<あらすじ>
大学で犯罪心理学を教えている神津恭介(片岡愛之助)。神津は自身のゼミ室で、かねてからの知り合いで推理小説家の松下研三(藤井隆)から、次回作のプロットを相談されていた。その小説のモデルとなっているのは、財界の重鎮である森島信太郎(大村波彦)。そんな森島が、自宅の応接室で3億円のダイヤの商談中に殺害された。「アンドロメダの奇跡」と呼ばれる3億円のダイヤを欲しがっている女性と宝石店の外商、久原諒一(伊藤正之)を仲介するため、箱根にある邸宅の応接室に呼びつけていたという。そこへ突如訪ねてきた“黒ずくめの女”。森島は、この“黒ずくめの女”と2人きりで値段の交渉をしたいと久原に話を持ちかけ、久原から渋々承諾を貰い応接室で商談を進めていた。しかし、しばらくたっても応接室から出てこない2人。妻の世津子(小松みゆき)と森島興業の専務、浜田和重(大高洋夫)が部屋に入ると、森島は殺害されていた。殺害現場は、何の抜け穴も隠れ場所もない密室…。しかし、忽然と姿を消してしまった“黒ずくめの女”と3億円のダイヤ。
さらに、殺人はこれだけにとどまらず、第2、第3の殺人へと連鎖していく…。この連続殺人事件には、何か奥深い因縁があるのだろうか!?名探偵・神津恭介によって次々と暴かれていく新事実…。最後まで手に汗にぎる展開で、ミステリーファンを楽しませること間違いなしの、金曜プレステージ『名探偵・神津恭介〜影なき女〜』をお見逃しなく!!
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
神津恭介は大学で犯罪心理学を教えている権威。
一方で、神津はミステリ作家の松下研三や保険調査員の早乙女英美と共に数多くの事件を解決し、名探偵とも呼ばれている。
その実績から、篠原継雄刑事課長の信頼も厚い。
そんな神津が次に手掛けた事件は、財界の重鎮である森島信太郎殺害事件。
森島は自宅の応接室で3億円のダイヤ「アンドロメダの奇跡」の商談中に殺害されたのだ。
状況は次の通りである。
森島宅を黒ずくめの女と宝石店の外商である久原諒一が訪れた。
彼らは「アンドロメダの奇跡」を巡り、森島宅で会合を持ったのだ。
これを森島の妻・世津子、森島の秘書である杉江千恵子、森島が経営する会社の専務・浜田和重の3人が森島が待つ応接間へと案内した。
応接間へ通された黒ずくめの女と久原は森島と談笑していた。
ところが、森島は急に黒ずくめの女と2人きりで話がしたいと主張。
これを受けて久原が席を外して数十分が経過した。
すると、突然中から森島の呻き声が……。
不安に駆られた世津子たちが中へ踏み込むと、森島が床に倒れ込んでいた。
浜田がこれに駆け寄り抱き起したところ、森島は「く……くろ……ず、く、め」と言い残し絶命してしまう。
当の黒ずくめの女は姿を消しており、テーブルの上にあった筈の「アンドロメダの奇跡」も消えていた。
応接間は入口前には世津子たちが居り、入退室は不可能。
さらに、窓も施錠されており密室であった。
果たして、黒ずくめの女と「アンドロメダの奇跡」は何処に消えたのか!?
この謎に挑むこととなった神津は関係者の間を巡り、「アンドロメダの奇跡」消失が森島による狂言だったのではないかと推測する。
おそらく、森島は黒ずくめの女に襲われ「アンドロメダの奇跡」が奪われたと騙り、被害者として保険金を詐取しようと考えていたのだろう。
ところが、この森島の計画を第三者が利用して森島を殺害し「アンドロメダの奇跡」を持ち去ったのだ。
その矢先、黒ずくめの女として澤村静香が浮上する。
静香は神津が考える黒ずくめの女の条件にピッタリ合致する女性であった。
そんな中、森島の甥・相良が黒ずくめの女に殺害されてしまう。
同時刻、静香には確固たるアリバイがある。
当然、犯人とは考えられない。
こうして、神津は壁にぶつかることに。
その間に、浜田専務までもが黒ずくめの女に殺害されてしまう。
これにより神津は、森島殺害は黒ずくめの女の犯行ではなく狂言を知っていた浜田専務が便乗したものと判断する。
森島は狂言の為に倒れ込んだふりをした隙を突かれ、浜田に毒物を注射され殺害されたのだ。
神津は森島、浜田専務、黒ずくめの女の3人がある1点で共謀していたと考える。
それが、森島が発案した「アンドロメダの奇跡」を用いた保険金詐取。
だが、他の2人は全く別のことを考えていた。
浜田専務はこの機を利用し森島殺害を、黒ずくめの女は「アンドロメダの奇跡」を本当に奪い去ろうとしていたのだ。
結果、事件は複雑な様相を帯びたに違いない。
事件の関係者として、黒ずくめの女に成り得る人物は世津子、千恵子、静香の3人。
だが、世津子と千恵子には森島殺害時にアリバイが、静香には相良と浜田殺害時にアリバイがあるのだ。
なんとも、帯に短し襷に長しの状態である。
悩む神津だが、ふと千恵子と静香の行動を思い浮かべる。
彼女たちは共に「口付けたカップの淵を手で拭う癖」を持ち、「アンドロメダの奇跡」を「ダイヤのネックレス」と呼んでいたのだ。
この共通項があったことから、神津はある推理に辿り着く。
神津から連絡を受けた篠原刑事課長は「アンドロメダの奇跡」捜索の名目で千恵子宅を家宅捜索する。
さらに、次に静香宅を捜索することを教えてしまうのだが……。
それから1時間後、何故か見晴らしの良い展望台らしき場所に現れた千恵子は静香に連絡を入れる。
「早くアンドロメダの奇跡を他の場所に隠して!!」
電話の先の静香はこれを了承したようで、千恵子はほっと胸を撫で下ろす。
ところが、その背後から声をかける人物が……神津である!!
