<あらすじ>
沖縄のリゾートホテルに勤めるコンシェルジュの具志堅陽子(浅野温子)は、支配人・宮田賢一郎(古谷一行)の意思により、ホテルの防犯プロジェクトチーム、通称「ホテルGメン」のチーフとなった。
その頃、真栄田岬の砂浜では、ダイビング中に亡くなった今宮慎一(翁長大輔)の一周忌法要が営まれていた。慎一が勤めていた旅行代理店の社長・郷田守(三上市朗)と妻の美奈子(瀬戸カトリーヌ)、医師の中嶋由美(井上晴美)ら列席者が見守る中、慎一の母・佐代子(新井晴み)は、息子の死は事故ではなく殺人だ、必ず仇を討つと宣言する。
翌日、陽子はホテルのパティシエ・新垣真紀子(井上和香)が佐代子に罵られているのを見た。またホテルのドルフィンラグーンでは、村上和彦(葛山信吾)が佐代子に食って掛かっているのを目撃し、止めに入った。村上いわく、娘のゆかり(帆花)と息子の弘夢の前で“イルカが息子を殺した”と連呼していたという。佐代子は聞き違いだと主張するのだが…。
ゆかりと弘夢はホテル内で、人々の写真をたくさん撮っていた。まるで誰かを探しているような…。そんなところに父の村上が、パティシエの真紀子とともにやってくると、ゆかりはひどく真紀子を毛嫌いしている様子だ。
夜、客室係・片山葉月(藤森麻由)は、部屋から出てくる見覚えのない客室係を目撃する。陽子はその部屋へ向かい、帰宅した宿泊客の吉田孝之(山崎潤)に確認するが、特に被害はないという。
翌朝、ホテルGメンたちは、客室係らしき服装をした佐代子の遺体を海岸で発見する!すぐさま警察に通報すると、陽子と幼なじみの刑事・大城晃宏(宅麻伸)が警視・立石啓輔(柏原収史)とともに現れた。佐代子は転落死ではなく、頭部を叩かれ殺害されていた。
死亡推定時刻頃に現場付近で男女が目撃されていることを耳にした陽子は、その女性が真紀子ではないかと心配し関係を尋ねると、真紀子は被害者佐代子の一年前に亡くなった息子、慎一と以前結婚しており、佐代子は義母だったと聞き、驚く。真紀子は結婚直後から慎一に暴力を振るわれており、故郷の沖縄に逃げ帰った。“イルカと泳ぐツアー”の下見中の慎一が、沖縄の海で命を落としたのは、そんな最中のことだというのだが…。
その後真紀子は警察に、一緒にいた男のことを執拗に訊かれるが、1人でいたと頑な態度だった。
佐代子の部屋を捜査すると、遺留品の中になぜかドライバーなどの入った工具ケースが残されていた。そんな時。佐代子を心配した主治医・中嶋由美(井上晴美)がホテルにやって来るが、佐代子の死を知って驚く。
一方、郷田夫婦は一年前今宮慎一が亡くなったことで、多額の生命保険を手にしていた。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
沖縄のリゾートホテル「ルネッサンスリゾート沖縄」に勤めるコンシェルジュの具志堅陽子。
今回、陽子はホテルの防犯プロジェクトチーム、通称「ホテルGメン」のチーフとなっていた。
昨今、ホテルを舞台にした犯罪が増加しており、これに警戒するのがその仕事である。
同じ頃、真栄田岬の砂浜では今宮慎一の一周忌法要が行われていた。
今宮慎一はダイビング中にオニダルマオコゼの毒で急死を遂げた人物。
慎一の母・佐代子は、旅行代理店の社長・郷田守と妻の美奈子、医師の中嶋由美、慎一のダイビング仲間である吉田孝之らの前で「息子の仇を討つ」と宣言することに。
彼らはその夜「ルネッサンスリゾート沖縄」に一泊することになった。
佐代子が301号室、吉田が716号室である。
ちなみに、1ヶ月ほど前に佐代子が滞在した部屋もまた716号室であった。
その翌日、陽子はホテルのパティシエ・新垣真紀子が佐代子に頬を叩かれる現場を目撃。
また、ホテルのドルフィンラグーンでも佐代子が805号室の宿泊客・村上和彦と騒動になっている現場に遭遇する。
村上によれば、彼の2人の子供たち―――娘・ゆかりと息子・弘夢の前で「イルカが息子を殺した」と連呼していたらしい。
昼ごろ、陽子はゆかりと弘夢に再会する。
2人はカメラを携え、写真を撮影しようとしていた。
これに陽子は「一声かけたら従業員も撮影して良い」と教える。
こうして、ゆかりと弘夢は従業員を撮影し始めることに。
ところが、ゆかりはただ1人・真紀子にのみ強く反発する。
その夜、客室係の1人・片山葉月が陽子にトラブル発生を伝えて来る。
なんでも、716号室からカートを押した客室係に変装した人物が出て来たのだと言う。
もしかして、客室係に変装した窃盗犯ではないか―――と疑っているのだ。
早速、陽子はその部屋の宿泊客・吉田孝之に尋ねるが特に被害は無いらしい。
一体、何だったのだろうか……。
ところが翌朝、海岸で客室係の制服を着用した佐代子の遺体が発見されることに。
どうやら、佐代子は何者かに殺害されたようだ。
陽子は佐代子が着ていた客室係の制服のボタンが掛け違えられていることに興味を抱く。
事件が発生したことで陽子の幼馴染で刑事の大城晃宏が捜査を開始する。
すると、死亡推定時刻頃に現場付近で男女が目撃されていることが明らかに。
その女性は真紀子であった。
だが、真紀子は同行していた男性の正体を明かそうとしない。
しかも、真紀子が慎一の別れた妻であったことが判明。
つまり、真紀子にとって佐代子は姑だったのだ。
真紀子によれば、佐代子はパティシエの師匠。
その関係で息子・慎一と結婚したのだが、慎一は暴力を奮う癖があり逃げるように離婚したらしい。
慎一が死亡したのは、これに復縁を求めてやって来た最中のことであった。
さらに、ゆかりは真紀子が佐代子を殺したと主張。
村上はこれを叱りつけるが、ゆかりは頑なに譲らない。
先に佐代子とトラブルを起こしていたこともあり、真紀子に容疑が向かう。
どうしても真紀子の犯行が信じられない陽子。
佐代子の部屋を調べると、遺留品の中からドライバーなどの入った工具ケースが発見される。
これまた一体、何を意味するのか!?
