土曜ワイド劇場「西村京太郎サスペンス　鉄道捜査官　伊豆急リゾート21号パノラマ展望車で殺された女！箱根ゴールデンルート空と湖の逆転アリバイトリック」（5月3日放送）ネタバレ批評（レビュー）: ミステリ通信　創刊号

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2014年05月04日

土曜ワイド劇場「西村京太郎サスペンス　鉄道捜査官　伊豆急リゾート21号パノラマ展望車で殺された女！箱根ゴールデンルート空と湖の逆転アリバイトリック」（5月3日放送）ネタバレ批評（レビュー）

土曜ワイド劇場「西村京太郎サスペンス　鉄道捜査官　伊豆急リゾート21号パノラマ展望車で殺された女！箱根ゴールデンルート空と湖の逆転アリバイトリック」（5月3日放送）ネタバレ批評（レビュー）です！！

＜あらすじ＞

警視庁鉄道捜査隊東京駅分駐所に所属する鉄道捜査官・花村乃里子（沢口靖子）は、中学時代の同級生・水谷美香（横山めぐみ）と偶然再会。分駐所で昔話に花を咲かせる中、雑誌記者をしているという美香が、その日、風邪で早退した課長・野川一郎（筧利夫）のことを妙に気にしていたのを見て、乃里子は少し違和感を覚える。
翌日、風邪を理由に数時間遅れで出勤してきた野川に、静岡県警の刑事たちが事情聴取にやって来た。その日の朝、熱海駅に到着した伊豆急行リゾート21の列車内で、ホステス・片桐朋子（かでなれおん）の変死体が見つかり、その重要参考人として野川が浮かんでいたのだ。静岡県警の刑事たちは、野川が仕事をサボって不倫旅行に出たあげく、朋子を殺害したと決めてかかっており、被害者が宿泊していた伊豆高原のホテルの監視カメラに野川の姿が映っていたと問い詰める。だが、野川は昨日から体調を崩して自宅で休んでいたと主張し、心配する乃里子にも何も語ろうとしない。
野川の無実を信じる乃里子は、独自に捜査を開始。確かに野川は朋子の宿泊先を訪れており、２人で柳沼真治（志村東吾）という人物の墓参りに行ったことがわかる。柳沼は４年前、当時捜査一課にいた野川が、強盗事件の容疑者として取り調べをしていた人物。柳沼には勤務先の人材派遣会社社長・富永健一郎（野村宏伸）に脅迫状を送りつけ、現金10億円を奪い取った疑いがかけられていたが、取り調べの合間に行方をくらまし、故郷の伊豆で投身自殺していた。だが、真治の母・洋子（山口果林）は訪ねてきた乃里子に対し、「野川が息子を殺した」と敵意をむき出しにする。
そんな中、乃里子は殺された朋子の部屋から、弁護士の谷浜康雄（春田純一）の名刺を発見。手がかりを求めて、谷浜とその妻・梨絵（山下容莉枝）が営む法律事務所を訪ねる。だがその矢先、「野川こそが朋子殺害犯だ」と告発する記事が写真週刊誌に掲載され、その中に野川と朋子の衝撃的な密会写真が載っていた！！

（土曜ワイド劇場公式ＨＰより）

では、続きから……（一部、重複あり）。

え～～～今回はある試みにより、あらすじからある人物を省略してみました。
省略した人物が誰かについては感想をご覧ください。
果たして、それでも内容は成立するのか……。
是非、ご確認頂ければと思います。

花村乃理子は警視庁鉄道捜査隊東京駅分駐所に所属する鉄道捜査官である。
乃理子は上司である課長・野川一郎らと共に日々発生する事件に立ち向かっている。

そんなある日、野川が殺人事件の容疑者にされてしまう。
野川にかけられた容疑はホステス・片桐朋子の殺害事件。
朋子は伊豆急行リゾート21の列車内で、毒殺されていた。

野川の無実を信じる乃里子は、独自に捜査を開始。
その結果、野川が秘密裏にある事件を調べていたことが明らかになった。

野川が調べていたのは、4年前に発生した強盗事件。
この事件、人材派遣会社「ワークドリーム」社長・富永健一郎のもとから10億円もの大金を奪い取ったとされるもの。
被疑者として浮上したのが、富永の会社に勤務していた柳沼真治であった。
ところが、柳沼は不意に自殺してしまった。
これにより、事件は被疑者死亡で終結していたのだ。

野川もこの事件の捜査に携わっていたが、どうしても柳沼の犯行が信じられなかったらしい。
其処で、4年に及び調査を続けていたのである。

そんな野川に柳沼の恋人として接触して来たのが朋子だったのだ。
野川は朋子が何か新情報を掴んでいると考えこれと密会。
朋子が殺害されたのは、その翌日のことであった。
だからこそ、野川に容疑がかかったのだ。

