ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
阿嵩小杖:留津が出会った自称探偵を名乗る少女。
蓮出留津:イスカリオテ学園に転入して来た女子生徒。
唯井否:イスカリオテ学園の転入生。唯井教授の娘。
那多:イスカリオテ学園校長。
鞠吾:阿嵩と留津の担任教師。美術担当。
又居:美術部期待の星。
京屋:又居と詩紋の幼馴染。
都成詩紋:又居の絵のモデルにして幼馴染。絶世の美男子と褒め称えられる。
阿嵩幹矢:故人。小杖の父。天才と呼ばれた探偵。
阿嵩波江:小杖の母。稀代の連続殺人鬼として収監中。
刃裏:阿嵩家に仕えるメイド。ツンデレ。
安藤令:故人。2年前に謎の死を遂げる。
畑中:那多の運転手。
<ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
イスカリオテ学園にて発生した都成詩紋殺害事件。
その顔は潰され、十字架に張り付けにされるとの凄惨な死に様であった。
この事件解決に乗り出したのが、自称探偵・阿嵩小杖。
そして、その助手となった転校生・蓮出留津。
2人は体育倉庫にて、血溜の中、後ろ手に縛られ転がされた生徒を保護する。
その生徒の名は、留津と同じ転校生・唯井否。
高名な唯井教授の一人娘であった。
こうして、否も加えた3人は事件解決に向け進み始める。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
イスカリオテ学園の屋上には、混沌が渦巻いていた―――。
又居は自身に絶望し、屋上から飛び降りようとしていた。
鞠吾はこれを必死に止めようとしていた。
そして……否はそんな2人の姿を微笑を浮かべながら眺め続けていた。
何故、このようなことになったのか。
又居が抱いていた幼馴染・詩紋への想いは愛であった。
だが、もう1人の幼馴染・京屋の邪な企みにより、長い年月をかけて容姿への執着に過ぎないと思い込まされていた。
京屋は又居と詩紋の愛が成就しないようコントロールし続けていたのだ。
何故なら、京屋には両想いでありながら報われないことに苦しむ2人を見続けることに暗い歓びを見出していたから。
京屋には根深い加虐癖があったのだ。
しかし、又居はそんな京屋を信頼しており、その言葉を真に受け傷付き自身にも絶望していた。
そして、実際に詩紋は何者かに殺されてしまった。
もはや、詩紋はこの世にない―――大きな喪失である。
屋上にて、否に詩紋への気持ちについて問われた又居は混乱し、彼への愛に戸惑った。
自分は本当に愛していたのだろうか、いや、愛していなかったのではないか。
いやいや、もし……もしも、本当に愛していたとしても詩紋は既に無い。
それに意味はあるのか。
様々な感情に飲み込まれた又居は、感情を制御出来ず死を選んだのだ。
そんな又居の感情を、それこそが愛なんだと肯定する鞠吾。
だが、又居は既に屋上の淵から身を投げ出していた。
その腕を掴み転落を阻止しようとする鞠吾だが……又居の身体は重力に引かれて行く。
同じ頃、イスカリオテ学園正門前に小杖、留津、刃裏が到着した。
屋上の異変に気付いた小杖は刃裏に救出へ向かうよう指示。
自身と留津は、否が那多に昏倒させられ体育倉庫に監禁されることになった場所―――詩紋の殺害現場へと赴く。
小杖と刃裏の活躍により逮捕された京屋は、すべてを告白していた。
3人組の幼馴染であった又居、詩紋、京屋。
京屋は詩紋の美しい顔を破壊したいと常々考えていた。
さらに、又居と詩紋の気持ちに気付き、これを妨害し続けた。
京屋自身の加虐癖を満たす為だ。
しかし一方で、京屋は自身の行動が果たして正しいのかどうかにも悩み続けていた。
異常なのではないか……と最後の一線を踏み越えかねていたのだ。
そんな彼の背中を押す存在があった。
その人物はネット上で京屋と交流を持ち、彼の加虐性を見抜いた。
その上で、京屋の加虐性は個性に過ぎないんだよと教え諭した。
それは個性なのだから、抑圧する必要はない。
むしろ、解放すべきだ。
こうして、自身の行動に自信を抱いた京屋。
そんな京屋に、その人物は機会を与えることにした。
それが、今回の詩紋殺害事件であった。
京屋は詩紋の死体の顔を破壊し、同時に詩紋を失った又居の様子を観察することで、加虐性を満たしていたのだ。
もし、逮捕されなければ今後も欲望を満たすべく、哀れな犠牲者が出たことであろう。
さて、こうなると京屋を導いた人物の正体が問題だ。
小杖と留津はその人物の到来を現場で待つ。
やがて、彼女が現れた……そう、否が。
此処から始まる驚愕のラストは3月下旬発売の2巻を読むべし!!
<感想>
「月刊コミックBIRZ」2013年6月号より連載が開始された相川有先生最新作「無関心探偵AGATHA」。
その最終話(第10話)です。
ファンタジックな絵に、特徴的な固有名詞が印象的な作品でした。
とうとう最終話。
次の事件へと駆け出して行く爽やかなラスト!!
最後の1コマはまさに本作を象徴するコマでしょう。
そして、真犯人は否でした。
その動機が何よりも特徴的でしたね。
まさか「小杖にとって○○○○○になる為」とは……。
否は波江に憧れていたのでしょう。
そんな否にとって、波江の娘である小杖は特別な存在。
なにしろ、小杖は名探偵・幹矢と天才犯罪者・波江の間に生まれた、まさに善であり悪ともなりうる申し子。
いわば、名探偵であり、名探偵の手法を知る天才犯罪者ともなり得る。
特に探偵を自身の欲望により行う小杖にとっては、それが顕著。
だからこそ、あの動機に繋がったのか。
そして、探偵・幹矢、助手・那多、犯罪者・波江に探偵・小杖、助手・留津、犯罪者・否が重ね合わせられていたようです。
これから否は波江の思想の後継者になるのかな。
今後も、獄中にありながらプランナーとして小杖と対決し続けることになりそう。
ああ……小杖と否の対決が見たい。
「シーズン2」は無いのか!?
面白かった〜〜〜。
そして、意外な動機でした。
出来れば、10話と言わずもっと続けて欲しかったなぁ。
でも、素晴らしい最終回でした。
相川先生、お疲れ様でした。
次回作にも期待しています!!
もちろん「無関心探偵」の「シーズン2」も読みたいです!!
そして、2014年3月下旬には2巻(最終巻)が発売予定とのこと。
こちらもチェックです!!
◆関連過去記事
・「無関心探偵AGATHA」第1話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年6月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「無関心探偵AGATHA」第2話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年7月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「無関心探偵AGATHA」第4話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年9月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「無関心探偵AGATHA」第5話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年10月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「無関心探偵AGATHA」第6話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年11月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「無関心探偵AGATHA」第7話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2013年12月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「無関心探偵AGATHA」第8話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2014年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「無関心探偵AGATHA」第9話(相川有作、幻冬舎刊「月刊コミックBIRZ(バーズ)2014年2月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
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