ネタバレあります、注意!!
あの名作「MASTERキートン」の続編が「ビッグコミックオリジナル」に掲載されています。
今回で7話目です。
早速、その感想をお伝えするべくこうして記事にした次第!!
「MASTERキートン」をご存じの方はもちろん、ご存じない方も本作に興味を持って頂ければと思います。
<ネタバレあらすじ>
娘・百合子に会うべくマルタ島へとやって来たキートン。
とある酒場らしき場所に足を運んだキートンは、其処で椅子に座り込んだまま酔っ払った老人に声をかける。
何処か不機嫌そうにキートンを見上げる老人。
だが、キートンは老人のそんな視線を意に介さず笑いかけると、テーブルに置かれていた妖精の人形に目を向ける。
「おや、普通の帽子は7つなのに8つとは珍しいですね」
妖精の人形は8つの帽子を被っていた。
キートンはこの1つを取り外すと、同じくテーブルの上の杯に収めた。
すると、老人の態度が一変。
にこやかにキートンへと笑いかけた。
まるで、お若いの分かってるじゃないか……とでも言うように。
こうして、キートンは老人と親しくなった。
その頃、考古学者であるDrベーメは不機嫌であった。
自身の研究の為に酒場の地下にある遺跡を調査したいのだが、これを管理するDrバルザンが許さないらしい。
交渉に当たるも、毎回、謎かけにはぐらかされる始末。
其処で今回は百合子が交渉に出向くことに。
とはいえ、DrベーメやDrエンデらは「どうせ駄目なんだろうけど」と諦めムードである。
百合子が去り、残されたベーメらの間で話題に上ったのは百合子の父・キートンについて。
Drベーメはキートンについて、エンデ相手に痛烈な批判を展開する。
彼らが知るキートンはドナウ文明の提唱者としてのソレ。
だが、その評は途轍もなく辛い―――好意的に見ても夢想家に過ぎないとまで述べる。
その理由は、キートンの唱えるドナウ文明が父権社会と母権社会が併存していたとする点にあった。
エンデにとって、それはありえないことらしい。
百合子が夫・基行と離婚した理由も其処にあった。
基行もまたベーメ同様にキートンの説を真っ向から否定したのだ。
それが百合子には許せなかったのである。
キートンと合流した百合子は「ドナウ文明」の証拠品について父に尋ねる。
果たして、キートンには確たる証拠があるのか……。
これにキートンは1枚の写真を百合子に提示する。
其処には発掘品が写っていた。
キートンによれば、ドナウ文明を証明する確かな品だそうだ。
だが、学会がこれを否定した。
ひとえにキートンがどの権威にも属していないことが理由である。
それゆえに、誰もキートンの説を認めてくれないのだ。
説の是非ではなく、提唱者の出自が問われる事態に憤慨する百合子。
そんな百合子を前に、キートンは何処か諦めた表情すら浮かべている。
翌日、バルザンのもとを百合子が訪ねることになった。
同行したのはキートンとベーメ。
バルザンとは冒頭のあの老人であった。
バルザン老人は百合子に問う。
「胸に重みを感じるのだが……どうすればよいか?」と。
これに黙り込んでしまう百合子。
またか……と呆れ顔のベーメ。
1人、キートンは妖精人形の帽子を外すと杯に入れる。
前日と同じ行動だ。
「正解!!」
これに我が意を得たりと喜ぶバルザン老。
キートンの行動を見た百合子も何かに気付いたように笑顔で同じ行動を取る。
ベーメはワケも分からず立ち尽くすが……。
キートンはある民話を語り出す。
それは、次のような物語。
1人の男が睡眠中に胸に重みを感じた。
静かに目を開いたところ、妖精が其処に居た。
男はそっと妖精の帽子を手にすると窯に隠した。
こうすると富が手に入るとの伝説を知っていたからである。
男は伝説通り、富を手に入れることが出来た。
妖精にとって杯も窯も同じ大きいもの。
そして、窯とは母権社会を象徴するものであった。
其処でバルザンはこのエピソードを知っているかどうか、また応用が効くかどうかを試していたのである。
未だ納得出来ない様子のベーメだが、キートンの執成しでバルザンからは合格となった。
こうして、酒場の地下へと立ち入ったキートンたち。
その目の前に広がったのは地下遺跡とその中央に置かれた1つの大窯であった。
その窯に刻まれたのは母権社会を意味する女性。
そして、父権社会を意味する角。
つまり、この大窯には父権社会と母権社会が同居していたのである。
それは、此の地で父権社会と母権社会が併存していたことを示す。
