<あらすじ>
北見志穂(松下由樹)は、警視庁捜査一課の刑事。自ら“おとり”となって事件の渦中に飛び込み、同僚の袴田刑事(蟹江敬三)の協力を仰ぎながら、数々の難事件を解決してきた。
ある朝、団地の屋上で真っ赤なワンピースを着た女性の絞殺死体が発見された。遺体の顔を確認した志穂は、がく然とする。今は亡き後輩警察官・三田村千絵(中島亜梨沙)の大学時代の同級生・篠原祐子(柴田かよこ)だったのだ。千絵は、カメラマン・片桐悟志(田中幸太朗)との結婚を控えて幸せの絶頂にいた昨年12月、山梨・本栖湖湖畔のバンガローで起きた爆発に巻き込まれ、他界していた。
山梨県警の大森貴子警部補(東風万智子)らの調べで、千絵が死の当日、山梨・大月駅構内の公衆電話から何者かに呼び出されていたこと、仲根益美(大谷みつほ)という富士吉田市在住のホステスがバンガローにプロパンガスを持ち込んだことまで突き止めたものの、益美は事件後、こつ然と姿を消しており、千絵が事故死なのか他殺なのか真相は不明のままだった。
その後の調べで、犯人は別の場所で祐子を殺害した後、わざわざ団地の屋上まで遺体を運んだことがわかる。さらに、祐子もまた婚約中で、相手は片桐の友人・山路康介(長谷川朝晴)だった。志穂は、結婚を直前にした同級生2人の死に、何らかの関連があるのではないかと直感する。
そんな中、祐子は死の直前、“カラー・スーパーバイザー”の“マダム・ルリコ”のもとを訪れていたことがわかった。マダム・ルリコは衣服の色を監修し、運気を上げるアドバイスを行っているが、常に黒いベールで顔を隠しており、素性不明のナゾの女性だった。ルリコは事件の夜、祐子は7時過ぎに帰っていったと証言する。
そこへ、驚くべき情報が舞い込んだ。祐子が事件の夜、大月市内の喫茶店からかかってきた電話に出ていたことが発覚。目撃証言から、電話をかけたのは1年近く行方不明だった仲根益美であると判明したのだ。やはり、千絵と祐子の死はつながっていたのだ…!だが、益美と被害者たちとの接点は、相変わらずつかめない…。
益美の周辺を探りつつ、志穂と袴田は、千絵や祐子に恨みを抱く大学時代の後輩・西条弥生(沢井美優)を訪ねる。弥生は大学時代に千絵たちと登山した際、転落して骨折し、現在も車いす生活を送っていた。袴田は、娘を不憫に思う父の二郎(宇梶剛士)の妬みからの犯行を怪しむ。そんなとき、今度は千絵たちの大学時代の友人でタレントの牧野梓(伴杏里)が、黄色いワンピース姿で死体となって見つかって…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
北見志穂は、警視庁捜査一課の刑事。
囮捜査官として、同僚の袴田と共に数々の事件を解決して来た。
その日、志穂は後輩警官で今は亡き三田村千絵を思い起こしていた。
千絵は志穂に憧れ刑事を目指していたが、婚約者でカメラマンの片桐悟志との結婚の為にこれを諦めていた。
それでも千絵は満足そうであったが……1年前、北海道の裾野に広がる本栖湖畔のバンガローで謎の爆死を遂げてしまう。
これは殺人事件と思われており、大森貴子警部補らが必死に捜査を続けていた。
大森警部補によれば、仲根益美なる女性が容疑者となっているらしい。
益美が現場となったバンガローにプロパンガスを持ち込んだことが分かっていたのである。
益美はその直前に、入院中であった息子を亡くしていた。
これが何らかの動機に繋がると思われていたのだが……当の益美は行方不明であった。
そんなある日、富士の雄大さが目に出来る団地の屋上で篠原祐子という女性が真っ赤なワンピースを着た姿で殺害される。
祐子は千絵の大学時代の同級生であった。
祐子もまた千絵同様に山路康介との結婚を控えていた矢先の出来事であった。
ちなみに、山路は片桐の友人。
これにもう1組、千絵と祐子の同級生でタレントの牧野梓とその婚約者で片桐と山路の友人・橋下を加えた3組が互いにカップル同士で交流を深めていた。
志穂は千絵に続き祐子が死亡したことで同一犯による連続殺人と推測。
共通の恨みを持つ人物をあたったところ、千絵や祐子の大学時代の後輩・西条弥生が浮上する。
弥生は過去に千絵たちと共に登山に出掛けて事故に遭い、以来車椅子生活を余儀なくされていたのだ。
弥生自身には犯行不可能。
だが、その父・西条二郎ならば十分に犯行可能であった。
こうして、西条二郎に容疑が集中することに。
一方、祐子が“カラー・スーパーバイザー”を名乗るマダム・ルリコと親しかったことが判明。
祐子が死亡時に赤いワンピースを着ていたのは彼女の助言であったことが分かった。
マダム・ルリコを調べる志穂たちだが、ルリコは黒いベールで顔を隠した謎の人物。
