<あらすじ>
東京のホテルで長崎市内にある観光会社の社長・田沼武雄(伊藤洋三郎)が殺された。田沼は心臓を刺され、そのうえロープで首を吊られ、手に女のものと見られる長い髪を握っていた。さらに遺体の上着には「恨みの首一つ」と書かれた短冊が留められていた。現場に駆けつけた南部平蔵(村上弘明)と南部率いる南平班のメンバーは捜査を開始する。第一発見者であるホテルのフロントマネージャー・山路啓輔(鳥羽潤)から話を聞いていると、ロビーの窓越しにロングコートを着た髪の長い女が見えるのに気づく南部。後を追うがすでに気配すらなかった。
南部と高村六郎(鈴木一真)は捜査のため長崎へ。田沼の会社を訪れると、県議会議員・亀山雅樹(小木茂光)と建設会社の社長・山田岳士(江藤潤)が田沼の秘書・片桐はるな(宮本真希)に状況を説明するよう詰め寄っていた。田沼と旧知の仲である二人は、殺されるようなトラブルを田沼が抱えていたとは考えられないと語る。だが、はるなは20年前に田沼が原因で自殺に追い込まれた人物がいたという噂を聞いたことがあると話す。
そんな中、山田が殺害された。またも殺害後に首を吊られ、手には女の髪が、そして「恨みの首二つ」と書かれた短冊も発見された。
南部は長崎南署の刑事・榎田(佐戸井けん太)の協力で、20年前に鬼塚省三(黒部幸英)というガラス細工職人が田沼と山田、そして亀山に土地を騙し取られて自殺したことを突き止める。鬼塚には二人の娘がいたが、長女の翠(潮美華)は父の後を追うように自殺していた。一人残された次女の瑠璃子(内田未来)は当時8歳で大阪の親類に引き取られていた。
一方、東京の現場で田沼が手にしていた頭髪の人物が特定された。2年前にガス爆発で重傷を負った弁護士の岩田瑠璃子だった。瑠璃子は瀕死状態で病院に搬送されたが、翌日何故か病室から姿を消していた。
捜査を進めると、鬼塚瑠璃子と岩田瑠璃子が同一人物であることが判明。南部らは父親と姉の復讐を果たすための瑠璃子の犯行と考え、次のターゲットと思われる亀山の周辺で張り込みを行う。
しかし翌朝、亀山の秘書・足立裕子(白羽ゆり)の死体が発見される。死体近くには「恨み首三つ」と書かれた短冊が、さらに殺害時刻の現場付近でロングコートを着た髪の長い女が目撃されていた。南部らは岩田瑠璃子の犯行と考えるが、そんなとき岩田瑠璃子が白骨化した状態で発見されたと連絡が入る・・・。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複あり)……
東京のホテルで男性の他殺死体が発見された。
被害者は長崎市内にある観光会社の社長・田沼武雄。
その死体は心臓を刺された上でロープで首を吊られるとの凄惨なモノ。
さらに、田沼の手には女性の毛髪が握られており、傍には「恨みの首一つ」と書かれた短冊が置かれていた。
この事件に、我らが南部平蔵率いる南平班が挑むことに。
死体の第一発見者であるホテルのフロントマネージャー・山路啓輔によれば、怪しい女性を見たと言う。
すると、ちょうど窓越しに山路の証言通りロングコートを身に着けた髪の長い女が……。
慌てて後を追う南部だが、逃げられてしまう。
南部は遺体の状況と短冊の内容から怨恨による犯行と推測、捜査を開始する。
こうして、被害者の地元・長崎へ。
すると、田沼の秘書である片桐はるなに2人の男性が詰め寄っていた。
2人の正体は、県議会議員・亀山雅樹と建設会社の社長・山田岳士。
どうやら、亀山と山田は田沼と親しい仲であり、共に田沼同様に狙われる覚えがあるらしい。
はるなによれば、20年前に田沼が原因で自殺した一家が居たそうだが……。
矢先、山田までもが殺害されてしまう。
今回も殺害後に首を吊られ、手には女性の毛髪、さらに「恨みの首二つ」と書かれた短冊が。
南部は地元・長崎南署の刑事である榎田と共に、はるなが語っていた20年前の事件を調べ始めた。
20年前、当時は県の観光課職員であった亀山が田沼と山田と共にガラス細工職人の鬼塚省三に出資話を持ちかけた。
