<あらすじ>
ある事件の遺留品を遺族に届けるため、千葉県木更津市へやって来た月島中央署の刑事・糸村聡(上川隆也)は、タイヤの軋む音と銃撃音を耳にする。異常事態を察し、現場に駆けつけた糸村は、あと一歩のところで間に合わず、何者かが大学教授の森末敬一郎(原田大二郎)を拉致し、車で逃走するのを目撃する。放置された森末の車に駆け寄り、助手席の女子大生を保護する糸村。そのとき、ある落としものが彼の目に留まる。それは東京〜長崎間の寝台特急の指定席券。乗車指定日は22年前だが、なぜか未使用のままだった…。
その直後、事件は急展開を見せる。『千葉中央テレビ』の報道記者・倫子(黒川智花)のもとへ、犯人から「森末を誘拐した」と告げる電話があり、千葉県警には気温50度のコンテナの中に監禁されている森末を映した動画が届いたのだ。さらに、犯人は身代金9125万円を要求。アタッシュケースに詰め、『大洋物産』取締役の岡部保(佐戸井けん太)に千葉地方裁判所の玄関前まで運ばせるよう指示する。しかも、身代金受け渡しの様子をテレビ局に生中継させろというのだ!
人質を救出すべく、指定された場所へ身代金と共に赴く岡部。だが、犯人は身代金を受け取る前に、岡部の携帯に直接連絡。その直後、なぜか岡部は不審な行動を取り、受け渡しは失敗に終わってしまう…。
一方、目撃者として捜査協力をすることになった糸村は、遺留品の切符がどうしても気になり、切符が発券された近くの駅へ。同じ切符を持った男が約2カ月前に現れ、発券当時の駅長の住所を尋ねてきたことを知る。しかも、その男は月島中央署の管轄内である築地の和食店で働いているらしい。図らずも、水沢響子(斉藤由貴)ら月島中央署の面々が捜査に協力する事となり、男の身元を洗おうとするのだが…!?
そんな中、またしても犯人から捜査本部に電話が! こともあろうに、今度は千葉県警刑事部長・島田敦司(益岡徹)を身代金運搬役に指名してきたのだ。犯人の目的は何なのか。そして、未使用の切符が発券された22年前に一体何があったのか…。月島を飛び出し、遺留品を糸口に西へ東へと捜査に奔走する糸村は、やがて“やりきれない真相”にたどり着く――。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
月島中央署に勤務する糸村聡は遺留品に基づく捜査のプロである。
いや、遺留品に関する捜査のプロと言うべきか。
これまでにも、遺留品に遺された人々の想いを幾度となく解き明かすことで、結果として事件解決に繋げて来たのである。
そんな彼独特の捜査方法を、月島中央署の仲間たちは半ば呆れつつも評価し暖かく見守っている。
そんな糸村の姿が遠く月島中央署を離れ、千葉県木更津市にあった。
事件の遺留品を遺族である乃木に届ける為である。
ところが、糸村はその最中に誘拐事件の現場に遭遇する。
誘拐されたのは元裁判官にして、現在は大学教授を務める森末敬一郎。
その現場には片道の「東京〜長崎間の寝台特急の指定席券」が置かれていた。
この片道切符、乗車指定日は22年前だが未使用であった。
何か犯人のメッセージなのだろうか……。
その直後、事件は急展開することに。
なんと「千葉中央テレビ」の報道記者・島田倫子のもとへ、犯人から「森末を誘拐した」との犯行声明が届いたのだ。
犯人は気温50度のコンテナの中に監禁されている森末を映した動画を公開し、身代金9125万円を要求。
運搬役として元検事で今は「大洋物産」取締役となっていた岡部保を指名し、千葉地方裁判所の玄関前まで運ぶよう指示する。
しかも、身代金受け渡しの様子をテレビ局に生中継させろとの条件付きだ。
こうして、事件が表面化するに至り捜査本部が設置された。
管理官である神崎亮の指揮の元、身代金受け渡しが行われることに。
指定された場所へと素直に足を運ぶ岡部。
ところが、其処に置かれていた封筒を目にした途端、岡部の顔色が変わった。
遂には、懐から取り出したライターで封筒を燃やそうとしてしまう。
一方、糸村はと言えば現場で入手した遺留品の片道切符が気になって仕方がない。