限られた人間のみしか、その正体を知らないのだ。
志穂はマダム・ルリコにも疑いの目を向けるが……。
そんな中、今度は梓が黄色いワンピースを着用し死体で発見される。
西条父娘には監視がついており、犯行は不可能であった。
大森は弥生の入院先と益美の息子の入院先が同じであったことから、其処で2人が接点を持ち、依頼を受けた益美が千絵、祐子、梓を殺害したと考える。
しかし、志穂は犯人の狙いが千絵、祐子、梓ではなく、その婚約者である片桐、山路、橋下にあるのでは……と考える。
思い当たる節について片桐たちに尋ねたところ、8年前に道端で苦しんでいた人が居たのだが急いでいた為に助けなかったことがあるとの証言が得られるのだが……。
ところが、西条の妻がマダム・ルリコが原因で死亡していたことが判明。
大森たちは次の被害者はマダム・ルリコに違いないと考え、この警護を行うことに。
事件を解決したい志穂は、自らマダム・ルリコの囮を申し出る。
こうして、囮となった志穂。
西条は妻の復讐をすべく囮とも知らずマダム・ルリコを襲撃。
しかし、控えていた刑事に逮捕される。
さらに、マダム・ルリコを訪ねて現れた益美の身柄も確保に成功。
西条と益美を拘束したことで、事件は解決したかに思われたが……。
直後に、志穂が何者かに連れ去られてしまう。
同じ頃、西条は千絵たちの殺害を否定。
あくまで、マダム・ルリコへの復讐しか考えていなかったと述べる。
さらに、弥生も祐子と梓はともかく、千絵は恨んでいなかったと告白。
千絵は優しい性格で、弥生にも世話を焼いていたらしい。
さらにさらに、益美から衝撃の事実が明かされる。
実は千絵の爆死には秘密が隠されていたのだ。
本来は、祐子、梓、益美がバンガローで死亡する筈だったのである。
当時、祐子は就職したものの、先輩に苛められていた。
梓は橋下と別れ話が持ち上がって、傷心の状態にあった。
益美は息子を亡くし絶望していた。
ネットを通じて祐子、梓と知り合った益美。
3人は自殺を考え始めた。
そして、バンガローにてプロパンを持ち込みガス自殺を実行したのだ。
しかし、途中で梓に橋下からメールが届く。
其処には復縁を持ちかける内容が記されていた。
これを見た梓は自殺を中止。
梓につられるように祐子と益美も自殺を取り止める。
祐子たちは朦朧としつつバンガローを脱出。
ふらふらと周辺を彷徨っていたところ、急にバンガローが爆発した。
戻ったところ、千絵が爆死していたのである。
実はこれに先立つこと数時間前、祐子は千絵に自殺を仄めかす連絡を入れた。
「富士を眺めつつ、その裾野で死ぬわ」
祐子のその言葉を聞きつけ、千絵は心配して様子を見に来たのだ。
千絵にとっては思いも寄らない悲劇であった。
祐子たちはその場を逃げ出した。
其処へちょうど通りかかったのがマダム・ルリコ。
以後、益美はルリコに保護され続けていた。
益美がルリコを訪ね拘束されたのも当然だったのだ。
一方、連れ去られた志穂の前には祐子と梓を殺害した真犯人が立っていた。
真犯人は片桐であった。
千絵を失い傷心の日々を送っていた片桐。
ある夜、祐子と梓の会話を聞いて真相を知ってしまう。
彼は恋人・千絵の仇を討ったのだ。
まずは祐子である。
祐子は詫びるどころか「千恵の死は静電気の所為だったの。運が悪かったのよ」と開き直った。
逆上した片桐は千絵を殺害してしまう。
その後、祐子が千絵に伝えたように、富士の裾野が見える位置へと運んだのだ。
続いて、梓。
梓は片桐に命乞いし、益美の存在とマダム・ルリコが匿っているらしいことを明かした。
しかし、それで片桐が許す筈もない。
梓の遺体も富士の裾野が良く見える土地に運んだ。
残るは益美だけである。
マダム・ルリコを捕らえ行方を問い詰めようとしたところ、入替っていた志穂を誤って連れ去ってしまったのであった。
片桐は志穂に土下座する。
益美を此処に連れて来てくれ、と。
片桐にとって千絵はすべてであった。
だが、祐子たちの行動が千絵を死に追いやった。
片桐は必ず断罪すると宣言する。
しかし、志穂がそれを受け入れられる筈もない。
拒否したところ、片桐はすべてを知る志穂を口封じしようとする。
其処へ袴田たちが駆け付けた。
乱闘となり、片桐は逮捕された。
マダム・ルリコが影ながら西条に詫びていたことが判明。
西条とマダム・ルリコは和解した―――エンド。
<感想>
土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂」シリーズ18作目。
前作は2013年6月8日に放送されているので、ほぼ10ヶ月ぶりの最新作。
シリーズのいくつかは過去記事でネタバレ批評(レビュー)してますね。
興味のある方は過去記事をどうぞ!!
