<あらすじ>
中国・宋王朝の時代。敵国・遼の軍が接近し、“楊無敵”と称される宋の忠臣、楊家の家長・楊業(アダム・チェン)が先鋒隊を務めることとなる。遼軍を率いる耶律原は楊業がかつて討ち取った将軍の息子。その耶律原が楊業を捕らえたため、楊家の7人の息子たちが父を連れ帰るべく敵陣へと向かう。
(公式HPより)
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
楊業:楊無敵と称される宋の武人。
楊延平:楊業の長男。
楊延定:楊業の次男。
楊延安:楊業の三男、弓の名手。
楊延輝:楊業の四男。
楊延徳:楊業の五男。
楊延昭:楊業の六男、槍の名手。
楊延嗣:楊業の七男。
賽花:楊業の妻。
柴郡主:宋の公主(姫)。
潘仁美:宋の重臣。
潘豹:潘仁美の息子。彼の死が影を落とすことに……。
宋と遼が大陸で鎬を削っていた時代の物語である。
宋は「楊無敵」と称される武人・楊業を擁し、何度となく遼の侵攻を退けて来た。
これにより、時の皇帝は楊業を重用した。
だが、もちろん宋の重臣・潘仁美にとっては自身が軽んじられる結果となり面白くない。
事あるごとに楊家に突っかかっていたのだが……。
そんなある日、皇帝の娘・柴郡主に縁談が持ち上がった。
相手は潘仁美の息子・潘豹である。
潘豹は近く行われる御前試合に優勝したら柴郡主を娶ると宣言していた。
一方、当の柴郡主には想いを決めた相手が居た。
他ならぬ楊家の六男・楊延昭である。
そして、楊延昭もまた柴郡主を愛していたのだ。
楊延昭は御前試合に出場し潘豹との対決を望むことに。
しかし、これを楊業は禁ずる。
楊家と潘家の軋轢を重ねることを避けたのだ。
だが、楊延昭は父の戒めを破り御前試合に出場してしまう。
互いに勝ち上がり、決勝は延昭と豹の一騎打ちに。
此処で豹が暗器を用いた。
結果、不意を突かれた延昭は豹に敗れることに。
ところが、この結果を潔しとしない者が居たのだ。
延昭の弟にして七男の楊延嗣である。
延嗣は兄の屈辱を晴らすべく、果敢に豹に挑みこれを破ってしまう。
しかも、この際に豹は死亡してしまった。
当然、潘仁美は烈火の如く怒り、楊家の粛清を皇帝に申し出た。
まさに楊業の危惧が的中したのだ。
皇帝は激怒する仁美を宥め、楊業に謝罪させることで事態を収拾する。
しかし、遺恨は何処までも残り続けることに。
そんな中、遼が侵攻を開始した。
敵将は耶律原、過去に楊業が討ち取った男の息子だそうである。
当然、楊業が総大将として迎え撃つかと思われたが……。
これに潘仁美が反対する。
何時になく強硬姿勢を取る仁美に押し切られる形で、皇帝は彼を総大将に据え楊業を先鋒に置く。
これが不味かった。
耶律原と開戦した仁美は先鋒の楊業が包囲されているにも関わらず、軍を動かさない。
しかも、早々に撤退するや籠城してしまったのである。
明らかな利敵行為であった。
仁美は敵を討つことよりも楊業抹殺を狙ったのだ。
取り残された楊業は近くの城に逃げ込むことに。
これを耶律原の大軍が包囲する。
もはや、楊業の命は風前の灯と思われた。
この状況に楊業の妻・賽花は嘆き悲しんだ。
皇帝に救援を縋るも、皇帝は仁美が籠城している状況に及び腰だ。
そんな賽花を見かねた楊家の七兄弟は救援を買って出る。
楊家の七兄弟は先に上げた六男・延昭、七男・延嗣の他に戦略家として名のある長男・楊延平、長男を支える次男・楊延定、弓の名手として知られる三男・楊延安、延徳とのコンビを得意とする四男・楊延輝、延輝とのコンビを得意とする五男・楊延徳が居た。
楊家の七兄弟は武人としても名を成していた。
これ以上の者は宋には居ない。
これを賽花は頼もしく思いつつも不安に駆られた。
彼らは楊家の後継者だ、もしも全滅するようなことがあれば……。
其処で高名な占い師に救援の結果を占わせることに。
「七子行きて、六子帰る」
それが占い師の結論であった。
これを目にした賽花は息子たちを向かわせるべきか悩んだ。
密かに延平に相談することに。
すると、延平はこれを「七人の子供が救援に向かい、六人が戻る」と読み解き、弟たちを必ず無事に返すと約束した。
