<あらすじ>
弁護士・高見沢響子(市原悦子)の事務所の電話に、脚本家の古浦信一(石橋蓮司)から救済を求めるメッセージが残されていた。
8年前、古浦の娘・愛子(富岡英里子)は3人の強盗にアパートに押し入られ殺害された。犯人の一人、鬼頭登(加藤啓)はすぐに自首したため、極刑を望む古浦の願いは叶わなかった。そのうえ、事件が原因で古浦は職を失ってしまった。
心に深い傷を負った古浦と古浦の元妻・久子(萩尾みどり)を犯罪被害者を救済する立場から支えたのが響子だった。裁判の際に傍聴席から鬼頭を罵り、退廷させられた古浦を響子は遊園地の観覧車に乗せて励まし、彼の心に寄り添い続けた。
事件から数年後、久子は病のためこの世を去った。その後古浦は湯河原に住む資産家の娘・秋子(筒井真理子)と再婚し、幸せに暮らしていた。しかし秋子が自殺してしまい、失意の古浦は響子を頼って連絡してきたのだ。
響子は湯河原を訪れ秋子の通夜に参列、現在、車椅子で生活する古浦と再会する。通夜には古浦夫妻とつきあいのある不動産業者の園田泰造(近藤芳正)と秋子の財産を管理する弁護士・滝本幸子(秋本奈緒美)も列席していた。また、刑事の佐藤(佐戸井けん太)も姿を見せ、秋子が殺された可能性もあると響子に語った。
滝本は、響子に遺産について説明するとともに古浦が娘を襲った悲劇を隠して秋子と再婚し、自身が楽な暮らしをするために秋子を騙していたと指摘する。一方、調べをすすめるうちに園田は詐欺、横領などの前科があり、秋子には古浦に隠れて交際する男性がいたことも分かった。
佐藤刑事は園田と古浦にも秋子殺害の疑いを向けるが、証拠不足で決定力に欠ける。
響子は助手の久松啓子(あめくみちこ)が古浦の主治医から得た情報をヒントに、久松をある人物の元へ派遣する。すると事件の前提を覆す衝撃的な証言が飛び出した・・・。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
高見沢響子は弁護士である。
当然、これまでにもさまざまな依頼人と接して来た。
しかし、そんな中でも響子の記憶に残るのが8年前に知り合った古浦信一である。
当時の古浦は公私ともに充実していた。
仕事上は脚本家として名声を欲しいままにしていた。
プライベートは妻・久子、愛娘・愛子に囲まれ幸せであった。
そんなある日、愛子が強盗に殺害されてしまった。
古浦が犯人に極刑を望む中、当の犯人である鬼頭登は自首。
これにより、鬼頭は極刑を免れた。
やがて、愛子を失った古浦と久子は上手く行かなくなり離婚。
古浦は身体を壊し車椅子となり資産家の娘・秋子と再婚。
一方、久子は病の為にこの世を去っていた。
響子はそんな古浦を精神的にサポートしていたのである。
ところが、今度は秋子が謎の死を遂げてしまう。
どうやら、何者かに殺害されたようだが……。
秋子の周囲の人々は互いに互いを疑い合う。
秋子の実妹である中島春子とその夫・繁行は古浦が財産目当てで殺害したと主張。
もっとも、車椅子の古浦に犯行は不可能であった。
とはいえ、旧知の古浦の苦境を見かねた響子は調査に乗り出すことに。
すると、秋子に不倫相手が居たことが判明する。
その相手とは不動産業者の園田泰造であった。
園田は手癖が悪く、また詐欺や横領の疑いもあるダーティーな人物である。
しかし、園田は秋子との関係は1度限りの過ちと主張。
さらに、古浦と秋子の仲が上手く行っていなかったことを指摘する。
どうやら、古浦が元妻の久子や娘の愛子を想うあまり、秋子は愛されていないと感じていたらしい。
さらに、古浦は「鬼頭に復讐してやる」と常々口にしていたようだ。
そんな中、響子の助手・久松啓子が意外な情報を持って来る。
なんと、古浦は歩けると言うのだ。
当然、秋子殺害も可能なのだ。
