2014年07月11日

「思春鬼のふたり」第21話「舞台外のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第21話「舞台外のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(必殺仕事人)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から)
神条くん:都立確立高等学校の演劇部員。
砂織零子:黎盟高等学校演劇部の部長。
灰猫硝:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の息子・レアティーズ役。
赤川真人:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王弟・クローディアス役。
折葉メイ:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王妃・ガートルード役。
廻部連:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の娘・オフィーリア役。
安土礼雄:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣・ポローニアス役。

<ネタバレあらすじ>

【前回までのあらすじ】

お掃除依頼の相手を絞り込む為の前調査―――お使い依頼を引き受けた辻。
調べるべき対象は部員の自殺者や行方不明者が絶えないという「黎盟高等学校演劇部」である。

ところが、ひょんなことから黎盟高等学校演劇部の部長・砂織零子に見込まれた辻は「ハムレット」で主演を演じることに。

ちなみに、黎盟高等学校版「ハムレット」の内容は次の通りである。

ハムレットの父は王であった。
ところが、その王が急死してしまう。
残された王妃・ガートルードは、王の弟・クローディアスと再婚し王位を継いだ。

そんなある日、ハムレットの前に父王の霊が現れ真相を告げる。
なんと、弟であるクローディアスに毒殺されたと言うのだ。

おのれ、許せぬ!!と復讐心に駆られたハムレットはクローディアスを父と同じ方法で殺害しようと目論む。
毒杯による毒殺だ。

ところが、肝心のところでこの毒杯が大臣・ポローニアスの手に渡り、ポローニアスが死亡してしまった。
ポローニアスの娘・オフィーリアはショックから自殺。
これにポローニアスの息子で、オフィーリアの兄であるレアティーズが激怒した。

仇がハムレットだと知ったレアティーズは命を狙う……とのものだが。

【今回あらすじ】

揺籃病院での治療を終えた辻。
これで怪我も治り、お使い依頼からお掃除依頼へとシフトしても対応可能な状態である。

安土の容態が気にかかった辻は、彼の病室へ。
すると、安土は退院の準備をしていた。
そんな安土に「何故、誰かに毒を盛られたことを強く主張しないのか」と尋ねる辻。
しかし、安土は「まさか、盛られるとは思わなかったが尊敬する砂織部長の劇を守りたい」と主張する。

同じ頃、とある喫茶店では高校生の男女が向かい合って話し合っていた。
「演劇部は異常よ。もうこれ以上はやってられないわ。何とかしなくちゃ」
熱く語る女子生徒に、男子生徒が「俺も俺も」と強く頷く。
どうやら黎盟高等学校演劇部の生徒のようだが、こんな生徒居ただろうか……。

これに我が意を得たとばかりに女子生徒は続ける。
「これ、本当なんでしょうねぇ。このままじゃ、私たちも……」
その手には「WCO」の広告が握られていた。
そう、今回の依頼者はこの男女だったのだ。

「仕方ない。いざとなれば舞台を休めばいいよ」
不安がる女子生徒に男子生徒が提案した。

と、その傍を別の演劇部員が通りがかる。
「先輩方、お疲れ様です」
「おう」
「あらぁ〜〜〜お疲れ様ぁ〜〜〜」
挨拶する演劇部員に、咄嗟の早業で表情ばかりか姿まで変えた男女が応じる。
その姿は読者にも見覚えのあるもの。

男子生徒は王弟・クローディアス役を演ずる赤川真人、女子生徒は王妃・ガートルード役を演ずる折葉メイだったのだ。
どうやら、彼らは行き過ぎた演劇部の方針に相当強い不満を抱いているものの表立って批難できない様子だが……。

そんな2人の背後には隠れるように灰猫硝が座っていた……。

その夜、とある掃除人が依頼を果たしていた。
今日もまた1人、悪が斃れたのだ。
すると、何時の間にかその背後を取る人影が……。

人影は掃除人、いや仕置人に「演劇について教えてください」と頼み込む。
人影の正体は白雪、仕置人は小鹿である。
白雪は小鹿の演劇への情熱を評価し、弟子にして欲しいらしい。
これを聞いた小鹿は顔を隠すが大喜びである。

