ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する連続殺人鬼。
白雪:辻に恋焦れる少女。
<ネタバレあらすじ>
辻にとって白雪との出逢いは衝撃的であった。
中学時代が終わりを迎え、その卒業の日。
告白を偽装し、旧校舎へと呼び出した女子生徒を殺害した辻。
その殺害現場を白雪に目撃されたのだ。
だが、白雪は目の前で行われている殺人にも興味を示さず、辻に第2ボタンをねだる。
自身の行動を棚に上げ、呆気にとられる辻。
目撃者は消さねばならないのだが……。
口封じすべく凶器に手を伸ばす辻だが、白雪に怯えの色は無い。
それどころか、やっぱり第2ボタンをおねだりするのだ。
通常ならば、慌てるなり逃げるなりすべきところだろう。
どうにも白雪の反応は常識を逸脱している。
すっかり白雪のペースに乗せられた辻は遂に第2ボタンを手渡してしまうのであった。
その夜、辻は自宅でへこんでいた。
白雪に目撃された上に、死体の処理までさせることになってしまったからである。
実は辻はWCO(世界お掃除機構)に所属する殺人鬼。
WCOが指定する「罪人」を殺害することにより裁いているのである。
辻は娘を虐待する親などをも処刑しており、今回の殺人もイジメにより3人を死に追いやった人物への処刑であった。
そんな辻を呼ぶ声があった。
声の主はスマホから呼びかけている。
その正体はWCOのナビゲーターであった。
彼女は目撃者である白雪を殺さなかったことを批難する。
これを受けた辻は、改めて機会を窺うべく白雪をデートに誘うことに。
白雪はこれを知ってか知らずか大喜びで了承する。
そしてデート当日。
隙を窺う辻だが、天真爛漫な白雪に振り回されてしまう。
白雪はボイスレコーダーまで持参する念の入れようだ。
その笑顔に惹かれた辻は、最後まで白雪を殺すことが出来なかった……。
別れ際、辻は自分が白雪を殺そうとしていたことを打ち明け、今後は距離を置くように伝える。
だが、白雪は辻に殺されるのならむしろ本望と笑うのみである。
白雪と別れた辻の前を自転車が通り過ぎて行く。
ふと、辻は白雪が落としたボイスレコーダーに気付く。
何気なくこれを聞いた辻は「あいつを殺さなければ……」と呟くのだが……。
数分後、辻とのデートの余韻に浸る白雪の背後に影が迫っていた。
影は刃物を持ち出し白雪に切りつけようとして、何者かに切り伏せられてしまう。
物音に驚く白雪の目に飛び込んで来たのは……。
倒れ伏す自転車の運転手と、これを手にかけた辻の姿であった。
実は自転車の運転手は辻が追う連続通り魔だったのだ。
白雪は通り魔に狙われており、辻が「殺さなければ」と考えたターゲットは通り魔であった。
奪うべき相手の命を救った辻。
奪われそうであった命を救われた白雪。
この2人の間には、過去にもこのようなことがあったのである。
過去、白雪は親に虐待を受けていた。
そんな苦痛を感じ続ける日々を終わらせたものこそが、辻だったのだ。
辻が虐待を繰り返していた親を殺害し、白雪は解放されていたのである。
中学に入学した白雪は其処で辻に出会い、彼があのときの殺人者であると気付いた。
辻は知らなかったが、白雪にとって辻は恩人だったのだ。
ボイスレコーダーには白雪が辻への想いを吹き込んでいたのだ。
これにより、辻は白雪を殺すことが出来なくなった……。
同じ高校に進学した辻と白雪。
新生活に胸を膨らませる2人。
その入学式のことである。
白雪のこめかみに銃を突き付ける女子生徒が居た―――2話に続く。
<感想>
「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載開始です。
その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する連続殺人鬼。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛する少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。
見たところ、「未来日記」的な雰囲気を持った作品と呼ぶべきでしょうか。
・少年エース連載「未来日記」(えすのサカエ作)が遂に完結&最終話ネタバレ批評(レビュー)
親から虐待を受けた白雪は由乃。
そんな白雪の恩人であり心の支えである辻は雪輝。
白雪から辻への愛は、由乃から雪輝への愛を髣髴とさせるし。
端末を用いるところは「未来日記」の携帯が該当して、担当さんはムルムルポジションか。
やはり、どことなく「未来日記」を思い起こすなぁ……。
となると、辻だけではなく白雪自身にも何か秘密がありそうだなぁ。
ボイスレコーダーにわざわざ事情を吹き込んでいて、それを辻に拾わせたのはどうにも作為的だし。
中盤で白雪無双状態になり、終盤になって自身の正義に悩む辻と対立することもあるかも。
それと、1話ラストの少女は何処となくみねねっぽいところもありました。
しかも、不思議なことに本作は活字にするとシリアス調に感じるんだけど、内容はシリアスかつギャグ。
う〜〜〜む、得体が知れないと言うか、何とも判断の難しい作品だ。
だが、人の目を惹く力はある。
この力が今後も続くのかどうか……注目してみたいと思う。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」、「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
◆関連過去記事
・少年エース連載「未来日記」(えすのサカエ作)が遂に完結&最終話ネタバレ批評(レビュー)
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