なお、袴田刑事役の蟹江敬三さんが2014年3月30日にお亡くなりになりました。
シリーズに既収録分が存在しない無い限り、袴田刑事が活躍する「おとり捜査官」はこの18作目が最後となります。
・蟹江敬三さん、死去……
では、ドラマの感想を。
今回は蟹江さん演ずる袴田の最後の雄姿を見逃すまいと意気込んでいたのですが……正直、内容は完全に結論ありきだった印象。
特に、お分かりになる方は分かると思うのですが中盤があまり面白くなかった。
気付けば、少し意識が飛んでた(=寝てた)ほどです。
マダム・ルリコのキャラとかインパクトは大きかった筈なのですが……。
そんな中で感想を述べさせてもらうと。
まず、マダム・ルリコこと本郷瑠璃の存在意義が限りなく無いなぁ……。
どうも、結論から逆算し志穂のおとり役として用意されたようにしか思えない。
勘繰り過ぎかもしれないが、入替りに差し障りがないようにする為の黒いベールだったような……。
たぶん、マダム・ルリコ関連を省略してもあらすじ上は問題ない気さえする。
それと、そもそも犯行方法が千絵とそれ以降では明らかに異なるのに、根拠もなく同一犯を主張するのも妙だなぁ……。
千絵の爆死と祐子、梓の殺人が別件であると早期に判明していれば30分とかからずに事件解決だったな。
これだったら、普通に西条が犯人の方が斬新な結末だったかもしれないなぁ……。
ちなみに、千絵が爆死の割には死体が綺麗だったことも驚いた。
建物が吹っ飛ぶほどの火柱だったのに、建物の敷地内に転がっていた千絵の死体は煤けていた程度。
あれは爆死ではなくて、爆発現場に改めて運び込まれた死体と言われても納得しそうだった。
全体としてシリーズ恒例であるとは言え、今回は前回よりも更に無意味に盛り過ぎなのではないだろうか。
つまり、不要な情報が多過ぎた気がする。
まぁ、こうして振り返れば全部含めて「このシリーズらしいと言えばらしい」気もします。
何故か許せてしまうんだよなぁ……18本目は伊達じゃない!!
ちなみにドラマ原作は「神狩り」で知られる山田正紀先生の「女囮捜査官(おとり捜査官)」シリーズ。
シリーズは「女囮捜査官 1 触覚」などのように「タイトル+五感」となっておりシリーズはきちんと5冊(触角、視覚、聴覚、嗅覚、味覚)発行されている。
もし仮に原作で次があるとすれば(ないだろうが)、「女囮捜査官 第6感(直感)」となるのだろうか?
あるいは「女囮捜査官 共感覚」かも……。
2015年6月4日追記:
あらすじ中で「片桐」を「片岡」と表記していた箇所があった為、訂正致しました。
ご指摘、感謝です(^O^)/!!
追記終わり
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「おとり捜査官・北見志穂 右手を挙げた美女連続殺人・最強の知能犯蟻食いと対決!スペイン?罠の女…被害者達に謎の接点」(6月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「おとり捜査官・北見志穂 婚カツ美女連続殺人 狙われる女性警察官!婚活シート男女176人の容疑者…」(6月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂 口をふさがれた美女連続殺人!似合わない白いハイヒールを履いた美女の謎」(4月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「おとり捜査官北見志穂 獄中女に間違われた女刑事!銀行襲撃犯が殺される理由…消えた拳銃と2300万の謎」(8月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「共感覚」といえば思い浮かぶのはこれらの作品。
「臨床真理」(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
「キョウカンカク」(天祢涼著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
<キャスト>
北見志穂:松下由樹
袴田刑事:蟹江敬三
本郷瑠璃:清水美沙
西条二郎:宇梶剛士
片桐悟志:田中幸太朗
井原主任:小木茂光
三上 勉:半田健人
佳代:赤座美代子
大森刑事:東風万智子
山路康介:長谷川朝晴 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
◆「おとり捜査官」シリーズ関連書籍です!!
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犯人は片岡じゃなくて
片桐かな?
再放送を観ながら読んでます(笑)
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
ああっ「片桐」が「片岡」になってる!!
正しくはご推察通り「片桐」ですね。
ご指摘ありがとうございます!!
早速、訂正せねば……感謝です(^O^)/!!