そんな中、郷田夫妻が今宮慎一に多額の生命保険をかけて受け取っていたことが明らかに。
郷田夫妻にも疑いが向かうが……。
矢先、ゆかりが真紀子を批判する理由が分かる。
村上は数年前に妻を亡くし、真紀子と再婚の約束をしていたのだ。
この村上家の旅行はゆかりと弘夢への真紀子のお披露目も兼ねていたのである。
これを知るゆかりは真紀子が許せず反発していたらしい。
さらに、佐代子が「イルカが息子を殺した」と連呼していた相手が吉田であることも判明。
どうやら、佐代子は吉田こそが慎一殺害犯であると疑っていたらしい。
これを聞いた陽子はある可能性に思い至る。
確認したところ、716号室に吉田を宿泊させたのは佐代子の意向による物らしいことも明らかに。
これに「客室係の制服の謎」と「ドライバーの謎」の意味に気付く。
1ヶ月ほど前、佐代子は吉田と同じ716号室に宿泊した。
この際に716号室の合鍵を作ったのだ。
その上で716号室に吉田が宿泊するように仕掛けると、客室係に変装し盗聴器を仕掛けた。
すべては慎一を殺害したと見られる吉田の動向を調べる為だ。
どうやら、佐代子は吉田の裏に黒幕が居ると考えていたようである。
そして、殺されたのだ。
だとすれば、葉月が目撃した716号室から出て来た偽客室係も佐代子だったのだろうか……。
一方、真紀子を批判したことで家族から孤立したゆかり。
陽子は気落ちする彼女を元気づける為に繁華街へと連れ出す。
ところが、其処でバイクに乗った何者かに襲撃されることに。
陽子の活躍により、襲撃者は逃げ出すこととなったのだが。
どうも、ゆかりが狙われていたような……。
しかも、陽子は現場で郷田夫妻を目撃することに。
その夜、吉田が死体で発見される。
ゆかり襲撃は吉田の犯行であった。
どうやら、何者かに殺害されたようだ……その人物こそが黒幕なのだろうか。
その翌日、陽子は佐代子のボタンの掛け違えが何者かによって客室係の制服を着せられた為ではないかと思い至る。
だとすれば、事件の様相は些か異なる。
これまで、陽子は716号室から出て来た人物を客室係に変装した佐代子だと思い込んでいた。
しかし、それが別の人物で、カートの中にこそ意識を失った佐代子が乗せられていたとしたら。
佐代子は吉田が慎一を殺害した証拠を掴むべく客室係に変装し716号室に盗聴器を仕掛けた。
ところが、これを黒幕と吉田に予見されており、その場で捕まったとしたら……。
そして、黒幕が佐代子の客室係の変装を引き継いだ。
つまり、716号室から出て来た客室係に変装した人物こそが全ての真犯人。
その人物は佐代子をカートに乗せ、殺害現場に運び込むと殺害し服を着替えさせたのだ。
一方、郷田夫妻が佐代子殺害に無関係と判明。
郷田夫妻は佐代子が仇として狙っている人物を吉田だと見抜いていた。
当然、吉田の裏には黒幕が居る筈だ。
郷田夫妻は吉田を尾行し、黒幕を突き止め脅迫するつもりだったのだ。
其処であちこちに出没していたのである。
どうやら、慎一の保険金だけでは経営がやっていけなかったようだ。
翌朝、弘夢と出会った陽子は彼から佐代子殺害当日の夜にゆかりが客室係のお姉さんを撮影したことを聞く。
ゆかりは偽の客室係を撮影してしまっていたのだ。
だから、真犯人から狙われているに違いない。
慌ててゆかりに確認してみたところ、写真には真犯人がバッチリ写っていた。
その正体は主治医の中嶋由美であった。
直後、陽子は何時の間にか背後に立っていた由美からナイフを突きつけられる。
陽子は必死にゆかりをその場から逃がすが、由美に捕まってしまう。
逃げ出した由美は通りがかった真紀子に助けを求めることに。
その頃、陽子を捕らえた由美は慎一殺害の動機について語っていた。
真紀子が家を出た後、慎一は由美と交際していた。
慎一を愛していた由美は寝物語で自身が犯した医療過誤について話してしまった。
ところが、慎一はこれをネタに脅迫して来た。
しかも、抵抗すると暴力を奮われるとのオマケつきである。
困った由美に、慎一のダイビング仲間であった吉田が近付いて来た。
吉田は由美に3000万円の報酬で慎一殺害を持ちかけた。
由美はこれに乗ったのだ。
此処まで由美が明かしたとき、真紀子とゆかりが駆け付けて来た。
