<あらすじ>
とあるデパート・・・大量の買い物の荷物を抱えた男と、それをほったらかしてズンズン進む女性がいる。加賀美涼子(鈴木砂羽)と加賀美太郎(石黒賢)の新婚夫婦である。
「これも素敵! どう?」と涼子。なかば呆れて太郎は言う。「まだ買うの? もう持てないよ・・・」。その時、女性の叫び声がフロアに響いた! 2人が振り返ると、ひったくり犯が客のカバンを奪い逃げようとしていた! すかさず走り出す加賀美夫婦。犯人に突き飛ばされ倒れた雉子牟田静江(市毛良枝)を太郎がかばい、逃げる犯人を涼子が追って捕まえた! そう、この夫婦は刑事なのだ!!
静江からお礼にと自宅に招かれた2人。そこで静江の夫・要三(田村亮)を紹介される。35年連れ添ったという要三と静江。年月を経ても仲睦まじい要三と静江に、涼子と太郎は理想の夫婦像を見た。
と、その時、2人の携帯電話が鳴った・・・「変死体!?」と涼子。「ひき逃げ事件!?」と太郎。我先にと玄関に走る2人は、理想の夫婦像からは程遠いようだ・・・。
現場に到着した涼子を待ち受けていたのは、転落死した男性・小田切満男(江藤潤)の遺体であった。誰もが自殺だと断定する中、涼子だけは違和感を拭えない。小田切の妻・加世(姿晴香)の言葉が頭から離れないのだ――。「15年も寄り添ってきたんです。あの人が自分から死ぬなんてありえません!」夫婦だからこそ確信できること・・・加世の言葉だけを頼りに、涼子は再捜査に乗り出す。
一方、太郎が担当するひき逃げ事件も難航していた。被害者の女性は意識不明の重体、そして目撃証言も上がらないのである。
しかし、何のつながりもないようにみえた2つの事件が、過去の悲しい出来事へと繋がってゆく・・・。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
加賀美涼子と加賀美太郎は新婚夫婦。
とはいえ、彼らには他の夫婦には無いある秘密があった。
彼らは2人とも刑事なのだ。
そんなある日、加賀美夫妻は引ったくり犯を追跡し、犯人に突き飛ばされ倒れた雉子牟田静江を助ける。
数日後、静江からお礼として自宅に招待された2人。
加賀美夫妻は静江とその夫・要三との仲睦まじい姿を目にし憧れる。
要三と静江は35年間連れ添った夫婦。
その馴れ初めは要三が2度も取り落した本を通りがかった静江が拾い上げたことであった。
ちなみに、要三によれば静江には秘密だが、要三は「陽光園」という施設の出身者らしい。
その夜、帰宅するも加賀美夫妻の話題は憧れの雉子牟田夫婦についてばかり。
ところが、その同じ夜、変死事件と轢き逃げ事件が発生。
涼子が担当したのは変死事件。
変死したのは小田切満男、ビルの屋上からの転落死であった。
自殺かとも思われたが、涼子は他殺と断定する。
小田切の爪からは犯人の物と思われる皮膚片も検出されており、これが裏付けられた。
一方、太郎が担当したのは轢き逃げ事件。
被害者の女性・里谷は意識不明の重体、目撃証言も上がらない。
涼子は小田切について捜査する。
すると、意外な事実が判明。
小田切もまた「陽光園」の出身者だったのだ。
さらに、涼子は死亡直前の小田切の行動を捜査。
結果、田村和夫の存在が浮上する。
和夫は田村文具の御曹司。
和夫の妻・しのぶによれば、和夫に頼まれある人物の墓参りに足を運んだところ小田切に出会ったのだそうだ。
そして、その墓に眠っていた人物こそ「陽光園」の園長・五木源一であった。
五木は35年前に謎の転落死を遂げていた……。
同じ頃、太郎が担当する轢き逃げ事件も意外な進展を見せていた。
被害者が意識を取り戻し、犯人の似顔絵が作成されたのだ。
被害者によれば、車の右の窓から覗き込んだ人物らしい。
その顔は……田村和夫であった。
こうして2つの事件が繋がった矢先、当の和夫が何者かに殺害されてしまう。
此処に涼子と太郎は相棒として捜査を開始。
「陽光園」出身者を調べた加賀美夫妻。
やがて、その1人・湯川から耳寄りな情報が得られた。
小田切は五木園長の転落死に疑惑を抱いており、誰かと2人でその死を調べていたらしいのだ。
涼子は、和夫が五木を殺害した為に罪の意識から妻に墓参りをさせていたと考える。
だが、小田切にこれが露見した為に口封じで殺したのではないか。
これを確認するべく、加賀美夫妻は田村文具店の社長で和夫の父・田村直哉を追及する。
直哉は涼子の推理を五木の事件については認めることに。
35年前、直哉に反発した和夫は文房具の万引きを繰り返した。
これを見咎めた五木と和夫は言い争いに。
五木は和夫を告発すると譲らず、和夫は自殺を仄めかした。
ところが、屋上の手摺に近付いた和夫を止めようとした五木が誤って転落死したらしい。
直哉は和夫を守るべく、当時の経理部長であった黒岩重光を買収した。
黒岩は「五木が自殺した」と証言し、殺人ではなく転落死で事件は終わりを迎えていたのである。
これを聞いた涼子は小田切と共に真相を調べていたもう1人の「陽光園」出身者こそが和夫殺害犯であると考える。
