<あらすじ>
建設会社社長の棟平耕造(外山誠二)が、鈍器で殴られた後に薬品で喉を焼かれるという奇怪な手口で殺害される。遺体発見現場に赴いた警視庁捜査一課の新米刑事、河原みのりは、棟平が体を丸め、まるで胎内の胎児のような格好で死んでいることに、注意を引かれる。みのりには、苦しんだはずの棟平が逆に安らかに眠っているように見えるのだが、まだまだ半人前のみのりの着眼は感覚的で、すぐさま二宮恭助(黄川田将也)ら先輩刑事に一蹴されてしまう。そんなみのりを、警部の加藤光太郎(板尾創路)はある人物のもとへと連れて行く。
加藤がみのりを伴って訪れたのは、心理学教授・兼坂守(小林稔侍)の研究室。兼坂は12年前まで科捜研の心理捜査官で、加藤がかつて世話になった大先輩だ。研究室では折しも、兼坂による学内盗撮事件の取り調べが行われていた。兼坂は巧みな心理テクニックで自供を引き出すことに成功。その様子を見ていたみのりは、兼坂に強い尊敬の念を抱く。
そんな兼坂に加藤は、棟平事件の捜査協力を依頼。兼坂は固辞するが、加藤に兼坂への依頼を命じた波多野裕子警視副総監(萬田久子)には、兼坂がいずれ捜査協力を引き受けることになるとの確信があった…。
その後の捜査で、棟平の喉は、水に触れると100度近くまで発熱する「生石灰」で焼かれたものと判明。また、棟平には恨みを抱く人物が大勢いるとの情報から、捜査一課は関係者のアリバイの洗い出しを始める。そんな中、第二の事件が発生する。棟平と同じように喉を焼かれた遺体が、大学病院で発見されたのだ!
現場へ向け、急ぎ警視庁を飛び出していく捜査一課の面々。みのりも遅れじと加藤の後に続く。そんな二人の前に突然、兼坂が姿を現す。加藤は、連続殺人の可能性を兼坂に報告。そして改めて、みのりが扱う初めての大きな事件に手を貸してほしいと協力を依頼する。加藤の熱意、そしてみのりのまっすぐな視線に打たれた兼坂は意を決し、みのりらとともに事件のあった清友大学病院へと向かう!
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
その夜、建設会社社長・棟平耕造が自宅に戻るなり背後から何者かに襲われた。
抵抗する棟平だが、鈍器で殴られた後に薬品で咽喉を焼かれ殺害されてしまう。
こうして事件が発生。
警視庁捜査一課の新米刑事・河原みのりも捜査に加わる。
みのりは刑事だった父が殉職したことで、父の志を継ぐべく刑事となった女性。
だが、その志に反し実績を上げられず悩んでいた。
しかし、この日のみのりは一味違っていた。
棟平の遺体を目にしたみのりはまるで胎内の胎児のような格好で死んでいることに注目する。
これを聞いたみのりの上司である加藤警部はある人物のもとへとみのりを連れて行くことに。
訪れたのは、心理学教授・兼坂守の研究室。
兼坂は12年前まで科捜研の心理捜査官で、加藤がかつて世話になった大先輩であった。
研究室では折しも、兼坂による学内盗撮事件の取り調べの真っ最中。
女子更衣室に隠しカメラが仕掛けられ、その容疑者と兼坂が対決していたのだ。
「あのね〜〜〜君ね。盗撮カメラに自分の姿が映らないように工夫していたみたいだけど。あの部屋には大粋な姿見があってね。それを介してばっちり映ってたんだよ」
盗撮犯に告げる兼坂。
これを聞いた盗撮犯は罪を認める。
だが、兼坂の語る姿見は実在しなかった。
兼坂は本来存在しない大きな姿見があったと思い込ませることで自白を引き出したのだ。
この兼坂の心理テクニックを見ていたみのりは、兼坂を尊敬する。
一方、加藤は兼坂に捜査協力を依頼。
しかし、兼坂はこれを拒否する。
何故なら、兼坂にはあるトラウマが存在していたのだ。
そんな兼坂に、加藤はみのりを紹介する。
みのりの名前を聞いた途端、表情を変える兼坂。
実は、兼坂のトラウマにはみのりも関与していたのだ。
その後の捜査で「生石灰」こそが棟平の咽喉を焼いたと判明。
また、棟平には恨みを抱く人物が大勢いた。
それだけ容疑者には事欠かない。
そんな中、第二の事件が発生。
今度の被害者は西友大学病院の医師・植木。
棟平と同じ殺害方法、遺体の姿勢であり、同一犯による連続殺人と思われた。
事此処に至り、思うところのあった兼坂が捜査に協力。
先輩として、心理学者として、みのりに情報を引き出す話術などを指導して行く。
これを活かしたみのりは次々と情報を得ることに成功する。
薬袋に緑の蝶の絵を描く薬剤師・佐伯敬子から過去に医療ミスがあり、植松とその同僚・嘉山が対立していたことを聞き出したみのり。
さらに、嘉山は棟平とも対立していたらしい。
植松たちの上司・進藤博満教授や、三輪靖子医師らもこれを認める。
こうして、嘉山に容疑が向かうことに。
これを裏付けるように、入院患者・菊池によれば犯行当日に嘉山が病室へ逃げ込んで来たとの証言を得る。
どうやら、普段から嘉山が愛用しているコロンと白衣でそう判断したようだ。
其処でさらに3件目の殺人が発生。
今度の被害者は代議士の尾崎である。
棟平、植松と同様の殺害方であった。
やはり、連続殺人である。
矢先、嘉山にアリバイがあったことが判明。
進藤にもアリバイが成立。
1人、アリバイが存在しないのは靖子のみとの状況に。
これを受けたみのりは靖子が匂いの先入観で菊池の証言を操ったと推理。
靖子が嘉山の白衣とコロンを利用し、嘉山に罪を着せたのではないかと考えたのだ。
これを証明するように、靖子のロッカーから嘉山愛用のコロンと同じ物が発見される。
ところが、その直後にみのりが何者かに襲撃を受け負傷してしまう。
やはり、追い詰められた靖子の犯行なのか?
