2014年08月01日

「思春鬼のふたり」第23話「主役がふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「思春鬼のふたり」第23話「主役がふたり」(反転邪郎作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(必殺仕事人)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から)
神条くん:都立確立高等学校の演劇部員。
砂織零子:黎盟高等学校演劇部の部長。
灰猫硝:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の息子・レアティーズ役。
赤川真人:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王弟・クローディアス役。
折葉メイ:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王妃・ガートルード役。
廻部連:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の娘・オフィーリア役。
安土礼雄:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣・ポローニアス役。

<ネタバレあらすじ>

【前回までのあらすじ】

お掃除依頼の相手を絞り込む為の前調査―――お使い依頼を引き受けた辻。
調べるべき対象は部員の自殺者や行方不明者が絶えないという「黎盟高等学校演劇部」である。

ところが、ひょんなことから黎盟高等学校演劇部の部長・砂織零子に見込まれた辻は「ハムレット」で主演を演じることとなった。
そんな中、黎盟高等学校演劇部の部員・安土礼雄が毒で入院。
さらに、廻部連、折葉メイ、灰猫硝までもが「ハムレット」のシナリオ通り殺害されて行くことに。

ちなみに、黎盟高等学校版「ハムレット」の内容は次の通りである。

ハムレットの父は王であった。
ところが、その王が急死してしまう。
残された王妃・ガートルードは、王の弟・クローディアスと再婚し王位を継いだ。

そんなある日、ハムレットの前に父王の霊が現れ真相を告げる。
なんと、弟であるクローディアスに毒殺されたと言うのだ。

おのれ、許せぬ!!と復讐心に駆られたハムレットはクローディアスを父と同じ方法で殺害しようと目論む。
毒杯による毒殺だ。

ところが、肝心のところでこの毒杯が大臣・ポローニアスの手に渡り、ポローニアスが死亡してしまった。
ポローニアスの娘・オフィーリアはショックから自殺。
これにポローニアスの息子で、オフィーリアの兄であるレアティーズが激怒した。

仇がハムレットだと知ったレアティーズは命を狙う。
クローディアスはレアティーズと謀ってハムレットを抹殺する罠を張る。
剣術試合と称し、ハムレットとレアティーズの決闘の場を設けたのだ。
しかし、互いの剣には毒が塗られていた。
掠れば死は免れない。
しかも、勝者に与えられる杯にも毒が混入されていたのである。

ハムレットが勝てば杯の毒で、負ければレアティーズの手にかかり。
いずれにしても死亡するのである。

そして、剣術試合当日。
ところが思わぬ展開になる。

誤ってガートルードが杯の毒を口にし死亡してしまうのだ。

これに驚いたハムレットは隙を突かれ、レアティーズの剣により毒を受ける。
しかし、死を覚悟したハムレットはクローディアスとレアティーズを刺殺。
最後には毒により死を迎える―――との結末である。

【今回あらすじ】

白雪が安土による灰猫殺害現場を目撃する数分前のこと。
辻がその場を去り、代わりに灰猫の練習相手を引き受けた安土はハムレットの衣装に身を包む。
そして、灰猫と安土は対峙することに。

