2014年06月20日

「思春鬼のふたり」第18話「演ずるふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第18話「演ずるふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から)
神条くん:都立確立高等学校の演劇部員。
砂織零子:黎盟高等学校演劇部の部長。
硝ちゃん:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。

<ネタバレあらすじ>

「おばあちゃんの口はなんでそんなに大きいの?」
籠に積めたワインとパンを抱えながら尋ねる少女の前には、ベッドに寝そべる影が1つ。
問われた影はむくりと起き上がると、少女に向けて飛び掛かる。
「それはお前を食べる為さぁ〜〜〜」

影の正体は狼であった。
少女、大ピンチ!!
ところが……。

「きゃぁ〜〜〜怖い〜〜〜」
台詞とは裏腹に赤い頭巾を被った少女は無表情に手にしていたワインの瓶を狼へと振り下ろす。
「ぐぇっ」
哀れ、狼役を演じていた少年・神条は赤ずきん役の少女・小鹿により、気絶させられることに……。

この様子に周囲の演劇部員は大わらわ。
思わずやってしまった小鹿は対応に困り果て、その場に倒れ込むことに。

此処で放送が流れる。
「都立確立高等学校演劇部による赤ずきんでした〜〜〜」
こうして「都立確立高等学校」による演劇は有耶無耶のまま終わりを告げることに。

数分後、ロビーでは小鹿が自己嫌悪に陥っていた。
そんな小鹿を励ますべく声をかける辻。
小鹿は辻に狼役の神条くんの演技があまりに真に迫っていたから……と言い訳するが、それが事実ではないことは本人が1番良く分かっていた。
星野の件で激務が続き、肝心の星野を逃がしたことでイロイロと後処理に追われているらしい。
どうやら、その為に演劇が疎かになったようだ。

とりあえず、皆に謝らないと……と呟きつつ、奥へと消えて行く小鹿。
去り際に「お使い依頼、宜しくお願いしますね」と言い残しながら。

そう、辻に新たな依頼が入っていたのだ。
とはいえ、今回の依頼は「お掃除依頼」ではない。
「お使い依頼」とは「お掃除すべき人物かどうかをWCOが確認する為の調査依頼」のこと。
前回、腕に怪我をした辻は「お掃除依頼」が当分はこなせない。
其処で「お使い依頼」が任されたのである。

実は辻がこの場に居るのも、小鹿の応援に来ただけではない。
此処は全国高等学校演劇コンクールの会場、辻が調べるべき相手が此の中に居たのである。

辻が今回、調べるのは黎盟高等学校演劇部。
其処では部員の自殺や失踪、負傷が相次いでいた。
どうやら、何者かによる作為的な行動の結果だそうだ。
この原因となる人物こそが、次のお掃除依頼のターゲットである。
しかし、そのターゲットが誰かが分からない。
辻は黎盟高等学校演劇部を調べ、そのターゲットを見極める必要があるのだ。

さて、どうやって接近しようか……頭を悩ませる辻。
と、その横を派手な衣装に身を包んだ団体が通り過ぎて行く。

団体の先頭には煌びやかな女性。
彼女は「ハムレット役が居ないじゃ、困るのよ!!」と叫んでいた。
周囲は彼女の剣幕に怯えっ放しである。
ふと、その彼女の目が辻で止まる。

「居た!!あなたハムレットやりなさい!!」
いきなり見ず知らずの相手からハムレット役の指名を受ける辻。
困惑する彼に構わず、相手は続ける。

「これ4時間後に本番だから、それまでに覚えなさい」
其処に辻の意志は含まれないようである。
一方的な相手の物言いに抵抗しようとする辻だが、次の一言で変わった。

「あなた、その制服は揺籃高等学校の生徒でしょ。私たち黎盟高等学校の姉妹校じゃないの。引き受けてくれるでしょ、ねっ」
辻にハムレット役を依頼するこの女性こそ、黎盟高等学校演劇部部長・砂織零子だったのだ。
思わぬところから、調査相手との繋がりを得た辻はこれに応じることに。

その頃、白雪は満面の笑みを浮かべて舞台袖に控えていた。
なんと、白雪は揺籃高等学校演劇部の「白雪姫」にて主役を演じるのだ。
しかも、この日の白雪は普段とは一味違っていた。

「普段は辻君を見ている私だけど、今日は辻君に見て貰うのよ!!」
と気合を入れていたのだ。
この日の為に、鏡を用いて「私は白雪姫」と自己暗示までかける念の入れようである。
そして……。

「続いては私立揺籃高等学校による白雪姫です」
アナウンスと共に勢いよく舞台へと飛び出した白雪だが……。
舞台上から観客席を見渡せば、其処に居る筈の辻が消えているではないか!!