こうして、楊家の七兄弟は楊業救出に出陣した。
七兄弟は少数ながらも快進撃を続け、たちまち楊業に合流した。
一方、この報を聞き付け快哉を叫んだ者が居た。
誰あろう敵将・耶律原である。
耶律原は父を楊業に討たれて以来、母1人子1人で苦労を強いられ成長していた。
今回の侵攻も私怨を晴らす為のものだったのである。
耶律原は楊業を餌に七兄弟を誘き出し皆殺しにする腹積もりだったのだ。
だからこそ、故意に道を開けたのだ。
これは楊業にも分かっていることであった。
息子たちが駆け付けたことで、耶律原の総攻撃が迫っていると察したのである。
楊業から耶律原の真意を知らされた兄弟たちは早期の脱出を図る。
しかし、此処で七男・延嗣が仁美に援軍を求めるべきと主張する。
必ず説得してみせると譲らない延嗣は周囲の制止を振り切って援軍要請に仁美のもとへ。
だが、その間に耶律原の総攻撃が開始された。
これを支える楊家の面々。
とはいえ、多勢に無勢である。
数日を以て城は陥落、延平ら6人の息子たちは負傷した楊業を囲むように脱出する。
これを復讐に燃える耶律原が猛追する。
到底逃げ切れぬと察した楊平は楊業と兄弟たちを逃がすと、今が約束のときと切り立った断崖絶壁で敵を迎え撃つ。
追い縋る敵は突然現れた楊平に遮られ足止めを余儀なくされた。
楊平は降りかかる矢は薙ぎ払い、寄せる敵兵は押し返し、当たるを幸い斬り倒し続けた。
まさに奮戦である。
其処に先に行った筈の延定が戻って来た。
兄を置いては行けないと言うのだ。
直後に延定は敵中に耶律原を見つけ挑みかかってしまう。
しかし、耶律原もまた強かった。
延定は返り討ちに。
延定を助けようとした延平も隙を突かれ戦死する。
2人を排除したがかなりの差を開けられた耶律原は騎馬による精鋭100騎を編成し追撃を再開。
これに気付いた四男・延輝と五男・延徳は捨石となることを選ぶ。
海沿いの崖で待ち構えると火をかけて騎馬隊の足を止めさせたのだ。
さらに、その大半を海へと撃ち落とすと先鋒部隊ごと海に消えた。
この待ち伏せにより耶律原の精鋭はほぼ壊滅。
しかし、それでも耶律原は残された数騎にて追撃を強行する。
一方、楊家側に残されたのは負傷している楊業と三男・延安、六男・延昭。
そして、仁美に援軍を求めた七男・延嗣のみだ。
だが、その延嗣にも死の影が忍び寄っていた。
仁美が籠る城まで辿り着いたが、入城すら許可されなかったのだ。
城門前から必死に救援を懇願する延嗣。
その姿を認めた仁美は「あれは敵だ!!」と叫ぶ。
直後、味方の筈の仁美の軍勢から延嗣は雨霰と矢を射掛けられた。
こうして、延嗣は全身ハリネズミとなり射殺されてしまう。
その頃、楊業は自身が逃避行の足手まといになっていることを気に病んでいた。
これ以上は息子たちの命を危険に曝すとして、夜の闇の中で命を絶ってしまう。
翌朝、楊業が自害したことに気付いた延昭、延安。
2人は楊業が彼らを救う為に自殺したことに涙を流す。
とはいえ、父の遺骸を敵に辱めさせることは出来ない。
延昭が楊業を担ぎ、延安がこれを支えて逃避行を続ける。
楊家荘まではもう少しだ。
其処まで逃げ切れれば……しかし、此処で襲撃を受ける。
耶律原の部下たちだ。
延安がその場に残り、これを引きつけることに。
弓の名手である延安の手により射殺されて行く耶律原の部下たち。
しかし、弓の名手は延安だけではなかった。
風を裂く音に身を翻した延安のすぐ傍を一本の矢が抜けて行ったのだ。
少し遅ければ間違いなく額を射抜かれていた……冷や汗を流す延安。
耶律原の部下にも弓の名手が存在していたのである。
慌てて遮蔽物に身を隠し、射手の姿を探す。
其処に相手の第二射が降って来る。
延安は身を躱しながら叢へと逃げ込む。
次いで、第三射。
方向を見極めた延安は矢をつがえ、これを撃ち落とす。
そして、相手を捉えた。
同時に相手も延安へと距離を詰めて行く。
その手には次の矢が握られている。
延安も弓を引いた。
矢筒に残る矢はこれで最後だ。
そして互いに矢を放った。
必殺の気合を込めた矢である。
