ネタバレあります、注意!!
講談社刊『月刊シリウス』にて連載していた『怪物王女』も見事な完結を迎えた光永康則先生。
そんな光永先生が『月刊ヤングキング アワーズ ジーエイチ』誌上にて不定期連載されている本作。
2014年7月号に7話が掲載されていたので、こちらをネタバレ批評(レビュー)です。
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
ヒサト:不死にして英明なる頭脳を誇る吸血鬼。十郎を親友だと思っている。
青樹十郎:事件を嗅ぎ付ける嗅覚と驚異的な身体能力を誇る狼男。ヒサトについては胡散臭い奴だとの認識。
樫尾柊子:十郎の叔母。ある事情によりヒサト付きのメイドに。
樫尾初生:柊子の娘で小学生。柊子と共にヒサトに仕える。
怪しい上級生:初生の学校の上級生。
るり:初生の同級生。飼育係。
血塗れ兎:???
「お前らは逃げられないんだよぉぉぉぉぉ」
ウサギの着ぐるみをだらしなく着崩した人物(以後、血塗れ兎と呼ぶ)が叫ぶ。
血塗れ兎は屋内をうろうろと歩きながら獲物を探すのだが……。
一方、十郎は今日も路上で血の匂いを嗅ぎ付けていた。
つまり、今日も何処かで事件が起こっているのである。
不安を覚えつつも、足を匂いの元へと進めた十郎。
すると、路上に花束が供えられていた。
どうやら、彼が嗅ぎ付けたのはこの匂いだったようだ。
其処へ初生が通りがかる。
どうやら、下校途中のようだ。
ふと、十郎は思い出した。
彼女もまた狼の血を引く娘であることに。
当然、彼女の事件への嗅覚も十郎同様に尋常ではないのだ。
何やら感じつつ、初生と共に家路を急ぐことにした十郎。
すると、前から駆けて来る男子生徒が。
途端、初生が何やら怯えるような態度を示す。
不自然に思った十郎だが、特に尋ねることもせずその日は共に帰宅した。
翌日、十郎はヒサトにある事件について相談を持ちかける必要に迫られた。
それは兎小屋で飼われていた兎が除草剤で毒殺された事件。
この容疑者とされたのが、飼育係を担当していた初生だったのだ。
ヒサトは初生を呼び、彼女から事情を問い質すことに。
初生によれば、犯人の心当たりがあると言う。
その犯人と思われる人物こそ、前日に十郎たちが擦れ違った男子生徒であった。
生徒は初生にとっては上級生にあたる。
初生が犯人として疑うには3つの理由があった。
初生は同級生のるりと共に飼育係を担当していた。
当然、兎の世話も彼女たちの仕事である。
そんな中、最近になって例の上級生の視線を良く感じるようになった。
るりに相談したところ、どうやら初生たちではなく兎小屋の兎を見ているらしい。
その時点では、何となく薄気味悪い程度の認識であった。
だが、るりの発言が事実ならば上級生は兎に異常な執着を抱いていたことになる。
さらに、初生は兎小屋付近の用具倉庫に件の上級生が出入りしているところを目撃していた。
実は、その用具倉庫にこそ凶器となった除草剤が保管されていたのだ。
この除草剤、初生が確認したところでは昨日の時点で既に消えていた。
もしかして、目撃した際に盗んでいたのではないか。
そして、十郎と初生が下校途中に上級生に会ったこと。
あのとき、上級生は下校する初生たちと逆の方向に向かっていた。
つまり、学校へと急いでいたのだ。
もしかすると、あの後に犯行に及んだのかもしれない。
これらから、初生は上級生が犯人だと疑っていたのだ。
これを聞いたヒサトは高らかに笑い声を上げると「これから重大な事件が起きるかもしれない」と口にする。
どうやら、ヒサトは初生の情報から全体像を見抜いたようだ。
ヒントは「上級生が何故、わざわざ一度下校したのか」にあるらしい。
ヒサトによれば、上級生は用具倉庫内の除草剤が消えていたことを確認した後に下校したとのことだが……。
その頃、血塗れ兎は未だに叫んでいた。
「私からは逃げられねぇんだよぉ」と―――8話に続く。
<感想>
1巻も発売された「棺探偵D&W」その7話です。
そして、シリーズ初の前後篇となりました。
謎が残りましたね〜〜〜果たしてヒサトの語る「これから起きる重大な事件」とは何か。
早速、推理してみましょう。
