登場人物一覧は本記事下部に移動しました。
<前回(161話)までのあらすじ>
北海道編終盤にて未来と異なる道を選んだ大和。
1人東京へ向かい、欽一、泰成と共に沢田と対峙することに。
だが、軽く一蹴されてしまう。
傷心の泰成はいずこかへと姿を消す。
一方、沢田の権力を諦めきれない欽一は葉子を利用しようと目論む。
大和はと言えば、そんな欽一の行動を知り、未来たちを守るべく邪魔者全員を排除しようと決意する。
そんな中、未来は水原の死を知り東京へ。
真玉橋もまた真実を追うべく東京へ。
一方、雄大は都内の病院で病床に伏す―――。
物語を彩る主要人物たちが物語の発端となった東京に集まる。
いよいよ、最終章!!
さまざまな思惑が入り乱れる事件の結末は―――そして、今週号(162話)へ!!
<162話あらすじ>
雄大が入院する病院で騒動が起こっていた。
意識を失うほど危険な状態にあった患者が病室から消えたのだ。
誰あろう、この消えた患者こそ雄大本人であった。
雄大は何処に消えたのか!?
一方、上京した真玉橋は過去の東海林の足跡を追っていた。
再捜査を開始し長崎にまで辿り着いた東海林、その驚異的な調査スピードの謎を解明する為である。
中でも、真玉橋は東海林が妻の見舞いに病院を訪れていたに注目する。
当時を知る看護師を訪れた真玉橋。
東海林について話を聞いていたところ、興味深い情報を得る。
東海林が足繁く病床の妻を訪ねていたのと同じ頃、1人の妊婦が事故に遭い運び込まれたらしい。
これを聞いた真玉橋の表情が変わる……。
同時刻、未来はテレビ局内に居た。
スタッフに通された控え室、其処で石井プロデューサーと面会する未来。
「ふ〜〜〜ん、この娘が3億円事件の真実をねぇ……」
石井は未来を見るなり、眉根を寄せて疑わしげな表情を浮かべる。
未来は3億円事件の真実を告白するとの触れ込みでテレビ局を訪れていたのだ。
しかし、何と言っても事件に比して歳が若過ぎる……信じる方が難しい。
「それよりも、沢田の件でしょ」
石井は未来を無視しようとするが……沢田の名を聞いた未来が反応した。
未来は石井に未だ公開されていない筈の北海道の別荘で殺害された高田たちの情報を教え、関係者であると主張する。
先程までとは打って変わって未来の言葉を吟味する石井だが……。
その頃、慎流会事務所では騒動が持ち上がっていた。
別荘の事件について記者会見を開くことになっていたのだが、肝心の沢田が姿を消したのだ。
欽一は焦りを募らせる。
当の沢田はある場所に居た。
その目の前には……病院から姿を消した雄大が立っていた―――163話に続く。
<感想>
雄大と沢田、両雄が長き時を経て再び対峙する!!
新章「東京編」第15回です。
サブタイトルは「対面」。
これはそのものズバリ、雄大と沢田の対面を指したモノ。
果たして2人が何を語るのか……そして、何を行うのか。
物語の根幹に関わって来るだけに見逃せない展開に。
一方、真玉橋は遂に東海林と雄大の接点に辿り着く。
それは妊婦の事故死に纏わるもの……とすれば、雄大との間に一子(おそらく武雄)を設けた和子のことか!?
此処から雄大の闇に繋がるのか!?
そして、161話での未来の行動の意味が明らかに。
やはり、告発が狙いだったか……。
しかも、その狙いはほぼ達成されそうだ。
沢田の別荘での事件―――その生き証人であることを告白したことにより石井の信頼は勝ち得ただろう。
だとすれば、後はどのタイミングですべてが公開されるのか!?
