2014年04月28日

「最強少女さゆり」第10話(15話)「さゆりとタマちゃん」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第10話(15話)「さゆりとタマちゃん」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
豪田:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。出っ歯が特徴。心は折れても出っ歯は折れない。
オヤッサン:バッティングセンターの経営者。
タマちゃん:オヤッサンが作った自律制御AI搭載型ボールタイプロボット(たぶん)。
デービス親子:グリーンスライダー大会に参加した親子。

<あらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

6話にて、さゆりによりバッティングセンター閉鎖を余儀なくされたオヤッサンがリベンジすべく戻って来た!!
その手には彼の「タマ愛」が詰まった自律制御AI搭載型ボールタイプ兵器「タマちゃん」が握られている。
オヤッサンと気さくな会話を交わすタマちゃん。
果たして、オヤッサンのリベンジは叶うのか!?

「最強少女さゆり」第6話(11話)「さゆりとバッティングセンター」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

一方、バニーはこれまでになく前向きにさゆりと接していた。
その姿に、リコスは前回(第9話)にてバニーが見せた醜態を思い出す。
あのとき、バニーはリコスが扮したお化け怖さに「これからはさゆりを怖がらない」と約束してしまったのだ。
どうやら、この約束を果たそうとしているようである。

「最強少女さゆり」第9話(14話)「さゆりとお化け屋敷」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

リコスとしては負担が減る以上、バニーの律義さは好ましい。
とはいえ、バニーはあまりに誠実であろうとし過ぎた。
結果、さゆりから受けたボールが原因でわずか数分で退場することとなってしまうのであった。

溜息を吐いたリコスは自身が巻き込まれる前にその場を逃げ出そうとするのだが……。
その前に奇妙なボールが転がって来た。

何気なく触れたリコス。
だが、呆気なくボールにKOされてしまう。
それもその筈、このボールこそオヤッサンの秘密兵器「タマちゃん」であった。

リコスを倒し気を良くしたオヤッサン。
次なるターゲットはさゆりである。
オヤッサンは「GOサイン」を出すのだが……。

さゆりに叶う筈がない。
喋るボールを気味悪がったさゆりはあっさりとタマちゃんに止めを刺してしまう。

吹き飛ばされるタマちゃん。
「タマ愛」を持つオヤッサンはこれを放置出来ず、フォローに入り共に吹き飛ばされてしまうのであった。

さて、なんとか回復し戻って来たバニーは意外な光景を目にすることに。
タマちゃん効果か、さゆりがボールを怖がるようになってしまったのだ。

恐るべし、オヤッサンの「タマ愛」!!
敗れはしたが、さゆりに弱点を与えることに成功していたのである―――エンド。

戻って来たオヤッサン……そして、新登場のタマちゃん。
あらすじでは彼らの味を伝えきれていません。
本作を真に楽しむ為に「週刊少年チャンピオン」本誌にて確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!

ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。

つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。

そんな仕切り直しの10話(通算15話)。
「6話でさゆりに敗れたオヤッサンが相棒を連れてリベンジに帰って来た」な回。
とはいえ、そのリベンジがさゆりに届くワケもなく……あえなく路傍の露と消えることに。
しか〜〜〜し、あの「タマ愛」を前面に押し出しての散り際は良かった。
あれは是非、本編を読んで堪能して欲しい。

「最強少女さゆり」第6話(11話)「さゆりとバッティングセンター」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

ちなみに「タマちゃん」。
今後も改良されて「タマちゃんMK2」とか「タマちゃん改」とか「Zタマちゃん」とか出て来て欲しい感じだ。
オヤッサン同様に良キャラになりそうな予感。

さらに、さゆりに弱点が増えつつある印象。
これまでのところ、お化け、ボールとかが上がってるけど、これを利用してさゆり打倒を図るキャラが居ても良さそうだ。
もちろん、オチはあまりの恐怖にさゆりがキレて相手ごと吹き飛ばしてしまうもので決まり!!
やっぱり、この様式美が読者的にスカッとするんだよなぁ……。

本作の魅力は2つあると思う。
まず1つ目は、あのファンシーな絵柄で驚きのアクションを魅せること。
そして、2つ目は「思わぬ展開の意外性(キャラ追加など)」と「固定化された結末の安定性(さゆり大勝利)」この2つのバランスが伴うこと。
これが面白い!!

とはいえ、おそらく此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられないだろうなぁ。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。

彩百合の両親が謎ですね。
山中の病院で1ヶ月に1度のお見舞い……「となりのトトロ」を思い出しました。
さゆりの母は静養中(「さゆりと峠とお見舞い」参照)なのでしょうか。
そう言えば、リコスはトトロっぽいと言えなくもないか。
入院中とのことですが、何か理由があるのでしょうか。
このあたりも謎だし、連載になった以上はいずれ明かして欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や「実は私は」など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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