ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
フィギュアの造形家・新井(北村有起哉)は、大手玩具メーカーとの提携企画を進めていた。新井の会社に品物を納めている塗料会社の小寺(中山祐一朗)も、興味津々でプロジェクトの行方を見守っていた。フィギュアのデザインが決まり、試作を急ぐメーカーに、新井は一晩で作ると約束する。一方、フリーの造形家・西村(片桐仁)は、十数年前に、あるフィギュアの偽物を作って売ったのが新井だと嗅ぎ付ける。西村は新井に、偽物の件をメーカーに知らせる、と言ってゆする。西村に取引を持ち掛けた新井は、あくまで金を要求する西村を、思い余って撲殺する。そこへ、小寺が塗料を届けにやって来る。新井が物陰に身を潜めていると、小寺は西村の遺体を見つけ、パニックで立ち去ってしまう。翌朝、警部・石松(稲垣吾郎)がいる現場に、福家(檀れい)が現れる。二岡(柄本時生)から状況を聞いた福家は、多くの疑問を持つが、石松たちは、西村が最後に電話をした小寺を怪しむ。
(@nfty tv番組表より)
では、続きから……(一部、重複アリ)
天才贋作家として知られるハン・ファン・メーヘレンは言った。
「たとえ贋作を描くとしても劣った奴の贋作は描かない」と―――。
個人から始まり、今は企業家にまで上り詰めたフィギュア造形作家・新井。
彼が経営する「スワンプ・インク社」は、大手玩具メーカーとの提携企画を進めていた。
その名は「プロジェクトブルー」。
「プロジェクトブルー」とは大人気番組「銀河戦士ブルーマン」のリニューアルに合せて、新井が造形した新ブルーマンのフィギュアを発表する計画。
その世界では名を知られた新井と、大人気のブルーマンのコラボである。
成功は間違いないと思われていた。
その日、塗料メーカー・クレオの営業社員である小寺(中山祐一朗)が新井のもとを訪れた。
小寺は新井の大ファン。
彼の役に立てればと、カラーサンプルを届けに来たのだ。
小寺によれば自慢の新作らしい。
忙しい新井は適当に頷くと、小寺を帰した。
その夜、数時間にわたる検討を経て、5つのデザイン案から遂に新ブルーマンのデザインが確定した。
新ブルーマンはリニューアルの要。
当然、そのデザインは部外秘とされ厳重に管理されていた。
新井も知らされたのは、つい先程だ。
さて、此処からが新井の仕事である。
新井は1晩で新ブルーマンのフィギュアを作らなければならない。
だが……新井にはもう1つやらねばならないことがあった。
深夜、秘密裏にフリー造形家の西村(片桐仁)宅を訪問した新井。
新井は西村に脅迫されていた。
十数年前、新井はレア物とされ高額で取引されていたミリバールのフィギュアを贋作していた。
この事実を西村に掴まれたのである。
西村は新井に贋作についての事実をメーカーであるマルヨシに教えると宣告されてしまう。
新井は自身が所持するプレミア付きの本物ミリバールと、西村の持つ新井製贋作ミリバールとの交換を申し出る。
だが、西村は新井の破滅に拘り、到底払いきれないような高額を要求。
頑として取引に応じようとしない。
決意を固めた新井は手近にあった塗料瓶を西村の顔に投げつけると、持参した本物のミリバールを振り被る。
そして、思い切り殴りつけた。
1回、2回、3回……痙攣する西村。
だが、新井は手を緩めない。
4回、5回、6回……やがて、西村が動かなくなった。
新井はほっとしたように微笑むと事後工作を始めた。
棚に並んだ埃まみれのフィギュア群から、それなりに値の張る物を選んで持ち去る。
フイギュア強盗に殺害された様に偽装するつもりなのだ。
と、途中で物音が。
慌てて隠れると、誰かが西村の作業場に現れた。
クレオの小寺だ。
小寺は未だ状況に気付かないのか「依頼されてたサンプルですけど……」と不安そうに呼びかけている。
そして、室内を覗き込み、はっと息を呑んだ。
小寺が西村の死体を発見したのだ。
