<あらすじ>
2014年冬。白井美保(56)(かたせ梨乃)は、にわか景気に久々に血が騒いで投資コンサルタントを始めた。ある女性オーナー(朝丘雪路)に株を勧めていると、オーナーからバブルの頃に二兆円借金した料亭のおかみの話が出てきて、当時に思いをはせる…。
1981年、都内の料亭で働いていた蓮見恵(渡辺えり)は、金持ち客に取り入り、その援助で自分の店を持つ。そこへ、中央銀行融資課長の神永洋介(北村有起哉)がやって来て、もっと場所のいい所に店を構えないか?と提案する。1984年、恵は6億5千万円を銀行から借りてビルを建て、料亭“羽須美”を始めることに。絵画や壺などの調度品が置かれたその店で、恵は高価な着物と指輪で着飾り、接客する。恵の母親のトミ(冨士眞奈美)は、山形の田舎から出てきては恵に金を無心するのだった。
「仲居募集」の貼り紙を見て、料亭・羽須美の門を叩いたのは、地味で化粧っ気もない白井美保(29)(篠田麻里子)だった。そんなときも、神永や証券会社の男が恵の元を訪れ、株を勧めていた。
恵に雇われた美保は、株なんて見たこともない、と言いながらも、株でもうけた知人の話を持ち出し、恵は結局NTC株で莫大なもうけを出した。そんな恵に銀行員や証券マンが殺到し、次々と売り込みにやって来る。困惑する恵に代わって、美保は表に集まった記者や金融関係の男たちの応対をする。恵は自慢の霊感を使っているように見せかけ、料亭の内庭にあるガマガエルの置物の前で呪文を唱え、美保に言われるがまま、いくつかの会社と株の取引を決める。そこへ信用金庫の浜口(西村雅彦)があいさつに来るが、恵は相手にしない。あきらめて帰ろうとする浜口を美保は呼び止めて…。
後日、恵と美保は浜口の信用金庫に出向き、10億ものタンス預金を分散させて架空名義で口座を開きたい、と持ちかける。以降、恵は美保に大事な客を紹介し、自分の右腕として信頼を寄せていくが…。
(公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
2014年冬―――56歳になった白井美保は久々に血が騒ぎ投資コンサルタントを始めた。
其処で、ある女性オーナーに株を勧めていたときのことである。
オーナーの口からバブルの頃に二兆円借金した料亭のおかみの話が出て来た。
オーナーこそ知らないが、美保は当事者の1人であった。
こうして、美保は華やかであった当時を振り返る。
1981年、都内の料亭で1人の仲居が働いていた。
その名は蓮見恵。
山形県出身で、不思議な女性であった。
来客があれば、その家族構成から趣味、誕生日まで諳んじてみせた。
また、別のある日には同僚である吉村衣枝に「お子さん、体調が悪いみたいよ」と早退を勧めた。
これに衣枝は大いに驚いた。
恵の言葉は事実だったからだ。
しかし、恵によれば衣枝の子供と連絡を取っていたワケでは無いらしい。
あくまで、霊感だと言う。
恵はそんな女性であった。
そして、恵には不思議な魅力があった。
遂に、西脇会長ら資産家から援助を受けて自分の店を持つに至った。
噂では、恵は相当な額をタンス貯金しているとのことであった。
これを聞きつけた男が居た。
中央銀行融資課長の神永洋介である。
神永は恵に取り入り、店舗移転を勧めた。
1984年、神永の言を容れた恵は6億5千万円を銀行から借りて高級料亭“羽須美”を始めた。
絵画や壺などの調度品も一流、恵自身も高価な着物と指輪で着飾り豪華なイメージを持たせることに成功した。
そんな恵の悩みの種は2つ。
金を無心に訪れる母親トミと、神永に連れられ現れたみやこ証券の黒川徹男である。
黒川は恵が何度断ろうとも、執拗に株式投資を勧めて来ていた。
狙いがタンス貯金にあることは明らかであった。
そんな中、恵のもとに当時29歳の美保が訪れた。
美保は秋田出身であるとの触れ込みで、仲居になりたいと申し出る。
郷里が近いこともあって、恵は美保を雇い入れることにした。
実は、仲居時代からこれまで共に働いて来た衣枝が恵に反発し辞めていた。
恵は信頼できる人間が欲しいと美保に洩らす。
恵に雇われた美保は恵に株式投資を勧めた。
拒み切れなかった恵は美保の勧め通りに投資を始めたのだが、これが当たった!!