(え〜〜〜っ、どうしてぇ〜〜〜)
白雪はショックのあまり、泡を吹いてその場に倒れ込んでしまった。

「ええっ、赤ずきんに続いて白雪姫も!?」
観客席からはよもやの展開にどよめきが上がるのであった。

白雪が舞台上で倒れた同じ頃、辻は黎盟高等学校版「ハムレット」の台本に目を通していた。
黎盟高等学校版「ハムレット」の内容は次の通りである。

ハムレットの父は王であった。
ところが、その王が急死してしまう。
残された王妃は、王の弟・クローディアスと再婚し王位を継いだ。

そんなある日、ハムレットの前に父王の霊が現れ真相を告げる。
なんと、弟であるクローディアスに毒殺されたと言うのだ。

おのれ、許せぬ!!と復讐心に駆られたハムレットはクローディアスを父と同じ方法で殺害しようと目論む。
毒杯による毒殺だ。

ところが、肝心のところでこの毒杯が大臣の手に渡り、大臣が死亡してしまった。
大臣の娘・オフィーリアはショックから自殺。
これに大臣の息子で、オフィーリアの兄であるレアティーズが激怒した。

仇がハムレットだと知ったレアティーズは命を狙う……。

此処まで読み終えた辻が何者かの気配に気付き慌てて小道具の剣を構える。
一瞬遅れて辻の剣に別の誰かの剣が打ち付けられる。
辻が剣を構えていなければ、その剣に強かに打ち付けられていただろう。

慌てて相手を見上げると、其処には1人の男性が……。
何時の間にか傍にいた砂織は、その人物に「ねっ、大した子でしょ。硝ちゃん」と呼びかける。
硝ちゃんと呼ばれた男子は何やら不服そうな表情を浮かべながら、渋々剣を収めた。
砂織と共に奥へと消えて行く2人。

しかし、辻は気付いていた。
この小道具の剣が真剣であることに。
もしも、先程受け切れなければ辻の首は胴から離れていたのだ。

辻は黎盟高等学校演劇部にお掃除すべき存在が居ることを確信する―――19話に続く。

演劇部編、開幕!!
気になるオープニングは「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載開始です。

その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する掃除人こと連続殺人鬼。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛する少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。

そんな「思春鬼のふたり」コミックス1巻が発売中。
しかも「モコと歪んだ殺人鬼ども」4巻も発売。
まさに破竹の勢いの本作。
さて、その18話ですが……。

そう言えば、小鹿さん演劇部員でしたね〜〜〜。
意表を突いたオープニングが好印象。

そして、それぞれが所属する学園名が判明。
同時に、この学園名が一捻りされていますね。

辻と白雪が通うのは私立「揺籃」高等学校。
砂織たちが通うのは私立「黎盟」高等学校。
小鹿が通うのは都立「確立」高等学校。

順に並べると黎明(黎盟)期、揺籃期、確立期ですね。
これ実は次のような意味があります。

「黎明期」は、そのものズバリ「夜明け前」を指し、新しい物事が始まる前を意味します。
「揺籃期」は、そのものズバリ「ゆりかご」を指し、物事のはじまりを意味します。
「確立期」は、そのものズバリ「成立」を指し、始まった何かが形を為すことを意味します。

これには続きがありまして、発展期、全盛期、成熟期、衰退期、晩期と終わりを迎えるワケです。
今後は都立発展高等学校も登場するかもしれませんね。
興味のある方は調べてみると面白いかもしれません。
ちなみに、黎盟と揺籃が姉妹校設定なのはこの関係からなのでしょう。

そんな中、辻に新たな指令が!!
それが「お使い依頼」。

この「お使い依頼」、「お掃除依頼」の前段階の様子。
要はターゲットの確認とその危険度チェックか。
これによってはお掃除対象と認められないこともあるようだ。

そのお使い依頼はどうやら順当な様子。
真剣の洗礼を浴びるなど、黎盟高等学校演劇部にはかなり危険な人物が潜んでいるのか。

どうやら、この依頼。
お使い依頼に留まらず、お掃除依頼にまで発展しそう。
おそらく、辻が舞台上でハムレットを演じつつお掃除する展開か。
だとすると、剣を交えるレアティーズこと硝ちゃんが怪しいが……。
でも、ハムレットだと王妃も毒を煽って死ぬんだよねぇ。
だとすると、王妃然とした風格の砂織零子も怪しいか。

気になる点は黎盟高等学校版「ハムレット」が原典と些か異なっている点。
特に、ハムレットが大臣を殺したのは毒殺ではなく刺殺だった筈。
この差異が意味するところは、レアティーズとの対決までは剣を舞台上で使用させないことにありそうだ。
だとすれば、やはりレアティーズ役こそが怪しい!?
それとも、そう思わせてレアティーズ役を殺害することが目的で砂織が辻を引き入れたのか!?

そう言えば、他の2校の演劇が「赤ずきんちゃん」と「白雪姫」だったことに対し、1校だけ本格的な演劇コンクール向けの「ハムレット」なのは、物語的に「ハムレット」以外のあらすじを紹介する手間を省く為なのかなぁ……それとも他に意味がある!?

おおおおおおっ、いろいろと気になる!!
これは次回も見逃せない。
果たして、本編は如何なる展開を迎えるのか……注目です!!

本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」、「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
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登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・もう1人の掃除人篇(1話から5話まで)
深海末姫:辻と白雪の前に現れた少女。「もう1人の掃除人」を名乗る。
諏訪:深海のクラスメート。実はWCOの掃除人。6話で小鹿に処刑される。

・辻の過去篇(6話)
辻の両親:何者かにより惨殺される。

・解体魔篇(7話から10話まで)
黒金:辻たちが通う学校の教師。女性。
若丸:黒金が招いた病院の医師。男性。

・星野銀華篇(11話から17話まで)
星野銀華:元WCOのお掃除人。だが、WCOを離脱する。
園長:辻と白雪が遊びに出かけた動物園の園長。
高倉さとみ:星野銀華に大きな影響を与えた人物。
木田雷:夜刃音珠(ヨハネス)のリーダー。
大雁江美:雷に狙われた一家の一人娘。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から)
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硝ちゃん:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。

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