2014年08月10日

「最強少女さゆり」第24話(29話)「初めてのアルバイト」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「最強少女さゆり」第24話(29話)「初めてのアルバイト」(福田やすひろ作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

登場人物一覧:
さゆり(彩百合):謎の少女。4歳ながらとてつもない怪力を誇る。
豪田:さゆりの祖父。普通の人。
バニー・ラビット:宇宙警察の刑事。
リコス:バニーが追う逃亡犯。
源さん:さゆりの体当たりを受け止めることが出来る地球人。愛の力は偉大だ。
駐在さん:最近赴任してきたばかりの若い警官。集中連載1話でさゆりの三輪車に撥ねられトラウマに。
ヨシさん:隣町の住人。さゆりを侮ったが為に……。
恭也:さゆりが出会った年上の少年。さゆりに自身を「師匠」と呼ばせる命知らず。
メタボ:ヤスの兄貴分。
ヤス:メタボの弟分。出っ歯が特徴。心は折れても出っ歯は折れない。
オヤッサン:バッティングセンターの元経営者。
タマちゃん:オヤッサンが作った自律制御AI搭載型ボールタイプロボット(たぶん)。
デービス親子:グリーンスライダー大会に参加した親子。
課長:宇宙警察でのバニーの上司。花魁姿をしている。
シヤ:バニーの妹。
豪田彩花:さゆりの母、元祖・最強少女。
森:彩花が入院していた杏森病院の担当医師。
インリン・マールィ:レガード(遺産調査団)所属の宇宙人。
雑草マン:さゆりたちがこよなく愛するアニメの主人公。
グータラ大魔王:雑草マンの宿敵。
柏木さん:駐在さんにやっと出来た後輩の婦警さん。たぶん、拳銃ラブな人。

<あらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宇宙刑事であるバニー・ラビットは凶悪犯リコスを追って地球に飛来。
あと一息というところまで追いつめるが、現地の少女・さゆりにリコスともどものされてしまう。
こうして、さゆりの家に保護(囚われた)されることに。
仲間に救助を依頼するが助けは未だにやって来ない。
さゆりを通じ、何時の間にやら凶悪犯のリコスが善良になりつつあるなど、想定外な要素を抱え過ぎた彼女の明日はどっちだ(嘘)!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その日、さゆり、リコス、バニー、豪田の姿がデパート控室にあった。
彼らは思い思いにその時を待っている。

呆然と天井を眺めるリコス。
さゆりの相手をするバニー。
パイプ椅子に腰をかけ、茶を啜る豪田。

其処に源さんが飛び込んで来た。
源さんは出番がすぐに控えていることを説明すると、紙袋に入った着ぐるみ衣装を置いて出かけてしまう。

さて、豪田家の面々が何故、此処に居るのか……その事情がバニーの口から明かされようとしていた。
それはバニーとリコスが初めてのバイトをする為であった。

そもそもの発端は数日前に遡る。
源さんが着ぐるみでデパートの風船配りのバイトをしないかとバニーたちに持ちかけたのだ。
当初、これを頑強に断っていたリコス。
しかし、バニーから「豪田家の世話になっていながら生活費を入れていない」ことを指摘されるや、これを了承せずにはいられなかった。

こうして、リコスとバニーは初めてのアルバイトに挑むことになったのだ。
もちろん目指すはバイト代、それは生活費となるのである。

さて、まずは着ぐるみ衣装に袖を通さなければならない。
早速、バニーは自分用の衣装に身体を通そうとして……。

「そいやぁ!!」
掛け声と共に衣装を引き裂いてしまう。
そう、バニーたちの一族では肌を露出させることこそが普段の状態。
肌を隠すような着ぐるみは本来着慣れないモノだったのだ。

つい、本能のままに衣装を破ってしまったことをリコスに批判されるバニー。
しょげ返るバニーを置いておき、リコスがこれを繕うことに。
ところが、これを見ていたさゆりは「お手伝い〜〜〜」と衣装を掴んでしまう。

「あっ、おま……」
「お前」と言い切る暇もあればこそ、先程のバニーさながらにさゆりは衣装を勢いよく引き裂いてしまう。
力加減を誤ったのだ。

バニーの隣で膝を抱えることとなったさゆり。
そんなさゆりを見かねて豪田が立ち上がった。

……のだが、豪田は何を思ったのか衣装を綺麗に布地にまで分解してしまう。
これまたリコスに批難され、さゆりたちの隣で膝を抱えることに。

残るはリコス1人だが……布地レベルでは如何に彼とてどうしようもない。
困った……と頭を抱えたリコスは衣装用の紙袋を覗き込む。
其処にあったのは兎と狼の着ぐるみの頭部であった。
バニーが引き裂いたのは狼の着ぐるみだったのだ。

はて、兎と狼……何処かで聞いたような!?
此処でリコスにイチかバチかの名案が閃く。

数分後、デパート屋上でイベントが開始。
リコスとバニーは無事にバイトを行っていた。

これを見ていた担当者が源さんに呟く。
「あれ、なかなかイイねぇ。まさかバニーガールとリアルな狼とはね」

そう、リコスはリコス自身、バニーはバニー自身としてバイトに参加していたのである。
これが物凄く好評を呼び、イベントは大成功に終わることに。

しかし、それはそれ。
後日、衣装を損壊したことを知られたリコスたちのアルバイト代はその弁償に消えたと言う―――次回に続く。

コマ割りと展開が魅力の作品です。
本作を真に楽しむ為に「週刊少年チャンピオン」本誌にて確認せよ!!