「ひゃぁぁっぁぁあぁぁぁぁぁぁ」
素っ頓狂な悲鳴を上げる小寺。
さらに、小寺は凶器のミリバールを拾い上げる。
またも、悲鳴。
遂には、その場に尻餅をつきながら身体を引き摺るように逃げ去ってしまった。
新井は小寺の指紋が残された本物のミリバールをその場に残すと、贋作ミリバールを回収。
西村宅を出るとクレオ社へ向かう。
クレオ社に忍び込んだ新井は盗み出したフィギュアを其処に隠した。
フィギュア強盗から小寺に罪を着せる計画に切り替えたのである。
翌朝、事件が発覚し石松警部(稲垣吾郎)らが現場に到着。
もちろん、福家(檀れい)も参加している。
石松は棚からフィギュアが消えていることに注目。
新井の計画通り、フィギュア強盗の犯行と考える。
さらに、西村の通話履歴と凶器の指紋から小寺を容疑者に絞り込むのだが……。
福家はミリバールが飾られていたと思われる棚の汚れに比して、凶器のミリバールが綺麗すぎることに違和感を抱く。
その頃、新井は新ブルーマンを完成させ、クライアントにお披露目していた。
この結果は上々。
特に小寺に貰ったサンプルを使用した胸からマント部分のアレンジはデザイン担当者をも唸らせた。
新井はこの結果に満足する。
一仕事を終え、自身の作業場に戻った新井は不審者を発見する。
こわごわと問い詰める新井に、不審者は福家と名乗った。
福家は新井にターゲットをロックオンしたのだ。
机の上の「新ブルーマン」を発見した福家は「甥っ子が見てるんですよ〜〜〜」と嬉しそうに微笑む。
これに、新井は「ブルーマンがパワーアップするんですよ」と「プロジェクトブルー」について打ち明ける。
何故なら、これこそが新井を守る壁になるからだ。
福家は早速、新井にアリバイを尋ねる。
新井は待ってましたとばかりに、新ブルーマンを作成していたことを打ち明ける。
デザイン案が決定したのは昨夜である。
其処から完成までに要する時間を考えれば、新井のアリバイは完璧だ。
そんな新井に頓着せず、福家は犯人がミリバールを凶器にしたことを訝しがる。
盗まれたとされるフィギュア群の中では、凶器にされたミリバールが最も価値があったのだ。
他のフィギュアを盗み出しつつも、もっとも価値のあるミリバールをその場に残している―――これは本末転倒ではないか。
新井は必死に誤魔化すが、その言葉には些か無理があった……。
石松は小寺を容疑者として取調していた。
小寺は死体を発見したのは事実だが、殺してはいないと主張。
ワケが分からないと繰り返していた。
拘束された小寺に接触する福家。
小寺は「使用された凶器が本物のミリバールだった」と語る。
「本物」と言うからには「偽物」も存在するワケだ。
福家は「本物よりも本物らしい贋作の存在」について小寺から聞き出した。
一方で、福家は新井のアリバイの穴を探る。
そんな折、耳寄りな情報が飛び込んで来る。
クライアントによれば、ブルーマンの胸とマントの色合いが指定の物と異なっていたらしい。
だが、これが改良と呼べる物で感嘆したのだそうだ。
その色は絶妙に淡いブルーで、どうやら小寺が提供したサンプル品が用いられていたそうだが……。
福家は新井を犯行現場へと連れて行く。
他のフィギュアに比較して凶器のミリバールだけは綺麗であった。
棚の汚れから考えればこれは不自然だ。
西村は塗料瓶の塗料を浴びせられていた。
当然、隙は大きかった筈であった。
他の凶器を選択も出来た筈なのだ。
だが、犯人はミリバールを選んだ。
つまり、犯人にとってミリバールはどうでも良いものだったのだ。
欲しい物ならば、他のフィギュアを凶器にすれば良いのだから。
つまり、犯人はフィギュア強盗ではない。
新井は「そんなの個人の価値観の問題でしょ」と一蹴するが、福家は執拗に攻める。
「凶器のミリバールが何故、本物だと分かったのですか?」
「写真を見せてくれたでしょ、見れば分かりますよ」
此処で福家は新井に畳み掛ける。
