ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
里見偲:男性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の猪熊と恋人同士。31歳。
猪熊夕貴:女性。警視庁機動捜査隊所属。相棒の里見と恋人同士。
橘カラ:女性マネージャー急性アルコール中毒死(実は他殺)の犯人。猪熊に興味を持つ。
渡:猪熊の寮の向かいに住む。カラを家に置くこととなった。
月本:美容整形外科医。実は高級売春クラブ「フルムーン」のオーナー。カラに正義執行される。
乃花:カラの元同僚。不倫の恋に生きていたがカラに殺害される。
千歳:生活安全課所属。
レナ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
アイ:里見が潜入捜査を行った先の関係者。
盛元:テレビ局有名アナウンサー。
田沢麻弥:月本のもとへ出入りしていた少女。カラの犯行を目撃し襲われるも一命を取り留めた。
倉本:入院した田沢麻弥の担当女医。
三河くん:月本の部下。
高槻とおる:5年前に発生した薬局店息子殺人事件の被害者。
時田:捜査一課未解決事件係の刑事。猪熊の先輩。
舞川:5年前からのカラの常連客。
<あらすじ>
・前回までのあらすじはこちら。
「サイレーン」第49話「悔しくて…」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
里見をカラオケボックスに尾行し、そのモテモテぶりを目撃してしまった渡の嫉妬心は最高潮に。
(あれだけモテるのに、よくも俺のカラちゃんに〜〜〜許さん!!)
利己的な義憤に駆られた渡は、里見とレナ、アイの様子を撮影する。
この写真をカラに見せるつもりなのだ。
しかし、其処で当の里見から声をかけられることに。
里見は渡が盗撮したデータを寄越すように告げる。
だが、この行動がさらに渡の負の感情を刺激した。
意地でも渡さないと覚悟を決めた渡は、隙を見てその場を逃げ出してしまう。
後に残された里見は渡をコンビニで見かけたことを思い出し、尾行されていたことに気付く。
だが、それがカラの指図とまでは思い至らない。
てっきり、レナとアイに入れ揚げた客の1人と判断するのだが……。
もちろん、室内から事の一部始終を目撃していたレナとアイにも渡に心当たりは無いのであった。
数十分後、カラと合流した渡は今日一日の自身の行動を伝える。
里見を告発しようとしたこと、これを尾行したこと、写真を撮影したこと、これからは渡がカラを守ること。
中でもカラは写真に興味を示す。
其処には里見と2人の女性が映っていた。
しかし、2人もロングヘアで猪熊では無い様子。
その素性に興味を抱くカラだが、今は渡のケアが先であった。
情報を入手したご褒美もあって、カラは渡にしな垂れかかる。
これに渡は有頂天。
これからもカラの為に頑張ると宣言する。
翌日、カラは猪熊に連絡を入れる。
猪熊は5年前の高槻とおる殺害を調べていることを明かす。
もっとも、カラは里見宅の盗聴により既に知っているのだが……。
猪熊を信用させるべく、高槻とおるについて語るカラ。
彼は人並み外れた優しさの持ち主であったそうだ。
それだけに彼を恨むような人間は存在せず、殺した犯人に心当たりはないと告げる。
これに手掛かりを失いしょげ返る猪熊。
そんな猪熊にカラは「良い場所を知っているので行かないか」と誘う。
カラの脳裏に浮かぶのは渡のあの別荘である―――51話に続く。
早川書房刊『ミステリマガジン』でも取り上げられた本作。
未だ続くカラのターン。
その魔手は遂に猪熊に……今週号の「週刊モーニング」で確認せよ!!
<感想>
「週刊モーニング」では『レンアイ漫画家』や『シマシマ』、『はるか17』などで知られる山崎紗也夏先生の新連載です。
『レンアイ漫画家』は設定と展開が面白くて読みました。
そんな「サイレーン」。
遂に猪熊が捜査一課に配属。
これにより「猪熊&里見VSカラ」の物語が明確化されました。
とはいえ、「悪女カラ自身」がテーマだったりもしそうだが。
それだけ、敵役のカラのインパクトが凄い。
その第50話。
サブタイトルは「お誘い」。
前回、渡が狙うのは里見の社会的生命か……としていましたが、どうやらこれも異なる様子。
最終的には、それと知らず里見の協力者についての情報収集に留まることに。
ただ、これによってレナとアイの存在がカラに知れたか。
一方、カラが遂に勝負に出る。
なんと、サブタイトル通り猪熊を別荘に誘うことに!?