まず、今回の内容を1つずつ精査しつつ推理して行きましょう。
まず、血塗れ兎。
この血塗れ兎は犯人の母親かと思われます。
今回の描写から、兎は誰かに対して虐待を行っている。
この虐待を受けている誰かが今回の飼育小屋兎毒殺事件の犯人でしょう。
虐待を受けている犯人は解放されるべく虐待を続ける母親を毒殺するつもりか。
ヒサトが口にした「これから起きる重大な事件」とはコレのこと。
犯人にとって、兎は憎むべき者の象徴。
其処で飼育小屋の兎が毒殺の予行演習の犠牲になったと考えられる。
さて、此処でポイントは怪しい上級生の行動。
彼は除草剤を盗んだから下校したのではなく、除草剤が盗まれたことを知ったからこそ下校した。
すなわち、彼は除草剤が盗み出されていることを知らなかった。
そして、盗み出されたことを知った彼は慌てて下校した。
その目的は自宅で行われる惨劇を防ぐため。
すなわち、虐待している親が毒殺されることを阻止すること。
つまり、彼は犯人ではなく犯人の狙いを知っておりこれを制止しようとしている立場と考えられる。
だとすれば、犯人は彼の家族で学校に通う立場の人間。
弟か妹が考えられる。
おそらく、その人物も兎から虐待を受けているのだろう。
其処から解放されるべく、兎毒殺を狙っている。
さて、此処で問題となるのはこの犯人は既に作中に登場しているのかだ。
ポイントは怪しい上級生が兎小屋を注視していた事実。
初生は同級生のるりちゃんから、上級生は兎を見ているのだと教えられた。
だが、それは本当に正しかったのか?
確かに、上級生にとっても兎小屋の兎は虐待を続ける親のイメージと重なる忌むべき物。
睨みつけることもあり得る。
しかし、此処で思い起こして欲しい。
初生もまた十郎同様に狼の血を引く娘。
自身らに注がれる視線を間違えるだろうか。
もしかすると、上級生が見ていたのはるりちゃんではなかったか。
だとすれば、るりちゃんこそ上級生の妹なのではないか。
上級生は兎ではなく妹であるるりちゃんの行動を危惧して監視していたのではなかったか。
というワケで、当ブログはるりちゃん犯人説を推す。
もっとも、未だ登場していないキャラである可能性も強いのだが……。
とはいえ、少なくとも推理の前半部分はそう外してはいないだろうと思う。
なので、上級生自身の家族(弟、妹)か親しい人物が該当するとは思う……たぶん。
ちなみに、展開としては十郎が毒殺を阻止。
ヒサトが虐待兎の命を奪う展開かなぁ。
果たして、この推理は的中するか!?
8話を見逃すなかれ!!
そんな8話は9月号での掲載予定とのこと。
さらに、以降3連続掲載も予告されています。
要チェック!!
◆関連過去記事
・「棺探偵D&W」(光永康則著、少年画報社刊)第1話(月刊ヤングキング2012年1月号掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「棺探偵D&W」3話(光永康則作、少年画報社刊「月刊ヤングキング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「棺探偵D&W」5話(光永康則作、少年画報社刊「月刊ヤングキング アワーズ ジーエイチ」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「棺探偵D&W」6話(光永康則作、少年画報社刊「月刊ヤングキング アワーズ ジーエイチ」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「カコとニセ探偵」(光永康則作、集英社刊「週刊ヤングジャンプ」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
7話が掲載された「月刊 YOUNGKING OURs GH (ヤングキング アワーズ ジーエイチ) 2014年 07月号 [雑誌]」です!!
月刊 YOUNGKING OURs GH (ヤングキング アワーズ ジーエイチ) 2014年 07月号 [雑誌]
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