<あらすじ>
深川東署刑事課に勤務する朝田真平(中村梅雀)は定年を2年後に控えた仕事に熱いベテラン刑事。だが、幼なじみの同級生で鑑識課の本宮源太郎(石倉三郎)や刑事課の中村圭一(高田純次)らとともに年下の上司である課長代理の佐川(冨家規政)をはじめとする若手捜査員たちには疎ましがられている。
ある日、小宮山(長谷川哲夫)という独居老人が浴室内で溺死体として発見された。真平と源太郎は、小宮山が医師から処方されていた睡眠導入剤の使用済み薬袋を茶の間と台所のゴミ箱からそれぞれ証拠品袋におさめながら、小宮山のきちょうめんな性格が表れた部屋を見て回る。検視官によると小宮山は睡眠導入剤を服用後に入浴し、そのまま寝てしまい溺死したということだった。佐川が事故死と判断した矢先、玄関先には第一発見者でもある小宮山の妹、上川ますみ(和泉ちぬ)が兄は殺されたのだと訴え騒ぎ立てていた。
署に戻った真平は佐川に再調査すべきと食ってかかる。ますみによると小宮山の口座から300万という大金が下ろされていたという。再調査を主張する真平に対し、結論は出ているという佐川。二人が言い争っていると本田刑事課長(比留間由哲)と警視庁の木本管理官(近江谷太朗)がやってくる。木本は事件性ありと判断し、捜査本部が設置されることになり、真平は満足するのだった。
捜査本部では木本により捜査範囲が区割りされる。が、区割りによる捜査の弊害を真平が説いたところ、真平は捜査本部から外れるよう木本に指示される。激高する真平を圭一がなだめるが、真平の怒りは収めまらない。あげく有給を取るように指示され、真平は完全に捜査から外される。
中学時代のマドンナ・さくら(萩尾みどり)がおかみを務める行きつけの小料理屋「河じん」で酒を飲みながら愚痴る真平だったが、源太郎と圭一を相手に小宮山宅で証拠品として押収した薬袋を見せながら、捜査本部にはない独自の推理を展開する。茶の間で押収した薬袋は小宮山の性格を表すかのようにハサミで切られていたが、台所で押収したものは手でちぎれていたことから第三者が破いたのではないか。その第三者こそが300万を盗んだ人物ではないかと真平。一理あると源太郎。および腰の圭一を巻き込んで、真平は「河じん」を俺たちの捜査本部にすると宣言。捜査本部とは別に独自に捜査を続けようとするのだが…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
深川東署刑事課に勤務する朝田真平は定年を2年後に控えた仕事に熱いベテラン刑事。
幼馴染である鑑識課・本宮源太郎や刑事課・中村圭一と共に3人で様々な事件を解決して来た。
しかし、年下の上司である佐川からは指示に従わないことから疎んじられている。
そんなある日、小宮山という独居老人が浴室内で溺死体で発見された。
どうやら、医師から処方された睡眠導入剤を服用した状態で入浴したことが原因らしい。
佐川は事故死と判断するが、朝田は睡眠導入剤の開封の仕方が異なることから第三者の存在を嗅ぎ取る。
そんな中、小宮山の貯金300万円が引き落とされていたことが判明。
これは小宮山自身が下ろしたものだったが、現場からは消えていた。
朝田は小宮山の死が事故に偽装された他殺だと判断する。
しかし、佐川はあくまで朝田の見解を認めない。
其処で朝田は、本宮や中村と共に独自の捜査を開始。
中学時代のマドンナ・さくらが経営する小料理屋「河じん」に拠点を置くことに。
小宮山の周辺を調べた朝田。
小宮山は日記をつけており、其処には「K」と呼ばれる人物が何度となく登場していた。
どうやら、小宮山は「K」と交際していたらしい。
朝田は「K」について調べるべく、小宮山が所属していた「散歩の会」と「ピラティスジム」を調べることに。
すると、「散歩の会」の会員である工藤三朗から意外な情報がもたらされた。
工藤には妻子が居るのだが、同じく夫と子供が居る結城和子にアバンチュールを求めアプローチしていたらしい。
