ネタバレあります、注意!!
登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
豪田:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。出っ歯が特徴。心は折れても出っ歯は折れない。
オヤッサン:バッティングセンターの経営者。
タマちゃん:オヤッサンが作った自律制御AI搭載型ボールタイプロボット(たぶん)。
デービス親子:グリーンスライダー大会に参加した親子。
課長:宇宙警察でのバニーの上司。花魁姿をしている。
シヤ:バニーの妹。
豪田彩花:さゆりの母、元祖・最強少女。
森:彩花が入院していた杏森病院の担当医師。
少女:バニーやリコス同様に地球在住の宇宙人。
雑草マン:さゆりたちがこよなく愛するアニメの主人公。
グータラ大魔王:雑草マンの宿敵。
<あらすじ>
〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
豪田家の居間に思わぬ面々が集まっていた。
さゆり、ヤス、恭也である。
彼らは一様にテレビの前で釘付けになっている。
どうやら、あるテレビ番組に夢中のようだ。
そんな彼らを惹き付けて止まないテレビ番組とは―――そう「雑草マン」だ!!
軽快なオープニング音楽と共に、画面の中では雑草を擬人化した三頭身のヒーローが空を飛んでいる。
彼こそは雑草マンなのだろう。
他にも、ヒロインとしてタンポポや頼れる仲間としてツクシのキャラクターが登場しているようである。
そんな中、場面が切り替わり悪の居城のような建物が映し出された。
暗闇に包まれた城内、雷の光で時折照らし出される人物は、この城の持ち主にして雑草マンの宿敵・グータラ大魔王だ。
「打倒雑草マンの秘策を思いついたぞ、わっはっは」
稲光の中、グータラ大魔王が高笑いを浮かべるが……。
そんなグータラ大魔王の笑い声に背筋を震わせるさゆりと恭也。
大人のヤスも目が離せないようだ。
一方、3人の様子を傍から眺める人影が1つ、リコスだ。
リコスは興味が無さそうな様子でぼんやりと熱中する3人を見ていた。
と、その前を何やらそわそわとバニーが歩いて来た。
「おい、アレって面白いのか?」
ふと思い立ち、「雑草マン」についてバニーに尋ねるリコス。
「ああ、もちろん。キャラクターの人気はあるし、何でも毎回終盤に訪れるリアル路線が物凄く受けているそうだ」
リコスの問いに勢い込んだように応じるバニーだが、妙に詳しい。
まるで、バニー自身もそれに興味を抱いているような……。
「お前、ああいうの好きなの?」
バニーの様子に不審を抱いたリコスは試みに問う。
これにバニーが激しく動揺を示した。
「ば、馬鹿だなぁ。そんなことあるワケがないじゃないかぁ」
何処か上ずった声を上げるバニーだが、視線は画面を向いている。
「ふ〜〜〜ん」
気の無い返事を口にしつつ、欠伸するリコス。
その頃、画面の中ではグータラ大魔王の秘策が炸裂していた。
次々と倒れて行く雑草マンの仲間たち。
当の雑草マンと言えば……なんと、グータラ大魔王の部下に下にも置かない接待攻勢を受けていた。
いわゆる歓待だ。
「ふははははは、どうだ日頃の苦労を労ってやれぇい」
グータラ大魔王の号令一下、部下たちは雑草マンの肩を揉み、飲み物を差出す。
さらには水着姿の女性たちが雑草マンをちやほやするのだ!!
これに雑草マンの戦闘意欲……その源である逆境魂が折れた。
雑草マンは逆境の中にこそ、力を発揮するのだ。
おもてなしを受けている中では、力が発揮できないのである。
雑草マン、思わぬピンチである。
しかし、逆転のチャンスもまた思わぬところから現れた。
そう、このピンチの存在こそ、他ならぬ逆境ではないか!!
これに気付いた雑草マンは逆境魂を震い立たせ、グータラ大魔王へ必殺技を叩き込む。
こうして、今日もグータラ大魔王は星になった。
もちろん、次回には元気に戻って来るので心配はない。
そして、ラスト。
此処で急に劇画調に。
しかも、妙にシリアスなタッチでキャラに影が入ると頭身もリアルになっている。
雑草マンはこれまでとは打って変わった大人の渋みのようなモノを感じさせる声で「次回もよろしくな!!」と視聴者に告げる。
その隅では……何故かツクシのキャラだけが本物の土筆になっていた。
「リアルって、そっちの意味かい!!しかも、なんでツクシだけはあの扱い!?」
思わずリコスがツッコミを入れるが、番組はそのままエンディングへ。
視聴を終えたさゆり、ヤス、恭也はそれぞれ余韻を楽しんでいる。
やがて、ヤスが帰宅。
これに恭也も帰宅し、さゆりもリコスと共に外へ。
居間にはバニー1人が残された。
バニーはおもむろにテレビに駆け寄ると録画ボタンを解除する……。
その夜、豪田家の面々が寝静まった頃を見計らい動き出す影が1つ。
影は居間に侵入すると、灯りを点けた。
その正体は―――予想通りバニーだ。
バニーは楽しそうに鼻歌まじりにテレビに近付くと再生ボタンを押した。
同時にテレビから流れ出すのは「雑草マン」のテーマソングだ。
そう、リコスの前でこそ誤魔化したもののバニーも「雑草マン」のファンなのだ!!