動揺した由美がナイフを振り回す中、真紀子がゆかりを庇う。
由美に出来た隙を陽子が突いて、これを取り押さえることに成功するのであった。
逮捕された由美はすべてを明かす。
過去、由美はオニダルマオコゼの研究チームに所属しており、その毒にも詳しかった。
其処で吉田に依頼し慎一を毒殺した。
しかし1年後、佐代子が吉田を疑い出した。
由美と吉田は先手を打って佐代子を殺害することに。
客室係に変装し716号室に侵入して来た佐代子を2人で捕らえ、由美が佐代子の服を奪い客室係に変装するとカートで現場まで運び出し殺害したのだ。
この際、ゆかりに写真を撮影されたこと。
さらには佐代子の服を着替えさせたのだが、服のボタンを掛け違えたことで陽子に疑惑を抱かれたのは誤算であった。
挙句、吉田のゆかり襲撃が失敗。
むしろ、吉田の存在が危険視されるようになり、これを口封じに殺害したのである。
こうして、由美の犯行が明らかになり逮捕された。
真紀子に助けられたことで、ゆかりはこれを信頼。
ゆかりと弘夢の後押しで、村上は真紀子に結婚を申し込むのであった―――エンド。
<感想>
「具志堅陽子の殺人推理」シリーズ第2弾。
原作なし、オリジナル作品です。
では、ドラマの感想を。
推理面が強調されていた前作に比べると、些か「普通の2サス」になった印象。
とはいえ、「普通の2サス」だと佐代子のボタンの掛け違えは「他者の関与を示し他殺を証明するのみ」であるところが、本作では「別人が客室係に変装した」まで導き出す伏線になっている点が特徴と言えるでしょう。
それにしても、犯人を告発するゆかりちゃんの行動すべてが陽子発なのには驚いた。
例えば、写真撮影、繁華街へのお出かけ、キジムナー捜し、そのすべてが陽子の発言から生じたもの。
ある意味、陽子が自身で事件を解決するべくゆかりを利用したとも言えそうな……。
特に写真撮影は事件発生前の出来事だし、陽子自身は意図しないこととは言え、ちょっとメルカトル鮎っぽかった。
どことなく『悪人狩り』第1話『囁くもの』でのメルを思い出したよ。
・『メルカトル鮎 悪人狩り「第1話 囁くもの(メフィスト2011 vol.3掲載)」』(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
そして、慎一があまりに悪過ぎて。
真紀子に復縁を持ちかけつつ由美とも関係を結んでいたとは……しかも、必ず暴力がつきもので由美を脅迫までする。
由美にも医療過誤もみ消しの時点で非があるが、流石にコレは……。
佐代子さん、あなたのお子さんは1年前でなくとも遠からず殺人者か被害者かのいずれかになっていたでしょう。
仇より先に育て方の方が論じられるべきだったのかもしれないなぁ……。
さて、総評。
第2弾もなかなかでした!!
今のクオリティで是非、頑張って欲しい作品と言えるでしょう!!
第3弾も期待しています!!
◆関連過去記事
・水曜ミステリー9「沖縄リゾート・コンシェルジュ具志堅陽子の名推理 歪な密室殺人の謎!愛が甦る海と星の伝説連続殺人トリックを暴く不思議な熱帯魚!?(歪な密室 いびつな秘密トリックに秘めた叶わぬ愛と再会の奇跡!)」(7月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
具志堅陽子:浅野温子
大城晃宏:宅麻伸
宮田賢一郎:古谷一行
新垣真紀子:井上和香
村上和彦:葛山信吾
立石啓輔:柏原収史
中嶋由美:井上晴美
早乙女光太郎:上杉祥三
今宮佐代子:新井晴み
島袋麻奈:Sharo
郷田美奈子:瀬戸カトリーヌ
石嶺刑事:増澤ノゾム
郷田守:三上市朗
吉田孝之:山崎潤
片山葉月:藤森麻由
今宮慎一:翁長大輔 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
「オニダルマオコゼ」も紹介「立体図鑑リアルフィギュアボックス コーラルリーフフィッシュ(サンゴ礁に棲む魚の仲間)」です!!
立体図鑑リアルフィギュアボックス コーラルリーフフィッシュ(サンゴ礁に棲む魚の仲間)
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