<あらすじ>
望月幸平(高嶋政伸)は、東京駅遺失物係、通称“お忘れ物預り所”に勤務するJR職員で、上司の嶋田福男(北村総一朗)の家に下宿している。嶋田の妻・満江(高橋ひとみ)は東京駅の助役で、普段から嶋田は妻に頭が上がらないのだが、浮気がバレて以来、この夫婦は別居状態にある。
ある日、幸平は、東京駅の一角にひとりでぽつんと座っている男の子を見かけ、心配で声をかけた。だが、男の子はいきなり逃げ出してしまう。その頃、同僚の村尾由希子(櫻井淳子)のもとには警察署から1本の電話が…。出てみると、すぐに大学時代の友人・山崎美里(葉月里緒奈)に代わり、息子の翼(鳥居颯)と東京駅で待ち合わせしていたのだが行くことができないため、翼の面倒を見てやってほしいと頼まれる。実は、幸平が追いかけていた男の子が、その翼だったのだ…!
いったい何事が起きたのか…!? 幸平と由希子は保護した翼と共に、警察署へ。実は、美里は不動産会社社長・吉野和彦(RIKIYA)が殺された事件の第一発見者となり、重要参考人として連行されてしまったのだ。美里の夫・弘樹(東根作寿英)は、友人である吉野と共に会社を共同経営していたが、2カ月前、巨額の負債を抱えたまま行方不明となり、会社の経営権を吉野に奪われてしまったという。そして今日、吉野に呼び出されて会社を訪ねたところ、社長室で死体となった被害者を発見。驚いて立ち尽くしているところを、営業部長の杉浦奈那子(高橋かおり)に見られたのだという。美里は和歌山の周参見(すさみ)にある弘樹の実家に翼を連れて行く予定で、東京駅で待ち合わせしていたことも話すが、明日も事情聴取があって和歌山に行くことができないと打ち明ける。それを聞いた幸平と由希子は、代わりに翼を和歌山に連れて行くことに決めた。福男は留守番だが、助役の満江も同行するという。
翌日、翼を連れて和歌山に向かった幸平たちは、新大阪で特急“くろしお”に乗り換える。その車中、ひとりの男が翼を見かけて話しかけてきた。井山吾郎(蟹江一平)と名乗るその男は、弘樹とは兄弟同然に育った仲で、現在は白浜でホテルや観光事業を展開する会社社長だという。美里や弘樹のことを聞き、心配する井山。だが、周参見で翼たちを待っていた弘樹の父・山崎昭一(中原丈雄)は、井山に露骨に背を向けた。昭一は、周参見の観光開発計画を挟んで井山と対立していたのだ…。
そんなとき、事情聴取を終えて和歌山にやって来た美里が突然、翼を井山の養子に出すと言い出す。かねてから井山に養子縁組を持ちかけられており、夫が行方不明となった今、翼の将来を考えて決心したという。ところがその矢先、翼が何者かに誘拐される事件が起きて…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
山崎美里は吉野和彦に呼び出されそのオフィスに足を運んだ。
しかし、其処で美里は驚くべき物を発見してしまう。
なんと、吉野が死亡していたのだ。
呆然と立ち竦む美里の耳に悲鳴が聞こえて来た。
ふと隣を見れば、何時の間にか別の女性が立っていたのだ。
女性は、吉野の部下・杉浦奈那子。
奈那子は美里を「人殺し!!」と呼ぶと、外へ駆け出した―――。
一方、望月幸平は東京駅遺失物係、通称“お忘れ物預り所”に勤務する職員である。
ある日、幸平のもとへ財布を落としたとの申告があった。
困り果てた落とし主と真摯に向き合う幸平、其処へ1人の少年が財布を届けに来る。
