2014年05月24日

金曜プレステージ「夏樹静子サスペンス 検事 霞夕子6 不能犯 同じ日の真夜中に複数の無関係な人間が同一人物を刺殺!?こんな偶然あるわけない…!法律を悪用する強敵の意外な正体」(5月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ「夏樹静子サスペンス 検事 霞夕子6 不能犯 同じ日の真夜中に複数の無関係な人間が同一人物を刺殺!?こんな偶然あるわけない…!法律を悪用する強敵の意外な正体」(5月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

事件の報告を受けた検事・霞夕子(沢口靖子)は、家族との約束を返上して現場にかけつける。被害者・黒田光彦(高濱正朋)の死体には心臓と腹部に刺し傷があり、ナイフが刺さったまま。その後の調べで、心臓と腹部を刺したナイフが同一のものではないことが発覚した。しかも腹部の傷は死後つけられたものだとわかる。夕子は黒田についてさらに調べを続ける。黒田は二年前、バイクひき逃げ事故を起こし8歳の女の子の命を奪った。黒田は脱法ハーブを使用していた疑いもあったが、服役後、被害者の遺族たちが住む場所からほど近いアパートに再び戻って生活していたのだった。夕子と桜木(西村和彦)は事故で命を落とした少女の母親、三吉和佳子(須藤理彩)に会いに行く。三吉夫婦の家には、黒田は一回も謝りに来ることはなかったという。そんなとき、黒田の向かいの家に住む占部警部(神保悟志)の甥、勝男(藤山扇治郎)から、怪しい人間を深夜に目撃したと聞き出した夕子。一方、事件現場にほど近いパチンコ店の防犯映像には、ある初老の男性、重倉(三浦浩一)とぶつかり、彼を殴り飛ばす黒田の姿が映っていた。重倉は黒田に向かって「殺してやる」とつぶやいていたという証言も得られる。事件の犯人は一体誰なのか。そして何が人々を狂わせたのだろうか…。
(金曜プレステージ公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

検事・霞夕子が手掛けた今回の案件は、黒田光彦殺害事件。
この事件、かなりの難事件であることは明らかであった。

まず、殺害状況。
殺害された黒田の遺体には心臓と腹部にそれぞれ刺し傷があった。
ところが、この傷は別のナイフによるものであり、腹部に至っては死後に傷付けられたものだったのである。
この理由が分からない。

次いで、容疑者。
何より数が多過ぎた―――その数、なんと20人強。
黒田は普段から素行が悪く、多くの人々に恨まれていたのだ。

黒田の恋人・田中智子からは籍を入れなかったことについて恨まれていた。
黒田の母と姉からは金を無心し、あちこちで事件を起こすことで恨まれていた。
他にも黒田に騙された、被害に遭った人々は皆が彼を恨んでいた。

さらに、黒田が2年前にバイクでの轢き逃げ事故を起こしていたことも判明。
この被害者が8歳の少女・三好さつき。
さつきは轢き逃げされたことで、虚しく命を散らせていた。

事件の担当検事・並木清によれば、黒田は相当な悪人だったらしい。
黒田はさつきを轢き逃げした後に、1週間ほど姿を消していた。
その後、出頭したのだが、この理由が脱法ハーブを身体から抜く為だったようなのだ。
ところが、これに懲りず黒田は殺害される直前も脱法ハーブを続けていた。
しかも、黒田は出頭したことで罪が軽くなっていたのである。
明らかにそれを見越しての対応だったと言う。

当然、さつきの両親の憎しみは相当な物だった筈だ。
其処で夕子はさつきの両親である三好範夫、和佳子夫妻を訪問することに。

すると、意外な事実が判明。
なんと、黒田は三好家の近くに住んでいたのである。
しかも、さつきについて謝罪にも現れなかったそうだ。
どうやら、黒田は三好夫妻をからかっていた節まであるらしい。

三好夫妻は子供が出来ず、さつきはまさに希望の娘だったそうだ。
これを奪った黒田を許せる筈もない。
その上に、この悪逆非道である。
夕子でさえも黒田への憤りを隠せなかった。

さらに、さつきは両親だけではなく祖母からも愛されていたらしい。
母方の祖母・長沢緑とさつきが撮影した写真が多く飾られていた。
それが毎年4月8日に撮影されていたことに気付いた夕子は遣る瀬無さを抱く。

こうして、三好範夫、和佳子夫妻が捜査線上に浮かんで来た。
その矢先、占部警部の甥・勝男が目撃証言を寄せる。
なんと、黒田の殺害当日に2人の犯人らしき人物が1時40分と2時22分ごろに順番に訪れていたらしい。

犯人は2人だったのか!?
色めき立つ捜査陣。

さらに、黒田が殺害前日に設計士の重倉覚と揉めていたことが判明する。
重倉は黒田に対し「殺してやる」と罵っていたらしい。

三好夫妻に重倉……さらに容疑者が増えた。
実行犯である2人の組み合わせが容疑者の中から模索されることに。

そんな中、夕子は黒田の腹部に残された傷の意味に気付く。
これは「不能犯」を狙った犯行なのではないか―――。

つまり、容疑者とされる2人を仮に特定しても、どちらが黒田を殺害したのかを立証しない限り立件出来ないのだ。
何しろ、殺人罪で問うことが出来なくなるのだから……。

そんな中、夕子はさつきの出自に疑問を抱く。
果たして本当に三好夫妻の娘なのだろうか?
和佳子と重倉の接点を探した夕子は、和佳子の母・長沢緑の存在に注目する。

なんと、さつきが生まれる数年前に緑と重倉に接点があったのだ。
どうやら、重倉が設計した博物館を介して知り合ったらしい。

しかも、さつきの誕生日が2004年4月8日と判明する。
そう「4月8日」だ。

これらから、夕子は真犯人に辿り着く。

夕子は緑、三好夫妻、重倉を呼び出す。
其処で夕子が犯人と指摘したのは緑であった。

実は、さつきは緑と重倉の間の娘だったのだ。
つまり、和佳子の異父妹にあたる。
これを子供の居なかった範夫と和佳子が実子として育てていたのである。
緑は4月8日に生んだ実娘のさつきを祝うべく、毎年4月8日に写真を撮影したのであった。