同じ頃、辻は黎盟高等学校版「ハムレット」の続きに目を通していた。

クローディアスを狙う筈が誤って大臣・ポローニアスを殺してしまったハムレット。
ポローニアスの娘・オフィーリアはショックから自殺。
真相を知ったポローニアスの息子で、オフィーリアの兄であるレアティーズはハムレットの命を狙うことに。

クローディアスはレアティーズと謀ってハムレットを抹殺する罠を張る。
剣術試合と称し、ハムレットとレアティーズの決闘の場を設けたのだ。
しかし、互いの剣には毒が塗られていた。
掠れば死は免れない。
しかも、勝者に与えられる杯にも毒が混入されていたのである。

ハムレットが勝てば杯の毒で、負ければレアティーズの手にかかり。
いずれにしても死亡するのである。

そして、剣術試合当日。
ところが思わぬ展開になる。

またも誤ってガートルードが杯の毒を口にし死亡してしまうのだ。

これに驚いたハムレットは隙を突かれ、レアティーズの剣により毒を受ける。
しかし、死を覚悟したハムレットはクローディアスとレアティーズを刺殺。
最後には毒により死を迎える―――との結末である。

一方、盟高等学校演劇部では1人・折葉メイが演技の練習を繰り返していた。
そんな中、ふとメイの口を吐いて出た言葉「私は死なないわ」に反応するように、女性用ドレスを着込んだ人影が現れた。

「あんた、なんでそんな格好で……」
驚くメイだが、人影は強引に近付くと彼女を取り押さえる。

「やっ、やめっ」
必死の抵抗を見せるメイだが、口元を開かれ毒薬を注ぎこまれることに……。

その翌朝、メイの死体が発見された。
辻は思わぬ展開の連続に激しく動揺することに―――22話に続く。

演劇部編も第4回!!
遂に第三の殺人発生!!
気になる展開は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載中です。

その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する掃除人こと必殺仕事人。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛するストーカー少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。

そんな「思春鬼のふたり」コミックス1巻に続き2巻が2014年8月8日に発売予定。
しかも「モコと歪んだ殺人鬼ども」4巻も発売。
まさに破竹の勢いの本作。

さて、その21話ですが……。
なんともミステリ的な展開を迎えた「演劇部編」、その第4回。

まさに激動の回となりました。
まさかまさかの当ブログが推していた犯人候補筆頭・折葉メイが落命することに。
同時に、当ブログが大きな勘違いをしていたことも発覚。

メイを犯人候補筆頭とした大きな理由は「メイだけが19話で死に纏わる特訓をしていなかった」ことにありました。
しかし、21話の描写でどうやらあの台詞を噛んだのは「誤って毒を仰ぎ絶命したシーン」の練習だったことが判明。
服毒し苦しむ中だったからこそ、台詞が噛み噛みだったのか……。
とはいえ、他のメンバーに比較すると練習内容がぬるい(他のは「真剣で斬り付ける」、「蛇をけしかける」、「プールに沈む」とハード、メイは毒を飲んでいない)のは事実だったと思うので此の点は反省しない(開き直り)。

しかし、これにより唯一生還した安土への疑いが深まりましたね。
理由は複数。

まず、今回メイの前に現れたのは女性用ドレスを着た人物。
これに「あんた、なんでそんな格好で……」とメイが洩らした。
つまり、通常ならば女性用ドレスを着るような人物ではないと思われる。
また、メイは相手を「あんた」と呼んでおり、目上で部長である零子ではない。
これにより、犯人は男性でメイにとって対等か格下の相手と思われる。
安土はこれに該当する。

でもって、辻が妙に安土に入れ込んでいる点も気になる。
既に信頼していると言っても良い。
だとすれば、どんでん返しが用意出来るのは安土の場合のみだ。
もともと、辻は黒金のときも不意を突かれたし。
今回、担当さんからそれを匂わされているのも何かありそうだ。