一夫、兼坂はみのりの入院の報を聞き、トラウマを思い起こしていた。
みのりは知らないが兼坂とみのりにはある思い出があったのだ。
当時、みのりの父親である河原と共に幾多の事件を解決した兼坂。
ところがある日、阿南という連続殺人犯に出会う。
阿南は3人を誘拐し殺害したとされていた。
この取調に当たったのが河原。
阿南は「あんたたちの知らない4人目の被害者が居る」と明かす。
これを救出するべく阿南から聞かされた廃ビルへ向かった河原は其処に仕掛けられた爆弾で爆殺されてしまう。
「だから、4人だって言ったじゃない」
嘯く阿南、4人目の被害者は河原自身だったのだ。
河原の娘・みのりは泣いた。
その姿を目にし、河原を救えなかった兼坂は退職したのである。
後に、阿南も収監先で自殺してしまった。
以来、兼坂は忸怩たる思いを抱えて生きていた。
今度こそ同じ過ちを繰り返してはならない。
兼坂は嘉山の時といい、三輪の時といい、何者かの意志の介在を確信。
別方向から事件に当たる。
「プライミングだ……」何やら呟く兼坂。
プライミング効果=先入観による誤誘導らしい。
遂に兼坂は医療ミス以外に被害者を繋ぐ線があることを発見する。
それはMビルの火災であった。
これはMビルが火災に遭い、防火設備がしっかりしていなかった為に多くの被害者を出した事件であった。
このMビルの火災により、新井俊之なるMRが搬送先の病院で死亡していたのだ。
しかも、新井には妻子がありながら出入り先の病院内に複数の恋人が居たそうなのだが……。
さらに、当時に尾崎代議士が尿管結石で植松に治療されていたことも判明。
さらにさらに、新井の遺品から緑の蝶のネックレスを発見した兼坂は真相に辿り着く。
兼坂が呼び出したのは薬剤師・佐伯敬子であった。
そもそも、嘉山を疑った発端は敬子が医療ミスについて教えたからであった。
これは真の動機であるMビル火災から目を逸らさせる為の誤誘導だったのだ。
実は敬子は新井の恋人の1人であった。
敬子は薬袋に緑の蝶の絵を描いた。
何故、緑の蝶なのか……。
それは新井が緑の蝶のネックレスを所持していたこと。
そして、新井が敬子へ同じ物をプレゼンしていたからであった。
敬子は新井の復讐をするべく、棟平たちを殺害したのだ。
実は、Mビルは棟平の会社が建てた物。
そして、火災により病院へと搬送された新井だが植松に放置されていた。
何故なら、植松は出世の為に尿管結石で運ばれた尾崎の治療を優先したからである。
経費節減の為に防火対策を怠った棟平。
出世の為に新井を見殺しにした植松。
自身の治療を無理矢理優先させた尾崎。
彼らはそれゆえに殺害されたのである。
敬子が被害者の咽喉を焼いたのは、新井もまたビル火災で咽喉に大火傷を負っていたからであった。
しかし、敬子は犯行を認めない。
そんな敬子に兼坂は語りかける。
「そうですよね〜〜〜遊び相手を殺されたくらいで復讐する筈ありませんよね〜〜〜。
あっ、ちなみに新井さん、蝶のネックレスをたくさんの女性にプレゼントしていたそうですよ。
どうやら、新井さんにとってあなたは遊びだったんですよね。
もちろん、あなたも新井さんとは遊びですよね〜〜〜」
あからさまに敬子を挑発する兼坂。
これに敬子は反発。
「私たちは本気だった!!私、あの人の子供を妊娠してたの。彼の離婚が成立次第再婚する予定だったのよ。でもあの火事で彼も子供も失ったわ」
そこへみのりが指輪と共に現れる。
みのりによれば、それは新井の遺品らしい。
「やっぱり、あの人は私を愛していたのね!!」
みのりから指輪を奪い取った敬子は上機嫌で指輪を嵌める。
だが、指のサイズが合わない。
脂汗を浮かべ始める敬子。
その目に「T&N FOREVER」との文字が。
「T」は「俊之」の「T」だろう。
では、「N」は誰だ!?