古浦への信頼が根底から覆された響子は彼と直接対決することに。
古浦は自身が歩けることを認める。
どうやら、鬼頭への復讐心で克服したらしい。
秋子殺害の日について語り出す古浦。
あの日、古浦は秋子と共に車椅子で出かけた。
其処で秋子は驚くべき事実を語ったのである。
なんと、秋子は生前の久子と古浦に内密に会っていたのだ。
この際に、久子から愛子の遺品である腕時計と久子の遺書を受け取っていた。
ところが、秋子はこれを古浦に渡していなかったのである。
何故、渡さなかったのかと問い詰める古浦。
秋子はこれに「そんなもの、川に捨てたからよ」と応じた。
古浦は激怒し、立ち上がると秋子の首を絞めたのだ。
しかし、此処から先の記憶が古浦には無いらしい。
もしかして……とある可能性を疑う響子。
ほぼ同時に秋子殺害の真犯人が逮捕されていた。
犯人は秋子の実妹・中島春子とその夫・繁行夫婦であった。
2人は古浦に首を絞められ気絶した秋子を発見し、これを殺害したのだ。
どうやら、繁行は遺産目的、春子は姉への恨みからの犯行らしい。
こうして、真犯人が逮捕され事件は解決した。
久子の遺書と愛子の腕時計は大切に保管されていた。
あのとき、秋子は古浦に嘘を吐いていたのだ。
久子の遺書には「古浦に復讐心を捨て、脚本家として再起して欲しい」と書かれていた。
これを聞いた古浦は「秋子もそう言ったんだ」と呆然と呟く。
古浦を愛しながらも、その心を得られなかった秋子。
あの発言はそんな彼女の複雑な気持ちが行わせたものなのだろう―――エンド。
<感想>
「弁護士高見沢響子」シリーズ第12弾です。
前作は2011年10月17日に放送されているので、実に2年と半年ぶりの新作となりました。
前作については過去記事がありますね、興味のある方はどうぞ!!
ちなみに本作。
本来は2014年4月14日放送予定でしたが、2014年3月30日に亡くなった蟹江敬三さんの追悼企画を受けて放送延期となっていました。
・月曜ゴールデン「追悼…蟹江敬三さんを偲ぶ 世直し公務員 ザ・公証人11 生前贈与を巡り長女殺害!?父親の隠し子発覚で崩壊する家族…失踪したプードルが真相を知る!!」(4月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ版感想を。
個人的にはなかなか良かったように思うのですが……冷静な判断が出来かねてます。
裏番組(キャビン・アテンダント刑事)に恵まれ過ぎたのか、こちらの評価がどうしても甘くなってます。
・「キャビンアテンダント刑事〜ニューヨーク殺人事件〜 国際線CAが事件に巻き込まれるトラベル・ミステリー。タイムリミットは3日間!」(7月日放送)ネタバレ批評(レビュー)
とりあえず、秋子は古浦への愛を拗らせており、それが思わぬ行動を取らせていたのでしょう。
手紙と腕時計を隠したのは、古浦に久子と愛子を忘れて自分に振り向いて貰う為。
とはいえ、隠しただけで捨てきれなかったのは、やはり愛する古浦の大切な物だと知っていたから。
秋子の台詞からも分かる通り、久子の遺書にも目を通していたようだし(だから久子の遺書の一節を一言一句違わず諳んじられた)。
結局、古浦がいつまでも振り向かないことに業を煮やし、園田との浮気や古浦を煽るような発言に繋がる。
結果、当の古浦に憎悪をぶつけられ首を絞められる。
此の時点で、無関心を決め込まれるより憎まれた方がマシとの心境だったのか。
そして、気絶する直前に自分も久子に負けず古浦を愛していたことを示そうと、久子の遺書の一節を口にした。
しかし、それで古浦の気持ちが変わる筈もなく、首を絞められ気絶した。
報われないがゆえの苦悩だったのでしょうか……。
とはいえ、一方で古浦を殺しかけたりもしていました。
あれは、手に入らないならいっそとの想いからでしょうか。
