金曜プレステージ「更生人・土門恭介の再犯ファイル〜罪を犯した女たち〜主演！渡瀬恒彦新シリーズ！罪を背負い生きる女達 更生阻む連続殺人の罠 死体に残る花びらの謎 熱血保護官 愛と執念が暴く真実…哀しき絆」（2月21日放送）ネタバレ批評（レビュー）

金曜プレステージ「更生人・土門恭介の再犯ファイル〜罪を犯した女たち〜主演！渡瀬恒彦新シリーズ！罪を背負い生きる女達　更生阻む連続殺人の罠　死体に残る花びらの謎　熱血保護官　愛と執念が暴く真実…哀しき絆」（2月21日放送）ネタバレ批評（レビュー）です！！

＜あらすじ＞

出所した女性たちの社会復帰を手助けする女子更生保護施設“夢の里ホーム”施設長の土門恭介（渡瀬恒彦）は、笑顔と信じる心で入居者たちを支え、設立以来一度も再犯者を出すことなく社会へと送り出してきた。
そんな“夢の里ホーム”に新たに3人の女性出所者、榊百合子（池上季実子）、今野道子（小林綾子）、橋本美加（菜葉菜）がやってくる。入居当初は、3人とも緊張と警戒心で表情も硬かったが、土門の人柄と優しさに触れるうちに次第に笑顔を見せるようになった。
ある日、土門のもとに離婚した元妻・柏木乃理子（浅田美代子）から連絡が入る。土門は元刑事で、乃理子は今も現役の鑑識官だ。その乃理子が“夢の里ホーム”の元入居者だった原田聖美（高樹マリア）が自殺したというのだ。しかも働いていた老人ホーム“あさがお園”の金を横領していたという。
聖美の死に疑問を持った土門は、乃理子に頼んで、彼女が死の直前に訪れたコンビニの防犯カメラの映像を見せてもらう。するとそこに百合子の元夫で、今は“あさがお園”に入居している武山博（秋野太作）が映っているのを発見する。武山から事情を聞こうと考えた土門だったが、翌日、その武山が死体で発見される。しかもその手には、百合子が育てていたカーネーションの花びらが握られており、警察の事情聴取を受けた百合子はあろうことか「自分が殺しました」と自供する。それでも彼女の無実を信じる土門は、事件が聖美の自殺と関係があるとにらみ、乃理子と共に事件の真相を探っていく。
ところが、その頃、道子と美加にも再犯の誘惑が忍び寄っていた…。

（金曜プレステージ公式ＨＰより）

では、続きから（一部、重複アリ）……。

1人の女性が謎の転落死を遂げた。
女性の名は原田聖美。
彼女は、老人福祉施設「あさがお園」に勤務する経理担当者で、800万円に及ぶ横領をしたとされていた。
それが露見したゆえの自殺と思われたが……。

聖美の遺体の傍にはノンアルコールビールの缶が転がっていた。
だが数分後、何故か缶はその場から消えていたのである。

罪を償い終えた女性たちの社会復帰を手助けする女子更生保護施設“夢の里ホーム”。
その施設長・土門恭介は“夢の里ホーム”設立以来一度も再犯者を出すことなく社会へと送り出して来たことを誇りにしている。
そんな土門を信頼し、調理員の大島日出子たちがこれを支えていた。
ちなみに、“夢の里ホーム”の信条は「辛い時にこそ笑顔を絶やすな」である。

そんな“夢の里ホーム”に新たに3人の女性が訪れた。
榊百合子、今野道子、橋本美加である。

榊百合子、51歳。
夫からの度重なるDVに耐え兼ね、裁ちバサミで夫を刺傷。
その殺人未遂罪で5年服役していた。
現在はクリーニング工場に勤務。

今野道子、36歳。
義母の介護に疲れ、そのストレスから逃れるためにスーパーで万引きを繰り返した。
万引き常習（窃盗罪）で8カ月服役。
夫とは逮捕後離婚しており、現在はパン屋に勤務。

橋本美加、24歳。
中学時代から何度も補導され、高校時代には鑑別所に入った札付きのワル。
不良仲間のケンカに巻き込まれ、相手を刃物で刺傷。
傷害罪で3年服役。
家族は彼女の素行の悪さに振り回され、現在は絶縁状態。
刑務所で美容師の資格を取り、美容院に勤務している。