すなわち、キートンの提唱するドナウ文明の可能性を示す物でもあった。
ベーメはこれに言葉を失う。
その帰路、思わぬ発見に興奮した様子の百合子。
シュリーマンの例を引き、キートンの研究も何れ報われると勇気付ける。
「2人で居れば悲しみは半分、喜びは2倍」
この言葉を思い出すキートン。
今のキートンにとって、この言葉は至言であった。
そう、百合子と共に在ることでキートンの悲しみは半分に、喜びは2倍となったのだ―――エンド。
<感想>
「Reマスター」第7話「マルタ島の女神」です。
6話「オオカミ少年」に引き続き、父と娘の絆に触れられました。
・「MASTERキートン Reマスター」第6話「オオカミ少年」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
同時にキートンと百合子の謎についてもそれぞれ背景が判明。
まず、キートン。
「MASTERキートン」本編ラストにて「ドナウ文明」を発掘したキートン。
そんな彼が何故、未だ世に認められず鬱屈を抱え続けることになったのかが明らかに。
それが「学会に認められなかった」から。
すなわち、権威主義に排斥されたからだったとは……。
「MASTERキートン」本編でも、これが原因でかなり苦労していましたが、実績を挙げた状態でもその実績自体を否定されることになっているとは。
そして、百合子の離婚の謎。
こちらは夫が舅であるキートンを碌に理解しようとしなかったことにある様子。
それは、あの父にこの娘ありである百合子自身のルーツを否定されることに他ならず、到底許せなかったのでしょう。
7話までの読者の印象としては基行もまた権威主義者であり、百合子が愛する父・キートンとは真逆の人間に見えます。
そんな基行と何故、百合子が結ばれたのか……。
元々は基行もキートンと同じタイプだったが、変わってしまったのか?
それとも、基行は自身の発言に大した意味はなかったつもりなのか?
ただ、百合子が離婚を決意する契機こそがあの発言だったしても、即それだけで離婚とは考えづらく、結論に至るまでに細かい擦れ違いが積み重ねられていたのは間違いないと思われる。
当然、根は深い。
だが、「2人で居れば悲しみは半分、喜びは2倍」とは、親娘間だけではなく夫婦にも通用する言葉。
基行と百合子にも通用する筈なのだが、2人の復縁は有り得るのか!?
もし、有るとすればこの辺りがキーになるか!?
しかし、基行の顔が明らかにされていないこともあり、復縁の可能性は限りなく低そう。
こうなると、平賀家は3代続いて離婚者続出だなぁ……。
それにしても基行……顔が出ない。
これにもストーリー上の意味が何かあるのか……もしかすると、後程の伏線!?
気になるなぁ。
遂に、キートンと百合子親娘に関わるエピソードが描かれました。
百合子と夫・基行との関係はこのままなのか……!?
そういえば、チャーリーも出てませんね。
こちらの登場もあるのか?
要注目!!
ネタバレあらすじでは本作の良さは伝えられていません。
是非、「ビッグコミックオリジナル」本誌をご覧になって頂きたい。
◆関連過去記事
・「MASTERキートン」続編決定!!タイトルは「MASTERキートン Reマスター」、舞台は20年後とのこと!!
・「MASTERキートン Reマスター」第1話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第2話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第3話(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第4話「ハバククの聖夜」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第5話「女神とサンダル」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第6話「オオカミ少年」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「MASTERキートン Reマスター」第8話「栄光の八人」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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