そして、これまでの犯行方法。
安土自身は服毒も助かる量となっていた。
廻部は過塩酸で必殺である。
さらに、その場に居なくても大丈夫なので安土でも可能。
でもって、メイも服毒だが致死量である。
さらに、殺害時には安土は退院済みで犯行可能。
やはり、安土に違和感が残る。

さらに、硝が聞き耳を立てていたがあれはミスリードだろう。
硝が犯人だったら、全部が全部刺殺になってそうだし。
おそらく、硝自身も零子を尊敬しているが故に対外的にあの行動を取っているものの困っているのではないか。
だから、内心で「おっ、それいいね。俺も休もう」と叫んでいたのかもしれない。
それにしても、赤川とメイが実生活でも役を演じていたとはなぁ……。
本エピソードラストにて硝も普通の人に戻るのではなかろうか。

ただ、上記安土犯行説だが赤川でも可能なんだよなぁ……此の点は様子見かも。
とはいえ、零子の犯行だけは消えたと思われる。

そして、気にかかるのはメイが死亡したことにより流石に黎明高校版「ハムレット」が中止になるのではないか。
犯人の真の狙いは舞台を中止にすることなのだろうか……その割にはやけに脚本に拘っているようだが。
ただ、白雪が小鹿に弟子入りまでしたところを見ると、舞台自体は続行しそうな雰囲気。
だとすれば、メイが死亡した現在、ガートルード役はどうなるのか。
まさか……小鹿さんも参入するのか、それとも容疑外となった零子がいよいよ参戦か!?
それとも、まさかの演技力を誇る神条くん再臨なのか!!

おおおおおおっ、いろいろと気になる!!
果たして、次回は如何なる展開を迎えるのか……注目です!!

本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」、「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

◆関連過去記事
「思春鬼のふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)1話から20話までネタバレ批評(レビュー)まとめ

登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・もう1人の掃除人篇(1話から5話まで)
深海末姫:辻と白雪の前に現れた少女。「もう1人の掃除人」を名乗る。
諏訪:深海のクラスメート。実はWCOの掃除人。6話で小鹿に処刑される。

・辻の過去篇(6話)
辻の両親:何者かにより惨殺される。

・解体魔篇(7話から10話まで)
黒金:辻たちが通う学校の教師。女性。
若丸:黒金が招いた病院の医師。男性。

・星野銀華篇(11話から17話まで)
星野銀華:元WCOのお掃除人。だが、WCOを離脱する。
園長:辻と白雪が遊びに出かけた動物園の園長。
高倉さとみ:星野銀華に大きな影響を与えた人物。
木田雷:夜刃音珠(ヨハネス)のリーダー。
大雁江美:雷に狙われた一家の一人娘。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から)
神条くん:都立確立高等学校の演劇部員。
砂織零子:黎盟高等学校演劇部の部長。
灰猫硝:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の息子・レアティーズ役。
赤川真人:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王弟・クローディアス役。
折葉メイ:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王妃・ガートルード役。
廻部連:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の娘・オフィーリア役。
安土礼雄:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣・ポローニアス役。

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posted by 俺 at 12:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ミステリーでは反則になるでしょうが、まだ登場していない「顧問」の存在が自分は気になります

指導者として部に干渉や誘導ができながら、自分は役者をやらずに危険に飛び込まずにいられる
そもそも被害者が出たら管理責任を問われるはず

でも、やっぱり反則ですよね
Posted by アキシン at 2014年07月18日 22:54
Re:アキシンさん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

「顧問犯人説」ですね。
これには意表を突かれた気がします。

確かに「演劇部」が「部活動」である以上、「顧問」の存在は必須。

そして、通常「ミステリのルール」の観点からすると作中未登場人物が犯人であるパターンは難しいと思われますが、今回の場合だと上記のように「顧問」の存在を窺うことが出来るのでこれもクリアしていると思います。

少なくとも意外性があって衝撃を受けるし、管理人個人的にはアリです。
Posted by 俺 at 2014年07月19日 01:17
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