2014年05月16日

「思春鬼のふたり」第13話「生死のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第13話「生死のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。
白雪:辻に恋焦れる少女。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
深海末姫:辻と白雪の前に現れた少女。「もう1人の掃除人」を名乗る。
諏訪:深海のクラスメート。実はWCOの掃除人。6話で小鹿に処刑される。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。
黒金:辻たちが通う学校の教師。女性。
若丸:黒金が招いた病院の医師。男性。
星野銀華:元WCOのお掃除人。だが、WCOを離脱する。
園長:辻と白雪が遊びに出かけた動物園の園長。

<あらすじ>

動物虐待が露見し連行されて行く園長。
一方、辻は必死の逃走を続けていた。

話は数分前に遡る。
お掃除執行に挑んだ辻。
ところが、その前に現れた星野銀華により妨害されてしまった。

星野はあっさりと辻のナイフを破壊。
その上で「生き物好きなんでしょ。君が殺そうとしているこの人も生き物なんだよ」と涙ながらに訴えた。
辻はこれに対し「こいつは人でなしだ」と反論する。

そんな辻を見て、ふっと笑う星野。
彼は自身が元WCOのお掃除人で999人を手にかけたことを明かし、「君は悪人を殺害することで善人だけの社会が到来すると思っているようだけど、それは間違いだ」と指摘する。

此処で「パレートの法則」を持ち出す星野。
世の中を100とするならば、そのうち2割が常に悪人だと語り出す。
例えば、100人中20人が悪人でこれを排除したとしよう。
ところが、残った80人からも2割の人間が悪に走るのだ。
これは絶対的な法則で、これがある限りどれだけ悪人を排除しようとも終わらないと断言する。

動揺する辻。
しかし、此処で警察が到着し逃走を余儀なくされたのである。

何とか逃げ切り、ベンチに腰を下ろした辻は大きく溜息を吐く。
「どうしたの?」
ふと、横を見れば何時の間にか白雪が座っていた。

どうやら、白雪はずっと尾行していたようである。
これにお掃除を失敗してしまったことを打ち明ける辻。
それはつまり、辻自体がWCOから追われることを意味する。

そんな辻の目の前に、早くも小鹿が現れた。
白雪を庇う辻、辻を庇う白雪。

だが、小鹿は今回に限り辻の罪は問わないことを告げる。
そんなことをすれば、辻以外にも多数のお掃除人が処刑されかねないからだからだそうだ。
何しろ、小鹿自体が星野に敗れていたからである。

切羽詰まった様子の小鹿は星野を打倒すべく辻に協力を依頼する。

その頃、星野は自身の担当さんを言いなりになるよう改造を施していた。
さらに、担当さんに次のWCOの狙いを聞き出していたのである。
星野はまたもWCOのお掃除を妨害しようと考えていたのだ―――14話に続く。

11話にて小鹿をあっさりと凌駕した男の正体は……星野銀華。
元掃除人にして、辻をあっさり撃退する実力の持ち主。
しかも、どうも言葉通りの良識人でもない様子。
「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載開始です。

その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する掃除人こと連続殺人鬼。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛する少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。

「思春鬼のふたり」コミックス1巻も発売が決定とのこと、見逃せません。
さらに「モコと歪んだ殺人鬼ども」4巻も発売が控えているそうです。
さらにさらに、「ダ・ヴィンチ 2014年6月号」の「相棒」特集に反転邪郎先生が参加されています。
先生による美麗なイラストつきで、好きな相棒回が掲載。
その回とは「シーズン4」19話!!
詳しくは……「ダ・ヴィンチ 2014年6月号」を読むべし!
こちらも読むべし!!

さて、その13話ですが……。

星野とのイデオロギー的対立は無さそうかなぁ……。
力と力で決着しそうな予感。

さらに、星野はどうも言葉通りの良識派でも無さそう。
WCOの活動に疑問を抱いたと言うよりは、単にWCOの意に沿うことを嫌がっただけか。
自身の行動を心底から償いたいと言った様子でも無いし。
おそらく、本性は別にありそうだ。
もっとも、そうでなければ辻が倒すべき敵になりえないか。

ちなみに作中で引用された「パレートの法則」とは「80:20の法則(20:80の法則)」または「働きアリの法則」でも良く知られるもので、ビジネス書でもよく紹介されています。

「働きアリの法則」とは次のようなもの。
「全体のアリの中で8割が働きアリで2割が怠けアリである。そこで、この2割の怠けアリを抽出してみる。すると、2割の怠けアリのうち8割が働きアリに転化する。同様に残された働きアリ8割からは、その内の2割が怠けアリに転化する」との法則。
一部では、この8割と2割が逆になっている場合(8割が怠けアリ、2割が働きアリ)もあるようで、要は「組織を構成する人員の比率は組織の大小では変わらないよ」的な法則。

とはいえ「パレートの法則」本来の意味は「全体に影響を与えるのは一部の物である」とのもので、例えば「売り上げの80パーセントを生み出すのは20パーセントの主要顧客である」ことから「この20パーセントの顧客に向けてマーケティングすることで、より効率化したサービス提供が可能になる」との主旨の経済用語だったりします。
現在では主に「働きアリの法則」の意味でよく用いられているようで、これもまた転化したと言えるのかもしれません。
興味深いです。

本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」、「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「思春鬼のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)1話から10話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

「思春鬼のふたり」第11話「息抜きのふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第12話「白黒のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり 1 (少年チャンピオン・コミックス)」です!!
思春鬼のふたり 1 (少年チャンピオン・コミックス)





「モコと歪んだ殺人鬼ども 1 (フラッパーコミックス)」です!!
モコと歪んだ殺人鬼ども 1 (フラッパーコミックス)





「モコと歪んだ殺人鬼ども 2 (フラッパーコミックス)」です!!
モコと歪んだ殺人鬼ども 2 (フラッパーコミックス)





「モコと歪んだ殺人鬼ども 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)」です!!
モコと歪んだ殺人鬼ども 3 (MFコミックス フラッパーシリーズ)





「モコと歪んだ殺人鬼ども(4) (MFコミックス フラッパーシリーズ)」です!!
モコと歪んだ殺人鬼ども(4) (MFコミックス フラッパーシリーズ)



【関連する記事】
posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック