2014年01月28日

『霧の星で』(星新一著、新潮社刊『ようこそ地球さん』収録)

『霧の星で』(星新一著、新潮社刊『ようこそ地球さん』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

【祝! 宇宙進出】地球によく似た、ステキな星を見つけたけれど……。奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜて描いたショートショート42編を収録。

文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している――人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜて描いたショートショート42編を収録。現代メカニズムの清涼剤とも言うべき大人のための寓話集です。
(新潮社公式HPより)


<感想>

星新一熱が再燃している管理人です。
やっぱり、星先生の作品はいいですね。
短い中に濃いエッセンスがグッと凝縮されていて、読むとハッとさせられます。

本作『霧の星で』は新潮社刊『ようこそ地球さん』収録の一篇。
短編です。

彼は彼女に従属し、彼女に尽くす。
彼女にとっては地獄でも、彼にとっては理想郷。
そんな「霧の星」の真の支配者は誰なのか?

『霧の星で』起こった出来事の真相は、彼以外にはあなたのみが知るのです……。

<ネタバレあらすじ>

人類が宇宙へと飛び出して、早幾星霜。
今では自由自在に星間旅行が出来るまでに、科学技術が発展した未来。

辺境にある霧の星に2人の生存者の姿があった。
地球での生活に失敗し、再起を賭けて別の惑星へと向かっていた男。
旅客船のスチュワーデス(客室乗務員)として、勤務していた女。

2人の乗った宇宙船は、事故によりあえなく大破。
脱出艇に乗った2人だけが唯一の生存者であった。

女は容姿麗しく、地球に帰りたがっていた。
女の希望は、いつか来る救助艇のみである。
男はそんな女の為にご機嫌をとりつつ、献身的に奉仕していた。

今日も男は女に罵られつつも「救助艇がいつか来るから」と励ましていた。

とはいえ、当面の問題は食糧だ。
幸い、この霧の星には食料が豊富に存在していた。
また、外敵らしい外敵も存在しない。
便利な生活が出来ないことを除けば、再起を図ろうとする男にとって、この星の環境は上々と言えた。
男はあわよくば女とこの霧の星でアダムとイブになろうとさえ考えいてたのである。

男は食料を確保するべく、その場を離れようとした。
これに女が声をかけた。
「熱線銃を持って行きなさいよ」
流石に八つ当たり気味に声を荒げたことを恥じたようである。
彼女なりの気遣いなのだろう。
男は外敵が居ないこの星では、熱線銃が意味を為さないことを知りつつ、女の気遣いに応えることにした。

熱線銃はズッシリと重い。
だが、それでも女の歓心を失うことの方が余程恐ろしかった。

男が女のもとを離れて、数十分。
暫くして、何者かの気配を感じた。

目の前に現れたのは3人の地球人。
皆が手を振っている。
どうやら、救助隊のようだ。

男は舌打ちしつつ、彼らに尋ねた。
救助隊の構成や人数、他にこの星を知る者が居るかと。

救助隊員はようやく見つけ出した生存者への歓喜に警戒心が薄れていた。
彼ら3人だけであり、ロケットが奥にあることをすべて話してしまった。
途端、彼らは男の熱線銃の餌食になった。
救助隊員3人は瞬く間に墨になってしまったのだ。

男はニヤリと微笑むと、食料を手に元来た道を戻った。
女は男を迎え入れる。

男は女に「見知らぬ生き物に出会ったこと」を告げ、熱線銃が役に立ったと感謝する。
これに女は不安の表情を浮かべ、男への依存度を高めた。
男は満足した―――エンド。

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 星新一作品レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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