「西村に貴重なミリバールを入手することが出来たのか?」
「そもそも棚にあったのは本当のミリバールだったのか?」
この福家の問いに新井は応える術を持たなかった……。
翌日、新井のもとを福家が再訪した。
社の隆盛を褒める福家に、新井は「これも時代におもねった結果です」と自嘲する。
新井には自身の作りたいものがあったが、諦めたそうである。
これを聞いた福家は新井がミリバールの贋作者であると断定する。
新井の友人・北山が経営するダイキャスト工場に一時期の新井が入り浸っていたことを突き止めたのだ。
其処でならば贋作を製造することが出来る。
福家は新井がフィギュアを愛していると語る。
本物のミリバールは余り出来が良くない。
だが、出回った数が少ない為にレア物とされていた。
これが贋作ミリバールの作者は不満だった。
出来の良い物こそが評価されるべき。
そう考えた贋作者は「本物よりも本物らしいミリバール」を制作したのだ。
其処にはフィギュアへの愛がある。
手段もあり、動機もある。
だから、贋作者は新井である―――これが福家の結論であった。
西村宅の棚は埃まみれであった。
当然、ミリバールも埃だらけだった筈である。
だが、凶器のミリバールは埃1つ無かった。
つまり、犯人は本物のミリバールを凶器に用い、偽物のミリバールを持ち去ったのだ。
此処にも犯人の贋作ミリバールへの愛がある。
だとすれば、西村殺害の犯人は新井となる筈であった。
だが、具体的な証拠が無い。
福家はあと一歩のところで詰め切れない。
証拠なんてありえない―――勝利を確信した新井は福家のことを忘れると、クレオ社に小寺が届けたサンプル品の追加を希望する。
数時間後、二岡(柄本時生)から新たな情報が福家に届けられた。
5つのデザイン案がネット上で事前に漏れていたらしい。
つまり、会議前に情報をゲットすることは可能であった。
その夜、石松は小寺を送検しようと決めていた。
これに、福家は新井が犯人であると伝え送検を思い留まるように進言する。
石松は福家の様子に猶予を与える。
とはいえ、時間は限られている。
その中で、新井の犯行を証明しなければならないのだ。
福家は拘留中の小寺に質問を重ねる。
小寺が提供したサンプル品を用いたブルーマンが好評であると伝えた福家。
それに自身の境遇を忘れたかのように無邪気に笑う小寺。
だが、ふと顔色が変わる。
「でも、妙だな。ブルーマンの色が変わるなんて……」
小寺は何かを考え込んだ。
福家の目が光った。
その夜、新井の作業場に福家が現れた。
福家は新井のアリバイが崩れたことを告げる。
会議の前日の時点で5パターンのデザイン案がネットに流出していたのだ。
事前に5体分を制作して置けば、どれが採用されてもすぐに対応出来る筈だ。
後は色を付ければ良い。
アリバイを失った新井は「証拠が無い」と主張する。
しかし、福家はこれに無言で首を横に振る。
小寺が西村の作業場を訪れた理由はサンプル品を届ける為であった。
同様に新井もサンプル品を小寺から受け取っていた。
これが誤って入れ違いになっていたとすれば……。
あの夜、新井は殺害現場に小寺から貰ったサンプル品を持ち込んでいた。
そして、西村の死体を発見した小寺は所持していたサンプル品を忘れて帰ってしまった。
新井は誤って西村用のサンプル品を持ち帰ったのだ。
新井は慌てて追加で届いた自分用の塗料を確認する。
それはゴールドであった。
新井が新ブルーマンに用いたのは青の塗料だ。
それは西村用のサンプル品だったのである。
慌てた新井は取り繕うように「そう言えば、これは僕のオリジナルで」と言い訳するが……。
「それはあり得ない」と福家に否定されてしまう。
小寺が西村用に届けたサンプル品は「ラピスラズリを使用したウルトラマリン」だったのだ。
稀少過ぎて到底、新井に用意できる品ではない。
新井は自身の完全犯罪が崩壊したことを知った。
「上からの注文通り作っていれば……何の証拠も残らなかったのか」
