2014年05月17日

「実は私は」第63話「誕生日を祝おう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「実は私は」第63話「誕生日を祝おう!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第63話登場人物一覧:
黒峰朝陽:主人公、通称「アナザル」。
白神葉子:朝陽の意中の人物。ある秘密が……。
紫々戸獅狼:葉子の幼馴染。彼もまたある秘密を……。
紫々戸獅穂:葉子の幼馴染。彼女もまたある秘密を……。

藍澤渚:クラス委員長。彼女にも秘密が……。
藍澤涼:渚の兄、意外な形で登場することに……。
紅本茜:紅本の親族らしい。彼女にも秘密が……。
紅本明里:教師。彼女にも秘密が……。
黄龍院凛:33話より登場した謎の少女。彼女にも秘密が!?
黄龍丸:凛が駆るドラゴン。52話にて意外な正体が明らかに。

朱美みかん:朝陽の幼馴染。新聞部所属。通称「オレンジ」。
岡田:朝陽の友人の1人。通称・岡。眼鏡が特徴。割と友人想いの様子。
嶋田:朝陽の友人の1人。通称・嶋。軽い。
桜田:朝陽の友人の1人。通称・サクラ。渋い。
フクちゃん:「福の神見習い」を名乗る眼鏡。
フクの介:フクちゃんの先輩。やはり眼鏡。
フク太郎:フクちゃんとフクの介の先輩。やはり眼鏡。
フク蔵:フクちゃんとフクの介とフク太郎の先輩。やはり眼鏡。

朝陽の父:朝陽の家族。22話に初登場。
朝陽の母:朝陽の家族。22話に初登場。
黒峰鳴:朝陽の妹。22話、28話、48話に登場。48話にて名前と顔が判明。
白神源二郎:吸血鬼。額に十字傷を抱く巨人。39話にて名前が判明。
白神桐子:葉子の母で人間。和服の美女。38話にて名前が判明。
銀華恋:茜に続く第2のツノツキ……の筈だったが。58話から登場。

<あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜

「アナザル」こと「絶対に秘密を守れない男」黒峰朝陽は憧れのヒロイン・白神葉子の秘密を知ってしまった。
その秘密とは「白神葉子がハーフの吸血鬼である」こと。
朝陽は葉子の為に、この秘密を守らねばならない―――。
取り巻く人々を相手に、朝陽は秘密を守り抜くことが出来るのか?

矢先、実は宇宙人であった委員長・渚、狼男で肉食系女子な獅穂、悪魔っ娘の茜、未来人の凛、幼馴染のみかん、天使の華恋も加わって……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

明里の誕生日がやって来た。
普段、彼女にお世話になっている朝陽、葉子、華恋、渚、獅穂はこれを祝うべく紅本家を訪問することに。
ところが……。

現れた明里は誕生日と聞いて首を傾げる。
さらに「いや、誕生日じゃないけど」とさらっと言ってのけたのだ。

「あれ、茜に聞いたんだけど」
戸惑う華恋が改めて明里を見遣ると……。

「ああ、誕生日は無くなったんだ。あれさえ無ければ歳も取らないことに気付いた」
何の衒いも無く口にしたのである。
それは、心の底から信じ込もうとしている者の言葉であった。
これを聞いた朝陽たちは絶句した。

「とはいえ、折角来たんだ。まぁ、上がれ」
何だか異様な雰囲気を纏う明里に招き入れられた朝陽たちはその理由を知ることに。

ポン、ポン、ポン、ポーン!!
14時をお伝えします。
紅本明里が歳を重ねてから14時間が経過しました。

14時のチャイムと共にそんな放送が流れ、多数の茜がクローゼットから溢れ出た。
彼女たちは一様に明里の周囲を取り囲むと「や〜〜〜い、や〜〜〜い」と囃し立てる。

これに明里がキレた!!
茜は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。

どうやら、これが誕生日になってから1時間ごとに繰り返されて来たらしい。
「それは誕生日を忘れたくもなるわなぁ……」
思わず明里に同情する一同。

この現状を打破するべく渚の指揮で「楽しい誕生日作戦」が実行に移された。

まずは、朝陽と葉子からお祝いの言葉が。
しかし、これは人選がまずかった。
朝陽と葉子は遠慮がちに明里から目を逸らしつつ、お祝いを伝える。
これで、祝意が伝わる筈がない。

次いで、渚のケーキ。
だが、ケーキを差し出された途端、明里が俯き加減でその場に座り込んでしまう。
「すまん、藍沢。この大きさじゃぁ蝋燭が立てられないんだ……」
思わぬところで、明里のトラウマスイッチを踏んだことに気付いた渚はパニックに。
一方、渚作と知った茜が興味を示すが葉子に止められる。