親切な少年に名前を問う幸平だが、少年は「名前は教えちゃいけないって言われてる」と黙って去ってしまう。
それから2時間後、駅構内を見回っていた幸平は少年を発見する。
少年は誰かを待っているのだが、待ち人が来ないようだ。
同じ頃、幸平の同僚・村尾由希子のもとに美里から電話が入っていた。
美里と由希子は大学時代の同級生であった。
美里は吉野殺害容疑で自身が拘束されたことを告げ、駅に居る息子・翼を保護してくれるように由希子に依頼する。
そう、翼こそ例の名前を名乗らなかった少年であった。
こうして、翼を保護した幸平と由希子は美里のもとへ。
由希子が身元引受人となることで、美里は釈放された。
美里が吉野殺害容疑を受けることには、ある理由があった。
吉野は、美里の夫で翼の父である山崎弘樹と共に事業を展開していた。
ところが、弘樹は経営上の失敗を理由に吉野に経営権を奪われてしまっていた。
今では、吉野と奈那子の2人が実質的な経営者となっていたようである。
当の弘樹は経営権を奪われた2ヶ月前から消息を絶っていた。
実は弘樹名義で借金があった為である。
弘樹、美里、翼は債権者に追われていたのだ。
だからこそ、翼は名前を迂闊に口にすることが出来なくなっていた。
これを美里は吉野の責任だと恨んでいた。
つまり、吉野殺害が美里による復讐ではないかと疑われたのだ。
あの日、東京駅に翼が居たのは弘樹の実家がある和歌山の周参見へ2人で向かう為であった。
こうして、取調を受ける美里に代わり、幸平と由希子が特急「くろしお」を経由して翼を和歌山へ連れて行くことに。
翌日、「くろしお」車中。
翼を連れた幸平たちに声をかける者が居た。
その男は弘樹と兄弟同然に育ったという井山吾郎。
吾郎はホテル事業を展開する一族に婿入りし、今では社長となっていた。
吾郎と共に周参見に到着した幸平たち。
其処には翼の祖父・山崎昭一たちが待っていた。
翼の姿を目にした昭一は喜色を浮かべるが、吾郎を目にした途端、背を向ける。
実は、昭一と弘樹、吾郎に吉田と長谷川を加えた5人は寝屋親と寝屋子の関係にあった。
これおは思春期の多感な時期を同世代の若者と共に他家に預けられて育つ制度である。
昭一が寝屋親、弘樹、吾郎、吉田、長谷川が寝屋子であった。
寝屋親と寝屋子は実の親子に等しい深い間柄となる。
だが、昭一は吾郎が推進する周参見の再開発に反対しており、対立する立場にあったのだ。
「それが地元の為になるんだ」と理解を求める吾郎だが、昭一は相手にしようとしない。
取調を終えた美里が合流した。
ところが、美里は翼を吾郎の養子にしたいと言い出す。
吾郎は1年前に妻を亡くしており、子供も居なかった。
翼の為にも、資産家の吾郎の養子になればと思ったのだろう。
その頃、吾郎の義理の弟で専務である井本正則に奈那子が接近していた。
奈那子は吾郎が翼と養子縁組するつもりであると告げる。
本来、後継ぎでありながら入り婿の吾郎に社長の座を奪われたと思っていた正則。
もしも、翼が養子になれば社長の座は遠退いてしまう。
こうして、吾郎はある計画を実行に移す。
その翌日、翼が誘拐された。
誘拐したのは寝屋子の1人・長谷川である。
吾郎たちに身代金を要求する長谷川だが、その背後には正則が居た。
正則は翼を殺害するよう指示。
寝屋子仲間の情に動かされた長谷川は、これを拒否し翼を逃がす。
だが、正則の逆鱗に触れ殺害されてしまうのであった。
翼が保護され、長谷川の犯行が判明。
