2014年05月26日

『月は囁く』第8話「月と呪いの藁人形・後篇」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル5月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『月は囁く』第8話「月と呪いの藁人形・後篇」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル5月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
藤村月:陽一の父が再婚したことで、陽一の義妹となった。犯罪心理学と観相学を駆使する天才少女。
藤村陽一:警視庁捜査一課勤務、35歳。
陽一の父:犯罪心理学者。多くの事件解決に寄与した。

黒崎麟造:代議士。
黒崎麟太郎:黒崎代議士の息子。悠太を苛めて死に追いやった。
鈴木悠太:学生時代にリンチを受けて殺害された少年。
鈴木聖子:悠太の妹、実は……。
天誅:謎の人物。黒崎を憎んでいるらしい。

・前篇のあらすじはこちら。
『月は囁く』第7話「月と呪いの藁人形・前篇」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル3月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「ゆ、悠太……」
天誅に悠太の死亡現場へと呼び出された黒崎麟太郎、その目は確かに悠太を捉えていた。
一方、麟太郎を守るべく現場に駆け付けた陽一もまた血塗れの悠太を目撃することに。
狼狽した麟太郎は陽一の目の前で血を吐いて倒れ込んでしまう。

そんな中、1人月だけは何かを考え込んでいた。
その視線は現場近くに建っていた鉄塔に向かっていたが……。

再び入院することとなった麟太郎は天誅の呪いの力を主張する。
悠太の姿を目撃した陽一自身もこれに同意せざるを得ない。

翌日、陽一は月と共にあるオフィスへ。
天誅の正体が判明したのだ。
天誅の正体は女性で、その名は鈴木聖子。
悠太の妹であった。

麟太郎たちは殺されて当然だと語る聖子。
兄・悠太が麟太郎たちの苛めにより殺された後、聖子の両親は麟太郎の非道を訴えた。
しかし、麟太郎の父で代議士の麟造の圧力により逆に追い詰められることに。
聖子の父は自殺してしまい、母もまた心労から急死した。
残された聖子は麟太郎たちへの恨みを糧に必死に生きて来た。
その中で、呪いの力を手に入れたのだそうだ。
陽一は聖子に恐れ戦くが、月は平然と接する。

月には聖子の呪いの正体が見えていたのだ。

まずは陽一と麟太郎が目にした悠太の正体である。
月はこれに科学的な理由を与える。
悠太の死亡現場付近には高圧電線を配した鉄塔が建っていた。
高圧電線により磁界が生じ、それが脳に影響して幻覚を見せたのだと言う。
だから、陽一が見た悠太は遺体写真に基づいた血塗れの姿だったのだ。
おそらく、麟太郎が見た悠太はまた別の姿をしていたに違いない。

そして、麟太郎の胃潰瘍の正体。
これは思い込みの力だったのだ。
麟太郎は天誅が動画で配信した映像を目にしたことで、罪悪感と恐怖により自ら身体を壊してしまったのだ。

まさかぁ……と月の言葉を疑う陽一。
だが、そんな陽一本人もこれと同様のことを既に体験していた。

月は前回(7話)にて陽一に与えた漢方薬が偽薬であったことを教える。
にも関わらず、陽一は効果があったと喜んでいた。
そう、プラシーボ効果である。

自身で体験していた以上、陽一も思い込みの力を疑うことは出来ない。

麟太郎の仲間が不審死を遂げたのも偶然に過ぎないだろうと語る月。
だが、聖子はそれを自分の力だと思い込んだ。
月は、聖子自身も思い込みの力によって動いており、だからこそ止めることが出来る筈だと主張する。

悠太の死亡現場付近に聖子を呼び出した月。
月は配信映像がこの付近で撮影されたと断言。
するすると付近の林の中に入り込むと、打ち付けられた藁人形を発見する。

これに怯えだす聖子。
聖子は呪詛返しを怖れたのだ。
藁人形に打ち付けられた釘を抜けば、呪いが術者のもとに戻ると言われているのだ。

月はこれを見越した上で、釘を抜かれたくなければ罪を認め謝罪するよう詰め寄る。
ところが、月が触れた途端に本当に釘が抜けてしまう。

これを目にした聖子は発狂。
「死ぬ、死んでしまう……」と叫び声を上げながら、その場を逃げ出す。

月は聖子が呪詛返しを信じている以上、何を仕出かすか分からないと陽一に告げるのだが……。

その深夜、麟太郎の病室に聖子が現れた。
手には包丁を握りしめている。

聖子に気付き、怯える麟太郎。
聖子は「死なばもろともよ」と包丁を振り上げるのだが。

此処へ月と陽一が現れる。
月は陽一に明かしたと同じく、呪いの正体が思い込みであると告げる。
それが麟太郎に影響を与えているからには、彼にも悠太の死に罪悪感を抱いているに違いないとも。
最後に、月は「悠太がそんなことを望んでいるとは思えない」と締め括るのであった。

これを聞いた麟太郎は聖子に対し謝罪する。
聖子はこれを受け入れ、泣き崩れるのであった。

数日後、麟造の不正が暴露され麟太郎も逮捕されることになった。
「これこそ天誅だな……」
これを見た陽一は呟くのであった―――9話に続く。

<感想>

先頃完結した「幇間探偵しゃろく」でお馴染みの青木朋先生が宮崎克先生とタッグを組み、新たなミステリコミックの連載を「ビッグコミックオリジナル 増刊号」で開始されました。
タイトルは「月は囁く」。
捜査官・藤村陽一と、顔相学を修めたその義妹・藤村月が犯罪事件を解決する物語。

まさに陽一(太陽)と月(月)の物語です。

では、8話を読んだ感想を。
シリーズ初の前後篇、その後篇。

『月は囁く』第7話「月と呪いの藁人形・前篇」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル3月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

天誅の語る「呪い」の正体が明らかになりましたね。
その正体は7話感想で推測した通り「思い込み」によるものでした。

とはいえ、天誅こと聖子自身がその存在を信じ込んでいる。
また、悠太の幻影が鉄塔の電磁波によるものであることは予想出来ませんでした。
この点はサプライズでしたね。

なかなかでした。

ちなみに、ルナは父親に対しトラウマがある様子。
その天才的な力により、父に虐待されていたのかな。
結局、父と母はこれが原因で離婚。
そして、母が陽一の父と再婚といった流れか。

ルナとしては離婚の原因が自身にあると考えて、以来、人と距離を置くようになったか。
ところが、無邪気な陽一に癒されていく展開か。
イイですね。
最終的にはルナがトラウマとなった父と和解する(乗り越える)展開もありそうかな。

興味を抱かれた方は是非、『ビッグコミックオリジナル 増刊号』にて本作を確認されたし。

◆関連過去記事
『月は囁く』第1話「月は囁き、花は語る」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル3月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『月は囁く』第2話「月とドッペルゲンガー」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル5月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『月は囁く』第3話「月と幽霊轢き逃げ事件」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル7月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『月は囁く』第5話「月とハロウィーンの怪物」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル11月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『月は囁く』第6話「月と凶相の微笑み」(宮崎克原作、青木朋画、小学館刊『ビッグコミックオリジナル1月増刊号』掲載)ネタバレ批評(レビュー)

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