ところが、乃理子が調べた結果、朋子と柳沼には何の関係も無いことが判明。
乃理子は朋子が何者かに利用され、野川を罠に嵌めたと考える。
其処で朋子の部屋を調べたところ、弁護士の谷浜康雄の名刺を発見する。

谷浜弁護士とその妻・梨絵のもとを訪ねた乃理子。
しかし、谷浜には富永の主催する会合に参加する為に出張していたとのアリバイがあった。

ところが、このアリバイが如何にも怪しい。
富永とその秘書・石川宏美によれば、午前中に何度となく電話したにも関わらず谷浜が電話に出なかったらしい。
つまり、谷浜には朋子が殺害されたと同じ、前夜から午前中にかけてのアリバイが存在しないのだ。

谷浜のアリバイを調べ始めた乃理子。
すると、鉄道ではなく船を使えばアリバイが崩せることが分かった。
しかも、船上にて谷浜らしき男性が映り込んだ写真も発見される。
写真が事実ならば谷浜は船を使って移動したに違いなく、朋子殺害が可能なのだ。

こうして、谷浜に容疑が集中する中、当の谷浜が鉄製の水筒を用いて服毒死を遂げてしまう。
谷浜は遺書らしきものを所持していた。

其処には「谷浜が柳沼の生き別れの父であり、この事実を知った朋子を口封じしようと思い立った」こと、其処で「柳沼を助けられなかった野川へも復讐しよう」と考えて「朋子を利用し罠にかけたこと」などが赤裸々に綴られ、最後には「乃理子による捜査の手が迫ったことを察して自殺した」とされていた。

夫を亡くした梨絵は「はぁぁぁぁぁぁなむぅぅぅらぁさぁぁぁぁぁぁぁん……」と乃理子の名を呼び泣き崩れる。

しかし、乃理子は谷浜が金属アレルギーであったことを知り、この自殺に疑惑を抱く。
金属アレルギーの人間が鉄製の水筒を使う筈が無いと考えたのだ。

だとすれば、谷浜の犯行とされるモノも怪しい。
調べたところ、宏美が偽証していたことが明らかに。
何でも、富永に頼まれたので嘘を吐いたらしい。
つまり、谷浜には偽装工作ではなく、本当のアリバイがあったのである。

その翌日、宏美が富永に呼び出され見晴らしの良い高台の崖へとやって来た。
周囲には“ちょうど人が2人ほど隠れていられそうな大きな石碑”があるだけの、とても寂しい場所である。

と、其処へ富永が現れた。
「ふふふ、君は知り過ぎたんだ」
現れるや否や、富永はナイフを持ち出し宏美へと襲い掛かる！！

もう駄目だ！！
そう思われたとき、ちょうど人が2人ほど隠れていられそうな石碑の陰から、ちょうど2人の人影が飛び出した。

1人は乃理子、もう1人は野川である。
2人は互いに決めポーズを取りつつ、富永こそがすべての事件の真犯人であると指摘する。

4年前、富永は10億円を使い込み、柳沼に罪を着せたのだ。
その上で、自殺に偽装し殺害していたのである。

さらに、ある理由で浜谷が邪魔になり、これを排除するべく朋子を浜谷の犯行に偽装し殺害した。
浜谷と思われた男の正体は、彼に変装した富永であった。

では、富永は其処までして何故、浜谷を邪魔に思ったのか？
富永は浜谷の妻・梨絵と不倫関係にあった。
彼らは彼らなりの愛を貫くべく、邪魔な浜谷を排除しようとしていたのだ。

だが、浜谷は富永の犯行に気付き告発しようとした。
其処で先手を打って、梨絵が浜谷を毒殺したのである。
最後に富永と2人で、浜谷を自殺に偽装したのだが金属アレルギーであることをすっかり忘れていたのだ。

「居るんですよね、梨絵さ～～～ん」
野川が良く通る声で呼びかけると、崖の向こうから梨絵がひょっこり現れた。
様子を窺っていたようだ。

梨絵によれば、浜谷が自分に黙って柳沼という隠し子を作っていたことが許せなかったらしい。
こうして、富永と柳沼が逮捕され事件は解決した―――エンド。

＜感想＞

「鉄道捜査官」シリーズ第14弾。
原作はサブタイトルから西村京太郎先生『伊豆急「リゾート21」の証人』（実業之日本社刊）……と思いきや違うらしい。
ちなみに『伊豆急「リゾート21」の証人』（実業之日本社刊）のあらすじはこちら。

