<あらすじ>
氷室透子(浅野温子)は警察庁特別監察官。警察官の不祥事の調査や、内部犯罪の取締りを行う警察の中の警察である。ある夜、透子が上司の結城新一郎(風間トオル)と職場で話していると、公衆電話から一本の電話が入った。くぐもった女性の声で「北国署には慢性的な不正があります。調査してください」とだけ言って電話は切れた。結城は、北国署はC所轄だからやめておけ、と調査に反対するが、透子は、告発電話が警察関係者しか知り得ない番号に直接かかってきたことから、重大事案に違いないと、北陸の北国署へ向かう。C所轄とは、部下の不祥事やトラブルが起きない所轄のことで、キャリア組の署長が赴任することからCareerのCを取って、そう呼ばれている。北国署の現署長は吉武亨(窪塚俊介)で、妻・雪絵(黒坂真美)の父は、元警視総監、現総務大臣という大物だ。あくまでも優秀な署の視察、ということで北国署にやってきた透子を迎えたのは、北国署警務課の江川香織(賀来千香子)だった。透子は電話の声の人物を特定すべく、在籍中の女性警察官だけでなく、ここ一年間で転職、退職した女性のリストがほしい、と香織に依頼する。納得いかないものの、用意すると答える香織。そのリストを元に、一人ずつ話しかけていく透子。強引な透子のやり方に香織と透子は衝突する。透子は香織のまるで監視するような様子や、他の北国署職員の言動に疑念を抱くが…。しかも平穏なはずの管轄内で、6日前に帰省中の大学生が三人を殺し、自らも脱法ドラッグによる錯乱によってか、クレーンの上から転落死する、という物騒な事件が起きていた。透子は東京の義父・氷室銀之助(寺田農)に連絡し、犯人の大学生が東京でもドラッグをやっていたかの調査を依頼する。銀之助は透子の亡くなった夫の父で、元警察官だ。
そんな時、北国署管轄の小牧ダムで女性の遺体が発見された。それは香織が透子に渡したリストには名前がなかった地域課の森野夏美巡査(鯉迫ちほ)だった…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
若い男性・望月健司がナイフを手に別の男・蛯原を執拗に追いまわしていた。
必死に逃げようとする蛯原だが、遂に望月の手にかかり敢え無く命を落としてしまう。
これで終わったのだ……思わぬ抵抗で当初の予定と異なったことに少し狼狽しつつ肩で息をする望月。
しかし、安心するにはまだ早かった。
ふと顔を上げた望月は衝撃のあまり絶叫することに。
其処には母娘の2人連れが居たのだ。
しかも、こちらに顔を向けていた。
犯行の一部始終を目撃されていたことに気付いた望月は衝動のままに行動し彼女たちをも手にかけてしまう。
それから数時間後、望月は身を投げた。
これが現在から6日ほど前の出来事である。
6日後の夜、警察庁特別監察官・氷室透子のもとに匿名の電話が入った。
透子は組織不祥事の調査や内部犯罪の取締りを行っており、その不正を行えば誰をも許さない信念と苗字から「氷の女」と仇名されていた。
そんな透子のもとに電話を入れるのは同じ職業の人間―――警察官しかあり得ない。
緊張しつつ電話を取る透子に、電話の主は女性の声で「北国署には慢性的な不正があります。調査してください」と告げた。
この声に透子が動くことに。
北国署は部下の不祥事やトラブルが起きない所轄の為にキャリア組の署長が赴任することとされておりCareerのCを取ってC所轄とされていた。
其処で一体何が起こっているのか!?