バニーは毎回深夜に1人でテレビを占拠すると録画しておいたその日の放送を確認しているのである。
雑草マンのテーマを共に歌うバニー。
さらに、歌に合せて踊り出す。
その頃、さゆりがトイレに行こうと起き上がって、此の異変に気付いた。
「ああ〜〜〜うさぎしゃんが雑草マンごっこ〜〜〜」
思わぬ乱入者に凍り付くバニー。
しかし、見つかった以上は隠せない。
こっそりとさゆりと「雑草マン」を鑑賞しようとするのだが……。
其処に騒ぎを聞きつけたリコスが通りがかった。
「雑草マン」のテーマに合せて踊っていたバニーと目を合わせたリコス。
気まずげに目を逸らすと「まぁ、なんだ……趣味だしな」と言い淀み去ってしまう。
「リコスぅぅぅぅぅ、其処まで言うなら罵ってくれぇぇぇぇぇぇぇ」
遺されたバニーは恥ずかしさのあまり中空へと手を伸ばしつつ、悶絶するのであった。
一方、当のリコスは……「あいつ、アレだな。いろいろあるな」と感想を胸に秘めつつ、不思議と好意的な感情を隠せないのであった―――次回に続く。
コマ割りと展開が魅力の作品です。
本作を真に楽しむ為に「週刊少年チャンピオン」本誌にて確認せよ!!
<感想>
「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!
しかも、コミックス1巻が2014年8月上旬に発売予定とのこと。
こちらも注目!!
ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。
つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。
そんな仕切り直しの21話(通算26話)。
サブタイトルは「逆境魂 雑草マン」。
今回もバニー回かな。
20話で明かされた真の性格に続き、意外な趣味も判明することに。
掘り下げられていますね〜〜〜。
そして、リコス。
こちらはこれまで知らなかったバニーの一面を知って行くことでどんどん自身の気持ちに戸惑っている様子。
リコスさん、それは愛です。
もしや、此処から「実は私は」的なラブコメ展開が来る……のだろうか。
なんだか既に子連れの若夫婦的な安定感がありますが……。
でもって、これまで謎とされていた「雑草マン」のストーリーが明らかに。
「雑草マン」と言えば作中では5話「さゆりとおつかい」にて、さゆりとヤスが「雑草マンチョコ」を巡り対決を繰り広げ、17話「三度目のタマちゃん」では秋田緑地公園にて「雑草マンショー」が行われており、オヤッサンもファンらしい。
劇中では、それほどの人気作。
そんな「雑草マン」。
主人公はアンパンマンよろしく雑草を擬人化したヒーロー。
これに宿敵としてバイキンマンのようなグータラ大魔王が存在。
雑草マンは逆境を糧に力を発揮し、毎回、グータラ大魔王を撃退する。
そして、何故かラストでリアルを追及する……と。
これがなかなかに面白かった。
スピンオフ的なモノでたまに本編に混ぜるのもアリだなぁ。
なかなかに良かった。
次回以降の展開を予想すると。
15話の宇宙人からさゆりの存在を知った宇宙警察の課長たち。
課長たちはバニーに引き渡しを要求。
しかし、さゆりを家族と思うバニーはリコスと共にこれを拒否。
其処で、リコス、バニーはもちろん源さんやタマちゃんらと共にさゆり捕縛部隊を相手に戦うシリアス展開に突入したりして!?
とはいえ、急ぐ必要は無い筈なので、いつかある展開だと妄想してたりします。
この妄想、果たして的中するでしょうか!?
さて、此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられない。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。
彩百合の両親が謎ですね。
山中の病院で1ヶ月に1度のお見舞い……「となりのトトロ」を思い出しました。
さゆりの母は静養中(「さゆりと峠とお見舞い」参照)なのでしょうか。
そう言えば、リコスはトトロっぽいと言えなくもないか。
入院中とのことですが、何か理由があるのでしょうか。
このあたりも謎だし、連載になった以上はいずれ明かして欲しい。
もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」や「実は私は」など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。
◆関連過去記事
【短期集中連載版】
・「最強少女さゆり」第1話「さゆりと宇宙人」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第2話「さゆりとチャンバラ」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第3話「さゆりとアルバムと私」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」第4話「さゆりと峠とお見舞い」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「最強少女さゆり」最終話(第5話)「さゆりとサヨナラの日」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
【連載版】
・「最強少女さゆり」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)第1話(6話)から20話(25話)までネタバレ批評(レビュー)まとめ
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