ところが、これに小宮山が介入して来たらしいのだ。
どうも、和子は小宮山と交際していたらしい。
和子もイニシャルは「K」だ。
もしや、和子こそが小宮山殺害の犯人なのか。
和子について調べたところ、和子には小宮山以外にも別の男性が居たことが判明。
その男性の名は関島潔。
和子は夫以外に小宮山と関島とも交際していたのである。
ところが、この関島が曲者であることが判明。
関島の本名は飯田健二、詐欺で前科4犯であった。
朝田は和子に直接ぶつかり、小宮山死亡時のアリバイを確認する。
すると、和子には犯行不可能であることが判明。
さらに、和子から小宮山にはもう1人・森岡貴代という交際相手が居たことを聞かされる。
これに、朝田は「K」が和子では無いと結論付ける。
和子は自分が不倫するのは心の隙間を埋める為だったと朝田に伝える。
朝田はその相手・関島が詐欺師であることを教え、良く考えるように諭すのであった。
貴代について調べ始めた朝田。
ところが、貴代についての情報は恐ろしく少ない。
写真も極力避けていたようであり、住民票も存在しないことが分かる。
つまり、貴代は偽名だったのだ。
しかも、貴代が故意に小宮山に近付いたらしいことも明らかに。
貴代が仙台から東京へ来たらしいとの手掛かりを掴んだ朝田は仙台へ。
すると、貴代が3年前に水沼聡子を名乗ってキャバレーで働いていたことが分かる。
もちろん、これも偽名であった。
しかも、貴代の周囲では川辺雄二なる高齢者が小宮山と同じ状況で殺害され貯金を奪われていた。
さらに、貴代が八戸から流れて来たことも判明。
こうして、朝田は八戸へ。
此処での貴代は雪絵を名乗っていた。
しかも、此処でも上村なる高齢者が小宮山と同じ状況で殺害され貯金を奪われていたのである。
朝田は小宮山、川辺、上村の死が貴代による連続殺人ではないかと疑う。
矢先、雪絵が源氏名で本名が高梨喜久子と明らかになる。
小宮山の日記にあったイニシャル「K」は喜久子の「K」だったのだ。
どうやら、喜久子はターゲットには本名を明かすようだ。
此処に朝田は、喜久子が金持ちで独身の高齢男性を狙い連続殺人を繰り返していると結論付ける。
当の喜久子は東京から消えている。
今も新たな獲物を狙っているに違いない。
朝田は喜久子について調べ上げた内容を本田刑事課長と木本管理官に報告。
次の3条件から喜久子と彼女に狙われている人物を探し出し保護するよう提案し認められる。
1.睡眠導入剤を医師から処方されている人物。
2.高齢独身で金持ちの男性。
3.喜久子は彼らが集まるサークルに居る。
こうして、一大捜査網が展開された。
其処にこれらの条件に合致し、横浜で散歩とピラティスを趣味とする高齢独身男性・島川司朗が浮上する。
どうやら、喜久子の新たなターゲットは彼のようである。
並行して、八戸の遠山なる人物が喜久子に影響を与えていたことを突き止める。
翌日、本宮が金持ちの高齢男性を装い喜久子に接近。
食事に誘い出すことに成功する。
しかし、その場で喜久子を待っていたのは……朝田であった。
朝田は彼がこの数日で調べ上げた喜久子のすべてを彼女に突き付ける。
8年前、何処からともなく大金を抱えて八戸へと流れて来た喜久子。
喜久子は彼の地でホステスを始めた。
其処で出会った男性と恋に落ちたのだが……その男に大金を持ち逃げされてしまった。
傷心の彼女に遠山が近付く。
喜久子は遠山と恋に落ちた。
しかし、遠山は妻子持ちであった。
自分と再婚してくれると信じていた喜久子であったが、遠山は逆に喜久子を捨てることに。
捨てられた喜久子は男性不信となり、金に走った。
以降、八戸で上村、仙台で川辺、東京で小宮山を殺害し金を奪った。
今また、横浜で島川を手にかけようとしていたのである。
朝田に自身の犯行を見抜かれたと知った喜久子はすべてを語り出す。
喜久子は幼少時に父親から虐待を受け続け、自由に憧れていたそうだ。