早速、北国署を訪問した透子。
現署長は吉武亨、2ヶ月前に北国署に赴任した彼ももちろんキャリアだ。
しかも、その妻・雪絵の父は、元警視総監で現総務大臣の尾高という大物であった。
迂闊な調査は身を滅ぼしかねない。
其処で、透子はあくまでも優秀な署の視察との体裁を整える。
そんな透子を迎え入れたのは北国署で10年以上副署長を勤め上げ、3人のキャリアを無事に送り出したベテラン・古屋昌孝。
透子は匿名電話の声の主を特定するべく、北国署の女性署員のリストを古屋に求める。
古屋は透子の目的を薄々察しつつもそれをおくびにも出さず、これに快く応じる。
さらに、不便があっては……と警務課に所属する江川香織を付けることに。
これは透子にとっては監視されているに等しい行為だ。
やはり何かあると睨む透子だが……。
香織を連れたまま女性署員たちに声をかけ電話の声と比較して行く透子。
しかし、リストが消えても該当する署員は発見できなかった。
しかも、香織は透子の行動に何かにつけ否定的なのだ。
方針転換を迫られた透子は匿名電話の時期から北国署管内の事件を調べることに。
すると、6日前に発生した帰省中の大学生・望月健司が蛯原や通りがかった大平明子、舞親娘を刺殺した事件に行き当たる。
望月は脱法ドラッグに手を染めており錯乱状態だったらしい。
最後にはクレーンの上から自殺していた。
これが原因ではないかと考えた透子は東京に暮らす舅で元刑事の氷室銀之助に望月について調査を依頼する。
一方で、望月の行動を追跡することに。
ところが、防犯カメラ映像を入手しようとしたところ、北国署刑事課長の蜷川洋二から露骨な妨害が入る。
やはり、北国署は望月の事件について何かを隠しているようだ。
その頃、香織は息子・秀夫と言い争っていた。
香織は夫・勇介と息子・秀夫の3人暮らし。
どうやら、秀夫には何か悩みがあるらしいのだが……。
その夜、女性の悲鳴を聞きつけた透子は現場に急行する。
悲鳴の主は小出佳代。
どうやら、若い男に迫られていたらしい。
その場で若い男・植田誠を取り押さえた透子は北国署に引き渡す。
ところが、植田は平気な様子。
「俺にこんなことして覚えてろよ」とまで口にする。
これに蜷川たちも特に口を挟むことはない。
それどころか、植田を賓客のようにもてなすのであった。
翌日、植田が街を歩いているのを目撃した透子は驚く。
どうやら、全くの御咎めなしだったようだ。
そんな植田を陰から狙おうとする人物がいた、秀夫である。
これに気付いた透子は秀夫を止め、事情を尋ねる。
秀夫は佳代の知人で、彼女に乱暴を働こうとした植田が許せなかったらしい。
秀夫によると町の人間は誰も植田に逆らえないのだそうだ。
それを良いことに植田誠は好き放題しているのである。
それもその筈、植田は町の基幹産業を司る植田グループの御曹司。
今は植田建設の専務であった。
どうやら、吉武の妻・雪絵とも親しいようだが……。
秀夫を助けたことで、透子は香織とも和解する。
実は透子は過去に警察官である夫を何者かに殺害されていた。
どうやら、上層部の不正を突き止めた為に口封じされたらしい。
だからこそ、夫の仇を探すべく監察官になったと語る透子。
彼女の境遇を知った香織は協力を約束する。
そんな中、銀之助から調査報告が。
望月は東京では薬物に手を出していなかったらしい。
むしろ、殺害された蛯原こそが売人として追われていたのだそうだ。
なんとも不穏な空気が漂い始めた頃、北国署管轄の小牧ダムで女性の遺体が発見。
それは北国署地域課に勤務する森野夏美巡査であった。
以前から噂されていた不倫を苦にした自殺と結論付けられるが……。
ところが、夏美の名は古屋から渡されたリストには載っていなかったのだ。
彼女こそが匿名の告発者に違いないと察した透子は、それゆえに何者かに殺害されたと考える。
夏美について調べたところ、夏美は香織の夫・勇介との不倫が噂されていた。
しかし、当の香織がこれを一笑に付す。
香織によれば夏美は直接の後輩。
香織を通じて夫とも知り合いになったようだが、正義感の強い夏美が不倫をする筈がないと言う。
夏美の死に疑問を抱いた透子は知人で解剖医の柏木みのりに司法解剖を依頼。
結果、何者かに殺害された後にダムから投げ捨てられたことが判明する。
さらに、知人の鑑識課員・美月文太の協力により夏美が自宅マンションで殺害されていたことも判明する。
この様子をじっと監視する蜷川。
だが、不思議なことに今回は全く妨害しない。
聞き込み調査により、夏美の死の直前に植田の車が夏美宅に停車していたことを突き止める。
さらに、秀夫が望月と先輩後輩の関係にあったことが分かり意外な情報がもたらされる。
なんと、望月が事件を起こした当日のこと、望月自身が専務から植田建設の内定を貰ったと語っていたらしい。
しかも、このときに当の内定書を預かっていた。
