2014年06月02日

「最強少女さゆり」第14話(19話)「さゆりの隠しゴト」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第14話(19話)「さゆりの隠しゴト」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
豪田:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。出っ歯が特徴。心は折れても出っ歯は折れない。
オヤッサン:バッティングセンターの経営者。
タマちゃん:オヤッサンが作った自律制御AI搭載型ボールタイプロボット(たぶん)。
デービス親子:グリーンスライダー大会に参加した親子。
課長:宇宙警察でのバニーの上司。花魁姿をしている。
シヤ:バニーの妹。

<あらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

すっかり地球に馴染んだバニーとリコス。
今日も今日とて互いに掛け合いを繰り広げていたのだが……。

其処へすっかり落ち込んだ様子のさゆりがやって来る。
その表情からは普段の「最強少女」ぶりは見出せないほどだ。

さゆりは事情を打ち明ける。
どうやら、豪田が大切にしているフィギュアを壊してしまったらしい。
さゆりは豪田に怒られるとガタガタと震えている。

豪田の趣味がフィギュアであることも意外だが、それよりなによりさゆりが豪田に怯えていることを意外に感じるバニーたち。
だが、さゆりによれば豪田は「怒るととても怖い」らしい。

そんな豪田の怒りを免れたいさゆりはとんでもないことを言い出す。
なんと、リコスに罪を着てくれと頼んだのだ。
仲の良いリコスならば豪田も許すに違いないらしい。

しゃ〜〜〜ねぇ〜〜〜なぁ〜〜〜と引き受けようとするリコスだが……。
これにバニーが猛反発を示した。
自分も一緒に謝ってやるから素直に謝罪するべきだと主張したのだ。

しかし、さゆりを甘やかすリコスはこれに反発。

こうして、リコスとバニーは意見を戦わせることに。

自身が原因で争うことになった2人。
当初こそ、おろおろと慌てていたさゆりだが……ふと妙計を思いつき実行に移す。

さゆりは壊れたフィギュアを押入れに仕舞った布団の中に隠そうとしたのだ。
なんと、2人に頼らず誤魔化す方法を選んだのである。

しかし、天網恢恢疎にして漏らさず。
これを当の豪田に目撃されてしまう。

さゆりの悲鳴が聞こえたことに気付いたバニーとリコスが振り返ると、さゆりが豪田に連れられ隣室へと消えて行くところであった。

「助けて下しゃ〜〜〜い」
いつもの覇気は何処へやら、必死に助けを求めるさゆり。
だが、バニーにもリコスにもどうしようもない。

そして、部屋の戸が閉められ悲鳴が上がった……。

数分後、部屋から出て来たさゆりを見たバニーたちは絶句する。

其処にはまるで別人になったさゆりが居たのだ。
「いてて……でしゅ」
言葉こそ普段のさゆりだが、姿形はまるで落書きのようになっている。

一体、何が起こったのか……想像し身悶えするバニーとリコスであった―――エンド。

流石はさゆりの祖父か……豪田が本領発揮。
そして、落書き姿のさゆりも登場。
本作を真に楽しむ為に「週刊少年チャンピオン」本誌にて確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!

ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。

つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。

そんな仕切り直しの14話(通算19話)。
今回はさゆりの祖父こと豪田の掘り下げが行われましたね。
流石は「最強少女」の祖父か、伊達じゃない!!
同時に、バニーがさゆりを慮ったことから愛情を抱いていることも明かされました。
此処も良かった!!

そんな中、何と言っても注目は落書き姿のさゆり。
脱力から生じるヨレヨレの線で描かれたアレは言葉では表現出来ないなぁ……まさに漫画だからこそ可能な表現。
それだけに是非、見て欲しい。

10話以降はラストにも変化をつける試みが為されているように感じる本作。
「固定化された結末の安定性」も好きですが、これはこれでアリな気もします。
なかなかに面白いです。

とはいえ、おそらく此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられないだろうなぁ。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。

彩百合の両親が謎ですね。
山中の病院で1ヶ月に1度のお見舞い……「となりのトトロ」を思い出しました。
さゆりの母は静養中(「さゆりと峠とお見舞い」参照)なのでしょうか。
そう言えば、リコスはトトロっぽいと言えなくもないか。
入院中とのことですが、何か理由があるのでしょうか。
このあたりも謎だし、連載になった以上はいずれ明かして欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や「実は私は」など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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