<感想>

「週刊少年チャンピオン」にて短期集中連載された福田やすひろ先生の作品「最強少女さゆり」。
そんな本作が正式な連載として帰って来ました!!
ファン大歓喜だぜ、ヒャッホウ(^O^)/!!

ちなみに連載になったことで本作のアプローチも多少変わった様子。
短期集中連載時は「さゆりを中心とし、人並み外れた怪力がありながら周囲の人々に保護される4歳児を描くハートフルコメディ」でしたが「人並み外れた怪力を有する少女と、これを温かく見守る周囲の人々を描いたハートフルコメディ」へと変わった印象あり。

つまり、何処が変わったかと言うと、短期集中連載時は「さゆりが中心だった」のに対し連載では「さゆりとその他の人々」にまで焦点の対象が広がったかな。
これは新キャラである恭也の登場にも顕著。
それに伴い源さんの「さゆりラブ」キャラに拍車がかかってます。
これにより、さゆり抜きでサブキャラたちのみ描かれる回も有り得ますね。
正直、個人的には短期連載時の「さゆり中心」のノリが好きだけど、連載が長期化することを見据えれば物語の幅を広げる意味で正しい判断だと思われます。
ただ、出来るなら主人公・さゆりの正体はもちろんのこと、リコスとバニーの掘り下げをもっとして欲しいかも。

そんな仕切り直しの24話(通算29話)。
サブタイトルは「初めてのアルバイト」。

バニーの特性を活かしつつ、豪田のリベンジ(失敗でしたが……)も描かれるなど、過去の伏線を活かしたなかなかの回でしたね。
リコスがどんどんと常識人&苦労人化していくのが……ツボでした。

そんな本作ですが、コミックス1巻が発売中。
表紙は『ジャポニカ学習帳』をイメージした装飾の中にさゆり、バニー、リコスとメインが並ぶ可愛らしい物に。
ちなみに、2014年8月5日に『ジャポニカ学習帳』のデザインが立体商標化されたことで、ツイッター上のファンから本作の表紙について不安の声が上がる一幕もありましたが、あれはあくまで「同様のデザインを用いたノートに限る」らしいので本作は対象外のようです。一安心。

そして、此処からは今後の展開予想。
最終的には仲間になりそうなマールィだけど、さゆりを疑って報告しちゃうんだろうなぁ。
でもって、彼女の所属するレガード本隊がやって来る展開か。
バニーの上司である花魁課長によると、どうもこのレガードも一癖ありそう。
だとすれば、これまでの予測で唱えて来たバニーとリコスたちが連合して挑む敵はレガードになりそうか。
こんな感じ!?

マールィの報告でさゆりに目を付けたレガードが地球に飛来。
さゆりを連行しようとする。
通常ならば相手ではないが、レガードはさゆりの弱点であるお化けを使用。
しかも、周囲にまで被害を及ぼす。
此処にマールィはレガードに疑問を抱き離反。
もちろん、バニーやリコス、源さん、オヤッサンとタマちゃんらも協力してレガードに抵抗。
とはいえ、多勢に無勢で危機に陥るんだけど、其処に花魁上司たちが登場。
レガードが星々の遺産を不正使用していたとかで逮捕。
さゆりは見逃されるんだけど、バニーとリコスは帰還したかに見せて……実は地球に居るのです、的な結末とか。
でないと、リコス逮捕されちゃうし。
そして、バニーは花魁課長からさゆりとリコスの監視の名目で地球滞在の権利を得るとか。
ちなみに、さゆりがお化けが苦手なのは遺産としての記憶が残っているから……だったりして。
この妄想、果たして的中するでしょうか!?

さて、此処で幾ら言葉を尽くしたところで本作の面白さは伝えられない。
やっぱり本作は理屈じゃないな。
実際に読んで感じるべし。

彩百合の両親が謎ですね。
山中の病院で1ヶ月に1度のお見舞い……「となりのトトロ」を思い出しました。
さゆりの母は静養中(「さゆりと峠とお見舞い」参照)なのでしょうか。
そう言えば、リコスはトトロっぽいと言えなくもないか。
入院中とのことですが、何か理由があるのでしょうか。
このあたりも謎だし、連載になった以上はいずれ明かして欲しい。

もう1度繰り返しましょう。
本作に興味を持たれた方には、是非、「週刊少年チャンピオン」本誌を捜して読んで欲しい。
最近の「週刊少年チャンピオン」は「実は私は」や本作など本当に粒揃いでクオリティが高い作品が多い。
注目の雑誌の1つと言えるでしょう。

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