ネタバレあります、注意!!
<感想>
『小説宝石』に連載中の『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』―――その第7話。
事件はどんどん混迷の度合いを深めているようです。
今回は朝霞が襲撃されることに。
とはいえ、朝霞は無事。
この状況をどう理解すべきなのか。
ノートPCが開いたままだったことから、朝霞は作業中に襲撃を受けたことになる。
これに、木更津の推理通り犯人がウォークインクローゼットに潜んでいたとなると、作業の間、犯人がクローゼット内でずっと待っていたことになるのだが……。
通常だと、朝霞が部屋に戻ったところでクローゼットを出て襲撃する筈。
待てば待つほど、他の家人が帰宅する可能性が高まりハイリスクになるワケだし。
だとすると、どうにもこの襲撃はどうにも胡散臭い。
現に朝霞は一命を取り留めているし。
もしかすると、朝霞による自作自演の可能性が高いのでは……。
あるいは犯人が朝霞にとっても大切な人物で朝霞がこれを庇っているか。
もしも後者だとすれば、朝霞を襲撃することで普愛寮の学生の犯行に偽装しようとしているということか。
だとすると、朝霞の家族の容疑が濃くなるが。
こうなると、朝霞本人あるいは朝霞の身近な人物の犯行の可能性が高まったか?
此処で2話で述べた村雲犯人説が息を吹き返すか。
葛子殺害時のアリバイは4話の推理(偽葛子説)で何とか……。
あるいは!?
一方でタイトル『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』の意味も判明。
楽器の見立て殺人ということで福住殺害が弦楽器の弦、葛子殺害が打楽器のタムタム、朝霞襲撃が鍵盤楽器のチェレスタを意味している模様。
ただし、これが何を目的としているかは不明。
でもって、楽器の見立てだとすると「清い音」こと「清音」にも意味がありそうか。
そして、シリーズ中での時系列も7話で判明。
作中の台詞によると、今鏡家の事件が1年前の出来事らしい。
つまり、本作『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』は『翼ある闇』から1年後の世界観であることが判明。
これもまた何かを意味するのか……。
8話にも注目です!!
<ネタバレあらすじ>
・登場人物一覧
木更津:名探偵。香月との関係は……。
香月:今回も香月らしい活躍を……。
村雲:今回の依頼人。
朝霞:村雲の娘、福住とは恋人同士。福住殺害の有力容疑者とされている。
葛子:村雲の後妻で朝霞の継母。第2の被害者に……。
梅昭:村雲の弟。
磐人:村雲の長男。朝霞の兄。
珠代:村雲家の家政婦。
福住:第1の被害者、朝霞の恋人。普愛寮の寮生。
日置:福住の友人。普愛寮の寮生。
亜弓:福住、日置と同じく普愛寮の寮生。福住と交際していたことが判明。
清音:福住、日置と同じく普愛寮の寮生。福住と交際していたことが判明。
岡野:福住の手首を発見したコンビニ店員。
西町恵:岡野の憧れの同僚、コンビニ店員。
〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
先輩・西町恵とコンビニのバイトをしていた岡野は切断された手首を発見する。
バラバラ殺人であった。
被害者は大学生・福住。
容疑者はその恋人・朝霞。
この事件に挑むのは木更津と香月。
だが、事件は木更津の頭脳を以てしても膠着状態に陥ってしまう。
果たして、依頼人・村雲の娘である朝霞の無実を証明することが出来るか?
矢先、朝霞の継母である葛子までもが謎の死を遂げてしまう……。
・前回のあらすじはこちら。
『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第6話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2014年2月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
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香月が自身の作家としての才能に悩む中、それとは別に事件は着々と進んでいたのである。
なんと、朝霞が自室で何者かに襲撃を受けたのだ。
幸いなことに、梅昭が事態に気付いた為に朝霞は助かったらしいのだが……。
この報を受けた香月は木更津のもとへ。
木更津によれば、朝霞襲撃事件は次の状況だったようだ。
自室に居た朝霞。
其処を部屋のウォークインクローゼットに隠れていたと思われる犯人が襲撃する。
犯人はスタンガンを用い朝霞を気絶させる。
朝霞はそのまま倒れ込んだのだが、この際に机の上にあった花瓶を床に落とした。
花瓶の割れる音を聞きつけた梅昭が部屋に駆け付け、事無きを得たらしい。
どうやら犯人は割れた花瓶の音に驚き、目的を達せずその場を逃げ去ったようである。
大いに慌てていたのか、犯人はさまざまな忘れ物をしているようだ。
まず、凶器となったスタンガン。
これは後に、福住の所持品であったことが判明する。
次いで、木製のハンマーと薄い金属板。
木更津はこれまでの殺人が弦(福住殺害)とタムタム(葛子)だったことから、楽器をモチーフにした見立て殺人であると推理していた。
だとすれば、木製ハンマーはピアノの調律用、薄い金属板は鉄琴の可能性もあるそうだ。
さらに、木更津は朝霞のノートPCが開かれたままだったことも気にかけているようだが……。
朝霞が命を狙われたことで家族以外の寮生の犯行を疑う香月。
一方、朝霞が一命を取り留めたことに何らかの意味を見出している様子の木更津。
果たして、事件はどうなるのか―――8話に続く。
【木更津シリーズ】
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第1話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2012年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第2話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年1月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第3話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年4月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第4話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年9月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第5話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年11月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第6話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2014年2月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
【メルカトル鮎シリーズ】
・「メルカトルかく語りき」(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「メフィスト 2010 VOL.1」より「メルカトルかく語りき 第二篇 九州旅行」(講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「メフィスト 2010 VOL.3」より「メルカトルかく語りき 最終篇 収束」(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『メルカトル鮎 悪人狩り「第1話 囁くもの(メフィスト2011 vol.3掲載)」』(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『氷山の一角』(麻耶雄嵩著、角川書店刊『赤に捧げる殺意』収録)ネタバレ書評(レビュー)
【木更津シリーズ】
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第1話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2012年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第2話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年1月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第3話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年4月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
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・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第5話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年11月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
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【おじさんシリーズ】
・『失くした御守』(麻耶雄嵩著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『転校性と放火魔』(麻耶雄嵩著、新潮社『小説新潮 2012年02月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『最後の海』(麻耶雄嵩著、新潮社刊『小説新潮』2013年02月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『旧友』(麻耶雄嵩著、新潮社刊『小説新潮』2013年09月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『あかずの扉』(麻耶雄嵩著、新潮社刊『小説新潮』2014年2月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【神様シリーズ】
・オール讀物増刊「オールスイリ」(文藝春秋社刊)を読んで(米澤穂信「軽い雨」&麻耶雄嵩「少年探偵団と神様」ネタバレ書評)
・『バレンタイン昔語り』ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
『オール・スイリ2012』(文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『さよなら、神様』(麻耶雄嵩著、文藝春秋社刊『オール読物』2013年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【化石少女シリーズ】
・『化石少女』最終話『赤と黒』(麻耶雄嵩著、徳間書店刊『読楽』2014年1月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【貴族探偵シリーズ】
・『貴族探偵』(集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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【その他】
・「隻眼の少女」(麻耶雄嵩著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・話題の新作「TRICK×LOGIC(トリックロジック)」収録シナリオが明らかに!!
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