ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。
白雪:辻に恋焦れる少女。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
深海末姫:辻と白雪の前に現れた少女。「もう1人の掃除人」を名乗る。
諏訪:深海のクラスメート。実はWCOの掃除人。6話で小鹿に処刑される。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。
黒金:辻たちが通う学校の教師。女性。
若丸:黒金が招いた病院の医師。男性。
星野銀華:元WCOのお掃除人。だが、WCOを離脱する。
園長:辻と白雪が遊びに出かけた動物園の園長。
高倉さとみ:星野銀華に大きな影響を与えた人物。
木田雷:夜刃音珠(ヨハネス)のリーダー。
大雁江美:雷に狙われた一家の一人娘。
<あらすじ>
卑劣にも無抵抗な江美を刺していた木田雷。
江美を白雪と小鹿に任せた辻と星野は互いに木田雷に対しての感情を模索する。
あまりの非道ぶりに辻は木田雷殺害の決意を改めて固める。
一方の星野は不殺の信念が揺らぎ始めていた。
辻は星野の動揺を感じ取りつつ、木田雷殺害を実行に移そうとするが……。
だが、それでも星野が立ち塞がる。
その星野の信念により、江美が傷付いたと告げる辻。
「悪が幾ら葬っても無くならないからと拘束するに留めていては無限に蔓延り続けるだけだ」と心から訴える辻に、星野は自信を喪失する。
その頃、気絶していたかに見えた木田雷が意識を取り戻していた。
彼は辻と星野の隙を突き、拳銃を拾うと発砲する。
甲高い銃声が響き、倒れ込んだのは……星野と辻の2人。
しかし、星野は無傷。
間一髪で辻が星野に飛び付いたことで弾は辻の腕を掠めるに留まったようだ。
江美に続き辻までもが負傷したことで動揺する星野。
そんな星野に「全部お前の所為だよ、お前がふざけた真似をしたから!!」と逆上しつつ銃を向ける木田雷。
反省の色が全く見られない木田雷に、星野は自分の信念が崩壊する音を耳にしていた。
何度捕らえようとも、何度反省を促そうとも無駄だったのか……。
そして、木田雷が語るように自分こそが悪いのか……。
呆然自失する星野の目の前で木田が引き金を引こうとして―――。
「嘘を吐くな、全部お前自身が悪いんだろう」
呟くような辻の言葉。
同時に、投擲された辻のナイフが木田の首に突き刺さっていた。
木田は仰向けに倒れ込むと、そのまま絶命する。
消耗した辻はその場に倒れ伏した。
そんな辻に星野は問う。
「君の行動で笑顔になった人がいるのかい」と。
これに白雪の顔を思い浮かべた辻は「はい」と応えるのであった。
直後、銃声を聞き引き返してきた白雪は負傷した辻を発見し狼狽。
そんな白雪に星野は後処理は自分がするからと辻を託す。
数日後、腕に包帯を巻いた辻は星野からの電話を受けていた。
辻の隣には入院したものの、一命を取り留めた江美が居る。
星野は辻に語る。
木田雷については、江美を刺した後に逃げようとして山中に迷い込み足を踏み外したところを樹木の枝が首を貫通して死亡したように偽装したらしい。
簡単な偽装だったのだが、雷の家族は息子の旧悪が露見することを怖れ早々に処理してしまったらしい。
辻の関与が疑われることは無いそうだ。
さらに、星野は告げる。
今回の件で、星野は辻たちの行動を認めたらしい。
とはいえ、自身の主張も捨ててはいない。
あくまで悪を憎むとの目的は共通である以上、互いに干渉しないようにしたのだそうだ。
そして、最後に思い出したように江美について触れる星野。
「江美ちゃんは笑っているかい?」
問いかける星野の声は震えていた。
星野は江美を巻き込んだことを悔やんでいたのだ。
そんな星野に向けて、辻は江美を肩車する。
実は、星野は病院が覗ける場所から辻の姿を双眼鏡で確認していた。
辻もそれを察していたのだ。
窓越しに見た江美の笑顔は眩しいほどだった。
星野は安堵の涙を流し、電話口で「ありがとう」と何度も繰り返すのであった―――18話に続く。
星野篇、完結!!
胸にグッとくるラストは「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!
<感想>
「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載開始です。
その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する掃除人こと連続殺人鬼。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛する少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。
そんな「思春鬼のふたり」コミックス1巻が発売中。
しかも「モコと歪んだ殺人鬼ども」4巻も発売。
まさに破竹の勢いの本作。
さて、その17話ですが……。
ラストの星野の涙、胸にグッと来ましたね。
江美の笑顔を守れたことにより、星野の信念もまた最後の一線で守られたのでしょう。
彼の信念は決して間違った物ではない筈なのですが、何事にも例外があったと言うべきでしょうか。
そして、今回も予想を上回る良展開。
まさか、星野が生き残るとは……これで辻がWCOと対立することがあっても強力な援軍が期待出来そう。
とはいえ、此処まで予測を躱されると辻とWCOの決裂が本当に起こり得るのかも疑問かも。
こうなると、辻の家族殺害はまた別の悪漢による犯行でそれこそが最後の敵になる展開なのかなぁ……。
でも、いずれの展開にしても熱いな!!
と言いつつ、次回で物凄く強力な敵キャラが登場して星野が踏み台にされたりはしないよね、ね。
あるいは、WCOの追っ手に討たれるとか。
諏訪と深海末姫の件があるから、いきなりの急展開があっても不思議じゃない気がする……。
特に星野を超える相手となれば、それだけで強キャラとして箔が付いちゃうからなぁ。
あと2、3話先までは安心出来ないかも。
果たして、本編は如何なる展開を迎えるのか……注目です!!
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」、「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
◆関連過去記事
・「思春鬼のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)1話から10話までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「思春鬼のふたり」第11話「息抜きのふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「思春鬼のふたり」第12話「白黒のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「思春鬼のふたり」第13話「生死のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「思春鬼のふたり」第14話「逆転のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「思春鬼のふたり」第15話「不殺のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「思春鬼のふたり」第16話「信念あるふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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「魔王からお姫様を助けた戦士は結婚して王様になりました」というおとぎ話において、戦士が後に王として民の支持を得て善政を行えたのかに突っ込む様なものですが、辻たちの行為の正否は、上の括弧の話が終わった後の部分こそ本当に向き合う問題のはずです
彼らは仕置人ではなく世界を良くする(と思っている)ために悪を排除する掃除人ですが、14話の時にもコメントいたしましたが、辻の行為は「悪くならない」ようにするものであって「良くする」ものではありません
それをただ「助かった直後の笑顔」だけが根拠のハッピーエンドは早計だと思います
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
確かに、これですべてが丸く収まったと考えるのは些か早いかもしれませんね。
江美の身体に傷が残って、大人になってから悩むかもしれない。
もちろん、精神的にも大きな負担となりトラウマとなるかもしれない。
教えて頂いた例だと「助け出されたお姫様の心にこそ、囚われていた際の精神的な傷が残ったかもしれない」となるのでしょうか。
なかなか難しい問題となりそうですが、それを如何にケアするかが問われるのかもしれませんね。