愕然とする新井だが、ふと何かに思い当たる。
「塗料はシンナーをかければ溶ける、当然、火を点ければ燃える」
唯一の証拠であるブルーマンのフィギュアをにライターを近付ける新井。
「あなたにその子を燃やせますか?」
新井の手が小刻みに震える。
そして、ライターの火が消えた。
「愛です」
新井を犯行に走らせ、それゆえに犯行を証明したものの名を福家が告げる―――エンド。
<感想>
管理人が、近年の倒叙物ではイチオシの傑作だと思う『福家警部補シリーズ』。
シリーズには第1弾『福家警部補の挨拶』、第2弾『福家警部補の再訪』、第3弾『福家警部補の報告』がある。
過去にネタバレ書評(レビュー)してますね。
・『福家警部補の挨拶』(大倉崇裕著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『福家警部補の再訪』(大倉崇裕著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
そんな同シリーズが連続ドラマ化されました。
ちなみに、2009年には本シリーズの1作『オッカムの剃刀』が永作博美さん主演でNHKさんにてドラマ化されています。
先に『福家警部補シリーズ』の魅力について語っておくと―――。
その魅力は「倒叙物のお手本」とでも言うべき完成度の高さ。
そして、倒叙物のお約束を過不足なく盛り込んでいる点も素晴らしい。
倒叙物といえば、犯人と探偵役の一騎打ちが魅力。
互いにプライドを賭けて、知力の限りを尽くした攻防が見所なのだ。
犯人たちはいずれもその職業のプロ、そしてプロゆえに自身の仕事に誇りを抱き、これを守ろうと犯罪を犯す。
そして、福家もまた捜査のプロとしてこれに抗する。
まさにプロとプロの対決。
それだけに、犯人たちはある一点を突かれることで潔く負けを認めるのである。
だから、福家は犯人の動機を攻める。
そう、福家は自身の実力を知り、相手(容疑者)の心境を知り、その犯行を立証し下す。
まさに「彼を知り己を知れば百戦危うからず」だ。
そんな福家の活躍が読めるのは本シリーズだけ、読むべし!!
さて、此処でドラマに戻って。
本作はその第3話。
原作は『プロジェクトブルー』(『福家警部補の再訪』収録)。
原作ではラストにて、新井がプライド故に証拠を隠滅出来ず罪を認める点が特徴的でした。
では、ドラマの感想を。
オープニングがハン・ファン・メーヘレンでしたね。
彼と新井を重ね合わせることにより「価値(愛)があるから贋作した」とのテーマを主張したと思われます。
メーヘレンは名作コミック「ギャラリーフェイク」でも取り扱われたほどの天才贋作家。
フェルメールの鑑定では避けては通れないとまで称された人物。
彼の名前が出ると本物も偽物と扱われるとされ、まるで「ゼロ」を体現化させたような人物の印象があります。
・「ギャラリーフェイク 特別篇 前後篇」(細野不二彦作、小学館刊「週刊ビッグコミックスピリッツ」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
そんな今回ですが、今回もかなり原作を改変してましたね……。
この改変で幾つか瑕疵が生じていたように思います。
これについては後述することとして。
まず、総評。
ドラマ版では、原作で印象的だったテーマ「プロ意識」を「フィギュア愛」に置き換え、「愛」を中心により強調したのかな。
原作でも、唯一の証拠であるブルーマンをプライド故に破棄出来ない点こそが重要なポイントだったので、これを残してくれたのは良かった。
それと、新井が語る個人の価値観云々のシーンでは「古畑任三郎」の「動機の鑑定」を思い出しました。
先達へのリスペクトも感じられたように思います。
役者さんの演技も良かったです。
原作とは全くの別物ですがこれはこれでアリかなぁ……とは思います。
ただ、ドラマ版を視た方は原作も読んで欲しい。
原作の方が絶対良いから!!