相手の矢は延安の腹を貫いた。
延安の矢は相手の額を貫いた。
延安も深手を負ったが相手は即死であった。
強敵を下したことに安心し膝をつく延安。
身体を休めたら、延昭の後を追わなければならない。
そう微笑んだ瞬間―――背後に人の気配を感じた。
耶律原だ。
延安は振り返る暇もなく、耶律原に首を撥ねられた。
延安の首は毬のように叢を転がって行く。
いよいよ王手だ……耶律原は勇躍するや延昭へ向けて走り出す。
彼には多くの部下が犠牲になった後悔はない。
既に復讐の鬼と化していたのである。
遂に1人きりとなった延昭。
兄たちの遺志を継ぎ、彼は父の遺骸を楊家に届けるべくひた走る。
しかし、その背後に迫る影が。
もちろん、耶律原である。
もはや、これを振り切ることは出来ない。
覚悟を決めた延昭は耶律原と交戦を開始する。
延昭も手練れとして知られた勇士。
しかし、耶律原はそれを上回っていた。
延定、延安と直接手にかけたのは決して伊達では無い。
延昭は追い込まれて行く。
だが、此処で異変が起こった。
延昭は亡き父と兄弟6人の姿を思い浮かべたのだ。
そして、故郷で待っている最愛の女性を。
途端に延昭の動きが甦った。
思わぬ反撃にたじろぐ耶律原。
だが、耶律原も黙ってはいない。
咄嗟に組み討ちに持ち込んだのだ。
互いに殴り合いながら位置を変えて行く2人。
次第、次第に耶律原が追い詰められて行く。
延昭の想いが耶律原の執念を上回った瞬間であった。
何時の間にか延昭が耶律原を組み伏せていた。
そして、延昭により振り上げられる剣。
それを下ろせば、耶律原の命を絶つことが出来る。
仇を討つことが出来るのだ。
だが、延昭はそれを選ばなかった。
延昭は楊業を背負うと再び歩き出そうと……。
ところが、その背に剣を振りかぶった耶律原が。
耶律原は一切の躊躇なくこれを振り下ろそうとして……胸に刺さった槍の穂先に気付いた。
その槍は延昭に握られている。
延昭は背後を警戒していたのである。
この一撃により耶律原は直立不動の姿で落命した。
再び歩き出した延昭。
その目に鎧姿の集団が映る。
それは楊業たちを迎えるべく出兵した賽花たちの姿であった。
こうして延昭は楊家に辿り着いた。
楊家の7兄弟、生きて戻ったのは1人であった。
長男・楊延平、次男・楊延定、七男・楊延嗣の遺体は後に回収され弔われた。
三男・楊延安、四男・楊延輝、五男・楊延徳の遺体の行方は杳として知れなかったと言う。
後年、楊延昭は楊家の当主となり、楊業と比肩する武人として謳われることとなった―――エンド。
<感想>
原題は「忠烈楊家將/SAVING GENERAL YANG」。
「楊家将演義」とは北宋の楊一族の活躍を描いた物語で「三国志演義」と同じく民間の説話を集めたもの。
これは楊業、楊延昭、楊宗保、楊文広ら数代に渡る。
その「楊家将演義」をもとにアレンジを加えたのが本作。
何と言ってもポイントはその勇者たちの悲劇的な死を描いたこと。
楊業を救出するべく次々と兄弟たちが倒れて行くシーンは衝撃的でした。
そして「七子行きて、六子帰る」。
これを延平は「7人の子が救援に向かい、6人が戻る(1人犠牲が出る)」と読み解いた。
しかし、実際は「7人の子が救援に向かい、六男のみが戻る」の意味でした。
このサプライズこそが本作最大の特徴とも言えるか。
ちなみに、管理人は楊延昭生存を知っていたのですが驚きました。
占いの結果を知らされた際の賽花の様子が不審だったので「夫を想うあまり賽花が結果を改竄し子供たちを向かわせた」のかと思っていたので。
てっきり、本来は「七子行きて、一子帰る」だったのを筆を加えて「一」を「六」に書き換えたものとばかり。
それだけに、ラストで特に仕掛けに触れられなかったことで初めて先の意味だと気付くことに。
これも意外でしたね。
ちなみにネタバレあらすじはまとめ易いように改変を加えているので、興味を持たれた方は是非、本作をご覧頂きたい。
ラベル:楊家将〜烈士七兄弟の伝説〜
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