入居当初こそ、3人とも緊張と警戒していたが、今では土門の人柄と優しさに触れ次第に笑顔を見せるようにまでなっていた。

そんなある日、土門のもとに離婚した元妻・柏木乃理子から連絡が入った。
実は土門は元刑事、乃理子は今も現役の鑑識官であった。

乃理子が伝えて来たのは聖美の死と横領事件についてであった。
聖美もまた“夢の里ホーム”の出身者だったのだ。
再犯者を出したことがないことこそが誇りであった土門をショックを受け、事件を調べ始める。
だが、“あさがお園”の園長で土門とも親しい滝沢伸一は「残念ながら事実なんだ」と認める。
そんな滝沢は園内のある老人を目にするや、忌々しげに舌打ちするが……。
ちなみに、滝沢は健康に気を遣い始めノンアルコールビールしか飲めないのだそうだ。

一方、ある老人に興味を持った土門。
その老人の正体は“あさがお園”の入居者・武山博。
しかも、武山は百合子の元夫であった。
つまり、百合子に刺された被害者は彼である。

とはいえ、どうにも土門が見るところ武山は人格に問題があるようだ。
今も、外出用の杖を振り回して職員に当たり散らしている。
滝沢が厭う理由も其処にあるのだろう。

その夜、武山は杖を手に“あさがお園”を抜け出していた。
向かった先は百合子の職場のクリーニング工場だ。
武山は何やら百合子を脅迫し、金をせびる。
当初こそ、これを拒否する百合子だが、その娘・歩美の名前を持ち出された途端に凍り付く。
結局、武山の脅迫に屈することに。

その翌日、武山の刺殺体が発見された。
手にはカーネーションの花びらが残されており、凶器は裁ちバサミと思われた。
外出用の杖は消えていたことが奇妙な点ではあった。
おそらく、犯人が持ち去ったものと思われたが。

凶器から百合子に疑惑が向かう。
しかも、カーネーションの花びらが百合子が育てていたソレとDNA情報が一致。
さらに、百合子自身も罪を認めてしまう。

聖美に続く、再犯の疑いに土門は大きな衝撃を受けてしまう。

一方、パン屋に勤務する道子の周辺でも事件が起こっていた。
なんと、窃盗事件が発生したのだ。
この疑いが道子へと向けられ、身に覚えのない道子は傷付く。

さらに、スーパーへと買い物に出かけたところ、これまた身に覚えのない万引きの疑いをかけられてしまう。

万引きについては土門が防犯カメラの映像から無実を証明したことで、嫌疑を晴らすことが出来た。
だが、頻繁に疑われることに道子は精神的に大きなストレスを抱く。
もしかすると、また万引きするかもしれない……それは大きな恐怖となり道子を苛んだ。

結果、道子は疑われないように指を包丁で切断するとの暴挙に出た。
道子の不審な様子に気付いた乃理子と日出子が止めたことで、未遂に終わるのだが……。

道子は「あんたたちには私の気持ちは分からない」と叫ぶ。
これに乃理子は秘められた過去について明かす。
それは土門との離婚の記憶でもあった。

土門と乃理子の間には明日香という名の1人娘が居た。
土門たちから見れば、良い娘に見えた明日香。
だが、人を刺したことで逮捕され、2年間服役することに。
罪を償い終えた明日香であったが、それからは荒んだ生活を送り、薬物パーティーに参加していたところを捜査員に踏み込まれ、追い詰められた末に屋上から投身自殺したとの経緯があったのだ。

後に、明日香の携帯が見つかった。
其処には更生したいにも関わらず、上手く行かない焦りが赤裸々に綴られていた。

それが明日香を死へと追いやった……そう考えた土門は刑事を退職し更生人になった。
乃理子は別の立場から明日香のような人間を出さないようにと、刑事を続けることに。
立場が異なった2人は離婚したのである。

さらに、日出子も過去を明かす。
日出子は夫に借金を負わせた男を刺した罪で服役した経験を持っていたのだ。
だが、土門の支援を受け社会復帰を果たし調理員となったのだ。

これを聞かされた道子は土門への信頼を新たにし、社会復帰を目指す。

同じ頃、美加は職場の同僚に過去を知られ「客にバラされたいのか」と脅されていた。
「黙っていて欲しければ、窃盗に協力しろ」と強要された美加は悩みながらもこれに応じる。
だが、土壇場で土門の信頼を思い出し、土門へ通報することに。
これにより、踏み止まることが出来たのであった。

苦しみながらも前向きな道子と美加を見た土門は「自身の道が間違ってはいない」と再確認。
百合子や聖美の事件にも理由がある筈と立ち上がる。

聖美の前任の経理担当者・新井由香に話を聞く土門。
由香によれば“あさがお園”の帳簿はどうにもおかしいらしい。
補助金の入金額が実際と合わないのだ。
これを滝沢に伝えたところ、クビにされたのだと言う。
ちなみに、聖美は表にこそ出していなかったが日商簿記一級の資格保持者。
当然、由香よりも適切に帳簿の異常を把握していた筈だと語る。