ドラマ版には先述した通り、瑕疵が幾つか残されているし。
例えば、原作と異なりドラマ版では小寺がスケープゴートにされたのですが、これにより幾つか不可解な点が生じています。
まず、新井がクレオ社の小寺のロッカーに西村宅から盗んだフィギュアを隠しました。
でも、クレオ社の社員ロッカーに部外者の新井が入れるワケがありません。
新井がクレオ社の社員カードを持っている筈が無い以上、防犯上の大問題です。
そもそも、小寺のロッカーをなんで新井が知っているのだろう?
此の点を福家が勘案すれば、新井の犯行ではないと結論付けても不思議では無い筈なのだが……(これについて訂正事項があります。詳しくは「追記A」を参照)。
しかも、わざわざ罪なき小寺に罪を着せようとしたことで新井への同情の余地が失われてしまう。
これにより、ドラマ版の「愛」についてもかなり怪しいものに感じられてしまいました。
同じくフィギュアを愛好する者である筈の小寺に罪を着せるようでは、決して「フィギュア愛」の持ち主とは言えないような……(これについては補足事項があります。「追記@」を参照)。
他にも、デザイン案が犯行の前日にネット上に流れた設定になったことでもおかしな点が生じています。
1体1晩かかるからアリバイになっていたのに、着色を省くとは言え5体も1晩で作れたらそもそもアリバイにならないよ。
それこそ「新井なら出来た」なら、アリバイ工作自体が意味を無くすし。
これまた、大問題だと思うが……(これについては補足事項があります。「追記@」を参照)。
他にも細かな点では幾つかあって、いろいろモヤモヤします。
そう言えば、原作のエアコンプレッサーのくだりとか魅力的だったのに省略されていたのもショックでした。
2014年1月30日追記:
◆追記@
1日経過して読み返してみたところ、感想に説明不足を感じたので補足追記します。
補足するのは、新井の「愛」とデザイン案についての瑕疵について。
管理人が瑕疵だと感じたのはそれぞれ次の点です。
まず、デザイン案について。
新井が実際に新ブルーマンのデザイン案を知ることが出来た機会は、福家の指摘通りネットでの流出。
この流出はドラマ版では会議の前日とされている。
とすると、アリバイ工作用の5体のブルーマンフィギュアを製作可能な期間は会議前夜の一晩限り。
そもそも新井のアリバイは新ブルーマン1体の作成に一晩かかるから成立したもの。
つまり、新ブルーマンフィギュア製作には1体に付き一晩かかる筈。
だとすれば「アリバイ工作用の新ブルーマンを着色を省略したとは言え、5体製作すること自体が不可能なのでは……!?」との疑問を抱きました。
続いて、新井の「愛」について。
新井の「愛」の対象は凶器にミリバールを用いたように「フイギュア全般」ではなく「自身が制作したフィギュア」に限定されていると思われます。
また、もともと贋作のミリバール製作の理由が、新井が「フィギュアとしてより優れた物こそが評価されるべき」と考えていたからの筈。
これを踏まえた上で、小寺はこの「新井が愛するフィギュアの良き理解者」であった。
また、新井にとって小寺は塗料会社の社員であり「愛する自身製作のフィギュア」の完成度をより高める為に必要な人材でもある。
となると、同じ価値観の持ち主でもある小寺に罪を着せるものだろうか……との疑問が生じたものです。
とはいえ、これについてはドラマ中での新井の人物像を優先させるべきなので、あくまで「管理人の違和感」になります。
◆追記A
コメントにて「よしぼうさん」より、ご指摘を頂きました。
新井が西村宅から盗んだフィギュアを隠したのは、小寺のロッカーではなくクレオ社の物置でした。
これにより、セキュリティ上のハードルが大幅に下がることになり、「ロッカー問題」について管理人の疑問も解消です。
早速、追記訂正致しました。
教えて頂いた「よしぼうさん」ありがとうございます(^O^)/!!