こうして、成功者としてたちまち証券界で名が知れ渡った恵。
その周囲には記者や金融関係の人間が押し掛けるようになった。
此の対応をするのも美保である。
いつしか、恵は美保に絶大な信頼を置いていたのだ。
ある日、信用金庫の浜口が挨拶にやって来た。
風采の上がらない浜口は、競争相手にも恵にも相手にされない。
そんな浜口に美保は声をかける。
こうして、浜口は恵の資産管理の一翼を担うまでになった。
浜口の信金には恵名義で2兆円近くもの口座が開設された。
しかし、これには秘密があった。
実態のない架空口座なのだ。
浜口は証書偽造にまで手を染め、恵をサポート。
同時に、自身の実績とすることで支店長にまで駆け上がった。
一方で、美保の勧めにより、みやこ証券に代わり中堅大手の市松証券が恵の取引の多くを行うことになった。
これにより、神永と黒川の発言力は低下した。
遂には黒川が他社に嫌がらせをしていた事実が明らかになり、黒川は出入り禁止とされてしまう。
怒った黒川は美保を刺す。
しかし、美保はこれを訴え出なかった。
何故か。
美保にも秘密があったからである。
実は、美保は市松証券の社員であった。
仲居に化け、潜り込んだのだ。
もちろん、美保の出身は秋田では無い東京だ。
美保の狙いは恵の資産を投資に用いらせること。
同時に、恵をスターにすることで市場自体を活気づかせることにもあった。
美保が株に通じているのも当たり前だったのだ。
今や美保は市松証券のエースとまで呼ばれていた。
そして1991年、恵は美保にお見合いを勧めて来た。
恵は言う―――「自分は結婚に失敗し子供を奪われてしまった。あんたにはそうなって欲しくない」と。
こうして、美保が知り合ったのは中学校教師であった笠松実であった。
しかし、美保は誠実そうな笠松に何の興味も抱けなかった……。
さらに数年が過ぎた。
恵の周囲から人が減り始めた。
浜口も上司から架空口座について責任を追及され始めた。
祭の終わりが近付いたことを美保は悟った。
そろそろ潮時なのかもしれない……美保は理由を作っては恵のもとへ足を運ぶ機会を減らし始めた。
矢先、恵の母・トミが死亡した。
恵は落胆した。
その周囲から、さらに人が減った。
そして、恵と距離を置いた美保のもとを浜口が訪ねて来た。
浜口は美保に「恵は何でもお見通しなんだよ」と告げる。
美保の正体を知っていて、雇っていたと言うのだ。
さらに、浜口は恵に感謝するよう伝えると美保の部屋から投身自殺してしまう。
浜口の不審死により、美保に疑惑が向いた。
だが、目撃者の証言があり釈放されることに。
そして、時代が動いた。
恵の疑惑が公に取り沙汰されたのだ。
美保は恵にこれまでについて謝罪すると共に礼を伝えると、その足で匿名の告発状を投函し止めを刺すのであった。
美保は会社を辞めると、笠松と結婚した。
匿名の告発状の効果だろうか。
それから暫くして、恵が逮捕された。
連座してかどうか、神永も逮捕されたらしい。
以来、美保はすっかりその存在を忘れていたのだ。
ちなみに、笠松とはすぐに離婚した。
以降、何回か再婚したがどれも上手くはいかなかった。
あれから数十年が経過している。
ふと、過去を懐かしく思った56歳の美保は恵に会いに赴いた。
高齢の恵は施設に居た。
疲れ果てた様子で車椅子に座り込んだ恵に美保は明るく話しかける。
恵の目はじっと宙を見上げていた。
失望とも何ともつかぬ感情を抱いた美保は「また来ますね」と言い残し、その場を足早に去った。
美保の背中が視界から消えたことを確認する恵。
