2014年02月21日

「実は私は」第52話「凛の家に行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第52話「凛の家に行こう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第52話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。

<ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、さらに幼馴染のみかんも加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その日、朝陽は自宅に1人残された。
両親も妹・鳴も外出している。

朝陽は欠伸を噛み殺しつつ、ひとつ大きな伸びをした。
少し寂しいものの、年頃の男の子らしい開放感もある。
さて、何をしようか……ぼんやりとそんなことを考えつつ、居間へと戻った朝陽。
こたつに座り込むと、横からお茶が出て来た。

「朝陽。はい、お茶」
「ああ、ありが……と!?」
何気なく受け取りながら、違和感に気付いた朝陽。
差し出されたお茶の方向を見て驚く。

其処には凛が居た。
何時の間に此処まで入って来たのか!?
驚愕する朝陽だが、凛は完全に黒峰家に溶け込んでいた。

これも孫として黒峰家の血が為せる業であろうか。
いろいろ考えてしまう朝陽。
一方、何やら寛ぐ凛。

「凛ちゃん、友達と遊ばないの?」
そう言い出そうとして、ふと朝陽は思い出した。
凛は未来人なのだ。
なかなか現代に馴染めていないのかもしれない。

言葉を飲み込んだ朝陽は「俺で良ければ今日一日付き合うよ」と口にする。
これを聞いた凛は心底、嬉しそうに笑う。
その笑顔は祖父に懐く孫のソレだ。

良かったと思う朝陽に、凛は自身の住まいを紹介したいと申し出る。
どうやら、その為にやって来たようだ。

外出の準備を終えた朝陽は、凛に連れられ玄関の外へ。
と、其処に巨躯を横たえた例のドラゴンを発見する。

此処で凛が一言「これが……家」と呟く。
絶句する朝陽の前で、凛が家について説明を始める。

このドラゴンの名は「黄龍丸」。
月額6万7千円の賃貸物件らしい。
凛によれば、バスとトイレが1つになっている点が不満だが、その他の住み心地は快適なのだそうだ。

おもむろに腰の剣を抜いた凛は、それを黄龍丸の首筋に突き立てた。
断末魔の悲鳴を上げて、息絶えるドラゴン。

先程から、何が起こっているのか大パニックに陥っている朝陽の前で凛が息絶えた黄龍丸の鱗を剥ぎ取り扉を開けた。
どうやら、あの剣は鍵になっていたようだ。

もしかして、出入りの度に同じ行動が必要なのだろうか……。
疑問を抱きつつ、グッタリとしたままピクリともしない黄龍丸の脇腹から中へと踏み入る朝陽。

それは凛の部屋へと直結していた。

凛の部屋は中央に炬燵が置かれ、本棚や可愛い人形が並んでいる非常に乙女チックな部屋であった。
未来でも同じなんだなぁ……感慨深い朝陽にふと疑問が。

「そう言えば、これは機密事項に当たらないの?」
口にした朝陽に、凛が硬直する。
どうやら、図星だったようだ。

何やら必死に考えを巡らせた凛。
「あ、朝陽なら……たぶん、大丈夫」
そう告げるのだが……残念ながらその隣には買い物袋を提げたみかんが立っていた。
すなわち、朝陽だけではなくみかんにも目撃されてしまったのだ。

機密事項に触れたことは確定である。
これでまたも未来への帰還が遅くなってしまった……。
悄然と肩を落とす凛に、朝陽はかける言葉を持たない。

そんな2人を他所にみかんは来訪の意図を明かしていた。
どうやら、鳴から朝陽が1人で在宅していることを聞き、ポイントを稼ぐべく手料理を振る舞いに訪れたのだそうだ。
すると、見知ったドラゴンが倒れているではないか。
中を覗くと、朝陽と凛が居たと言う。
だとすると、買い物袋は料理の材料なのだろう。

みかんははにかむような笑顔を浮かべると、いそいそと奥のキッチンへ。
直後に「ちょっと、凛。食材ないじゃない。自炊してないわね」との声が飛ぶ。
これに「ごめん、おばあちゃん」と呟く凛。
聞きつけたみかんは「おばあちゃんは止めて、みかんで良いから」と諭す。
呼び方こそ異なれど、まさに祖母と孫の会話である。
それに本人たちが気付いているのかどうか……。

一方で、みかんのお説教は続く。
「そもそも、凛は友達いるの?いつ見ても1人でフラフラしてるし。たまに人と居るところを見かければ朝陽か獅穂だし……」
みかんの言葉に、顔を伏せる凛。

と、その隣に何時の間にやら新たな影が。
噂をすれば獅穂だ。

今日も今日とてド派手な露出の衣装を身に纏っている。
いや、露出しているのだから身に纏っていると言うのもおかしいか。

ところが、獅穂を確認した凛が慌て出す。
「今日もそんな格好して!!早く此処を出て!!さもないと大変なことに」

どうやら、黄龍丸は反痴女勢力に所属するモノ。
アンチ痴女システムが搭載されており、肌の露出状況に合せて恐ろしいことが起こるらしい。
果たして、どんな大変なことが起こるのか!?