黒幕の存在も疑われる中、当の正則が殺害されてしまう。
同日、東京駅では特徴的な網針が落し物として届けられた。
これは昭一手製で寝屋子に配る物なのだが……。
そんな中、長谷川を動かした黒幕が正則と判明し美里に再び容疑が向く。
美里はアリバイついて語ることなく何故か黙秘を貫く。
理由がある筈と考えた幸平たちは美里の行動を検証。
すると、弘樹と密会していたことが分かる。
弘樹は債権者から逃れる為に潜伏しつつ、美里と連絡を取っていたのだ。
これにより前後の状況から美里にアリバイが成立。
ところが、今度は逆に弘樹に容疑が向かうことに。
弘樹は容疑を全面的に認めてしまうのだが……。
ところが、今度は奈那子が何者かに殺害されることに。
死体は海辺で発見されていた。
奈那子は「くろしお」に乗車後、白浜駅で下車しており、その後に殺害されたと思われた。
現場付近からは「マキリ包丁」が発見される。
この包丁が正則殺害の凶器と合致。
正則と奈那子殺害が同一犯によるものと明らかになり、弘樹は釈放された。
どうやら、弘樹は美里の犯行だと思い込みこれを庇おうとしていたようだ。
奈那子殺害容疑が吾郎にかかった。
吾郎は奈那子と「くろしお」に同乗していたのだ。
だが、吾郎は奈那子の下車後も「くろしお」に終点まで乗車しておりアリバイがあった。
そんな中、凶器のマキリ包丁から昭一に容疑が向かう。
しかし、幸平は落し物の網針から真犯人に気付く。
吾郎と昭一の前に立つ幸平。
彼が指摘した犯人は吾郎であった。
奈那子殺害時の吾郎のアリバイは崩れたのだ。
「特急くろしお」に乗車していた吾郎と奈那子。
奈那子は白浜駅で下車したが、此処では12分停車する。
吾郎は駅構内で殺害したのである。
吾郎の様子を不審に思った昭一がこれを尾行しており、吾郎にアリバイを作るべく海へと運んだのだ。
さらに、幸平は網針が寝屋子に配られた物であると指摘。
吾郎の落とし物と断定する。
これに吾郎は罪を認め、真相を語り始める。
吾郎は美里のことが好きであった。
美里もまた吾郎のことが好きだったのだ。
だが、弘樹も美里を愛しており、結局2人は結婚した。
残された吾郎は井本家に婿入りしながらも、弘樹たちを見守っていた。
吾郎は寝屋親と寝屋子の関係を誰よりも重視しており、昭一と弘樹に恩義を感じていたのだ。
ところが、吉田が弘樹を追い出したことを知った。
弘樹の窮地に居ても立っても居られなかった吾郎は、吉田に直談判。
揉み合う内にこれを殺害してしまう。
そうこうするうちに翼の誘拐事件が発生。
長谷川が正則に殺害されてしまう。
これに激怒した吾郎は正則を殺害する。
しかし、この一部始終を奈那子に気付かれた。
奈那子は吾郎を脅迫。
吾郎は奈那子を殺害したのである。
だが、この現場を昭一に目撃されていたことは想定外であった。
吾郎の告白を聞き、男泣きに泣き出す昭一。
「マキリ包丁のマキリたぁ、魔を切るって意味でよぉう。吾郎は俺たちのマキリを行ってくれたんだぁ」
吾郎は寝屋親であり、寝屋子仲間である山崎家の為にマキリを行ったのである。
さらに、吾郎は昭一の為に再開発計画を中止にしたことを告げる。
昭一は吾郎を抱き締めるのであった―――エンド。
<感想>
「東京駅お忘れ物預り所シリーズ」第7弾。
前回は2013年6月29日に放送されているので、ほぼ10ヶ月ぶりの新作となりました。
過去にネタバレ批評(レビュー)していますね、過去記事をどうぞ!!
