2014年02月19日

『洪水』(星新一著、新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録)

『洪水』(星新一著、新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

【現代社会に隠されたからくりをユーモアと鋭い風刺で描いた28編】冴えない女の運命を変えた、1通のダイレクト・メール――。

地方から都会に出てきて、ひとりで暮している若い女のもとに届いたダイレクト・メールの内容は? だれもが見すごしてしまいそうな、目立たない家に住んでいる夫婦者の正体は? 熱帯の小さな国の独裁者に捕えられた男の運命は? めまぐるしく移り変る現代社会の裏の裏のからくりを、寓話の世界に仮託して、鋭い風刺と溢れるユーモアで描くショートショート28編。
(新潮社公式HPより)


<感想>

星新一熱が再燃している管理人です。
やっぱり、星先生の作品はいいですね。
短い中に濃いエッセンスがグッと凝縮されていて、読むとハッとさせられます。

本作『洪水』は新潮社刊『かぼちゃの馬車』収録の一篇。
短編です。

ノアの方舟のエピソードこそが最大のミスリード。
意外な結末とは!?

教訓:人の話は最後まで聞きましょう。

<ネタバレあらすじ>

「最近、面白くない。生きるべき者とそうでない者とを洪水で選別しようと思う」
ある晩、ノアにお告げが下された。

ノアは驚き慌てた。
家族を呼び集めると、早速、方舟を作り始めることとした。
当初は半信半疑だったノアの家族も、彼が本気であると知るとこれを信じるようになった。

ノアには3人の息子が居た。
長男には恋人があった。

何につけ船造りを優先させる長男に、恋人は愛想尽かししようとしていた。
彼女を逃がしたくない長男は事情を説明し理解を求めた。
事情を説明されれば、死から逃れたいのが人情である。
長男の恋人は結婚しノアの系譜に連なるからと、彼を説得し船に乗る権利を得た。

実際、子孫繁栄の為にはその必要があった。
これを見た次男と三男も妻を求めた。

ノアはこれを許可し、次男と三男は絶世の美女を得た。
何しろ「この世界が崩壊する、助かりたければ妻になるしかない」と言われれば心も揺らぐであろう。
しかも、実際に方舟を造っているのだ。
これは大きな根拠となった。

次男と三男の妻を見て、長男は自身に選ぶ権利がありながらそれを放棄してしまったことに気付き、後悔したがもう遅かった。

一方、三男の妻は家族に洪水について教えた。
家族を助けたいのも人情というものだろう。
三男の家族は姻戚なんだからと方舟に乗る権利を得ようとした。
だが、これにはノアも難色を示した。
この調子では選別出来ず無尽蔵になってしまうからだ。

断られた三男の妻の家族は自分たちで何とかするしかないと考え、新たに方舟を造り始めた。
もちろん、設計図は三男の妻がノアから盗み出した物だ。

ところが、これが騒ぎを呼んだ。
ノアの一家ならば変わり者で済むことも、他の一家が真剣に行えばなんとも怪しい物なのだ。

詰問する者が出て、秘密が秘密では無くなったのも当然の流れであろう。
こうして、多くの者が大洪水について知ることとなった。
こうなれば、誰もが助かりたい。

金持ちは方舟を模倣し始めた。
そうでない者たちは何とかして方舟に乗る方法を考え始めた。
遂には暴動騒ぎが起こり、方舟の所有者はこれから身を守る為に警備員を雇う必要に駆られた。

警備員は役目を果たす代わりに、方舟に乗船出来るよう要求。
断れば、今度は警備員たちが暴徒に代わるだろう。
要求を呑むしかなかった。

そして、いよいよお告げ通りに雨が降り始め洪水が起こった。

方舟に乗った者たちは物見遊山気分で大洪水を眺める。
方舟に乗れなかった者たちは小高い丘に逃げ込むと怨嗟の声を上げ始めた。

ところが、此処で異変が起こった。
方舟同士が流され衝突し沈没し始めたのだ。
さらには渦や波に呑まれる方舟も現れた。

ノアの方舟も例外では無かった。
ノアは溺れながら叫ぶ―――酷いではないですか、と。

これに応える声があった。
「すまん、すまん。だが、最後まで聞かなかったお前も悪い。今回は前回と逆に方舟に乗った者を沈めるつもりだったのだ。だが、おかげで付和雷同する者や欲深な物を排除することが出来た感謝する」と―――エンド。

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かぼちゃの馬車 (新潮文庫)





こちらはキンドル版「かぼちゃの馬車」です!!
かぼちゃの馬車





「カボチャの馬車L」です!!
カボチャの馬車L





「星新一 ショートショート1001」です!!
星新一 ショートショート1001





「星新一 ショートショート DVD-BOX」です!!
星新一 ショートショート DVD-BOX





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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 星新一作品レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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