追記終わり
正直、今回もドラマに不満を抱かれた方は是非、原作を読んで欲しいと声を大にして主張したい。
この調子だと、原作で福家の宿敵となりそうな後藤夫妻がどう描かれるのかが不安だ……。
それと、石松の様子からするとOBと対決することになる『オッカムの剃刀』が最終話になるのだろうか……。
そんな次回のドラマ化は『月の雫』(『福家警部補の挨拶』収録)。
あらすじはこちら。
<あらすじ>
昔ながらの製法を守り続ける老舗酒造会社の女性社長・雫(片平なぎさ)は、大手メーカーの社長・佐藤(清水コウ治)を殺害する。佐藤に持ち掛けられた買収話に応じるふりをして、深夜の蔵に招き入れ、水が入ったタンクに突き落としたのだ。
(@nifty tv番組表より)
原作だと男性だった谷元を片平なぎささんが演じる様子。
設定を確認したところ、どうやらアレンジをかなり加えている模様。
これがどうなるか……注目です!!
とはいえ、『福家警部補の挨拶』の中でも屈指の作品だけに、次回こそ期待したい!!
ちなみに、2014年1月現在のシリーズ最新作『福家警部補 未完の頂上(ピーク)』がキンドルにて連載開始。
全3回とのこと、要注目!!
・「福家警部補シリーズ」最新作『福家警部補 未完の頂上(ピーク)』がキンドルにて連載開始!!
◆関連過去記事
・『福家警部補の挨拶』(大倉崇裕著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『福家警部補の再訪』(大倉崇裕著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「福家警部補シリーズ」が再度ドラマ化!!しかも、今度は連続ドラマ!?「福家警部補の挨拶」に注目せよ!!
・「福家警部補の挨拶」第1話「失われた灯 奇妙な女刑事×人気脚本家!完璧な犯罪は存在しないのです」(1月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「福家警部補の挨拶」第2話「禁断の筋書 少女漫画家の逆襲!因縁が生んだ殺意」(1月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
◆『白戸修シリーズ』はこちら。
・『白戸修の事件簿』(大倉崇裕著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『白戸修の狼狽』(大倉崇裕著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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小寺のロッカーの辺りは本筋と関係ないので省略された可能性があります。
小寺の取り調べも福家が見てる部分しか映ってないので、そういうところはこのドラマ大胆に省略しますから。石松警部たちの調査はそもそも映さないので、何とも言えないけれど、ここら辺ディレクターズカットが出たらありそうですね。
それと、犯人のフィギア愛は自分の作品に限定されているので、別におかしくないですよ。だから自分に関係ない「本物」のフィギアを凶器に出来るんですよ。
ネットにデザイン画がさらされていることに期間を切ってしまったのは、確かに脚本家さんの勇み足の気がしますが、アリバイは、デザインが建前上、夜中の会議で決まったことになっているので、ネットを見ていないと言えば通用するので、大きな瑕疵は今回はあまりないかな、という印象を受けました。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
なるほど、瑕疵と言うよりは違和感とでもした方が良いのかもしれませんね。
ただ、ロッカーの件はドラマのテンポ的には省略すべき箇所だとも思うのですが、新井が犯人であると告発する以上は、福家にはその工作が実行可能であると立証する責任があるような気がして……。
此処はディレクターズカットで是非、欲しいシーンです!!