一方で、百合子の娘・歩美を訪問した土門。
百合子とは絶縁したと語る歩美。
武山の事件も彼と結婚した百合子自身の責任なのだそうだ。
何でも、歩美は百合子の連れ子であり、武山とは再婚らしい。
再婚当初こそ武山と百合子は上手く行っていたが、百合子が起こした自動車事故が原因で武山が外資系証券会社を退職に追い込まれてからは壮絶な暴力が待っていたと言う。
それに耐え切れず百合子が武山を刺したらしい。
土門は歩美宅のベランダに百合子と同じカーネーションを見つけるのだが……。

矢先、乃理子が意外な情報を手に入れて来た。
滝沢は兄の連帯保証人になっており、大きな借金があったらしい。
つまり、経済的に困っていたのだ。
乃理子は滝沢を疑うのだが、土門は「あの人はそんな人じゃない」とこれを否定する。

そんな中、百合子の同僚から新たな情報が。
どうも、百合子に金をせびりに来た武山が「大金が入るあてがある」と口にしていたらしい。
どうやら、武山は誰かを脅迫していたようだ。

土門は歩美のもとへ向かう。
そして、遂に真実に至るのであった。

乃理子立会いの下で連れ出された百合子。
その前には歩美が立っている。
百合子はこれに激しく反発を示す。
そんな百合子に「いいのよ、お母さん。すべ打ち明けたわ」と告げる歩美。

実は百合子と歩美は絶縁していなかったのだ。
過去、百合子が武山を刺した理由はDVに耐え兼ねたからではなく、歩美が武山に性的な暴行を受けたからであった。
百合子はこの事実を隠そうと、歩美との連絡を絶った。
これに従った歩美だが、百合子への愛情から密かに自身が育てたカーネーションを贈る。
百合子が育てていたカーネーションは株分けされたものだったのだ。

つまり、武山の遺体から発見された花びらは歩美宅のカーネーションであった。
百合子は武山の様子を不審に思い、歩美がまたも被害に遭うのではと危惧した。
其処で、出来る範囲で武山の様子を窺っていた。
そしてあの夜、武山の死体を発見し、其処にカーネーションを見たのだ。
百合子は歩美の犯行を疑い、カーネーションを持ち去った。
だが、花びらが残されてしまったのである。
さらに、カーネーションのDNAが合致したことから、歩美の犯行と思い込み庇おうとしていたのだ。

だが、歩美は脅迫の為に自宅を訪れた武山にカーネーションを手渡しはしたが殺害していないと打ち明ける。
武山殺害犯は別に居た。

土門たちは滝沢のもとへ。
土門は滝沢こそが武山殺害犯だと述べる。
武山は「大金が入るあてがある」と口にしていた。
そのあてこそ、滝沢だったのだ。

武山の遺体は外出用の杖を持っていなかった。
犯人が持ち去ったものと考えた土門だったが、発想を転換することにした。
そもそも、武山は杖を所持していなかったとしたらどうだろう。
つまり、杖の必要のない屋内で殺害され、死体発見現場まで運ばれたとしたら。
だとすれば、犯行は“あさがお園”内で行われたことになる。

これに「動機がない」と反論する滝沢。

しかし、動機は存在したのである。
経済的に困っていた滝沢は園の金を横領した。
これを聖美に指摘され、彼女を殺害していたのだ。
その現場を武山に目撃され、脅迫され続けていたのである。

今度は「証拠がないだろう」と反論する滝沢。
だが、土門はビニール袋に収納された缶ビールを持ち出す。
それは、聖美の遺体の傍から消えた物。
実は、武山が滝沢を脅迫するべく現場から持ち去った物であった。
武山は、歩美を脅迫しこれを預けていたのだ。

あの夜、聖美は滝沢の身体を気遣い、ノンアルコールビールを用意した。
そして、慎重に滝沢の横領を告発した。
ゆえに、滝沢に殺害されてしまったのだ。

「あいつ、笑いやがったんだ！！」
聖美は笑いながら滝沢に横領の件を認めるよう迫ったのだそうだ。
これを聞いた土門は激怒する。
「それは園の方針なんです。辛い時こそ笑え。聖美くんは辛かったんです。だからこそ、笑ったんです」
「そんな馬鹿なことがあるかぁ〜〜〜！！」
滝沢は叫ぶなり、悄然と肩を落とした。

真犯人が逮捕されたことで、百合子は釈放された。
さらに、元の職場であるクリーニング工場で再雇用されることとなった。
道子は職場の窃盗犯を突き止め、自身の経験を語りこれに罪を認めるよう迫った。
美加は父と和解した―――エンド。