当然、未来は水原のダイイングメッセージも受け取っている。
その影響も含めて、此処も見逃せない。
そう言えば、未来自身の昏倒の理由も心配です。
メモの内容に衝撃を受けてなのか。
あるいは沖縄編終盤(99話)で鈴木の車を避けた際の脳震盪の影響か。
もしかすると、脳内出血に繋がっている可能性もある。
かなり、危険な状況なのかも。
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第99話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
でもって、大和の策はやはり「二虎競食の計」か。
二郎を北海道から呼び出し、欽一を事務所から引きずり出した。
欽一の性格から考えれば、虜囚となり戦闘能力を喪失した二郎を切り捨てる可能性は高い。
だが、二郎は実際には虜囚となっていない。
欽一の裏切りを二郎の前で見せつければどうなるか。
裏切られ逆上した二郎は欽一を手にかけるのではないか。
あるいは、大和が加工した音声データを駆使すれば、欽一と二郎をさらに翻弄することも可能な筈。
いずれにしろ、大和の関口兄弟排除は成功しそうな予感。
さて、此処でこれまでの事実に基づく雄大についての仮説を。
<<管理人が考える仮説(2014年3月24日時点)>>
過去、軍艦島に生活していた雄大と沢田。
2人は故郷である島を愛しており、其処で一生を終えるつもりであった。
しかし、何か事件が勃発(時の政府主導で閉山とそれに伴う住民の強制的な追い出しが行われた?この際、雄大や沢田の家族に死人が出た?)。
雄大と沢田は、離島前に65号棟にて想い出の写真を撮影。
彼らにとって、この経験は復讐すべき記憶となり決して忘れないと誓う。
数年後、雄大が長崎から上京し竜と出会う。
同じ頃、沢田とも再会。
沢田は復讐の為に須黒を利用していた。
当然、同志として雄大にも声をかける。
しかし、当時の雄大は和子と幸せな家庭を築こうとしており復讐心を忘れつつあった。
ところが、和子が事故死。
またも、愛する者が奪われたことで、1人残された赤子(武雄)を胸に雄大は復讐心を思い起こす(復讐対象は理不尽を強いた当時の世間!?)。
3億円事件決行。
その目的は、これを承認した関係者の弱味を握り沢田に権力を与えること。
最終的には沢田を最高権力者とすることで、自分たちのような悲劇が2度と起こらないような社会作りを目的としていた。
しかし、此処で利用されていた筈の須黒が暴走―――雄大と竜に牙を剥く。
竜瀕死の重傷、雄大は沢田に助けられる。
その後、雄大が対須黒の行動を起こすが、竜が先に報復を果たしてしまう。
須黒死亡。
雄大は権力の座に足をかけた沢田を見届け、自身は身を退く。
竜を巻き込んだことを悔い、鉄也となって響子を見守る。
誰かとの間に、大和を作る?
しかし、此処で沢田が雄大の理想を裏切り、単に権力のみを追求し始めた。
一方で、沢田配下の関口兄弟が暗躍。
背景を知る横溝保が口封じに殺害される?
さらに、鉄也が何者かに襲撃される。
身の危険を感じた雄大は大和を巻き込まない為に、身代わりを使って死を偽装する。
さらに、竜の死を無にする背信行為に雄大は怒り、東海林に情報(FD)を提供する。
東海林は雄大の情報をもとに、真相へ。
ところが、二郎に口封じされる(1話での出来事)。
<<仮説終わり>>
こんな感じだろうか?
ただ、問題は此処からだ。
この仮説には謎が幾つか残る。
大きなものだと「鉄也は自身の死を偽装し、雄大に戻ってから何をしていたのか」とか(関口兄弟から身を隠していた?)。
沢田と良好な関係ならば「何故、旧紙幣を隠し持っていたのか」とか(沢田から雄大への信頼の証として渡した?)。
そもそも「雄大と沢田の関係はどうなっているのか」とか。
中でも、今後は「雄大と沢田の関係性」が焦点になりそうな予感。
これが「敵対」なのか「牽制」なのか「友好」なのかで大きく異なって来る。
例えば、沢田にとって武雄が本当に預かり者だったのか、人質だったのかでも変わって来るし。
ただ、沢田が須黒から雄大たちを逃がしたような描写もあるし、武雄と葉子の結婚も許している。
当然、雄大が鉄也だったことも知っていた可能性が高い。
現に二郎は雄大が鉄也であることを知っていた(「今度はその顔」発言)。
軍艦島の経験が雄大と沢田の絆にもなっているようだし、雄大と沢田は友好関係にあるように見える。
だが一方で、雄大が響子の安全を確認する必要に迫られても居る。
これは沢田が仲間ならば必要のない筈の出来事だ。
また、二郎が小田切家を監視していた。
監視自体は関口兄弟の一存であるが、この理由が旧500円札らしいことは明らかであり、つまり、雄大は沢田相手に保険を取っていたことになる。
これまた雄大と沢田が友好関係にあれば本来必要のない措置なのだが……。
さらにもう1つのポイントが、どうやら東海林に再捜査を行わさせた契機である横溝の死か。
泰成を復讐鬼に変えたこの事件、154話だと沢田は関知していないと語っていましたが何やら裏がある!?