それと、新井の「愛」とデザイン案についての瑕疵ですが、感想で説明不足があったかもしれません。
えっと、管理人が瑕疵だと感じたのはそれぞれ次の点です。
まず、新井の「愛」について。
管理人的には次のように考えています。
確かに新井の「愛」の対象は「自身が制作したフィギュア」に限定されています。
ただ、小寺はこの「新井が愛するフィギュアの良き理解者」であった。
また、もともと贋作のミリバール製作の理由が、新井が「フィギュアとしてより優れた物こそが評価されるべき」と考えていたからの筈。
だとすると「愛する自身製作のフィギュア」の完成度をより高める為にも、また同じ価値観の持ち主でもある小寺に罪を着せるものだろうか……との疑問が生じたのです。
とはいえ、これについては既にご指摘頂いた通り、ドラマ中での新井の人物像を優先させるべきだと思われます。
なので、あくまで「管理人がちょっと疑問に感じた程度」にご理解頂ければ幸いです。
続いて、デザイン案についてですが。
次のように考えています。
新井が実際に新ブルーマンのデザイン案を知ることが出来た機会は福家の指摘通りネットでの流出しかない。
となると、ドラマ版では会議の前日とされているので、そもそもアリバイ工作用の5体のブルーマンフィギュアを製作可能な期間は会議前夜の一晩限り。
新井のアリバイは新ブルーマン1体の作成に一晩かかるから成立したもの。
つまり、新ブルーマンフィギュア製作には1体に付き一晩かかる筈。
だとすれば「アリバイ工作用の新ブルーマンを着色を省略したとは言え、5体製作すること自体が不可能なのでは……!?」とのものでした。
ただ、これまた作中で「それが出来た」と結論付けられているので、あくまで「疑問レベル」に過ぎません。
今、感想を読み返してみましたが、やはり全般的に些か説明不足の感がありますね。
早速、追記しなければ!!
ご指摘、ありがとうございます!!
感謝です(^O^)/!!
一度見て、勢いで書いたので、上手く書けてないところがあったと思います。
さっき録画を見直したんですが、
新井がフィギュアを隠したところは、会社のロッカーじゃなくて、ただの会社の物置ですよ。だから、セキュリティは問題になりません。小寺の容疑は通話記録と最後に会った人物のところに、状況証拠が出たということなんでしょうね。
新井のフィギュアへの愛は自分の生み出した作品(子供)だけへの愛だという見解は変わりません。
アリバイ崩しも管理人さんの言うように雑ですが、決定的証拠があるので、瑕疵というのはキツイかなと思います。
原作とは凶器が車から金属フィギュアに変わってますが、テーマにふさわしい凶器に変更しただけで別物というのはどうでしょう。
まあ、前回より良かったと思うんですが。
ドラマでは、感情を見せないキャラの福家が次回予告では珍しく感情を見せているようなので、次回が今から楽しみです。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
>新井がフィギュアを隠したところは〜〜〜
ロッカーではなく、会社の物置だったんですね。
それだと、個人のロッカーよりはセキュリティの面で大幅にハードルが下がりますね。
納得です!!
ご指摘、頂けて幸いでした。
早速、記事を訂正したく思います(^O^)/!!
>新井のフィギュアへの愛は〜〜〜
もちろんです。
感想での表記はコメントでも述べた通り、あくまで管理人が感じた印象に過ぎません。
「管理人はこう感じたんだな」程度にお考え頂ければと思います。
また、感想について「原作愛」で暴走した点もあるかもしれませんが、ご容赦頂ければ嬉しいです(^O^)/!!
>ドラマでは〜〜〜
『月の雫』は管理人も大好きな作品の1つ。
良アレンジを期待することもドラマ化の醍醐味かと思います。
ドラマ版が楽しみです(^O^)/!!
