ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。
鳥羽:ブルーブル社宣伝部課長
寺野:ブルーブル社宣伝部部長
丹羽仁:ブルーブル社宣伝部社員
鈴木:ブルーブル社宣伝部社員
<86話あらすじ>
世界的企業・ブルーブル社。
今回、そのブルーブル社が企画したのは恐竜展。
この監修として森羅が招かれることに。
もちろん、これには立樹も同行している。
展示は順調に進み、企画の発案者であり森羅を招いたブルーブル社宣伝部課長・鳥羽もほっと人心地ついていた。
一方、そんな鳥羽とは対照的に展示を手伝うでもなく、常に重役へ報告のみをし続け出世に強い執着を持っている様子の宣伝部部長・寺野。
実は―――寺野はこれまでも鳥羽の手柄を奪って出世していた。
数年前に行われたブルーブル社の株式市場上場もすべては鳥羽の努力の賜物。
しかし、寺野に手柄を横取りされていたのだ。
このときの功で寺野は宣伝部部長に就任したのである。
事情を知る宣伝部の社員で展示担当の丹羽仁と鈴木は鳥羽に対し尊敬を、寺野に対し反発を抱いていた。
遂に開場を明日に控えたある日、丹羽のPCメールアドレス宛てに脅迫メールが届いた。
内容は恐竜展展示会場の爆破予告である。
しかも、残り2時間半後に爆破すると期限が区切られていた。
つまり、0時ちょうどがリミットである。
特に要求が記載されていなかったことから、当初は悪戯と相手にしない寺野。
だが、裏庭で爆発騒動が起こる。
どうやら、花火が燃えたようである。
人気のない場所だったこともあり、犠牲が出なかったものの、これを犯人からの警告と受け取った鳥羽は寺野の反対を押し切り、展示に携わっていた作業員を避難させることに。
こうして、騒動が発生。
寺野はあくまで騒動を押し隠そうとするが……。
鳥羽は犯人の意図が分からない以上は公開すべきであると事件を公にする。
爆破事件は周知の事実となり、騒動はどんどんと拡大して行く。
一方で、犯人からの要求は無い。
困惑し続ける寺野たち―――そんな折、丹羽へ新たなメールが届く。
其処には奇妙な数字が羅列されていた。
これを目にした寺野が動揺、丹羽が困惑の色を示す。
すると、次なる爆発音が……。
慌てて、発生源へ駆け付けてみると其処は寺野のオフィスであった。
「やっぱり……」
丹羽が洩らす。
そんな丹羽をキッと睨みつける寺野。
だが、丹羽は構わず言葉を続ける。
「寺野部長は今回の展示で業者から賄賂を受け取っていたんです。その処理を任されていたんですが、その金額が先程の数字と同じでした」
なんと、寺野は職権を乱用し賄賂を得ていたのだ。
しかし、寺野は丹羽の嘘だと断言し罪を認めようとしない。
その間にも、時は刻々と過ぎて行く。
遂に期限まで数分に迫った……。
早々に避難した寺野と対照的に屋内に残った鳥羽。
そんな鳥羽に森羅が歩み寄って行く。
「犯人はあなたですね、鳥羽さん」
森羅が指摘した爆弾事件の犯人は鳥羽であった。
森羅は次のポイントに注目した。
まず、丹羽のメールアドレスを知っていたこと。
そして、2度の警告と思われる爆発が共に人気の無い場所であったこと。
これは人気の無い場所をも予め知っていたことを示す。
つまり、内部犯だ。
さらに、具体的な時刻が明示されたにも関わらず犯人からの要求が無かった。
これは犯人の目的が此処にはないことを示す。
そして、犯行予告の届いた時間だ。
何より、鳥羽は執拗に爆破予告について情報公開しようとしていた―――何故か?
これらにより森羅は鳥羽の狙いを見抜いた。
数年前に株式市場に上場したブルーブル社。
当然、その株は市場に流れている。
その市場とは日本では無い、海外である。
そう、ニューヨーク株式市場だ。
その始業は時差の関係から日本時間にして22時30分に始まる。
ちょうど、爆破予告が報道され始めた頃である。
鳥羽は爆破予告を明らかにすることで、ブルーブル社の株価を引き下げた。
その間に株を買い漁ったのだ。
後は、何事もなく0時が過ぎることで株は回復。
これを売却すれば、差額はすべて鳥羽の利益になるのだ。
つまり、鳥羽は恐竜展会場を爆破する気は最初から無かったのだ。
本当の功労者である自身を評価せず、寺野を評価し続けた会社への復讐だったらしい。
「結果を急ぎ過ぎましたね」
森羅は鳥羽に告げる。
同じ頃、避難していた丹羽はPCから寺野の不正を告発していた―――エンド。
<感想>
「月刊少年マガジン」2014年7月号掲載「86話 爆破予告」です。
鳥羽が犯人であるとの指摘までに些か恣意的な推理が重ねられましたが、それ以外……特に「ホワイダニット」の点が非常に優れた作品でした。
謎の爆破予告の真の目的……それが明らかになったとき、その時刻設定の意味などに感嘆することとなるでしょう。
良かったです。
この良さを是非とも『月刊少年マガジン』本誌にてご覧頂きたい。
もちろん、次回にも期待です!!
◆関連過去記事
【「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」シリーズ】
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