大人になればこの生活から抜け出せる……そう思っていた喜久子だったが、父の命令で嫁ぎ先を決められてしまった。
そして結婚したのだが……婚家での生活もそれは不自由なものだったそうだ。
常に自由を追い求めた喜久子。
そんなある日、母が心労から死亡し、父も後を追うように死亡してしまった。
もはや、嫁ぎ先に拘束される謂れはない。
そう考えた喜久子は母が彼女の為に貯めた大金を持ち出し婚家を逃げ出した。
そして八戸に流れ着いた。
喜久子は其処で1人の男を愛したが、男は詐欺師であった。
男は喜久子の持つ大金が目当てだったのだ。
男は大金を持ち去り姿を消した。
男が語っていた経歴も名も全てが嘘だったことが分かったとき、喜久子は泣いた。
しかし、この時の喜久子はまだ異性を信じていた。
その後、遠山と出会いこれに尽くした。
だが、遠山にまで捨てられてしまった。
2度に渡り男に騙された喜久子は騙される側から騙す側に回ることに誓った。
そして、上村、川辺、小宮山を殺害し金を奪ったのだ。
すべて父の所為だと主張する喜久子。
そんな喜久子に朝田は「あんたは可哀想な人だ」と告げる。
喜久子よりももっと辛い人は他にもたくさん居る。
にも関わらずそれに想いを馳せられない喜久子は、朝田にとって可哀想な人なのだ。
これを聞いた喜久子は上村、川辺、小宮山を殺害する自由が自身には無かったことに気付き、泣き崩れるのであった。
数日後、朝田たちは和子からの依頼を受け、飯田と別れるよう協力することに―――エンド。
<感想>
新シリーズ「深川東署特命人情捜査班 朝田真平」第1弾。
原作は無し、オリジナルドラマです。
では、ドラマの感想を。
中盤、喜久子の連続殺人が明らかになるあたりは凄かったんだけどなぁ。
その後がちょっと……。
喜久子の生い立ちが原因なのは良いのだけど、あれを本人の口から語らせちゃうのはどうにも。
あの時点では喜久子はあくまで稀代の悪女として連行されて、その後に資料で判明ぐらいの方が良かったかな。
内容に比して、あのシーンだけウェットに過ぎる。
それと、なんだか作中の人間関係が「ビバリーヒルズ青春白書」ぐらいに爛れているなぁ……。
小宮山は和子と喜久子に2股交際。
和子は夫、小宮山、関島と3股交際。
喜久子はいわずもがなだし。
少しだけ出て来た工藤も妻子がありながら和子を狙ってたし……。
遠山も妻子がありながら喜久子と不倫するし。
特に「散歩の会」が誤解されそうで怖い。
あれだと男女間の出会いだけを求める「ナンパサークル」みたいだ。
純粋に交流の場として「散歩の会」に参加している人も居るだろうに。
ちなみに喜久子よ。
遠山に妻子が居ることを知らなかったのなら兎も角、居ることを知りながら不倫して裏切られたはないのではないか。
裏切られたのは遠山の妻子の方だろうに。
むしろ、そんなに遠山の妻子を追い詰めたいのだろうか。
まぁ、それもこれも不倫した遠山が悪いんだけどさ。
朝田たちの正義感に比して、作中人物たちの倫理観がなかなかにフリーダム過ぎたかな。
決して内容的にどうこうではないのだけど、些か座り心地の悪いドラマだったような気がします。
とはいえ、朝田たちトリオは捨て難く、シリーズ化は充分にアリだと思う。
寧ろ、次回以降に本領を発揮しそうなドラマかも。
<キャスト>
朝田真平:中村梅雀
本宮源太郎:石倉三郎
中村圭一:高田純次
坂崎海斗:山口翔悟
佐川光太郎:冨家規政
本田正悟:比留間由哲
木本健介:近江谷太朗
沢村たつ子:大島蓉子
増岡ミツ子:松乃薫
春川さくら:萩尾みどり
関島潔:新田純一
小宮山公一:長谷川哲夫
工藤三朗:鶴田忍
上川ますみ:和泉ちぬ
島川紫郎:福島勝美
神村秋夫:秋山真太郎
結城和子:山口果林
森岡貴代:音無美紀子 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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