ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
・アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子
上野署組織犯罪対策課の八神瑛子は誰もが認める美貌を持つが、容姿から想像できない苛烈な捜査で数々の犯人を挙げてきた。危険な女刑事が躍動する、まったく新しい警察小説シリーズ誕生!
・アウトクラッシュ 組織犯罪対策課 八神瑛子U
上野署の八神瑛子にある男を守ってくれという依頼が入る。男を追うのは世界中の要人を葬ってきた暗殺者。危険な刺客と瑛子はたった一人で闘いを始める……。炎熱の警察小説シリーズ第二弾。
・アウトサイダー 組織犯罪対策課 八神瑛子V
自殺とされた夫の死の真相に迫る警視庁上野署の八神。警察による証拠改ざんの疑いが増す中、執念で掴んだ手がかりは、新宿署の五條の存在だった。権威と暴力で闇社会を支配する五條に、八神は命を賭した闘いを仕掛ける。硝煙の彼方に追い求めた真実は見えるのか?美しくも危険すぎる女刑事が疾走する警察小説シリーズ、壮絶なクライマックスへ。
(幻冬舎公式HPより)
<感想>
「組織犯罪対策課 八神瑛子シリーズ」は深町秋生先生によるシリーズ作品。
幻冬舎から刊行された『アウトバーン』『アウトクラッシュ』『アウトサイダー』の全3巻からなる。
内容は「目的の為ならば手段を選ばない女性刑事・八神瑛子の活躍」を描くもの。
シリーズを通じて瑛子の目的=夫と子供の敵討ちが描写されています。
これが、なかなかに躍動感のある文体で活写されているので、興味のある方は読むのもアリかも。
個人的には同じ深町先生ならば『果てしなき渇き』を代表作として推す。
・『果てしなき渇き』(深町秋生著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
ちなみに、ネタバレあらすじは大幅に端折ってます。
興味のある方は原典を読むことをオススメします!!
<ネタバレあらすじ>
【アウトバーン】
八神瑛子は目的の為には手段を選ばない女性刑事である。
瑛子は闇社会の人間とも接点を持ち、さまざまな事件解決に繋げている。
そんな彼女の真の目的は謎の死を遂げた夫―――その死の真相を突き止めることである。
当時、妊娠中であった瑛子はショックのあまり子供を流産しており、いわば夫と子供の仇を討とうとしているのだ。
どうやら、夫の死には闇社会に繋がる何かが関連しているらしいのだが……。
上司の富永はそんな瑛子を危険視していた。
ある日、暴力団の組長の娘が殺害される事件が発生。
瑛子は、組の若手・甲斐を通じて若頭補佐である戸塚の依頼を受けることに。
戸塚は「犯人を特定したら捕まえずに連絡を寄越す」よう伝える。
これを了承する瑛子だが……。
さらに同様の手口でもう1人殺害された。
同一犯による連続殺人と思われる中、容疑者として被害者をストーカーしていた長尾という男性が浮上する。
これを追った瑛子は長尾がさらなる標的を狙っていると知り、これを阻止。
その際に、長尾を逮捕することに。
このことにより、瑛子は戸塚の依頼を達成出来なかったことになるのだが……。
矢先、瑛子は戸塚に捕まってしまう。
戸塚は依頼を裏切ったことを批判し詰め寄るのだが。
これを笑い飛ばす瑛子。
何故なら、戸塚は真犯人を既に知っているからだ。
実は、瑛子は甲斐から暗に戸塚の正体を教えられていたのだ。
真犯人は被害者にフラれた野村であった。
戸塚はこの正体を知りつつ、野村を庇っていた。
その上で、別の犯人を用意しその人物を始末し仇を討ったと主張するつもりだったのだ。
長尾は野村の模倣犯に過ぎなかったのである。
真相を知る瑛子を殺害しようとする戸塚だが、すべては瑛子が所持するボールペン型マイクで実況されていた。
こうして、富永により戸塚と野村は逮捕されることに―――エンド。
【アウトクラッシュ】
『アウトバーン』から時が過ぎ、瑛子のもとに新たな闇社会からの依頼が届く。
なんと、殺し屋に狙われているから命を助けて欲しいとのものである。
どうやら、関西系の勢力が関東進出を目論んで殺し屋を差し向けたようだ。
瑛子は殺し屋・グラニソと対決し、これを返り討ちにすることに成功する。
この手柄と引き換えに瑛子は夫の死の真相を知ることに―――エンド。
【アウトサイダー】
夫の死の原因が新宿署の署長・五條にあることを突き止めた瑛子。
五條は自身の職権を利用し、闇社会のトップとして君臨していたのだ。
瑛子の夫は正義を追求し、これと対立した為に殺されたのだ。
五條と殿山こそが夫の仇であると知った瑛子は夫の遺志を継ぎこれと対決することに。
途中、何度となく窮地に立たされる瑛子。
五條はその度に「自分と手を組もう」と瑛子を誘う。
どうやら、闇社会に影響力を持つ瑛子の力を惜しんでいるようだ。
五條は「お前は自分と同じだ」と何度も繰り返すが……。
瑛子はこれを拒否。
反目していた富永の協力もあり、遂に五條を追い詰めることに成功する。
追い込まれた五條は自殺。
殿山もまた自殺してしまう。
こうして、一旦は解決をみたのだが……。
瑛子は五條の言葉を気にかけていた。
もしも、五條の言葉通りならば瑛子は「第2の五條」になりかねないのだ。
しかし、そんな瑛子を危険視していた筈の富永が救う。
富永から自身の正義を認められた瑛子は宿願を果たしたが刑事を続けることを選ぶ―――エンド。
◆関連過去記事
・『果てしなき渇き』(深町秋生著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・土曜プレミアム「アウトバーン〜マル暴の女刑事・八神瑛子〜米倉涼子主演最新作 大人気ミステリー小説ドラマ化!連続殺人犯VS手段選ばない美しき一匹狼!裏には哀しき過去…驚愕の黒幕は(〜組織犯罪対策課 八神瑛子〜)」(8月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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