原作は読んでいませんが、十分ドラマを楽しんでいます。ブログももちろん楽しんで読ませてもらってます。
皆さんの深い考察に感心しています。
前日にネットで5体のデザインを知ったのでは5体全部作れないのではという追記@ですが、私は、劇中で型を作ってから乾かすのに数時間かかるし、1体作るのに一晩かかるというセリフがあったように思いました。だから乾かす時間がネックになっているのなら前日にいっぺんに5体乾かしておけるのではと思いました。録画しているわけではないので確かではないですが。
でも細かいところはあまり気にせず楽しんでいます。フィギュアに興味はないですが、あの新作のブルーはとてもきれいでした。
しかし、小寺さんは新作の顔料のサンプルを持って行くのに、どうしてブルーマンの方にブルーの新作を持って行かずにゴールドにしたのか、疑問です…。使ってもらえるかもしれないのに。ちょっと営業が下手なのかも。
いつか原作も読みますね。オススメですし。「文庫」のところにあるのかな?ライトノベルではないですよね。
また立ち寄らせていただきます。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
ありがとうございます!!
お役に立てたなら、嬉しいです(^O^)/!!
なるほど、1体に一晩かかるのは型作りではなく主に乾燥の時間なワケですね。
確かに、乾燥がネックならば5体並行して作業することも可能かもしれません。
どうも原作を愛するあまり、ドラマ版に辛口になってしまったのかもしれませんね……。
そして、ブルーマンフィギュアのブルー綺麗でしたね。
フィギュアそれ自体の完成度も高かった。
あれならば新井の気持ちが分かる気もします。
映像化されたことで、新井が「罪を認めることになるにも関わらず証拠を破棄出来ない」とする点の説得力は増しましたね。
「福家警部補シリーズ」オススメです。
感想にもある通り、犯人との対決はもちろんのこと。
1つの事件を通じ様々な人から福家が情報収集するのですが、その人との関わり合いも面白い。
良ければ是非、ご一読を(^O^)/!!
ちなみに2014年1月時点では『福家警部補の挨拶』と『再訪』には文庫版があります。
『福家警部補の報告』は単行本だけです。
『福家警部補 未完の頂上』はキンドル限定になってます。
書店に足を運ばれる場合には、ドラマ化原作のコーナーに平積みされているかも……です。
前回のコメントから一週間経って、明日新作公開なので、それまでに調べたり、気づいたことを少し。
まず、管理人さんの、新井が小寺をよき理解者としていたという見解について。
新井はクリエーターとしての矜持があり、それゆえ、自分の作品を子供のように愛していた。
ただ、小寺は自分では何も生み出さないコレクターです。確かに自分の作品愛してくれるのは結構だが、新井の小寺に対する態度を見ると、何も生み出さないコレクター、小寺への軽蔑があるようにも見えます。
そもそも新井がミリバールの贋作を作った動機には、そんな自分の作品を理解しないコレクターに対する軽蔑があったように思えるのですが、いかがでしょうか。
次に、ミリバールはドラマではダイキャストの金属フィギュアとなっています。ただ、ダイキャストは金型を作って制作するので、ドラマのように高価になることは、まずありません。原作のように塩ビの怪獣フィギュアなら高価なものはありえます。テーマに合わせた凶器にしたかったんでしょうが、少し無理があります。一応、粗があることは分かっていたようで、特殊なイベントの限定品と断っていますが、やや苦しい理屈です。
あと、本作のトリックについて、発見者の小寺が、通報せず逃げ出したから、成り立つ不自然なトリックという批判を耳にしました。
これを言いだしたら、ほとんどのミステリーは成り立たなるし、小寺が通報してその場に居座った場合は危うくなりますが、それ以外小寺が通報して立ち去った場合も可能ですし、咄嗟に思いついたにしては、よくできたトリックだと思うのですが、どうでしょう。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
新井の愛情の対象についてですが、それならば納得です。
確かに理解出来ますね(^O^)/!!
トリックの可否についてですが、同じトリックでもアリの人も居ればナシの人も居るようです。個人の経験や主観、趣味に左右されるところもあるようなので、なかなかに難しいですね。
とはいえ、こういう形でドラマについて語り合えるって良いですね。
その点にも、原作ありドラマの面白さがあるのかもしれません。
4話にも期待ですね(^O^)/!!