どう考えても事件には植田が絡んでいる。
そう確信した透子は香織と共に植田にぶつかることに。
しかし、植田は何も語ろうとしない。
万事休すか―――そう思われたそのとき。
蜷川が乱入し植田を逮捕する。
さらに彼自身が罪を告白するとの事態に発展する。
どうやら、蜷川自身も現在の自身の行動に矛盾を感じていたらしい。
こうして、事件の全貌がほぼ明らかになった。
事の発端は薬物を取り扱っていた蛯原を逮捕しようとしたことにあった。
この際、植田と雪絵の浮気の証拠が現場から出て来たのだ。
どうやら、植田と雪絵は薬物に興じながら不倫していたらしい。
これは吉武にとっては致命打となりかねない。
困った吉武を救うべく古屋が植田に事後処理を依頼した。
植田は当時就職先に困っていた望月に植田建設への就職を餌に蛯原の口封じを依頼した。
予定では自殺に偽装する筈だったのだが、蛯原の頑強な抵抗に遭い望月は刺殺してしまう。
しかも、其処を無関係の親子に目撃されこれまで殺害してしまった。
もはや、隠蔽など出来る筈もなく、植田は荒事担当の部下に命じて望月を自殺に偽装し殺害したのである。
ちなみに、植田は夏美殺害については何も知らないらしい。
車も吉武署長に貸していたと供述する。
こうして、吉武と古屋が監察官聴取を受けることに。
知らぬ存ぜぬで押し切ろうとする吉武だが、古屋がこれを一喝しすべてを告白する。
夏美が何かを突き止め、透子に匿名の電話を入れたことを知った吉武。
古屋が留守中だったこともあり、夏美の説得に乗り出した。
ところが、思わぬ反発に遭いこれを殺害してしまったのである。
古屋が事実を知ったのは透子が北国署にやって来てからのことであった。
もっと早くに知っていれば穏便な方法があったと主張する古屋。
彼にとっては痛恨事らしい。
露骨な隠蔽工作に走ったのも、処理が後手後手に回った影響だったのだそうだ。
もっとも、古屋も蜷川のように矛盾に疲れ果てていたのかもしれない。
これに「雪絵が悪い」と連呼する吉武。
いずれにしろ2人共処分されることに。
一方、何故、夏美が真相に気付いたのか。
実は夏美は真相に気付いているワケではなかった。
夏美は犯行直前の望月を見かけていた。
しかし、彼の不審な態度を咎められず凶行を防げなかったことに責任を感じていたのだ。
其処で匿名にて告発したに過ぎなかったのである。
こうして、事件は無事に解決を迎えた。
透子は北国署の再起を願うのであった―――エンド。
<感想>
新シリーズ「警察庁特別監察官 氷の女・氷室透子」第1弾。
原作は無し、オリジナル作品です。
では、早速ドラマの感想を。
正義の個人VS悪の組織―――すなわち、透子軍団VS北国署みたいな雰囲気でしたね。
氷室銀之助、柏木みのり、美月文太とまさに透子軍団が北国署の不正を暴くことに。
初回だったからかもしれませんが、もう少し透子軍団をクローズアップしても良かったかな。
ちなみに、この主人公個人の仲間たちによる捜査。
さらに、夫の仇を追うとの点で「組織犯罪対策課 八神瑛子シリーズ」と通じるところがありそうです。
もっとも、主人公の立ち位置が真逆ですが。
・「組織犯罪対策課 八神瑛子シリーズ(アウトバーン、アウトクラッシュ、アウトサイダー)」(深町秋生著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
それと、最終的に蜷川などの職務への良心に頼るのは今回に限ってはアリでしたね。
これにより、古屋や蜷川らの葛藤などが感じられたように思います。
それにしても、吉武雪絵は赴任してわずか2ヶ月で植田と浮気していたのか……物凄い早業だ。
恐るべし!!
さらに、植田だけど望月の口封じを担当する部下が居るのなら、初めからその部下に蛯原抹殺を依頼しとけよ。
そうすれば、望月も目撃者も死亡せずに済んだのになぁ……。
もっとも、それだと夏美の告発自体が無くなっちゃうのか……。
さて、何処となく薄味の印象ですがなかなかだったと言えるのではないでしょうか。
夫の仇の謎もあるし、シリーズ化前提の作品でしょう。
とりあえず、続編があっても良いと思えました!!
◆関連過去記事
・「沙粧妙子 最後の事件」(フジテレビ 1995年)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
氷室透子:浅野温子
結城新一郎:風間トオル
氷室銀之助:寺田農
美月文太:上杉祥三
柏木みのり:菜葉菜
吉武亨:窪塚俊介
蜷川洋二:金田明夫
古屋昌孝:きたろう
江川香織:賀来千香子 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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