ガラス細工をテーマにしたアミューズメントパーク建設である。
鬼塚は亀山を信用し、この話に出資した。
しかし、これは亀山たちの罠であった。
亀山たちの狙いは鬼塚の所有する土地だったのだ。
担保になっていた土地を亀山たちに奪われた鬼塚は自殺してしまう。
鬼塚には2人の娘がいた。
長女の翠は鬼塚の後を追い自殺。
1人残された次女の瑠璃子は大阪の親類に引き取られた。
一方、田沼と山田の遺体に残されていた毛髪の主が判明。
その主とされる人物は、2年前にガス爆発で重傷を負った人権派弁護士の岩田瑠璃子であった。
瑠璃子は瀕死状態で病院に搬送されたが翌日には病室から姿を消し、以降は消息不明となっていた。
瑠璃子を知る人によれば、彼女は多くのDV被害者たちを匿っていたと言うが……。
そんな中、鬼塚瑠璃子と岩田瑠璃子が同一人物であることが明らかに。
南部は瑠璃子による家族の復讐殺人ではないかと考える。
もしかすると、2年前に起こった瑠璃子のガス爆発自体が事故ではなく亀山による瑠璃子への殺人未遂だとすれば……復讐も頷ける。
瑠璃子の次の標的は亀山と考えた南部。
だが翌朝に死体で発見されたのは亀山の秘書・足立裕子であった。
時間は遡り、その前夜。
裕子の前に、火傷を負った長髪の人影が現れた。
手には鉄パイプを握り、その表情は全く窺えない。
「岩田瑠璃子なのね、そうなんでしょう!?」
人影の姿を目撃した裕子は悲鳴を挙げると必死に逃げ出す。
数百メートルは走っただろうか……どうやら振り切ったようだ。
ほっと一息つく裕子。
ところが、何処をどうしたものやら、その目の前には先と寸分違わぬ姿の長髪の人影が立っていた。
相手が鉄パイプを振り上げる。
裕子の口から再び悲鳴が迸る……。
数分後、絶命した裕子は人影により油を浴びせられると焼かれてしまうのであった。
時間は戻って、裕子の焼死体前に立つ南部。
死体の傍には「恨み首三つ」と書かれた短冊が残されていた。
しかし、これまでは死体は吊られていたのだが今回は焼かれている―――明らかに手口が異なっていた。
もしかして……先の2人と異なり2年前のガス爆発事件の犯人こそが裕子だったのではないか。
田沼と山田は鬼塚が首吊り自殺した為に、同じく吊られた。
裕子はガス爆発事件の犯人だったからこそ、焼かれたのでは……。
こうして瑠璃子による復讐殺人を確信した南部。
ところが、これを覆すような事が起こる。
2年前に瑠璃子が入院していた病院の裏山から白骨化した遺体が発見。
このDNAと毛髪のDNAが一致したのだ。
だとすれば、遺体は岩田瑠璃子なのである。
既に死亡している人間には犯行は不可能だ。
別の視点から捜査を行うことを迫られた南部。
鬼塚以外にも亀山たちの被害者がいるのではないかと考え、他の被害者を探し始めた。
すると、同様のケースが行われていたことが判明する。
被害に遭っていたのは花屋である。
夫妻が自殺しており、1人息子の名は山路啓輔であった。
そう、ホテルのフロントマネージャーの山路その人だ!!
こうして、山路の身柄が追及されることに。
直後、山路が溺死体で発見される。
傍には遺書が残されており、田沼、山田、裕子殺害を認めるモノであった。
さらに、遺書を以て亀山を告発すると結ばれていたのだ。
事件は被疑者死亡で終わったかに思われたが……。
ふと、南部は気付いた。
それが有り得ないことに。
何故なら、田沼殺害時に山路から話を聞いていたちょうどそのとき、例の女性を目撃し逃げられていたのだから。
つまり、もう1人存在するのだ!!
そして、さらに気付く。
2年前、岩田瑠璃子はDV被害者を匿っていた。
もしも、瑠璃子とされる死体がそのDV被害者のものだとしたら……。
調べたところ、瑠璃子が匿っていたDV被害者の名がはるなであることが分かる。
そう、片桐はるなこそ岩田瑠璃子だったのである。
その頃、亀山は片桐はるなと対峙していた。
はるなはナイフを手に亀山に襲い掛かる。
だが、亀山ははるなからナイフを奪い取ると、逆に命を狙う。
はるな危機一髪!!