「新井さんは結婚を考えていたようですが、あなたとは別の方だったようですね」
これを聞かされた敬子が錯乱し始める。
「なんで!?なんで、指輪が入らないの!?あなたの為に復讐までしたのに!!全部、無駄だったって言うの!?」
激情に駆られた敬子は泣きながらすべてを告白した。
敬子はこうして逮捕された。
被害者が胎児のように身体を曲げられていたのは、敬子にとって流産した子供を示していたのだろう。
敬子の背中を背景にみのりが兼坂へと振り返る。
「そう言えば、これ12万円ですよ」
みのりが指輪を指して口を尖らせた。
指輪は兼坂が用意させた偽物だったのだ。
「罪を認めさせても、彼女の心は解放されませんよ。彼女の心は新井に支配されていました。それを解放する為にはこれが必要だったんです」
そうみのりに告げる兼坂。
これを聞いたみのりは兼坂こそが、河原を亡くした幼いみのりを励ました人だったことに気付いた。
みのりは前向きに生きている。
兼坂は考える。
果たして、自分はどうなのだろうか―――エンド。
<感想>
「犯罪心理学教授・兼坂守の捜査ファイル」シリーズ第1弾。
原作なし、オリジナル作品です。
では、ドラマ版の感想を!!
どちらかと言えば、ストーリーよりは設定とシチュエーション重視の作品でしたね。
とはいえ、なかなか良かったのではないでしょうか。
個人的には割と好みでした。
果たして、兼坂が立ち直るのは何時の日か……それはみのりを1人立ちさせる日なのかもしれません。
ちなみに、阿南は逮捕されていない謎の犯人の方がシリーズ化に向けてはやり易かったんじゃないかなぁ……。
河原の仇をその娘・みのりと兼坂で追うみたいな。
毎回ラストには思わせぶりに影が出て来たり。
ただ、このパターンは割とやり尽くされた感もあるので逆にコレで良かったのかもしれないとも思ったり。
そんな阿南役にはいぶし銀の名脇役・木下ほうかさん。
・いぶし銀の名脇役・木下ほうかさんが監督をしてた!?
なかなかに憎むべき悪役を好演されていました。
特に河原爆死後に「だから、4人だって言ったじゃない」と嘯く姿は凄かった。
それだけに、今回だけの退場は惜しい。
全体としていろいろと可能性を感じさせる出来だっただけに、シリーズ化して欲しいところですね!!
<キャスト>
兼坂 守:小林稔侍
二宮恭助:黄川田将也
継田総平:橋本一郎
嘉山 孝:野村宏伸
三輪靖子:馬渕英俚可
進藤博満:堀内正美
佐伯敬子:池津祥子
阿南宏哉:木下ほうか
河原遼一:中原丈雄
加藤光太郎:板尾創路
波多野裕子:萬田久子 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)
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実は予告がホームページに掲載された際、河原みのりを誰が演じるかは伏せられていました。
2月6日にニュースで佐津川愛美さんが演じることが報じられ、ここで初めて明らかになったのです。
ホームページが改訂されたのは2月13日の木曜日で、ここで「河原みのり-佐津川愛美」というキャスト紹介が表示されたのです。
物語本編ですが、みのりはラストで兼坂の真実を知ったんですね。
兼坂は河原遼一刑事が亡くなった後、いわゆる「みのりの足ながおじさん」的な役割を果たしており、血はつながらないけれども、父親のように彼女を見守っていたのですね。
みのりはこれから、どのように兼坂のことを見るのでしょう。その辺も見てみたいという意味もこめて続編を待つことにします。
もちろん「河原みのりの刑事としての成長」も期待します。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
情報ありがとうございます(^O^)/!!
なるほど、それでキャスト欄にみのり役についての記載が無かったんですね。
納得です!!
兼坂とみのりの交流は師弟のようであり、父娘のようでもありました。
そして、本作は兼坂の再生譚であり、みのりの成長譚―――1回だけの放送では終われない筈。
是非、続編が視たい(^O^)/!!