こうなれば、天使しか居ない。
華恋はワインをプレゼントする。
これには明里が微笑んだ。
どうやら、喜んでいるようである。

「流石、華恋さん。私が生まれてからの付き合いなだけはある」
明里の言葉に、自慢顔の華恋。

と、明里の視線がワインに添えられたグラスで止まった。
グラスは1個しかない。

「ああ、茜は飲まないし……」
何やら続けようとした華恋だが、明里が崩れ落ちた。
グラスが1個ではペアで飲めない。
すなわち、恋人が出来ないことの揶揄と受け取ったのだ。

まさか、持ち上げて落とすとは……外野がざわめいた。
これに華恋もパニックに陥ってしまう。

こうなれば……獅穂しかいない。
獅穂は持ち前の痴女力を発揮し、明里の独身力に対決を挑む。
獅穂がプレゼントとして差し出したのは扇情的なドレスである。
ドレスで彼氏をゲット!!という狙いらしい。
これを見た明里が乗り気になった。

此処ぞとばかりに朝陽たちが明里を励ます。
明里の表情が少しずつ生気を帯びたものに変化した。
やがて、勢い込んだ明里は理想の彼氏について語り出した。

白馬の王子様は来てくれるのかしら。
私よりも背が高くて。
私よりも収入があって。
私よりも強くて。

これには全員が呆気にとられた。
朝陽は「だから……」と言いかけて、口を押えられた。
見れば、全員が同じことを言いたいのだが必死に我慢している形相である。

重苦しい沈黙が満ちた。
其処へ、白馬の王子……ならぬ、白馬の茜が。
茜は誰もが我慢しようとした禁断の一言を口にする。

「だから、恋人が出来んのだ」

図星を突かれた明里は茜を追いかける。
その背後では全員が「すっきり〜〜〜」と満足した表情を浮かべていた。

しかし、この状態で良いワケがない。
葉子がみかんと研究開発した「ロシアンシュー」を贈ろうとして止められたりなど、朝陽たちは必死に明里を喜ばせる方法を考えるが……。

その様子を眺めていた明里に茜が声をかける。

「こうして、お前のことを考えてくれる教え子が居ることこそが何よりだろう」
これを聞いて明里の表情が明るくなった。

「とりあえず、これは貰って行くぞ」
そう述べて茜が手を伸ばしたのは渚のケーキである。
その手を明里が止めた。

茜がぽつりと呟く。
「離せ、独身が感染る」

数瞬後、茜は葉子作のロシアンシューを口に突っ込まれ床を這っていた。
もちろん、明里の仕業だ。
これにより、当の明里の表情から影は取り払われていた。

しかし、彼女は忘れている。
根本的な問題自体は何も解決していないことに―――64話に続く。

茜の活躍(?)と明里の憤怒が読めるのは「週刊少年チャンピオン」だけ。
本誌で確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて「さくらDISCORD」を連載されていた増田英二先生の新作。
「さくらDISCORD」は未読の管理人ですが、1話を読んで注目している作品です。
コミックス1巻に続き2巻、3巻、4巻、5巻も重版出来とのことで、目出度い。
さらに、6巻も発売。ちなみに表紙は凛ちゃんですよ!!
そして、本作かなり面白い!!

さらにさらに、増田先生の初期作品「透明人間の作り方」も発売とのこと。
こちらも注目!!

その63話。
キャラの配置と活かし方、そこから生じるテンポが本作の妙味。
それが存分に発揮された回でした。

そして、何と言っても贅沢です。
「だから、恋人が出来んのだ」の箇所でオチにしても良いくらい。
そこから、ロシアンシューに繋げたのは見事。
葉子に「暴食」の羽根がささるなど小ネタも楽しい。

そして、オチは鉄板の明里。
まさに、明里は本作から欠かせないキャラになってるなぁ……。

総評として、今回も楽しめた!!
多くは語るまい、とりあえず読め!!

そう言えば、上でもお伝えした通りコミックス6巻が発売。
表紙は1巻の葉子、2巻の渚、3巻の獅穂、4巻の茜、5巻のフクちゃんとみかんに続き、凛。
うむ、此処までは予想通り。
こうなると、7巻が明里、8巻が華恋かな。

ちなみに、上記のあらすじは本作の魅力を伝えられるよう改変を加えてまとめていますが、その面白さを伝えきれていません。
やっぱり、あの絵とコマ割りなどのテンポあっての本作。
是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を読んで欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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