ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
権藤:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。
<あらすじ(途中まで)>
〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その日、バニーは1人肩を抱きながら部屋の隅でふるふると震えていた。
その目の前にはさゆりが新聞紙で作った紙の刀を手にスヤスヤと寝入っている。
バニーは両手を握り合わせると真剣に祈った。
さゆりが起きませんように……と。
何故なら、今の権藤家はバニーとさゆりの2人きりとなっているからである。
(あの野郎……上手く逃げやがって)
バニーはリコスのにやけ面を思い浮かべる。
リコスは買い出しに出かける権藤の付き添いの為に、家を離れていたのだ。
これが何を意味するか!?
恐ろしい事だが普段リコスとバニーの2人で支えているさゆりの暴虐、それを今日に限ってはバニー1人で受けることとなるのだ。
すなわち、バニーにとって死の宣告に等しい。
しかも、間の悪いことに今日に限っては源さんも恭也もやって来ない。
孤立無援であった。
だからこそバニーは必死に祈った。
権藤たちが戻って来るまでさゆりがこのまま寝ていますように、と。
そのとき、バニーは不穏な気配を感じ咄嗟に上半身を反らした。
すると……。
フォン!!
鋭い風切音と共に強烈な衝撃が首筋を掠めた。
そして、何やら首元に感じるぬめり。
慌てて手を触れると、首の皮が薄く裂け血が流れ出していた。
バニーはさゆりを見た。
さゆりは先程と同じく寝入っている。
だが、手の位置が動いていた。
そう、さゆりは寝ぼけて新聞紙の刀を振り回したのだ。
そして、その衝撃で鎌鼬が発生。
その鋭い切っ先がバニーを襲ったのである。
もし、少しでも回避行動が遅かったら……バニーは先程まで背中にあった柱を眺めつつ背筋を凍らせた。
柱は途中から真っ二つに裂けていた。
バニーの頬を冷たい汗と共に熱い涙が流れ落ちる。
そんな中、もっとも恐るべき声が聞こえて来た……。
「ふわぁぁぁぁぁぁぁ、良く寝たでしゅ」
さゆりが目を覚ましたのだ。
瞬間、バニーは死を覚悟した……。
果たして、バニーの安否や如何に!?
この続きは今週の「週刊少年チャンピオン」本誌にて確認せよ!!
<感想>
「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!
ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。
つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。
そんな仕切り直しの4話(通算9話)。
今回は前回のリコス回に続き、バニー回。
今回も良いですね〜〜〜絶妙のバランスでした。
あらすじの後には「死のだるまさんが転んだ」が行われることになるのですが、あのテンポが面白かった。
さらに、バニーが目にするさゆりの影に浮かぶ死神の姿……恐るべし。
この辺りは本誌を確認して楽しんで欲しいところ。
ただ、些か惜しいところもある。
ちょっとラストが弱かったかなとの印象。
この展開だとあのラストしかないとは思うのだが、それ故に弱さを感じた。
個人的に「最強少女さゆり」には「お約束展開」を守りつつ「王道」を進んで欲しいのだが、今回に限っては捻った方が良かったかもしれない。
それと、「だるまさんが転んだ」よりも、最初の「寝入ったさゆりの一挙手一投足に怯えるバニー」の方がツボだったので、それだけで1話にした方が管理人の嗜好にはマッチしたかな。
例えば、新聞紙の刀でじわじわと追い込まれて行くバニーを描く的な。
それこそが「さゆり自身は一切気付かず、それでいて大きなプレッシャーを相手に与える展開」の最たるものだと思ったので。
本作の魅力は、あのファンシーな絵柄で驚きのアクションを魅せることなんだと思う。
とはいえ、おそらく此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられないだろうなぁ。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。
彩百合の両親が謎ですね。
山中の病院で1ヶ月に1度のお見舞い……「となりのトトロ」を思い出しました。
さゆりの母は静養中なのでしょうか。
そう言えば、リコスはトトロっぽいと言えなくもないか。
入院中とのことですが、何か理由があるのでしょうか。
このあたりも謎だし、連載になった以上はいずれ明かして欲しい。
ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめてみましたが、残念ながらその面白さを伝えきれていませんね。
やっぱり、本作を直接読んで欲しい。
もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や「実は私は」など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
◆関連過去記事
【短期集中連載版】
・「最強少女さゆり」第1話「さゆりと宇宙人」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第2話「さゆりとチャンバラ」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第3話「さゆりとアルバムと私」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第4話「さゆりと峠とお見舞い」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」最終話(第5話)「さゆりとサヨナラの日」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
【連載版】
・「最強少女さゆり」第1話(6話)「さゆりと絵日記」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第2話(7話)「さゆりと師匠と落とし穴」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第3話(8話)「さゆりとオオカミ」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
【関連する記事】
- 『スーサイド・パラベラム』第9話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2016vo..
- 「実は私は」第1話から第160話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオ..
- 「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(..
- 「実は私は」第160話「藍澤渚と藍澤渚E」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」最終話(第35話)「事件の先に」..
- 「実は私は」第159話「藍澤渚と藍澤渚D」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第107話「いつかの文学全集」(加藤元浩作..
- 「黒霊ホテル殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連..
- 「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チ..
- 「実は私は」第158話「藍澤渚と藍澤渚C」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第34話「真犯人」(作画・星野泰..
- 「実は私は」第157話「藍澤渚と藍澤渚B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第106話「動く岩」(加藤元浩作、講談社刊..
- 「実は私は」第156話「藍澤渚と藍澤渚A」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第33話「真相」(作画・星野泰視..
- 「実は私は」第155話「藍澤渚と藍澤渚@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「実は私は」第154話「勘違いしよう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 【エピソード最終話】「黒霊ホテル殺人事件」最終話、第6話(「金田一少年の事件簿R..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第32話「二重人格」(作画・星野..
- 「ビーストコンプレックス」最終話(第4話)「カンガルーとクロヒョウ」(板垣巴留作..