たから」ではなく「GPS管理だからこそ位置が把握でき利用されていた」であった点が良かったですね。

気になったのは当のエリックの動機が割と曖昧な点かなぁ……。
もし、ライオンによる口封じが成功したとしてもGPS履歴に誘導した痕跡が残るだろうし、そもそもクックを殺して助手のエリックは大丈夫なのだろうか。
ライオンの群れへと誘導しなくとも、オディンガ殺害の時点でハガも口封じして置けばそれで良かったんじゃないだろうか。
ハガがオディンガの死について証言出来なくとも、ハガとオディンガの食い散らかされた遺体があれば族長たちは納得したのではないかと思うが。
しかも、その場での口封じが出来ないのなら、ハガは共犯なんだから改めて無駄に手出しする必要は無いような気がする。

とはいえ、今回の主眼はエリックではなくハガにある。
だからこそ、エリック周辺は曖昧なのだろう。
ハガの動機「ライオンが父の仇だからこそ保護ではなく密猟に加担した」との点はかなり印象的でした。
ハガ周辺に関しては非常にバランス良く出来ていましたね。
次回にも期待です!!

そう言えば、2014年2月下旬発売予定の『マガジン+』に「Q.E.D.証明終了」の最新作が掲載予定とのこと。
こちらも注目です!!

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