その人物は五木と小田切の仇を討ったのではないか。
此処で加賀美夫妻の脳裏に浮かんだのは要三である。
調べた結果、年齢的にも合致することが判明。
証拠が不足していると窘める太郎を置いて、涼子は1人で要三に詰め寄ってしまう。
だが、この最中に静江が倒れてしまった。
実は静江は心臓病を患っており、余命幾許も残されていなかった。
結局、涼子は要三を詰め切れず苦汁を舐めることに。
太郎と共に再度、証拠固めに挑む。
すると、意外な事実が判明。
静江は黒岩重光の娘だったのだ。
涼子はある推測を巡らせる。
入院中の静江を介護する要三。
其処へ加賀美夫妻が訪れる。
涼子は要三に再度詰め寄る。
そもそも、小田切殺害を和夫の犯行としていたのが間違いだったのだ。
それは要三の犯行だったのである。
小田切の爪から検出された皮膚片は要三のそれと一致していた。
あの日、しのぶと出会ったことから和夫の存在を突き止めた小田切。
遂には和夫に罪を認めさせ、それを録音することに成功していた。
小田切はこれを公表すると大喜びで要三に語った。
やはり、小田切と共に五木の死を追っていたのは要三だったのだ。
だが、要三にとって35年前とは状況が異なっていた。
35年前は五木の敵討ちがすべてであった。
だが、その為に静江と出会ってすべてが変わった。
五木の死について真相を追う小田切と要三は証言者である黒岩に注目した。
何かある……情報を引き出すべく小田切に依頼され要三は静江に近付いた。
そして、何時の間にか恋に落ちて結婚していた。
出会いこそ、偽りであったが、何時しかそれは真実の愛情になっていたのだ。
義父・黒岩は死の直前、要三にすべてを打ち明けていた。
当時、黒岩が偽証したのは病弱な静江の手術費用の為であった。
今更、真実を蒸し返されてしまえば静江が深く傷付く。
何より、出会いが偽りであったことを知られたくない。
要三は小田切に思い留まるように訴えた。
小田切はこれを拒否し「裏切り者!!」と罵った。
2人は激しく揉み合いになった。
此処で、バランスを崩した小田切は屋上から転落しかけた。
咄嗟に助けようとした要三に小田切は叫んだ。
「園長か、妻かを選べ」と。
要三は妻・静江を選んだ。
結果、小田切は死亡した。
和夫は事の一部始終を見ていた。
和夫は反省の色も見せず、小田切の死を自殺に偽装した。
小田切を虚仮にした和夫の物言いに要三は強く憤った。
誰の所為で小田切を殺すことになったと思っているのだ。
しかも、園長の仇でもある。
要三は和夫殺害を決意した。
小田切殺害の容疑が和夫に向かった。
これを知った和夫は罪を着せるべく要三を殺害しようと試みた。
だが、これを予見していた要三は機先を制しこれを殺害したのである。
すべてを認めた要三に、最期まで静江と添い遂げるよう告げる涼子。
その夜、静江は死亡した。
要三によれば「最期まで幸せそうに微笑んでいた」と言う。
轢き逃げ事件の真犯人も逮捕された。
和夫だと思われていた事件だが、そもそも和夫の車は外車で左ハンドル。
里谷が目撃したのは右の窓である。
つまり、助手席側だったのだ。
真犯人は和夫の妻・しのぶであった。
こうして、しのぶも逮捕された。
そして、今日も事件が発生。
加賀美夫妻はそれぞれ現場へと赴く―――エンド。
<感想>
「刑事夫婦」シリーズ第1弾。
原作はなし、オリジナル作品です。
では、ドラマの感想から。
行動派の妻・涼子と慎重派の夫・太郎によるバディものでしたね。
とはいえ、メインは涼子になっていたかな。
22時跨ぎに加賀美家捜査会議を行うことでそれまでの振り返りが用いられていたのは良かったですね。
それと、太郎がまさかの絶対記憶能力保持者とは……驚いた。
さて、此処からは要三と静江について。
静江は薄々勘付いていたんだろうなぁ……。
黒岩が要三に真相を打ち明けるぐらいだから、ある程度要三の出自は知られていたのではないだろうか。
ただ、それでもなお其処から築き上げた35年が勝ったのだと思う。
それと結果論ですが、皮肉なことに要三は和夫が居たからこそ静江に出会えたんだよなぁ……。
和夫が要三に与えた物は憎悪と苦しみだけでは無かったワケだ。
そして、あの様子だと要三が小田切に手を下さなくとも尾行していた和夫が口封じしてんだろうなぁ……と確信。
到底、贖罪の念から妻に墓参りを頼む人間と同一人物に見えない……。
総評として、グッと来る要素にこそ欠けましたが、上手くまとまった作品だと思います。
シリーズ次回にも期待出来そうです!!
<キャスト>
加賀美涼子:鈴木砂羽
加賀美太郎:石黒 賢
○
榎本美香:星野真里
水野英子:村井美樹
小早川秀樹:井田國彦
小田切満男:江藤 潤
小田切加世:姿 晴香
田村和夫:下総源太朗
田村直哉:津嘉山正種
田村しのぶ:結城さなえ
○
雉子牟田要三:田村 亮
雉子牟田静江:市毛良枝 ほか
(公式HPより、敬称略)
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