すると、これまでに一度も見せたことのない表情で安土が灰猫を挑発する。
これに激怒した灰猫は本気で安土へ向けて剣を突き入れる。
しかし……。

安土はこれを易々と避けると、カウンターとばかりに灰猫の胸に自身の剣を突き込んだ。
灰猫はこの一撃で絶命してしまう。

なんとまぁ……と呆れ果てた安土は灰猫の身体を剣先で弄びつつ、自身の台本に「あっさりと勝つ」などと行動を書き込んで行く。

そして、「目撃されたことで反射的に振り向く」と書き込んだ安土。
彼が台本通りに振り向くと、其処には凶行を目撃した白雪が立っていたのである。

目を剥く白雪に、ヤレヤレと肩を竦める安土。
彼は台本に「彼女が悲鳴を上げる」と書き込むが……。
その間に白雪は脱兎の如く逃げ去ってしまう。

あ・れ・れ?
予想外の白雪の行動に呆気にとられた安土だが、放置は出来ないと判断し白雪の後を追う。
一方、白雪は真犯人の正体を辻に伝えようと必死であった。

その頃、当の辻は灰猫が殺害されたことを知らず、標的は赤川だと考え彼を探していた。
すると、校舎裏にて倒れていた赤川とこれを介抱する零子に出会う。
赤川によれば、何者かに一撃を受け気絶した隙にチャームポイントの毒蛇を奪われてしまったらしい。

其処へ白雪が駆け付け、真犯人の正体を教えることに。
さらに、これを追って来た安土がやって来る。

こうして、校舎裏に会した面々。
安土は「自身が台本に書かれた通りにしか生きられない人間だ」と動機を語り出す。
それによれば、安土は常日頃から「安土礼雄」を演じて生きて来た。
そんなある日、零子に「あんたの芝居は下手ね」と酷評されてしまう。
演技を見抜かれたことに加え、酷評されたことにショックを受けた安土は、それなら誰よりも芝居が上手くなってやると一念発起し演劇部に入部することに。

そんな中、死の演技のシーンである部員が実際に刃物を用いリアルの血を流した。
すると、零子はそれを絶賛したのだ。

これを見ていた安土は「なんだ、それは?」と思った。
「それが俺を酷評したあんたのリアルなのか!?」と。

其処でそれを超えるべく、よりリアルに死に向き合った演技を行うことにしたのだそうだ。
その為に、演劇部内で事故や自殺が多発したのだ。

そして「ハムレット」当日、安土は自ら服毒したがどうにも客席からの反応は薄い。
やはり、本物に勝るものは無いと結論付けた安土は廻部連の芝居を本物にすべく水を塩酸に摩り替え殺害した。
さらに、芝居のなんたるかを理解しようとしなかった折葉メイに死を以て演技指導を行った。
そして、先程は強者ぶってはいるが実は弱者であった灰猫硝にそれを教えたのだそうだ。

これを聞かされた零子は「流石にやり過ぎよ!!」と叫ぶ。
隣に居た赤川は「よくもそんな理由で!!」と激昂し、安土に殴りかかる。
しかし、これを軽くいなした安土は隠し持っていた剣で赤川を刺殺する。
さらに、赤川から奪っていた毒蛇により零子を昏倒させることに成功する。

残されたのは辻と白雪だ。
此処で安土が標的と定めたのは白雪である。
「もう1度、オフィーリアを殺す」と口にするが……。

そんな安土の前に、辻が立ち塞がった。
辻は担当さんに確認し、安土を掃除対象として認めて貰う。
辻は安土を「掃除する」と宣言。

こうして、前ハムレットと現ハムレット。
2人の主役が対決することに―――24話に続く。

演劇部編も第6回!!
遂に真犯人が判明!!
気になる展開は「週刊少年チャンピオン」本誌で確認せよ!!

<感想>

「コミックフラッパー」にて「モコと歪んだ殺人鬼ども」を連載中の反転邪郎先生の新作が「週刊少年チャンピオン」で連載中です。

その新作「思春鬼のふたり」はなかなかにぶっ飛んだ設定が印象的な作品。
思春期真っ盛りの主人公・辻は悪を滅する掃除人こと必殺仕事人。
そんな辻の正体を知りつつ、彼を愛するストーカー少女・白雪。
果たして、2人はどうなるのか……的なストーリー。

そんな「思春鬼のふたり」コミックス1巻に続き2巻が2014年8月8日に発売予定。
しかも「モコと歪んだ殺人鬼ども」4巻も発売。
まさに破竹の勢いの本作。

さて、その23話ですが……。
なんともミステリ的な展開を迎えた「演劇部編」、その第6回。

灰猫に続き、赤川と零子までもが被害者に。
赤川は確実に絶命、零子は安土の台詞によると「語り部は芝居が終わるまで黙ってろ」との意味らしいから生存の可能性ありか。
それにしても、前回まであれほどエキセントリックだった零子が今回でまさかの常識人になったのには驚いた。
これは生存していれば、事件後に反省をみせることになりそうか。

