2014年04月10日

『房子という女 SRO episode0』(富樫倫太郎著、中央公論新社刊)

『房子という女 SRO episode0』(富樫倫太郎著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

累計45万部突破! 「SRO」シリーズ最凶の殺人鬼・近藤房子の生い立ちとこれまでが、ついに明かされる。彼女の過去は、あまりにも衝撃的!
(中央公論新社公式HPより)


<感想>

富樫倫太郎先生による警察小説「SROシリーズ」、その最新作にして「エピソード0」。
シリーズを代表する「サイコ・ヒロイン(!!)」近藤房子の過去に迫った作品。

物語は『ボディーファーム』後からスタート。

辛うじて房子を降した新九郎と麗子。
房子の被害者はこの時点で30人を優に超えた。
だが、新九郎は房子に余罪があると見ていた。
問い詰めたところで房子がそれを明かす筈もない。
其処で房子の生い立ちを尋ねるとの形をとって聞き出そうとするのだが……的なストーリー。

内容的には、なんといっても房子特有の語り口で明かされるその半生。
凄い……凄過ぎる。
この凄さは房子を知っている読者にこそ、より強力に伝わる筈。
というワケで、シリーズ未読者にこそオススメできないが「SROシリーズ」既読者ならば是非とも読むべし!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:

山根新九郎:SRO室長、天才的な頭脳を誇る
芝原麗子:SRO副室長
尾形:SROメンバー
富田課長:SROメンバー
針谷:SROメンバー、通称ダーティーハリー

近藤一郎:房子の夫。
近藤房子:SROの宿敵。1巻ではドクターと呼ばれていた最凶の快楽殺人者。


「ボディーファーム事件」により辛うじて房子を降した新九郎と麗子。
房子は坊屋に撃たれた傷を癒す為に、医療刑務所にて治療中であった。

房子の被害者はこの時点で30人を優に超えている。
だが、新九郎は房子に余罪があると見ていた。
問い詰めたところで房子がそれを明かす筈もない。
其処で新九郎は房子の生い立ちを尋ねるとの形をとって聞き出そうとすることに。

これに房子は自身の生い立ちを語り出す。

房子は旧姓を大須賀と言う。
幼い頃は近所に住む幼馴染・敏美と仲が良かったらしい。
この頃は普通の娘だったそうだ……あくまで自己申告だが。
だが、新九郎が話を聞く限り、この時点から片鱗を見せ始めている。

ある日、怪我をした犬を見つけた房子と敏美。
敏美は可哀想と繰り返した。
これに房子は可哀想だからとあっさりと止めを刺した。
以来、敏美は房子を怖れるようになったそうだ。
房子はこれにより本性を隠すことを学んだようである。

そして、房子最初の殺人へと話は進む。
その相手は……なんと、房子の父であった。
房子には美しい姉が居たそうである。
ところが、姉は中学生になった頃から塞ぎがちになり、ある日、自殺してしまった。
房子は姉を追い詰めたモノを憎んだ。
それから数年、房子も中学生となった頃、その正体が分かった。
姉を追い詰めたのは父だったのだ。
父は姉を凌辱していたのである。
年頃となった房子もまた父に狙われ始めた。
房子は母に頼ろうとしたが、母は外に男を作っており家庭内を見向きもしない。
房子は自身の手で対処を迫られた。

其処で房子が選んだ手段が殺人であった。
姉の復讐もあったと言う房子。
房子は父が深酒をし過ぎて窒息したように偽装し殺害した。
父の遺体の傍で泣きじゃくる房子を疑う者は居なかった。

ところが、父を亡くした母は堂々と愛人を家に連れ込んだ。
しかも、姉と父の死により手に入れた保険金で味をしめたらしく、今度は房子を狙い出した。
困った房子は父と同様に母とその愛人を殺害することに。
母が愛人に宛てたラブレターの文面が遺書に使えることに目を付けた房子は母の無理心中に偽装し2人を殺害した。

房子は1人になったが悲しいと思うことはなく、寧ろ清々していた。
姉、父、母の保険金を手に入れた房子は親戚中から引く手数多であった。
結局、房子は叔父の家を選んで生活することにしたのだが、後に房子は此の選択を大きく後悔する。

叔父一家は房子では無く、その金が狙いであった。
房子が学校に居る間に、何度となく印鑑と通帳が狙われた。
しかし、房子はこれに気付けないほど愚鈍では無かった。
毎日、印鑑は肌身離さず所持し続けた。
房子にとって辛かったのは、この鬱陶しい奴らを一息に抹殺出来ないことにあった。
流石に、叔父一家まで殺害することは正体が露見しかねないからである。

やがて、数年続いたこの生活も終わりを告げた。
大学に進学し独立したからである。
叔父は最後まで房子の金を奪えなかったことを悔しがっていた。

大学に進学した房子は敏美と再会した。
この頃、房子は殺人の衝動を抑える術を学び、効率よく欲望を果たす方法を模索していた。
そんな房子に敏美は恋人と共に儲け話を持ちかける。
これに乗った房子は自身の欲望を果たしていくこととなる。
やがて、その矛先は当の敏美たちにも向かうこととなった。
敏美を殺害した際にも、房子には特段の感傷は存在しなかった。

そんな中、房子にとって運命の出会いがあった。
夫・一郎との出会いである。

それは房子が婦人科の病気にかかり入院していたときのこと。
一郎もまた足の骨折で入院していた。
一郎は房子の大学の後輩にあたり、房子に惹かれていた。
房子にその気は無かったが、一郎の猛アタックを受けて交際することに。
後に判明することだが、一郎もまた房子同様の性癖の持ち主であった。
互いに引き寄せあったのかもしれなかった。

房子と一郎は良いコンビであった。
異なる点と言えば、欲望を制御出来る房子に比べ、一郎は暴走気味であることだろうか。

そんなある日、房子の前に安岡という名の刑事が現れた。
安岡は房子の過去を調べ上げ、これを脅して来た。
房子は一計を案じた。

まず、自身はアリバイを確保した上で、一郎を使い安岡の家族を襲わせた。
その上で、それとなく安岡に自身の関与を匂わせたのだ。
憤った安岡は冷静さを失い、房子を恫喝した。
房子はこのやり取りを出来るだけ人気の多いところで繰り返し行った。
最後に十分な目撃者が得られたであろう頃に、安岡のもとへ向かう。
そして、安岡に息子を誘拐したと告げた。
逆上する安岡に房子はナイフを手渡した。
安岡は手渡されたナイフを思わず振りかざす、其処へ銃を構えた警官がやって来た。
一郎がナイフを手に暴れている男が居ると通報したのだ。
狼狽する安岡を、房子は巧妙に煽った。
完全に我を忘れた安岡は射殺されることに。
こうして、房子は自身の手を汚すことなく、安岡を抹殺したのである。

この後も、房子の過去話は続く。
だが、それは全て血塗られた自慢話であった。
房子は「ボディーファーム」のような場所が他にも存在することを示唆し続けた……。
すなわち、多くの被害者が存在するのである。

新九郎は戦慄した。
同時に、房子のような存在を1人でも多く逮捕することこそが「SRO」の責務であると改めて誓うのであった―――エンド。

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