2014年05月15日

『ヒマじゃない夜』(ハセベバクシンオー著、角川書店刊『ダ・ヴィンチ 2014年6月号』掲載)

『ヒマじゃない夜』(ハセベバクシンオー著、角川書店刊『ダ・ヴィンチ 2014年6月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<感想>

角田課長が主人公のスピンオフ作品にして超短編。
なんと、全部で4ページほどです。
厳密に言えば、短編部分は3ページほどなのですが、4ページ目に意外な仕掛けが施されています。
あれも含めて『ヒマじゃない夜』でしょう。

ちなみに、3ページほどの短編部分には現在の角田課長自身は登場しません。
この「不在の在」が角田課長の切れ者ぶりを強調します。
流石、伊達に「特命係」と付き合ってないぜ。

そうそう「特命係」と言えば、右京さんたちこそ登場しませんが、右京さんの存在を匂わす描写が作中に存在しています。
あれも「不在の在」だな。

まさに「ヒマ課長だけどヒマじゃない」。
そして、ハードボイルド。
「ダ・ヴィンチ」を読んで、本作を楽しむべし!!

<ネタバレあらすじ>

バーの店主は狼狽した。
常連客の1人にバーを始める前の職業を尋ねられたからだ。
これに店主は曖昧に応じると「大事なお客さんがあって……」と暗に早めの店じまいを伝えた。
常連客は「仕方がないなぁ……」とぼやきつつ、店を後にした。

バーの店主は思う。
確かにこれから来店する客は非常に大切な客である。
何しろ恩人なのだから―――。

バーの店主は元刑事。
それも組織犯罪対策第5課に属していた。
上司である課長は剽軽な男で、隣にある「特命係」に入り浸っては体良くあしらわれていた。
正直、刑事時代の店主は彼を侮っていた。

しかし、この認識が誤りであることを知らされた。
ある日、課長に呼び出された彼は捜査対象から買収されていたことを指摘された。
そして、その場で辞表を書かされた。
あのとき、課長はその剽軽ぶりを隠し眼鏡の奥に鋭利な光を宿していた。

彼は初めて気付いた。
この人は叩き上げだったのだ。
決して侮るべきでは無かったと。

そして、彼は課長のS(スパイ)になった。
このバーも課長の支援で開店したもので、情報収集の拠点となっている。
常連客たちはそれと知らないが、彼の情報源となっているのだ。

店主にとって課長は恩人である。
もしも、あのまま買収され続けていたら……どうなっていたか分からない。
彼がこうして真っ当に生き続けているのも、課長のおかげなのだ。

店主は課長お気に入りのパンダカップを磨きつつ、これからやって来るであろう課長の来店を待った。

そして、最後のページには「よっ、暇か!?」と口にしつつ扉を開ける角田課長の写真が―――エンド。

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『転落』(ハセベバクシンオー著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞10周年記念 10分間ミステリー』収録)ネタバレ書評(レビュー)

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