すべて神津の罠だったのだ。
静香は「アンドロメダの奇跡」を持ち出したところで、早乙女らに捕まった。
此処に神津は事件の真相を告げる。
黒ずくめの女は2人居たのだ。
千恵子と静香が互いに互いに互いのアリバイをフォローしたのである。
だが、神津は千恵子と静香の癖から2人が同じ環境で育ったことを見抜いた。
神津によれば、ミラーニューロンと呼ぶらしい。
実は千恵子と静香は血の繋がりこそないが、同じ養母・ハルに育てられた姉妹であった。
だが、千恵子が悪い男に騙され金を騙し取られた。
これにより、ハル、千恵子、静香は離れ離れの生活を余儀なくされる。
それでも、ハルと静香は千恵子を許した。
千恵子は責任を感じ、森島のもとで働きつつ、いつか3人で再び生活出来る機会を伺っていた。
それから数年、森島は保険金詐取を目論み静香を仲間に引き入れた。
これを静香から聞かされた千恵子は利用することを提案。
こうして、静香が黒ずくめの女を演じ、アンドロメダの奇跡を奪い取った。
ところが、この際に森島が浜田専務に殺害されてしまう。
静香の犯行にされることを危惧した千恵子は、咄嗟に窓に鍵をかけ密室に仕立てた。
密室にし、内部犯の犯行にする為である。
ところが、浜田と相良が静香に気付き脅迫を始めた。
其処で、千恵子は静香にアリバイを補完しつつ、これを排除する方法を採用する。
すなわち、静香にアリバイがある時間に、自身が黒ずくめの女に扮しこれを抹殺したのだ。
千恵子自身には森島殺害時のアリバイがある以上、安全な筈であった。
だが、すべてを神津に見破られてしまったのである。
3人で一緒に暮らす為にお金が欲しかった……と洩らす千恵子。
これに神津は「手段を誤ったんだ」と叱責する。
ハルは貯金を続け、3人で暮らせる日を夢見ていたようである。
これを聞かされた千恵子はがっくりと膝を突くのであった。
数日後、松下は大喜びで完成原稿を神津に渡していた。
どうやら、今回の事件をそのまま自身の作品にしてしまったようである。
神津は苦笑いを禁じ得ないのであった―――エンド。
<感想>
リメイク版「名探偵 神津恭介」シリーズ第1弾。
原作は言わずと知れた大傑作にして大乱歩も絶賛した『刺青殺人事件』の著者・高木彬光先生の一作『影なき女』(光文社刊『神津恭介、密室に挑む』収録)。
原作のあらすじは次の通り。
<あらすじ>
眉目秀麗、頭脳明晰、白面の貴公子。輝かしい形容に彩られた名探偵、神津恭介。彼が挑むのは密室トリックの数々。鍵の掛かった部屋の外に残された犯人の足跡、四次元からの殺人を予告する男……。不可解極まる無数の謎を鋭い推理でクールに解き明かす! いつまでも燦然とした魅力を放つ神津恭介のエッセンスを凝縮した六つの短編を収録。傑作セレクション第一弾!
(光文社公式HPより)
原作「神津恭介シリーズ」は2013年に光文社さんにて新装版が次々と発売されています。
ドラマとの相乗効果も期待したいもの。
ちなみに、1983年には「土曜ワイド劇場」で「探偵・神津恭介の殺人推理」にて近藤正臣さん主演でシリーズ化。
後には同じく「土曜ワイド劇場」にて「天才・神津恭介の殺人推理」として村上弘明さん主演でシリーズ化されました。
そんな神津が遂に2014年の今に復活!!
奇しくも今宵は3月14日、天才・神津からのホワイトデーに酔うべし!!
では、ドラマの内容を。
う〜〜〜ん、名作のドラマ化だけにハードルが高くなり過ぎたのかもしれないなぁ。
ちょっと、思っていたよりも薄味気味な仕上がりの印象。
本作に関して言えば、もうちょっと派手目にまとめても良かった気がしないでもない。
とはいえ、視聴者から求められる基準は充分に満たしていたような気がします。
シリーズ化して、次回以降に期待です!!
◆関連過去記事
・「名探偵・神津恭介」が2時間サスペンスに華麗なる帰還を果たす!!金曜プレステージ「名探偵 神津恭介〜影なき女〜」が2014年3月14日に放送予定!!
<キャスト>
犯罪心理学教授・神津恭介(かみづきょうすけ)40歳:片岡愛之助
保険調査員・早乙女英美(さおとめひでみ)38歳:水野真紀
推理小説家・松下研三(まつしたけんぞう)39歳:藤井隆
神奈川県警箱根中央警察署刑事課長・篠原継雄(しのはらつぐお)50歳:宇梶剛士
法医学者 神津の義父・古沢三郎(ふるさわさぶろう)65歳:里見浩太朗 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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