沢田の台詞が正しければ横溝殺害に第3者の影がちらつく。
個人的には沢田が関知していないだけで暴走した関口兄弟が口封じしたと思うのですが、もしかすると別の人物の関与も有り得るのか。
仮にこれが正しければ、仮説の通りその人物こそが軍艦島の事件に関与しており、これを打倒するべく若き日の沢田と雄大が動いていた可能性もあるかもしれない。
その人物が健在ならば、沢田や雄大すら超える最大の敵となる可能性も残るか。
もっとも、そもそも沢田の嘘の可能性も依然として残るワケだけど。
うむむ、謎が謎を呼ぶ展開だ……。
果たして、対立軸は「沢田派(関口兄弟含む)」対「雄大」なのか。
それとも、「沢田&雄大」対「関口兄弟」なのか。
あるいは、「沢田」対「関口兄弟」対「雄大」なのか。
また、これに関連して次の点も気に留めておきたい。
むしろ、これこそが本作最大の謎となるかもしれない。
そう……大和の母は誰か?
同じ雄大の息子と思われる武雄と比しても大和は雄大に瓜二つ。
癖や思考法までほぼ同じだし、母親が正体不明な点も含めて気にかかる……。
さて、以前から映像化が予告されていた「三億円事件奇譚モンタージュ」ですが、その詳細が少し明らかになりました。
・【朗報】渡辺潤先生「三億円事件奇譚 モンタージュ」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)遂に映像化!!
フジテレビ系列にてドラマ化だそうです。
放送時期や、単発のSPドラマか連続ドラマなのかまでは不明。
とはいえ、本作の内容的に単発でのドラマ化は不可能、連続ドラマが予想されます。
また、2014年3月時点で放送時期が明かされていないところを見ると、早くとも2014年秋以降からの放送が予測されますが、果たして……。
いずれにしろ、楽しみです!!
変わって、現在の勢力図はこんな感じ!?
@大和
A泰成
B沢田一派
C雄大
D真玉橋、島袋、響子、ハリー、武雄、葉子たち
E関口兄弟(ただし、何処まで連携出来ているかは不明)
F未来
実にそれぞれの思惑が乱立。
未来は大和と合流するものと思われる。
さらに、欽一と二郎間にもいろいろありそうだが……。
以上のように争いは3つ巴から7つ巴に。
更なる激化は間違いないか?
とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ!!
163話に期待です!!
ちなみに「三億円事件奇譚 モンタージュ」最新第15巻も発売。
購入希望者は本記事下部のアマゾンさんリンクから是非!!
◆関連過去記事
・「ヤングマガジン27号」(講談社刊)より「三億円事件奇譚 モンタージュ」連載開始!!
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)第1話から第160話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第161話「岐路」(講談社『週刊ヤングマガジン』連載中)ネタバレ批評(レビュー)
◆登場人物一覧
【現代】
鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中
鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
小田切武雄:未来の父、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
小田切葉子:未来の母、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……。104話にて横溝保の息子と判明。
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。146話にて死亡が確認される。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。
土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。
響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。
ハリー・スタンレー:元海兵の幹部。現在ではヘリコプター会社を営む。95話より登場。
ケニー:現役の海兵。キャサリンに想いを寄せる。
関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。
沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。
松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。
朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。
小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。
真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。105話で死亡する。
関口弘美:沢田と親しいらしい関口兄弟の養母。過去編で沢田が出入りしていた風俗店の店員か?
島袋:沖縄編で登場した刑事。真玉橋の部下。
亀井:県警本部長、それと知らず沢田に情報を提供した。149話に登場。
森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。
高田:128話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組のリーダー格。
シゲキ:129話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組の1人。ロンゲ。
トシオ:129話で登場。北海道の沢田の別荘に居た3人組の1人。メカ担当。
石井:162話で登場。テレビ局のプロデューサー。
【三億円事件当時】
川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?
健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。後に関口兄弟に殺害される。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。健同様、関口兄弟に殺害される。89話より登場。
須黒:当時の公安課刑事。強引ながらもかなりのやり手。108話より登場。
ジョージ・スタンレー:ハリーの父。裏社会と繋がり暗躍していたらしい。107話より登場。
ハリー・スタンレー:若かりし日のハリー。当時から響子を知っていた。
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