これについて調べたところ、2ヶ月前にも同様に調べていた若い男の存在に行き当たる。
どうやら、その男は月島中央署の管轄内である築地の和食店で働いているらしい。
こうして、水沢響子ら月島中央署の面々も糸村に巻き込まれる形で捜査を開始することに。
そんな中、またしても犯人から要求が届く。
今度は千葉県警刑事部長・島田敦司を身代金運搬役に指名して来たのだ。
もちろん、テレビ局による生中継も条件になっている。
ところが……島田が犯人の指示に従ったところ、身代金は目の前で爆発炎上してしまう。
宙に舞う、火の点いた紙幣。
犯人の目的は身代金では無かったのだ……。
糸村と水沢の捜査により、片道切符について調べていた男が村上優太であると判明する。
さらに、優太と森末、岡部、島田の意外な接点が明らかに。
すべては22年前の「三井明ちゃん誘拐殺人事件」にあった。
この事件、彫刻家・三井と旅館を経営する妻・早苗の間に生まれた1人息子・明が誘拐された上に殺害されていた。
犯人として逮捕されたのが、早苗の経営する旅館で板前として働いていた小野田一樹だったのだ。
小野田は一審で有罪判決を受け、控訴せずに服役した。
20年間獄中で過ごし、2年前に病死していたのである。
そして、森末はこの事件で有罪判決を出した裁判官、岡部は公判検事、島田は捜査を担当した刑事であった。
では村上優太は!?
そう、村上優太は小野田一樹の忘れ形見であった。
糸村は犯人の要求した身代金が小野田が冤罪だった場合に支払われる20年分の補償金に相当すると看破。
村上の目的が小野田の無実を証明し、父を罪に陥れたすべてに復讐することにあると判断する。
岡部が燃やそうとした封筒の中身は、明ちゃんが被害時に着用していた服の端切れであった。
島田によれば小野田に一審判決が下った後に、発見された物証だったらしい。
其処からは小野田以外のDNAが検出されていた……つまり、冤罪の可能性が高かったのだ。
だが何故、22年も経過した今なのか。
これには明ちゃんが着用していた服にヒントが隠されていた。
当時、小野田に有利に働く証拠であるとして秘密裏に処分された物だったのだが、当時の鑑識課員であった水田がこれを保管していたのだ。
彼は証拠品を何よりも大切にしていた。
水田は2ヶ月ほど前に病死しており、どうやら死を間際にして村上に証拠品を送り真実を伝え謝罪していたようである。
村上は水田に教えられるまで真相を知らなかったのだ。
矢先、森末の居場所が判明しこれが保護されることに。
残るは村上の逮捕のみかと思いきや……。
倫子が村上に捕まってしまう。
村上は島田を脅迫し、三井明殺害事件の犯人を突き止めるよう要求する。
倫子は島田の娘だったのである。
苦しむ島田に糸村は捜査を請け負う。
まず糸村は村上の自宅に残されていた明ちゃんの衣服を入手。
さらに休暇で温泉に来ていた村木を拘束するや、鑑定を(ほぼ強要同然に)依頼する。
泣く泣く休みを返上し、鑑定する村木。
だが、その甲斐あって衣服から御影石の成分を検出することに成功する。
これは火成岩にあたるもので、主に墓石や彫刻の用途に用いられるらしい。
明の父である三井は彫刻家であった。
まさか、三井が息子を手にかけたのか!?
現在の三井を訪ねたのは月島中央署の森田である。
しかし、三井は既に没していた。
明の死を悲しんでのことだったと言う。
さらに、三井は大理石を用いるタイプの彫刻家だったそうだ。
振り出しに戻るかに思われた捜査だが、三井の友人で今は美術画廊を経営する井上正孝が浮上することに。
井上も三井と同じく彫刻家。
しかも、こちらは御影石を用いていたのだ。
一方、糸村は当時の小野田を担当した国選弁護人の立花から事情を聴く。
すると、片道切符の意外な事実が明らかに。
同じ頃、島田は遂に村上と倫子の行方を突き止めていた。
誰にも告げず出向く島田だが、神崎がこれに気付き狙撃班を用意する。
こうして、周囲を狙撃班に包囲された村上。
今まさに狙撃されそうになるのだが……。
リンリンリン!!