それとも、これ以上苦しむならとの想いでしょうか。
さらに、古浦を煽り自身を殺害させようとした秋子の行為。
あれは久子の「復讐心を捨て、脚本家として再起して欲しい」とは相反するもので、明らかに古浦を殺人犯としてしまう行為。
もしかすると「古浦が脚本家として再起」すれば「久子の願いが達成」、「古浦が鬼頭への復讐に成功」すれば「古浦の愛子への愛が明確に」なることから、これを邪魔するべく「第三の選択肢」=「古浦を秋子殺しの犯人にする」ことで自身のモノにしようと思ったのかもしれない。
いろいろ複雑ですね……やはり、報われぬ愛ゆえに拗らせてしまったのか。
と思ったけど、よくよく考えると単に古浦に過去を忘れさせたいからした行動が全て裏目に出ただけなのかなぁ……。
この可能性もあるなぁ。
久子の遺書の一節を秋子が諳んじた件だけど、あれが秋子が遺書の内容を知らずに自然と久子と同じ心境になって口をついて出た言葉だったら、もっと救われる結末だったのだろうか。
結局のところ、罪の連鎖なのかも。
鬼頭の行動が古浦を復讐鬼に変え、そんな古浦が秋子を変えたのかもしれないなぁ。
そう言えば本作にただ1つ気になる点が(此の点について訂正あり、追記参照)。
どうなんだろう、古浦の秋子への殺人未遂は罪に問われないのだろうか―――。
2014年7月10日追記:
コメントにて「渡辺 田鶴子」さんと「あおによし」さんから、ラストについてのご指摘を頂きました。
それによると、感想上で疑問としていた「古浦の秋子への殺人未遂」についてラストにて字幕でこれに触れられていたとのこと。
其処では「古浦が秋子への殺人未遂について起訴され、響子がそれを弁護することになった」ことが述べられていた旨を教えて頂きました。
なるほど、納得です。
これで疑問も解消出来ました。
教えて頂き感謝です(^O^)/!!
追記終わり
◆関連過去記事
・月曜ゴールデン「弁護士高見沢響子11 夢の花 響子が失踪?旅先で出会った不気味な老人…孫と名乗る謎の女の正体は?地下室に眠る白骨死体は哀しい家族の秘密を知る」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
高見沢響子:市原悦子
○
久松啓子:あめくみちこ
○
古浦秋子:筒井真理子
○
滝本幸子:秋本奈緒美
○
園田泰造:近藤芳正
佐藤刑事:佐戸井けん太
○
山岡久子:萩尾みどり
山岡愛子:富岡英里子
島野健治:岸端正浩
○
中島春子:わかばかなめ
中島繁行:井上 康
○
古浦信一:石橋蓮司 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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ラストの場面で、「古浦は殺人未遂で起訴され、高見沢はその弁護についた」という感じのテロップが流れたように思いますよ・・・。
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:渡辺 田鶴子さん
字幕で表示されていたんですね。
不覚ながら見逃してしまっていたようです。
其処が気にかかっていたので助かりました。
教えて頂きありがとうございます(^O^)/!!
Re:あおによしさん
ありがとうございます!!
その点が物凄く気にかかっていました。
これで謎が解けてスッキリです。
教えて頂き感謝です(^O^)/!!
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
映画「狼よさらば」と言うとチャールズ・ブロンソン主演の作品ですね。
謂れなき暴力により妻を失い娘を傷付けられた主人公が滾る復讐心を胸に自警活動を行う……なんとも切ないストーリーでした。