だが、さつきは黒田に殺されてしまった。
そして、当の黒田は罪を全く反省していない。

緑は逆上し、黒田殺害を決意する。
しかし、普通に殺してしまっては和佳子に疑いがかかりかねない。
其処で「不能犯」を利用しようとしたのである。

緑は、さつきの父親である重倉に連絡を取り、協力を要請。
重倉はわざと黒田と揉め事を起こし、容疑者になるような行動を取った。

その数日後、緑は1時40分に黒田宅を訪問。
これを殺害した。
そして1度引き返すと、再び現場に戻り別のナイフで死体を刺したのだ。
さも、複数人の犯行であるかのように偽装する為である。

重倉も三好夫妻も緑の犯行を知りつつ、これを黙認していたのであった。
こうして事件は解決した―――エンド。

<感想>

沢口さん主演「検事・霞夕子シリーズ」第6弾。
前作は2013年12月13日に放送されているので、およそ半年ぶりのシリーズ新作となります。
これまでのシリーズ作品については過去記事ありますね。
興味のある方はどうぞ!!

ドラマ原作は夏樹静子先生『深夜の偶然』(文藝春秋社刊『一瞬の魔』収録)。

<あらすじ>

資産家老女の架空名義の預金一億円を横領した男女銀行員の心理を巧みに描く表題作ほか、「黒髪の焦点」「鰻の怪」「輸血のゆくえ」「深夜の偶然」の四篇を収める。(大村彦次郎)
(文藝春秋社公式HPより)


では、ドラマ版感想。

なんだか凄く謎が残ってる。
これ、「不能犯」にする必然性が全く無いような気がするのだが……。

そもそも、和佳子に容疑が向かないようにと配慮するのなら、他の方法を採用すれば良いだけのような。
あるいは、範夫と和佳子の2人に完璧なアリバイがあるときを狙うとか。
範夫の出張時期を和佳子に確認してまで実行する必要性が全く感じられないのだが。
なんだろ、和佳子を巻き込むことになるだけのような。

それと、重倉を巻き込む必要も一切なかったような……。
寧ろ、重倉を巻き込まなければ完全犯罪だったかも……。

もっとも、あそこから緑の犯行を導き出した夕子が凄過ぎるのも分かる。
あれだけの容疑者が居る中で、和佳子と重倉の接点を調べた理由も全然分からないし。
他の組み合わせの可能性は考慮しなくて良かったのだろうか……。

それにしても、結局は緑1人の犯行だったワケだなぁ。
だとすると、やっぱり重倉を巻き込む必要は無かったんだよなぁ。
もしかすると、緑はさつきの実父である重倉にも何らかの形で責任を取らさせたかったのかもしれないなぁ……。

それと、刺し傷の深さや角度から犯人が1人であることは直ぐに分かったと思うなぁ……。
せめて、死後の刺し傷は重倉の犯行にしないと2人の犯行に偽装した意味が全く無いなぁ。

「不能犯」というテーマこそ面白かったんだけど、これがストーリーに全く活かされていない気がしてならない。
テーマとキャラや行動が乖離し過ぎてて、物凄く勿体なく感じる。
これなら、トリック抜きにして「緑の動機」をメインに「ホワイダニットもの」の方が上手くまとまったと思う。

あるいは、今回と同じく胸部と腹部に刺創が残された死体を発見。
その後、2人の容疑者が逮捕され、両方が「あいつがやった!!」と主張。
どちらが本当の実行犯なのか(あるいは第3者か)を夕子が突き止めるとかの方がテーマを活かせてたような気がする。
そもそも、この「不能犯」というテーマは「取調室シリーズ」みたいな取調官と容疑者の一騎打ちには向くテーマだけど、普通のサスペンス向きではないのではなかろうか。
その点、今回は本当にテーマ倒れだと思う。

一方、キャストは今回も良かった。
沢口靖子さん、西村和彦さん、神保悟志さん、石丸謙二郎さん、良いですね。
味があります。

総評を述べると「今回に限っては内容に疑問が残る出来」でした。
次回に期待!!

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【検事・霞夕子シリーズ】
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【書籍】
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「天使が消えていく」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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【その他情報】
夏樹静子先生インタビュー記事が「asahi.com」に掲載!!

夏樹静子先生、読売オンラインにて囲碁について語られる!!

<キャスト>

霞夕子:沢口靖子
桜木洋一:西村和彦
占部明日香:神保悟志
霞友行:ダンカン
霞彩子:松原智恵子
霞夏子:鍋本凪々美
岩瀬厚一郎:石丸謙二郎
梅野昭典:清水伸
長沢緑:仁科亜季子
三吉和佳子:須藤理彩
重倉覚:三浦浩一
三吉範夫:飯田基祐 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


『深夜の偶然』が収録された「一瞬の魔 (文春文庫)」です!!
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