＜感想＞

「更生人・土門恭介の再犯ファイル」シリーズ第1弾。
原作なし、オリジナル作品です。

では、ドラマの内容を。
全体的にキャラを丁寧に扱っていた印象かな。
ただ、キャラの数が多過ぎて、掘り下げるにはなかなかに難しかったかもしれないなぁ……。
初回だけに主人公らについて初期設定を説明する必要があり、更生者は3人ではなく百合子1人に絞り込んだ方がより深まったかもしれない。

ちなみに、各キャラには細かい設定がある様子。
詳しくは本記事下部のキャスト欄をどうぞ。

そして、渡瀬さん主演だけに他局ながら「タクシードライバーの推理日誌」の様式美も加えていましたね。
一旦、周囲が滝沢犯人説を持ち出した際にあれだけ頑強に否定しておいて、あっさり犯人と指摘する。
おそるべし、土門。
さらに、滝沢の人間性を見る限り、これを庇った土門の人を見る目は疑わしいなぁ……。
「タクシードライバー」と言えば「あゆみ」も登場してましたね。

それにしても、滝沢園長は開始10分後くらいに4、5分登場してから再登場までが長かった。
つまり、21時10分から22時25分ごろまで1時間強の間、滝沢は登場していなかったワケで。
ちなみに、キャストに名前があるのに「公式あらすじ」に名前が無いし。
聖美の事件の性質上、関係者は彼しか居ないしで、逆に物凄く怪しい人物になってましたね。
放送前から犯人だろうと目星をつけていたのは秘密です。

とはいえ、フーダニットは本作のメインに非ず。
メインは百合子たちの心情にこそあると見た。
その点、なかなかに良かったと思います。
これならば、シリーズ化も期待出来そうです！！

＜キャスト＞

土門恭介（どもんきょうすけ）（62）：渡瀬恒彦
女子更生保護施設“夢の里ホーム”施設長。元警視庁の刑事。いつも笑顔を絶やさない更生人。その一方で、刑事時代に培った鋭い鑑識眼も健在。ある痛ましい事件をきっかけに警察を辞め、自らの手で“夢の里ホーム”を立ち上げる。

柏木乃理子（かしわぎのりこ）（55）：浅田美代子
警視庁鑑識課主任鑑識官。土門の元妻。男社会の警察組織の中で、決して怯むことのない正義感と信念を持った女性。その一方で女らしい優しい一面を持つ。料理は大の苦手。週に一度、“夢の里ホーム”で料理を習っている。土門が警察を辞めた際、離婚を決意した。

大島日出子（おおしまひでこ）（54）：大島蓉子
“夢の里ホーム”の調理員。ホームでは肝っ玉母さん的存在で、入居者だけでなく、土門や職員たちの心の支えにもなっている。自らも夫に借金を負わせた男を刺した罪で服役した経験を持つ。出所後、土門のもとで無事社会復帰を果たし、調理員となる。

鍋島昭治（なべしましょうじ）（52）：村田雄浩
警視庁の刑事。土門の元部下。刑事時代の土門のことを知っているだけに、常に笑顔を絶やさない更生人としての土門にどこか違和感を感じている。

榊百合子（さかきゆりこ）（51）：池上季実子
夫の殺人未遂罪で5年服役。夫からの度重なるDVに耐え兼ね、裁ちバサミで夫を刺傷。現在はクリーニング工場に勤務。

今野道子（こんのみちこ）（36）：小林綾子
万引き常習（窃盗罪）で8カ月服役。義母の介護に疲れ、そのストレスから逃れるためにスーパーで万引きを繰り返した。夫とは、逮捕後離婚。現在は手作りパン屋に勤務。

橋本美加（はしもとみか）（24）：菜葉菜
傷害罪で3年服役。中学時代から何度も補導され、高校時代には鑑別所に入った札付きのワル。不良仲間のケンカに巻き込まれ、相手を刃物で刺傷。家族は彼女の素行の悪さに振り回され、現在は絶縁状態。刑務所で美容師の資格を取り、現在は美容院に勤務。

滝沢伸一（たきざわしんいち）（56）：国広富之
介護老人ホーム“ひまわり園”園長。ひまわり園は、“夢の里ホーム”の協力雇用主（就労に協力してくれる会社）で、土門とはその頃からの付き合い。地元にも信頼が厚い。　ほか

（順不同、敬称略、公式ＨＰより）

「司法福祉: 罪を犯した人への支援の理論と実践」です！！
司法福祉: 罪を犯した人への支援の理論と実践

「更生保護制度改革のゆくえ―犯罪をした人の社会復帰のために」です！！
更生保護制度改革のゆくえ―犯罪をした人の社会復帰のために