では、ドラマ本編の感想。
視聴して物凄く損した気がする。
すべてが結論ありきな感じだなぁ……。
あのトリックも「犯行可能だった」だけで「犯行の決め手」ではないし。
「網針」も吾郎の物だとしても、東京駅に落ちていたからには即正則殺害には繋がらないだろうし。
唯一、吉田殺害時のカフスボタンぐらいか説得力があったのは。
それも、奈那子が持ち去った証拠だしなぁ……。
決め手が1つもない気がするのだが。
それと、当初こそ吾郎と美里が相思相愛のように見えたのは、弘樹の吾郎へのコンプレックスから来る思い込みだと思われたけど、ラストまで視てたらそれこそが真実だった気がしてきた。
だとすると、吾郎は寝屋親であり寝屋子仲間である弘樹の為に美里を諦めたことになるのだろうか。
物凄く切ない。
でもって、再開発計画を中止して吾郎は昭一に認められたけど、だったら反対されてまで再開発計画を行ったのはなんだったんだ。
第一、計画自体には多くの業者や人が関わっているのだろうし、その人たちが振り回されることになりそうだ。
少なくとも、中止により吾郎のホテルは負債を背負いそうだなぁ……。
そもそも、創業者直系の息子である専務は誘拐事件を起こして殺害されるし、現社長は連続殺人犯になっちゃうし……海は守られたが、ホテル従業員の生活は破綻しそうだ。
昭一と吾郎の涙の為に何人が血の涙を流すことになるのかと思うと胸が痛む。
そして、考えれば考えるほどあのラストは投げやりだなぁ……。
吾郎は連続殺人犯になっちゃったし、昭一は死体遺棄、弘樹は負債が解消されていないし、ホテルの従業員は路頭に迷う。
どう見ても、悲劇的なエンドにしか見えない。
にも関わらず、笑顔で見送る幸平たち……怖いよ。
そう言えば、吉野は重大なことを伝えるとして美里を呼び出したが、その内容は何だったのだろうか……。
吉野からすれば特に重大なことは無い筈だが。
さらに、東京駅で網針を落とすなんてシチュエーションはそうないと思うなぁ。
なんで、吾郎は網針を持って行ったのだろうか。
吉田のときならともかく、正則殺害時なので寝屋子の絆も関係ないし。
さらにさらに、わざわざ犯人を特定出来そうな「マキリ包丁」使うし……。
奈那子のときはともかく、正則殺害時に使用したのは昭一か弘樹に容疑を向ける気としか思えない。
まるで、凶器が特徴的過ぎてすぐに捕まるのでは……と危惧されがちな「必殺仕事人」のようだ。
とはいえ、「必殺仕事人」はあれこそが味だから良いのだけど、こちらは味にもなってないし。
モヤモヤが……モヤモヤが……止まらないZE!!
とりあえず、次回にも期待!!
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「東京駅お忘れ物預り所6 大井川鉄道SL“かわね路”2分間の空白!!余命と引き換えた殺人ダイヤトリック!?こだまが運んだ犯人の忘れ物!!」(6月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「東京駅お忘れ物預り所5 滋賀しがらき〜登り窯に殺意の炎!!狙われた女相続人…髪留めに母の秘密!?」(7月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「東京駅お忘れ物預り所4 全長6400メートル銚子電鉄殺人ルート!!すり替ったお守り袋に15年間の殺意の秘密」(7月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
望月幸平:高嶋政伸
村尾由希子:櫻井淳子
山崎美里:葉月里緒奈
井山吾郎:蟹江一平
山崎昭一:中原丈雄
嶋田満江:高橋ひとみ
嶋田福男:北村総一朗
杉浦奈那子:高橋かおり
山崎弘樹:東根作寿英
北口:前田 健 ほか
(公式HPより、敬称略、順不同)
なんで忘れ物をしてしまうのか?そんな謎に真っ向から挑んだのが本書。
「失敗のメカニズム―忘れ物から巨大事故まで (角川ソフィア文庫)」です!!
失敗のメカニズム―忘れ物から巨大事故まで (角川ソフィア文庫)
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