そして、辻と安土の一騎打ちに。
辻は木田に撃たれた腕の負傷が完治していないのでピンチに陥るでしょうが、主人公でもあるし、ハムレットの筋書き通りならばハムレットが命を落とすので、その衣装を着た安土が死亡するのは確定。

おそらく、次のような展開を予想する。
怪我の為に思うように動けず危機に陥った辻に、白雪が飛び出し庇って刺される。
この隙を突き辻が安土を撃破。
刺された白雪はと言えば……22話の改造台本の分厚さにより剣が身体に刺さらず助かっていた的な感じ。
それと、安土は絶命寸前に「これが、これが……俺の求めたリアルだ!!」と台本に書き込みながら叫びそうな感じ。

ちなみに、折葉メイと赤川真人が死亡したことで依頼人が共に死亡してしまうとの不手際なんだけどこれは依頼として大丈夫なのだろうか。
それと、辻と白雪(これに零子?)が生き残るとしても黎盟高等学校演劇部にとってはメインキャストがほぼ『そして誰もいなくなった』な展開に。
これが「ハムレット」ではなく『そして誰もいなくなった』だったならば、もっと恐ろしいことになっていたのだろうかと思うと、その他大勢の演劇部員にとっては作品が「ハムレット」だったことが命拾いしたことになるのか。
と言うか、そもそも零子の勧誘が全ての発端な気がするのだが……。

そして、白雪大活躍。
要所要所で輝くキャラだ。
前回ラストでピンチに陥るかと思ってたのに、今回あっさりと回避してるし。
辻にも小鹿にも気付かれない追跡能力も凄いしなぁ。
実は彼女こそが、辻君にとって最大の味方にして最強の敵なんではなかろうかと思ったり。
とすると、そんな白雪の存在にあっさり気付いた安土はもっと凄いのだろうか……。

おおおおおおっ、いろいろと気になる!!
果たして、次回は如何なる展開を迎えるのか……注目です!!

本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「名探偵マーニー」、「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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登場人物一覧:

・レギュラーキャラ
辻:WCO(世界お掃除機構)に所属する掃除人(連続殺人鬼)。私立揺籃高等学校の生徒。
白雪:辻に恋焦れる少女。私立揺籃高等学校の生徒。
担当さん:辻を担当するWCOの職員。
小鹿陸:眼帯を着けた謎の少女。演劇部所属。実はWCOのお仕置き人であった。都立確立高等学校の生徒。

・もう1人の掃除人篇(1話から5話まで)
深海末姫:辻と白雪の前に現れた少女。「もう1人の掃除人」を名乗る。
諏訪:深海のクラスメート。実はWCOの掃除人。6話で小鹿に処刑される。

・辻の過去篇(6話)
辻の両親:何者かにより惨殺される。

・解体魔篇(7話から10話まで)
黒金:辻たちが通う学校の教師。女性。
若丸:黒金が招いた病院の医師。男性。

・星野銀華篇(11話から17話まで)
星野銀華:元WCOのお掃除人。だが、WCOを離脱する。
園長:辻と白雪が遊びに出かけた動物園の園長。
高倉さとみ:星野銀華に大きな影響を与えた人物。
木田雷:夜刃音珠(ヨハネス)のリーダー。
大雁江美:雷に狙われた一家の一人娘。

・黎盟高等学校演劇部篇(18話から)
神条くん:都立確立高等学校の演劇部員。
砂織零子:黎盟高等学校演劇部の部長。
灰猫硝:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の息子・レアティーズ役。
赤川真人:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王弟・クローディアス役。
折葉メイ:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。王妃・ガートルード役。
廻部連:黎盟高等学校演劇部の部員の1人。大臣の娘・オフィーリア役。
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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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