甲高いベルが緊張を破る。
「3分だけ時間を下さい!!」
自転車のベルを鳴らして駆け付けたのは糸村だ。
唖然とする一同を他所に糸村は小野田の遺志を村上に伝える。
糸村は小野田が控訴しなかった理由を告げる。
当時、小野田は友人の借金を被ったことで取り立てに追われていた。
借金取りは優太の命すら取り立ての対象にしようとしていた。
其処で小野田は優太を守る為に控訴を取り下げたのである。
さらに、優太が村上姓になると知ったことも此の決意を加速させた。
そして、片道切符の意味は「小野田が優太と無理心中しようとしていた」ことであった。
小野田は借金に苦しみ、優太を道連れに自殺しようとしていたのだ。
行きはあれど帰りはない―――それは死出の道行であった。
だが、明ちゃん殺害事件が発生し逮捕された小野田は優太を道連れにしようとした自身を恥じた。
その中で、優太にとって最も最善な方法を探ったのだ。
それが、小野田が控訴を取り下げることであった。
そうすることで、優太は小野田から解放される筈だったのだ。
小野田はそれこそが最善だと信じた。
小野田は決して悲嘆の中で死亡したワケではない。
小野田の胸の中には優太を守り切ったことへの誇りが存在していたのだ。
幼き時分、小野田と過ごした日々を思い起こす村上。
想い出の父はいつも笑顔であった。
村上は糸村から手渡された片道切符を握り締め涙する。
その心からは復讐の文字は消えていた……。
こうして村上は倫子を解放し、逮捕される道を選ぶ。
そして、三井明殺害の真犯人は……やはり井上正孝であった。
井上は早苗と結婚した三井に嫉妬したのだと言う。
数日後、越境捜査に対する糸村の処分が下されることとなった。
刑事部長自らが下すと主張する処分の内容は……定かではない。
その頃、当の糸村は今度こそ遺留品を渡すべく乃木のもとを訪れていた。
おそらく、どのような処分が下されようとも糸村自身がそれを気にすることは無いのだろう。
何故なら、何処に身を置こうとも糸村は糸村であることに変わりは無いのだから―――了。
<感想>
5度、我々の前に姿を現した「遺留捜査」。
2度目のスペシャルです。
小野田の息子への想いが小田和正さんの曲に乗って流れたときは……やっぱりウルッと来た。
この辺りは本番組「遺留捜査」のお家芸とでも言うべき点で、素直に感情に流されてしまいました。
ちなみに、ラストにて糸村に処分を下そうとする刑事部長は島田ではない。
島田は千葉県の刑事部長なので。
だとすると、糸村に下される処分は結構重いモノになるのかもしれないなぁ。
もしかして、また異動なのだろうか……。
そして、異動先でシーズン4開始だったりして。
出来れば月島中央署の面々と糸村との交流をもっと視たい……。
けれど、異動により話が膨らむのならば、それもまたアリなのか。
シーズン4、期待したいところです!!
それにしても、謎が1つ。
実は「遺留捜査スペシャル(2014年)」の放送が決定した直後、公式HP上での森末役は斉木しげるさんと表記されていたのです。
しかし、実際に演じたのは原田大二郎さんだし、8月9日現在の公式HP上も原田さんとの表記になっています。
う〜〜〜む、まさにミステリー。
◆関連過去記事
・「遺留捜査(2013年)」(テレビ朝日、2013年)まとめ
・「遺留捜査スペシャル(2013年) 緊急事態発生!!あの風変わりな刑事が病院立てこもりの人質に!?少女の心臓手術のタイムリミットは24時間…遺留品の“鳥のブローチ”が明かす意外な真犯人とは!?」(11月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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