其処へ南部が現れた。
南部はあっさりと亀山からナイフをもぎ取ると、はるなを庇うように立ち塞がる。
はるな……いや、瑠璃子はこれまでの経緯全てを南部に打ち明けた。
20年前、家族を亀山に殺された瑠璃子。
ずっと、復讐の機会を伺っていたのだ。
そして2年前、弁護士となった瑠璃子は法を以て亀山を告発しようとしていた。
ところが、これを知った亀山は瑠璃子の口封じを図るべく裕子に命じてガス爆発事故を偽装した。
しかし、この事故により死亡したのは瑠璃子ではなく、彼女が匿っていたDV被害者・はるなであった。
自身が狙われたことを悟った瑠璃子。
はるなが病院で死亡したこともあって、はるなが瑠璃子だと誤認されている状況を活用し身を隠すことに。
瑠璃子ははるなの遺体を病院の裏山に埋めた。
この際、はるなの毛髪が瑠璃子の毛髪として登録されたのである。
家族だけでなくはるなも殺害された瑠璃子は直接的な復讐を決意。
はるなの名を継ぎ、整形すると田沼の懐へ秘書として飛び込んだ。
そして、信頼を得た上で東京のホテルで隙を見て殺害したのだ。
ところが、此処に同じく田沼殺害を狙っていた山路が現れた。
山路は瑠璃子と共鳴。
以後、2人で復讐を行うことを約束する。
こうして、山路と瑠璃子は山田と裕子を殺害した。
ところが、此処で予想外の事が起きた。
南部による捜査の手が迫る中、いよいよ肝心要の亀山に挑んだのだが。
なんと、山路が亀山に返り討ちに遭ってしまったのだ。
亀山は瑠璃子の存在には気付かず、山路を自殺に偽装してしまった。
どうやら、山路を殺害したことを良しとして旧悪を暴かれる前に事件を早期に終わらせようと目論んだようである。
瑠璃子は同志であった山路を目前で喪う羽目になった。
瑠璃子は家族とはるなに加え、山路の敵討ちも背負うことになった。
そして、この場で亀山を襲撃したのだ。
これを聞いた南部は瑠璃子に亀山を殺害するようけしかける。
てっきり口封じは妨害されたが保護されるものと思っていた亀山は狼狽。
瑠璃子は南部の後押しを得て、亀山に迫る。
そして……。
亀山の身体にぶつかった瑠璃子は涙ながらに南部に告げる。
「ありがとう」と。
もちろん南部は本気で瑠璃子に亀山殺害を唆したワケではない。
あくまで、復讐心を満たすべくポーズとして完遂させたのである。
南部の真意を知り、これに安堵した亀山は瑠璃子たちを罵る。
直後、南部の鉄拳制裁が待っていた。
吹っ飛んだ亀山は「訴えてやる!!」と叫ぶが、その場の他の面々は榎田も含め知らん顔である。
むしろ、亀山は旧悪が露見し連行されて行った。
瑠璃子も逮捕され、1人残された南部。
すると、何処からともなく妻の敦子が現れた。
手にはハウステンボスの宿泊券が握られている。
どうやら、南平班のメンバーがこれまでの積立金をプレゼントとして贈ったようである。
南部と敦子は仲間の気持ちに感謝し、素直に旅行を楽しむこととした―――エンド。
<感想>
「警視庁南平班」シリーズ第7弾。
原作は鳥羽亮先生の『首を売る死体』(講談社刊)。
あらすじはこちら。
<『首を売る死体』あらすじ>
秩父郊外の鬼島家。その屋敷跡で右手に首をぶら下げた死体が発見された。調査した結果、なんと胴体と首は別人だった。数日後、新聞社に「怨みの首1つ1億円也」の怪文と女性の髪が首屋の名前で送られてきた。この一帯を牛耳る政治家の下にも同じものが……。犯人の狙いは何か?猟奇殺人の謎を巡る推理小説。
(講談社公式HPより)
そのドラマ版。
標語の正体が「仲間の為にみんなで貯金しよう」であり、遂にその貯金を大幅に切り崩して南部夫妻の旅行にあてる(これまでと比較して規模が大きい)など、ある種、シリーズの集大成的な作品となりました。
やはり、シリーズも第7弾となった故の一区切りでしょうか。
とはいえ、第7弾と言わず第8弾、第9弾と続いて欲しいところ。
さて、此処で早くも総評。
古き良き2サスを久しぶりに視聴した気分です。
アリですね、大いにアリです!!
硬骨漢であり正義漢である南部。
そんな南部だからこそ、瑠璃子をけしかけ、亀山を鉄拳制裁する……このシリーズならではの描写でしょう。
そして、このシリーズだからこそ、これらが視聴者に許されるような気がします。
他のシリーズで安易にコレをやられても、場合によっては「アレ?」と思うことになる筈です。
このシリーズだからこそ許される行動であり描写だと思います。
アリです!!
さて、此処で恒例の気になった点。
亀山が山路の死を自殺に偽装しているところを呆然と眺めていた瑠璃子ですが、偽装中を襲撃すれば瑠璃子でも勝てて目的を完遂出来ていたような。
或いは、亀山が山路を殺害したことを告発するか……何しろ事実なんだし、携帯で撮影すれば動かぬ証拠になるだろうし。
それが駄目なら、山路殺害をネタに亀山を脅迫すればもっと復讐になっただろうになぁ……。
◆関連過去記事
・月曜ゴールデン 警視庁南平班〜七人の刑事〜(2009年8月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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<キャスト>
南部平蔵:村上弘明
○
高村六郎:鈴木一真
○
細谷玲子:伊藤かずえ
○
溝口史郎:火野正平
○
南部敦子:岡田奈々
○
浅田裕久:永倉大輔
富井健次:前田 健
友木哲也:藤沢大悟
○
片桐はるな:宮本真希
亀山雅樹:小木茂光
山路啓輔:鳥羽 潤
榎田敏郎:佐戸井けん太
○
足立裕子:白羽ゆり
山田岳士:江藤 潤
田沼武雄:伊藤洋三郎 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
◆その他の鳥羽亮先生「警視庁捜査一課南平班」シリーズはこちら。
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