ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。31歳。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺)の犯人。猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本:美容整形外科医。実は高級売春クラブ「フルムーン」のオーナー。カラに正義執行される。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属。
レナ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
アイ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
盛元:テレビ局有名アナウンサー。
田沢麻弥:月本のもとへ出入りしていた少女。カラの犯行を目撃し襲われるも一命を取り留めた。
倉本:入院した田沢麻弥の担当女医。
三河くん:月本の部下。
<あらすじ>
・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第43話「俺の寝室」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
三河からカラの現住所を入手したアイ。
レナが店でカラの足止めをしておき、その間に里見と共に住所へと潜入することに。
里見はピッキングであっさりと鍵を開けると、カラ宅に侵入する。
其処は全く生活感の無い部屋であった。
それもその筈、当のカラは渡宅に上り込み生活しているのだから。
しかし、里見とアイがそれを知る筈もない。
その頃、猪熊は里見を吹っ切るべく事件捜査に打ち込んでいた。
猪熊が興味を持ったのは現行の事件では無い。
過去に発生した薬局店の息子撲殺事件である。
資料に目を通す猪熊だが……。
同じ頃、渡はベランダに置かれた花に鼻歌まじりに水をやっていた……。
一方、カラ宅を見回る里見とアイ。
室内には家具らしい家具も無く、警察関係の書籍や手錠、奇妙な薬が置かれていた。
アイはカラ宅の異質な空気に触れ、体調を崩してしまう。
里見は役に立つ情報を探るのだが……其処へレナから連絡が。
カラが帰宅の途についたとの物である。
マズイ……焦った里見は侵入した痕跡を慌てて消し始める。
そう言えば、この扉は少し開いていたな……里見は扉の開閉と角度まで再現してその場を後にするのだが。
数分後、カラが帰宅した。
カラは開いた扉の前に立つと、何やら定規で長さを測り始める。
定規は4センチを示していた。
この扉は5センチほど開いていた筈……さては里見か!!
里見の侵入に気付いたカラは不快な表情を浮かべる。
早川書房刊『ミステリマガジン』でも取り上げられた本作。
対カラの手掛かりはカラ宅にある!?
その手掛かりは今週号の「週刊モーニング」で確認せよ!!
<感想>
「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。
そんな「サイレーン」、内容は刑事もの……しかも男女バディもので、「警視庁機動捜査隊(キソウ)」を取り上げた作品となりました。
設定に「キソウ」を採用している点が珍しいですね。
ドラマでも「キソウ」がメインになった作品は「警視庁機動捜査隊216」くらいか。
・月曜ゴールデン「警視庁機動捜査隊216V 命の値段 知らされなかった誘拐事件が生んだ最悪の偶然!?命か金か?選択を迫られた家族の運命と犯人を繋ぐ社会の暗闇!」(12月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
その第44話。
サブタイトルは「カラっぽの部屋」。
43話「俺の寝室」と対になるタイトル。
今回、気付いたのですが「俺の寝室」=「渡宅」、「カラっぽの部屋」=「カラ宅」だったんですね。
すなわち、里見たちが辿り着いたのは渡宅ではなくカラ宅。
それもその筈、カラが渡宅の住所を月本に教えられるワケが無い。
なにしろ、当時のカラは猪熊にまだ目星をつけておらず、猪熊を監視する為に渡宅に住み込む必要が無かったのだから。
でもって、カラ宅が生活感の無い「カラっぽの部屋」であるのも当然、渡宅で生活しているので。
置かれていたのは警察関係の書籍、偽の手錠、奇妙な薬など。
他の2つは猪熊に興味を持ったからだと思うけど、薬はなんなんだろう。
カラが特に病を患っている描写は無かったけど。
あれも研究の為の物なのかな。
さらに、遂に出た「薬局店の息子撲殺事件」!!
前々からカラの犯行では……と推測していましたが、果たして!?
そして、さり気なく渡の安否が確認されました。
おい渡、物凄く上機嫌だけどあの晩何があったんだ……キスで誤魔化されたのではないのか!?
カラによる猪熊殺害実行の日は近い筈。
カラの殺意を知らない猪熊は、その刃から逃れることが出来るのか。
そして、里見は猪熊を助けることが出来るのか。
さて、此処でまとめ。
目標である捜査一課へひた走る猪熊。
そんな猪熊をターゲットとしてロックオンしたカラ。
そんなカラをターゲットとしてロックオンした里見。
追う者と追われる者の構図が明らかになりつつあるようです。
そして、今のカラが整形により手に入れた顔であることが判明。
過去を捨てようとしていたらしいことと併せても、事件の匂い。
やはり、薬局店息子殺人事件に関連ありか。
カラはその名の通り、中身の無い虚ろな「空」。
それゆえに、自身に欠ける物を補おうと求めている。
以前から予測している通り「カラは自身に無い物を持っている対象を特定すると、これに近付き相手を殺害することで、自身に欠けた物を相手から奪う」で正しいようです。
キャバクラの女性マネージャーを殺害し「その垢抜けた佇まい」を奪い、綺麗になった。
タクシー運転手は「自身は選ばれた」と語っていたが「その選ばれた存在であること」を彼を殺害することで奪ったものと思われます。
だとすると、これまでにも同様の犯行を重ねているのが当然。
里見が過去に遭遇した「薬局店息子殺人事件」を皮切りに変貌したものと思われますね。
カラの闇は想像以上に深そうだ。
止められるのは里見と猪熊のカップルのみかも。
果たして、如何なる結末を迎えるのか……45話に期待!!
コミックス1巻が2013年9月20日、2巻も2013年12月20日に発売。
さらに3巻も発売とのこと、こちらも注目!!
興味のある方はアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!
ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。
・「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
・「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)第1話から第40話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「サイレーン」第41話「亀裂」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第42話「チーム里見」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第43話「俺の寝室」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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