すると、突然にエアコンが動き出した。
暖房?
いや、これは冷房だ!!

季節は冬。
にも拘らず冷房はきつい。
肌の露出の多い痴女に厚着させる為のシステム……それこそがアンチ痴女システムだったのだ。

しかし、室内で冷房が稼働したということは……獅穂以外の者も冷房に曝されるのだ。
確かに、なかなかに恐ろしい。

だが、寒気を感じる朝陽とみかんを他所に獅穂は高笑いを浮かべる。
「これぐらいの対策は!!」
叫ぶなり、さらに脱ぎ出した獅穂。
その服の下にはカイロが多数。
なるほど、薄着の分はこれで暖を採っていたのだろう。

「くっ……」
苦い表情を浮かべる凛だが「黄龍丸を舐めないで」と告げる。

凛の声に応えた黄龍丸。
すると、獅穂の頭上から水が降り注ぐ。
なんと、獅穂はそれをもろに浴びてしまった。

流石にこれは寒い……かと思いきや、獅穂はそれでもへこたれない。
それどころか、濡れた服が透けるので有利と主張する。
ある意味、立派な根性である。

一方、朝陽とみかんは炬燵の中へ。

濡れた獅穂と対峙する凛は次なる手を。
「黄龍丸!!」
再び凛の呼びかけに応じた黄龍丸。
すると……。

獅穂の居るあたり一帯に勢いを増した水が放たれたのだ。
当然、凛も巻き込まれることに。

挫けずに立ち上がる2人だが……。
精神はともかく身体はもたない。
「へっくしょん!!」とクシャミを連発する。

こうなっては勝負も何もない。
引き分けに終わった2人にみかんが声をかけ、幕となった。

数分後、着替えた獅穂と凛は2人仲良く炬燵に潜り込む。
流石の獅穂も今はポリシーに拘らず、厚着である。

そんな2人の様子を眺めていたみかんがポツリと呟く。
「凛、あんた友達居るじゃない」

言われて凛は気付いた……獅穂は憎むべき敵の筈が、何時の間にやら「好敵手」と書いて「とも」と呼ぶべき存在になっていたことに。
これに獅穂も頬を染める。

凛はおそるおそる獅穂に切り出す。
「スパッツを履いてくれるなら、友達と認めても……」

これに獅穂。
「じゃあ、代わりにTバック履いてくれない?」

凛の表情が引き攣った。
和やかなムードから一転、見事なまでの交渉決裂である。

直後、2人が再び刃を交えたのは言うまでもない―――53話に続く。

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、5巻も発売。ちなみに表紙はフクちゃんとみかんですよ!!
そして、本作かなり面白い!!

その52話。
久しぶりの凛ちゃん回。
今回は動く賃貸物件こと「黄龍丸」の正体が明かされました。
ちなみに、剣を構えつつ「黄龍丸ッ」と呼びかける凛の姿に、「黄龍丸」ならぬ「龍神丸」こと「魔神英雄伝ワタル」を思い出したのは秘密です。

それにしても、朝陽とみかんは既に凛の保護者の風格を備えつつあるな。
特にみかん。
流石、多くの弟たちの面倒を見ている苦労人だけのことはある。
今回も好感度がうなぎ上りだなぁ……。
葉子さん、完全にヒロインの座がピンチですよ。

ちなみに、凛は鳴と友達になれば良いのになぁと思った。
物語も広がるだろうし。

そして、鳴が何時の間にやらみかんのスパイと化している……。
みかん……おそろしい娘っ!!
今回も安定の面白さでした!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス5巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂に続き、フクちゃんとみかん。
なるほど、フクちゃんが加わったからこそみかんの秘密(朝陽が好き)が暴かれたからか。
だから、フクちゃん登場までは表紙に出来なかったワケなのかな。
こうなると、6巻が凛、7巻が明里かな。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
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