すると、車椅子が嘘のように突然立ち上がった。
そのまま走り出すと懐から携帯電話を取り出した。
さらには、通話するや否や投資すべき株の指示を代理人に告げる。
美保は知らないが、あの頃の恵は未だ健在だったのである―――エンド。
<感想>
前作「鬼女」に続く「稀代の悪女シリーズ」第2弾。
・金曜プレステージ「スペシャルドラマ 鬼女 連続不審死を遂げた男たち…浮かび上がる一人の女!醜い彼女に何故彼らは騙された?聖女か殺人鬼か?法廷操る鬼女の独壇ショー今夜解禁」(6月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
原作なし、オリジナル作品です。
では、ドラマの感想を。
一見、悪女・美保の一代記かと思いきや、最後の最後で恵がすべてを持って行きましたね。
ラストを見る限り、すべて恵が仕組んだことになるのかなぁ。
少なくとも車椅子が嘘となると、逮捕直前の車椅子での弱々しい態度も演技だったことになるし。
だとすると、周囲に利用されたフリをしつつ、周囲を利用したのだろうか。
実はピンピンして株の指示を出しているところを見ると、資産も隠していたのだろうし。
冒頭の衣枝の子供の件も、子供から衣枝に帰ってきて欲しいと連絡があったのを「直接、伝えるとお母さんの迷惑になって、後であなたが怒られるからこの電話は秘密よ」とか言いくるめて、さも霊感のように装ったのだろうし。
異常な記憶力も会話の内容をメモに取っておいて、相手が来客するたびに確認していたんだろうし。
美保を証券会社の社員と知っていたのも、雇うにあたって身辺を調べたからだろうし。
そもそも、それでも美保を雇ったのは株に疎い恵が美保から知識を得る為だったのか。
いや、もしかすると、最初から恵は株が得意で情報通の美保から情報を引き出そうとしていただけなのかもしれないなぁ。
とはいえ、美保も大概だよなぁ。
やってることがかなり悪どい。
最後は責任も取らずに、それまで歯牙にもかけていなかった笠松と結婚しちゃうし。
どうみても、一時的な隠れ蓑的な扱い。
だからこそ、離婚したんだろうなぁ。
そして、だからこそ、現在の美保は過去のアレがあったにも関わらずコンサル業を再開出来ると。
反省していたら、到底無理だろう。
こうなると、神永や黒川は行いが悪いから仕方がないとしても浜口が犠牲者にしか思えない。
家族も居ただろうになぁ……。
全体的に、なかなかエキセントリックな展開が続きましたね。
そして、ラストのアレがすべてだと思いますが、なかなか楽しめました。
シリーズ第3弾もアリだと思います。
◆関連過去記事
・金曜プレステージ「スペシャルドラマ 鬼女 連続不審死を遂げた男たち…浮かび上がる一人の女!醜い彼女に何故彼らは騙された?聖女か殺人鬼か?法廷操る鬼女の独壇ショー今夜解禁」(6月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
蓮見恵:渡辺えり
白井美保:篠田麻里子
浜口正久:西村雅彦
神永洋介:北村有起哉
笠松実:鈴木浩介
黒川徹男:郭智博
岩間一也:丸山智己
吉村衣枝:高橋かおり
工藤:森岡豊
増渕:藤田宗久
田所:浅見小四郎
女性オーナー:朝丘雪路
蓮見トミ:冨士眞奈美
白井美保:かたせ梨乃 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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