ただ、今回は「異動したばかりで一課に慣れたいから、また声をかけて」程度で猪熊に流されそうな気がするなぁ……。
物語の展開として、里見の協力者・アイとレナへの対応が先だと思われるので。
でないと、レナとアイの存在が浮いてしまう。
第一、カラが猪熊に襲撃を仕掛ける時こそ、まさに本作が終盤を迎える時だろうし。
そして、これまでの管理人の仮説を覆しかねない新事実が発覚。
カラによれば高槻とおるは「人並み外れた優しさ」の持ち主だったとのこと。
カラが猪熊に正義を求めているように、自身にない特性を求めて犯行を繰り返しているとのだとすれば、高槻とおる殺害の動機は「優しさ」を求めてのモノである可能性も浮上。
だとすると、高槻殺害前からカラはカラだったことに……。
ちなみに、この仮説が次の通り。
カラが現在のように変貌したと思われる理由を考えた物でしたが、これは異なる様子。
<2014年5月8日現在の仮説>
自身の容姿に自信がなく整形したカラ。
その後、その容姿に惹かれた高槻と交際を開始。
カラは高槻を信じ、整形を打ち明けた。
ところが、高槻は「容姿だけで中身がカラッポじゃないか」とこれを拒否、別れを切り出す。
ショックを受けたカラは発作的に高槻を殺害してしまう。
以後、高槻の「中身が無い」との言葉を否定するべく、カラは持てる者からいろいろな特性を奪うことを思い立つ。
結果、マネージャーなどを殺害したのではないか。
<仮説終わり>
でもって、カラの所持していた錠剤が痛み止めと判明。
これが何を意味するのか……カラは整形の後遺症に苦しんでいるのか、それとも病気を抱えている!?
カラによる猪熊殺害実行の日は近い筈。
カラの殺意を知らない猪熊は、その刃から逃れることが出来るのか。
そして、里見は猪熊を助けることが出来るのか。
さて、此処でまとめ。
目標である捜査一課へひた走る猪熊。
そんな猪熊をターゲットとしてロックオンしたカラ。
そんなカラをターゲットとしてロックオンした里見。
追う者と追われる者の構図が明らかになりつつあるようです。
そして、今のカラが整形により手に入れた顔であることが判明。
過去を捨てようとしていたらしいことと併せても、事件の匂い。
カラはその名の通り、中身の無い虚ろな「空」。
それゆえに、自身に欠ける物を補おうと求めている。
以前から予測している通り「カラは自身に無い物を持っている対象を特定すると、これに近付き相手を殺害することで、自身に欠けた物を相手から奪う」で正しいようです。
キャバクラの女性マネージャーを殺害し「その垢抜けた佇まい」を奪い、綺麗になった。
タクシー運転手は「自身は選ばれた」と語っていたが「その選ばれた存在であること」を彼を殺害することで奪ったものと思われます。
だとすると、これまでにも同様の犯行を重ねているのが当然。
そして、これまでは里見が過去に関連した「薬局店息子殺人事件」が契機になったと思っていましたが、45話の常連客の証言によるとそれ以前に変貌した可能性も出て来た。
カラの闇は想像以上に深そうだ。
止められるのは里見と猪熊のカップルのみかも。
果たして、如何なる結末を迎えるのか……51話に期待!!
コミックス1巻が2013年9月20日、2巻も2013年12月20日に発売。
さらに3巻に続き4巻も発売とのこと、こちらも注目!!
興味のある方はアマゾンさんのリンクよりどうぞ!!
ちなみに、山崎先生と言えば『七瀬ふたたび』のコミカライズでも知られる方です。
・「七瀬ふたたび」(筒井康隆著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
・「サイレーン」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)第1話から第40話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「サイレーン」第41話「亀裂」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第42話「チーム里見」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第43話「俺の寝室」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第44話「カラっぽの部屋」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第45話「5年前」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第46話「気の毒な女」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第47話「証拠」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第48話「決起したDT」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「サイレーン」第49話「悔しくて…」(山崎紗也夏作、講談社刊「週刊モーニング」連載)ネタバレ批評(レビュー)
【関連する記事】
- 『スーサイド・パラベラム』第9話(道満晴明作、講談社刊『メフィスト 2016vo..
- 「実は私は」第1話から第160話まで(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオ..
- 「ダジャレ禁止令」(志水アキ画、講談社刊「週刊少年マガジン」掲載)ネタバレ批評(..
- 「実は私は」第160話「藍澤渚と藍澤渚E」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」最終話(第35話)「事件の先に」..
- 「実は私は」第159話「藍澤渚と藍澤渚D」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第107話「いつかの文学全集」(加藤元浩作..
- 「黒霊ホテル殺人事件」(「金田一少年の事件簿R」、講談社刊「週刊少年マガジン」連..
- 「兄妹〜少女探偵と幽霊警官の怪奇事件簿〜」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チ..
- 「実は私は」第158話「藍澤渚と藍澤渚C」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第34話「真犯人」(作画・星野泰..
- 「実は私は」第157話「藍澤渚と藍澤渚B」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」第106話「動く岩」(加藤元浩作、講談社刊..
- 「実は私は」第156話「藍澤渚と藍澤渚A」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第33話「真相」(作画・星野泰視..
- 「実は私は」第155話「藍澤渚と藍澤渚@」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 「実は私は」第154話「勘違いしよう!!」(増田英二作、秋田書店刊「週刊少年チャ..
- 【エピソード最終話】「黒霊ホテル殺人事件」最終話、第6話(「金田一少年の事件簿R..
- 「ABC殺人事件 名探偵・英玖保嘉門の推理手帖」第32話「二重人格」(作画・星野..
- 「ビーストコンプレックス」最終話(第4話)「カンガルーとクロヒョウ」(板垣巴留作..