＜あらすじ＞

十津川警部、法廷で窮地に立つ！

資産家の女性が自宅で雛祭りの飾り付けをしているところを強盗に襲われ、刺殺された。第一の容疑者は被害者の年下の夫。長身で美男の夫は、過去にも年上の妻が不審な交通事故で死んだため、十億の資産を遺産相続していた。警視庁捜査一課の十津川警部はその夫を犯人だと確信し、状況証拠のみで逮捕に踏み切る。ところが起訴後、この夫は、殺害の時刻に伊豆急の「リゾート21」に乗車していたことが判明。しかもそのアリバイを示す証拠とは、一枚の絵だった……。窮地に追い込まれた十津川警部は、再度、事件の捜査に奔走する！　著者ならではの魅力がたっぷり詰まった傑作長編トラベル・ミステリー。

（実業之日本社公式HPより）

では、ドラマの感想をば。

此処から、管理人の愚痴が始まります。
いつものやつです。
読むと不快になる恐れがあります、注意！！

さて、この番組には次の言葉が相応しいだろう―――「偉大なるネタドラマ」と。
それほど凄かった……いや、マジで。
ちなみに管理人は、序盤から中盤に強い眠気に襲われ、終盤で大爆笑していました。

まず確実に言えることは「このドラマは1時間で十分にまとまるモノだった」こと。
それを無理矢理に水増しした印象。
あの似顔絵のくだりは無くてもまとまるしなぁ。
何なら、美香の存在自体を省略しても大筋に差支えないほど。
というワケで、あらすじでは思い切って省きました。

あらすじの冒頭で述べた省略した人物とは「美香」のことです。
柳沼の恋人とは言え特に本筋に絡むでもなく、省略も可能であったことから完全に尺稼ぎの為の登場人物だったと言えるでしょう。

それと、ツッコミどころが多過ぎましたね。
特に次のが一番のツボだった。
シーンは崖にて、乃理子が富永の犯行を説明するくだり。
其処で語られた次の一言。

「あなた（富永のこと）は浜谷さんに変装したのよ」

へ、へ、へ、変装！？

久しぶりに聞いたこの言葉。
まさか、現代を舞台とした2時間サスペンスでこの言葉を聞こうとは……。

そうです、富永の変装です。
しかも、富永が谷浜に変装です。
とりあえず衣装を着て、付け髭を着けて、富永が浜谷に変装です。

誤解して頂きたくないのですが、管理人は変装を否定はしません。
不特定の誰かに変装する（小太りの男性、パンクな若者とか）のはアリだと思います。
ただ、特定の誰かに変装するのなら、それなりの説得力が求められると思います。

特に、昼日中に富永が谷浜に変装して歩き回るのはどうなんだろう！？
まさか、富永は左文字進並みの変装の達人なのか！？
もう、此処が引っかかって引っかかって仕方がない。

さらに、ラストで次々と笑いどころを提供する富永。

犯行に及ぶときは何故か変装を解く富永―――目撃される可能性は度外視するお茶目さ。
口封じするつもりだったからこそ罪を着せていたにも関わらず、谷浜に「告発するぞ」と宣言された途端に「仕方ない、やるしかない」とか言い出す富永―――計画性を彼方に忘れるうっかりさん。
谷浜殺害時、何故かこっそりと梨絵の陰から覗き込む富永―――表に立てないシャイな彼。

この1つ1つがツボを刺激して、ラスト10分は笑いが止まりませんでした。

他にも梨絵の「はぁぁぁぁぁぁなむぅぅぅらぁさぁぁぁぁぁぁぁん……」は破壊力大だった。
野川の小ネタを大幅に上回る力を感じました。

もう、それが全てだよ！！
次回も期待！！

ちなみに西村京太郎先生と言えば「十津川シリーズ」最終作について語られています。
興味のある方はリンクよりどうぞ！！

・十津川シリーズ最終作、舞台はあの村！？作者である西村京太郎先生が激白！！

・「JR時刻表」と西村京太郎先生がコラボ！！2013年7月号、8月号にファン必見のクイズとエッセイが掲載！！

TBS版十津川警部について、シリーズの制作秘話を森下和清プロデューサーが語られています。

・月曜ゴールデン版「十津川警部シリーズ」、その制作秘話を森下和清プロデューサーが読売新聞さんに明かしました！！

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＜キャスト＞

花村乃里子：沢口靖子
野川一郎：筧利夫
水谷美香：横山めぐみ
富永健一郎：野村宏伸
石川宏美：三津谷葉子
谷浜康雄：春田純一
谷浜梨絵：山下容莉枝
柳沼洋子：山口果林
片桐朋子：かでなれおん
手塚真理絵：山村紅葉　ほか

（順不同、敬称略、公式HPより）